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7. 隠れ里
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「あの、凄い田舎ですね」
「そうだろう。だのに割と道路は整備されている。そこが日本のいいところだね」
「田舎になると、本当に人が歩いていない」
「田舎ほど、移動手段は車になるから、かなりのお年寄りでも運転しているな」
「この田舎というか、もう、ここ山の中ですよね。ここに『妖の隠れ里』があるのですか?」
「山の中の集落は意外とあるものだけど、いわゆる『妖怪』と昔から言われる連中もこっそりと自分たちの居場所を人に見つかりにくい所に作っているのさ」
「人型になると人外と人の区別なんてつかないから、人としての暮らしと戸籍を持っているモノも結構いる」
「リーちゃん、『隠れ里』に行くと気を抜いたのが本性を出している時があるから驚かないでね。本人は無意識だから」
「今はコスプレしているんだな、と勝手に思ってくれるのであまりバレないようになりましたけど、尻尾と耳は割と出ていますね」
リナは喫茶『AYASHI』のマスター翼とケルベロスのナキン、妖狐の店員Aと共に四駆の車に乗っていた。
喫茶店は他のバイト達で回すそうだけど、軽食はマスターが大量に作り置きをしておいた。コーヒーの味は落ちるけれど、店員BやCはそれなりの腕で他の店ならマスターになれるくらいだというのだから特に問題はない。常連が文句をいうくらいだ。
『隠れ里』からの依頼で山奥に行く事になったのだが、そこには鬼の長老たちが密やかに暮らしているそうだ。
刑事の御大も本性は鬼なのでよろしくと頼まれた。
人外の中で一番数が多いのはやはり鬼で、人に紛れて暮らしているうちに血が薄れ、先祖返りで驚くのも鬼が多いそうだ。軽い先祖返りだと頭に小さなコブができるくらいなのでそのまま自覚せずに過ごす人もいるらしい。以外と人間社会の中に人外は紛れ込んでいる。
『妖の隠れ里』も各地にあるが、中には完全に隠れてしまって戸籍もなく、電気、ガス、水道もない自給自足の生活を営んでいる者たちもいる。
今は空から地球全体を見渡せるようになったので隠れ里も結界を張って偽装しないといけない為、結界を張れる能力者が切実に求められている。
どうしても、結界がゆるんで発覚の危機に陥った『妖』の隠れ里からのSOSでナキンと翼が出張することもある。
ナキンと翼は人からは認識ができなくなる結界を張る事ができるのだ。喫茶『AYASHI』も普段は認識されにくい結界を張っているが、時々は結界をほどいているので、その時は普通の人間が入ってくる時もある。美味しいコーヒーと軽食に又、来たいと思われるが記憶は曖昧になり、再び来ることは滅多にないという。
喫茶『AYASHI』は砂漠の蜃気楼みたいな店なのだ。
そして、いつの間にか喫茶『AYASHI』は人外からの緊急依頼を請け負う場所となっていた。
さて、たどり着いた山奥の村は静かで風光明媚な場所だった。迎えてくれた村長の娘さんもこんな辺鄙なところに何故こんな美人が、というようなあか抜けた美女だった。
「ようこそ、尾二村へ。私、村長の娘で尾人三子と言います。尾二村のお、は尾っぽの尾、には一、二の二と書きますのよ」
「まぁ、鬼が一番多いけどそれ以外もいるから鬼の漢字は当てられないか」
「えっ、世を忍ぶ為の当て字ではないのですか?」
「鬼の漢字を使うと、鬼だけじゃない、って煩いのがいるのよ。とりあえず村長が待っているからどうぞ、こちらへ」
そうして案内された大きな田舎の古民家はとても大きくて立派だった。そのまま、広い玄関から畳敷きの広間を通り、どうぞ、と招き入れられたのは、ひと昔前のレトロな雰囲気がする洋風の応接間だった。
そこで待っていた村長は白いひげの体格のいい美丈夫で頭には頭巾をかぶっていた。
「おお、よく来てくれたのぉ。待っていた。困った事になってしまった。兜が盗まれたんじゃ」
「兜が、ですか?」
「まさか、傘地蔵の?」
「そのまさか、じゃ。しかも、頭ごとなくなってしもうた」
「地蔵の頭ごと、ですか」
翼とナキンは顔を見合わせた。村長は下を向いてゆるく頭を振っている。
「いつからですか?」
「気づいたのは5日前じゃ、いつも傘地蔵の掃除に行ってくれている子が『地蔵様の頭がない!』と駆け込んできたんで、慌てて見に行ったら傘地蔵のしかも、兜の傘地蔵の頭がスッパリと無くなっていたんじゃ」
「兜の事を知っているのは?」
「古い連中は皆知っておるが、若いのは傘地蔵もただの地蔵と思っているからのぅ。ただ、昔語りに兜の話をしたものは居るかもしれん。しかし、今の平和な時代にあの兜を持っていってどうするつもりなんじゃ」
「まさか、バラバラに隠されている武器や防具をすべて揃えるつもりではないでしょうか」
「そうかもしれんが、誰と戦うというんじゃ」
リナは少し、混乱していた。(お爺さんの話では傘地蔵の頭が無くなって、その頭が兜になると? というか、傘地蔵って日本の昔話で、あの傘を被せてあげたら恩返しをしてくれた、というあの傘地蔵の事!?)
黙ったまま首を傾げているリナに
「リーちゃん、わからないよね、これ。うーん、傘地蔵って昔話があるけど、あれは実話でここにその傘地蔵がいるんだ。普段はお休みしているけど時々動くんだよ。で、いつも傘を被せているんだけど、その中に一人だけ兜をかぶったお地蔵さんがいてさ、その兜は昔預かって隠してもらってたものだから、普通は取れないはずなんだ」
「兜は地蔵から離れられないはずなんだが」
「そうなんだよね。とりあえず、お地蔵さんの所に行こうか」
という事で一同は傘地蔵を見に行くことになった。
しかし、
(首無し地蔵さん、あまり見たくないかも)と思うリナの足取りは重かった。
「そうだろう。だのに割と道路は整備されている。そこが日本のいいところだね」
「田舎になると、本当に人が歩いていない」
「田舎ほど、移動手段は車になるから、かなりのお年寄りでも運転しているな」
「この田舎というか、もう、ここ山の中ですよね。ここに『妖の隠れ里』があるのですか?」
「山の中の集落は意外とあるものだけど、いわゆる『妖怪』と昔から言われる連中もこっそりと自分たちの居場所を人に見つかりにくい所に作っているのさ」
「人型になると人外と人の区別なんてつかないから、人としての暮らしと戸籍を持っているモノも結構いる」
「リーちゃん、『隠れ里』に行くと気を抜いたのが本性を出している時があるから驚かないでね。本人は無意識だから」
「今はコスプレしているんだな、と勝手に思ってくれるのであまりバレないようになりましたけど、尻尾と耳は割と出ていますね」
リナは喫茶『AYASHI』のマスター翼とケルベロスのナキン、妖狐の店員Aと共に四駆の車に乗っていた。
喫茶店は他のバイト達で回すそうだけど、軽食はマスターが大量に作り置きをしておいた。コーヒーの味は落ちるけれど、店員BやCはそれなりの腕で他の店ならマスターになれるくらいだというのだから特に問題はない。常連が文句をいうくらいだ。
『隠れ里』からの依頼で山奥に行く事になったのだが、そこには鬼の長老たちが密やかに暮らしているそうだ。
刑事の御大も本性は鬼なのでよろしくと頼まれた。
人外の中で一番数が多いのはやはり鬼で、人に紛れて暮らしているうちに血が薄れ、先祖返りで驚くのも鬼が多いそうだ。軽い先祖返りだと頭に小さなコブができるくらいなのでそのまま自覚せずに過ごす人もいるらしい。以外と人間社会の中に人外は紛れ込んでいる。
『妖の隠れ里』も各地にあるが、中には完全に隠れてしまって戸籍もなく、電気、ガス、水道もない自給自足の生活を営んでいる者たちもいる。
今は空から地球全体を見渡せるようになったので隠れ里も結界を張って偽装しないといけない為、結界を張れる能力者が切実に求められている。
どうしても、結界がゆるんで発覚の危機に陥った『妖』の隠れ里からのSOSでナキンと翼が出張することもある。
ナキンと翼は人からは認識ができなくなる結界を張る事ができるのだ。喫茶『AYASHI』も普段は認識されにくい結界を張っているが、時々は結界をほどいているので、その時は普通の人間が入ってくる時もある。美味しいコーヒーと軽食に又、来たいと思われるが記憶は曖昧になり、再び来ることは滅多にないという。
喫茶『AYASHI』は砂漠の蜃気楼みたいな店なのだ。
そして、いつの間にか喫茶『AYASHI』は人外からの緊急依頼を請け負う場所となっていた。
さて、たどり着いた山奥の村は静かで風光明媚な場所だった。迎えてくれた村長の娘さんもこんな辺鄙なところに何故こんな美人が、というようなあか抜けた美女だった。
「ようこそ、尾二村へ。私、村長の娘で尾人三子と言います。尾二村のお、は尾っぽの尾、には一、二の二と書きますのよ」
「まぁ、鬼が一番多いけどそれ以外もいるから鬼の漢字は当てられないか」
「えっ、世を忍ぶ為の当て字ではないのですか?」
「鬼の漢字を使うと、鬼だけじゃない、って煩いのがいるのよ。とりあえず村長が待っているからどうぞ、こちらへ」
そうして案内された大きな田舎の古民家はとても大きくて立派だった。そのまま、広い玄関から畳敷きの広間を通り、どうぞ、と招き入れられたのは、ひと昔前のレトロな雰囲気がする洋風の応接間だった。
そこで待っていた村長は白いひげの体格のいい美丈夫で頭には頭巾をかぶっていた。
「おお、よく来てくれたのぉ。待っていた。困った事になってしまった。兜が盗まれたんじゃ」
「兜が、ですか?」
「まさか、傘地蔵の?」
「そのまさか、じゃ。しかも、頭ごとなくなってしもうた」
「地蔵の頭ごと、ですか」
翼とナキンは顔を見合わせた。村長は下を向いてゆるく頭を振っている。
「いつからですか?」
「気づいたのは5日前じゃ、いつも傘地蔵の掃除に行ってくれている子が『地蔵様の頭がない!』と駆け込んできたんで、慌てて見に行ったら傘地蔵のしかも、兜の傘地蔵の頭がスッパリと無くなっていたんじゃ」
「兜の事を知っているのは?」
「古い連中は皆知っておるが、若いのは傘地蔵もただの地蔵と思っているからのぅ。ただ、昔語りに兜の話をしたものは居るかもしれん。しかし、今の平和な時代にあの兜を持っていってどうするつもりなんじゃ」
「まさか、バラバラに隠されている武器や防具をすべて揃えるつもりではないでしょうか」
「そうかもしれんが、誰と戦うというんじゃ」
リナは少し、混乱していた。(お爺さんの話では傘地蔵の頭が無くなって、その頭が兜になると? というか、傘地蔵って日本の昔話で、あの傘を被せてあげたら恩返しをしてくれた、というあの傘地蔵の事!?)
黙ったまま首を傾げているリナに
「リーちゃん、わからないよね、これ。うーん、傘地蔵って昔話があるけど、あれは実話でここにその傘地蔵がいるんだ。普段はお休みしているけど時々動くんだよ。で、いつも傘を被せているんだけど、その中に一人だけ兜をかぶったお地蔵さんがいてさ、その兜は昔預かって隠してもらってたものだから、普通は取れないはずなんだ」
「兜は地蔵から離れられないはずなんだが」
「そうなんだよね。とりあえず、お地蔵さんの所に行こうか」
という事で一同は傘地蔵を見に行くことになった。
しかし、
(首無し地蔵さん、あまり見たくないかも)と思うリナの足取りは重かった。
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