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9. 赤い兜
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「しかし、この兜は目立つな」
「今の時代にいくらコスプレが流行っているとしても、流石に兜を被っているのは見ないから」
「しかも、兜をかぶっているのが女の子ですから」
リナを皆が気の毒そうに見ている。それが余計にいたたまれない。リナがそっと頭に手をやると冷たい金属の感触がした。本当に頭に兜が乗っている。取ろうとしても頭にピッタリとついていて外れなかった。
「しかし、どういう事じゃ? この子は末裔なのか?」
「まだ、わかりませんけどね。何かしらの関係はあると思います」
「でもさ、これ、赤い靴と同じだったら兜じゃなくて帽子にできるんじゃない? えーと、ほらこれなんてどう? 女の子に気に入られたかったら、身だしなみに気を付けないと」
店員Aがスマホの画面を兜に向かって見せた。その画面ではオシャレな女の子が可愛い帽子を被って笑っている。帽子は赤いリボンのついた麦わら帽子だった。すると、赤い兜がピカピカと輝いたかと思うと、リナの頭に乗っていた兜がスマホの画面に出ている帽子と同じ麦わら帽子に変化した。
「おやぁ、兜が帽子になったわい」
「赤い靴と同じですね」
「はい、リーちゃん」
店員Aが写真を撮ってスマホの画面をリナに見せた。
(良かった~。兜が帽子になっている。これなら、取り合えず、社会生活は送れる)
「でも、いつも帽子を被っているわけにはいかないです。就活とかどうしたらいいんですか? 普通の会社では帽子を被って仕事はしません」
「うーん。喫茶『AYASHI』に就職する? 結構給料良いし、お願いすれば三食昼寝付きで衣食住とか保険とかも付くはず」
「えっ、でもせっかくIT関係の資格とか秘書検定とか取ったのに」
「リーちゃん、秘書希望なの?」
「何となく、格好いいかな、と」
「いや、実際には秘書、大変だよ。でも勤めるなら、ずっと帽子というわけにはいかないし……カチューシャならいいかな」
と店員Aがカチューシャを検索し、画像を帽子に見せると、帽子は一旦、ピカッと光り、赤いカチューシャに変化してリナの髪にカチッと留まった。
「頭に着くモノなら形態は自由自在なら、黒いピンでも行けるかな?」
店員Aの問いに赤いカチューシャはピカピカと光る。
「黒いピンって言っても、多分わからないだろうなぁ。ほら、これならどう?」
そういいながら店員Aがスマホの画面で出してきたのは赤い小さな小花がついたピンだった。また、カチューシャはピカッと光ると小花のヘアピンに変化した。
「どう?」
「可愛いです」
「ヘアアクセサリーがなんでも手に入ると思ったら悪くないでしょ」
「ええ、まぁ」
「いや、由緒ある兜がそんな小さなピンになってしまうなんて、嘆かわしい事じゃ」
「別に能力に変わりないのか?」
ナキンの言葉にピンの小花はピカピカと瞬いた。
「しかし、これは先が思いやられる。次は何が出てくるんだ?」
「そんなに次から次へと出ては来ませんよ。それより何故、ここで『タヌキの息子』が死んでいるかが問題です。タヌキもその息子も妖怪ですから、普通の人間にはやられませんし、妖怪たちだってワザワザ人助けとか世直しとかするモノはいませんからこれまでは、悪い奴だと知りながら放っていたわけですから」
「妖怪にしては半端な強さだったし、な」
「この村だって、タヌキの親父に連れられてタヌキは来た事はあるが、それきりで寄り付きもしてないわい」
「まぁ、村には何もないですから」
因みにお地蔵さんの頭はナキンがそっと元にあったところに置くと、切り口もなかったように頭は胴体にくっ付いた。
横に置かれていた傘も乗っけてあげると他に並んでいるお地蔵様と何ら変わりなく見える。いつもは兜の上に傘を被っていたので、そのお地蔵様の傘だけは少し大きめだったので、兜がないと少しおさまりが悪く見える。
ただ、そのお地蔵様の目が開いていた。他のお地蔵様の目は瞑っているのにそのお地蔵様だけはしっかりと目が開いてキョロキョロと目の玉が動いている。リナはそれを見てヒュッと息を飲んだ。
「あ、あの目が?」
「うん。ああ、目が覚めたのか」
「良く寝ていたな」
お地蔵様はリナを見ていた。正確にはリナの被っている麦わら帽子を見ている。赤い兜は「今は帽子が良い」というリナの言葉をうけてまた、帽子に戻っていた。
「ああ、ずっと預かってくれていたので、心配しているのか。何だか、仮の主を見つけたみたいで飛んできた。仮、仮なのか? どうなんだろう」
「とりあえず、兜は自ら彼女に憑いたので心配はいりませんよ」
「武具と防具がすべて揃ったら人間も変身するかもしれないけどな」
帽子もお地蔵様に向かってピカピカと光って見せる。リナはナキンの変身という言葉に慄いていた。兜と靴、後は鎧とか刀とか出てきたら、それを装着したら、まるで、何だかアニメに出てくる変身少女ではないかと。
(アニメの変身は可愛いけど、鎧、兜じゃ可愛くない。形を変えてくれたら普段の格好と変わらないけど)
「あの、そのバラバラの武具とかはどうしてバラバラなんですか?」
「ああ、そこからか……」
と、話しているうちにパトカーがやって来た。サイレンは鳴らさずに赤色灯だけを付けている。普通のパトカーではなく覆面車両からは御大が降りてきた。
車は山道に入れないので、次々と降りてきた警察官を第一発見者の村人が発見現場に案内していく。
静かな村は警察が沢山来た事で一気に騒がしくなった。村人たちが何かあったのかと覗きに来たのだ。
リナは村人たちがごく、普通の人に見えるので安心したが、一人の男の子に尻尾が生えているのを見つけてしまった。
あれは、獣人だろうか?
「今の時代にいくらコスプレが流行っているとしても、流石に兜を被っているのは見ないから」
「しかも、兜をかぶっているのが女の子ですから」
リナを皆が気の毒そうに見ている。それが余計にいたたまれない。リナがそっと頭に手をやると冷たい金属の感触がした。本当に頭に兜が乗っている。取ろうとしても頭にピッタリとついていて外れなかった。
「しかし、どういう事じゃ? この子は末裔なのか?」
「まだ、わかりませんけどね。何かしらの関係はあると思います」
「でもさ、これ、赤い靴と同じだったら兜じゃなくて帽子にできるんじゃない? えーと、ほらこれなんてどう? 女の子に気に入られたかったら、身だしなみに気を付けないと」
店員Aがスマホの画面を兜に向かって見せた。その画面ではオシャレな女の子が可愛い帽子を被って笑っている。帽子は赤いリボンのついた麦わら帽子だった。すると、赤い兜がピカピカと輝いたかと思うと、リナの頭に乗っていた兜がスマホの画面に出ている帽子と同じ麦わら帽子に変化した。
「おやぁ、兜が帽子になったわい」
「赤い靴と同じですね」
「はい、リーちゃん」
店員Aが写真を撮ってスマホの画面をリナに見せた。
(良かった~。兜が帽子になっている。これなら、取り合えず、社会生活は送れる)
「でも、いつも帽子を被っているわけにはいかないです。就活とかどうしたらいいんですか? 普通の会社では帽子を被って仕事はしません」
「うーん。喫茶『AYASHI』に就職する? 結構給料良いし、お願いすれば三食昼寝付きで衣食住とか保険とかも付くはず」
「えっ、でもせっかくIT関係の資格とか秘書検定とか取ったのに」
「リーちゃん、秘書希望なの?」
「何となく、格好いいかな、と」
「いや、実際には秘書、大変だよ。でも勤めるなら、ずっと帽子というわけにはいかないし……カチューシャならいいかな」
と店員Aがカチューシャを検索し、画像を帽子に見せると、帽子は一旦、ピカッと光り、赤いカチューシャに変化してリナの髪にカチッと留まった。
「頭に着くモノなら形態は自由自在なら、黒いピンでも行けるかな?」
店員Aの問いに赤いカチューシャはピカピカと光る。
「黒いピンって言っても、多分わからないだろうなぁ。ほら、これならどう?」
そういいながら店員Aがスマホの画面で出してきたのは赤い小さな小花がついたピンだった。また、カチューシャはピカッと光ると小花のヘアピンに変化した。
「どう?」
「可愛いです」
「ヘアアクセサリーがなんでも手に入ると思ったら悪くないでしょ」
「ええ、まぁ」
「いや、由緒ある兜がそんな小さなピンになってしまうなんて、嘆かわしい事じゃ」
「別に能力に変わりないのか?」
ナキンの言葉にピンの小花はピカピカと瞬いた。
「しかし、これは先が思いやられる。次は何が出てくるんだ?」
「そんなに次から次へと出ては来ませんよ。それより何故、ここで『タヌキの息子』が死んでいるかが問題です。タヌキもその息子も妖怪ですから、普通の人間にはやられませんし、妖怪たちだってワザワザ人助けとか世直しとかするモノはいませんからこれまでは、悪い奴だと知りながら放っていたわけですから」
「妖怪にしては半端な強さだったし、な」
「この村だって、タヌキの親父に連れられてタヌキは来た事はあるが、それきりで寄り付きもしてないわい」
「まぁ、村には何もないですから」
因みにお地蔵さんの頭はナキンがそっと元にあったところに置くと、切り口もなかったように頭は胴体にくっ付いた。
横に置かれていた傘も乗っけてあげると他に並んでいるお地蔵様と何ら変わりなく見える。いつもは兜の上に傘を被っていたので、そのお地蔵様の傘だけは少し大きめだったので、兜がないと少しおさまりが悪く見える。
ただ、そのお地蔵様の目が開いていた。他のお地蔵様の目は瞑っているのにそのお地蔵様だけはしっかりと目が開いてキョロキョロと目の玉が動いている。リナはそれを見てヒュッと息を飲んだ。
「あ、あの目が?」
「うん。ああ、目が覚めたのか」
「良く寝ていたな」
お地蔵様はリナを見ていた。正確にはリナの被っている麦わら帽子を見ている。赤い兜は「今は帽子が良い」というリナの言葉をうけてまた、帽子に戻っていた。
「ああ、ずっと預かってくれていたので、心配しているのか。何だか、仮の主を見つけたみたいで飛んできた。仮、仮なのか? どうなんだろう」
「とりあえず、兜は自ら彼女に憑いたので心配はいりませんよ」
「武具と防具がすべて揃ったら人間も変身するかもしれないけどな」
帽子もお地蔵様に向かってピカピカと光って見せる。リナはナキンの変身という言葉に慄いていた。兜と靴、後は鎧とか刀とか出てきたら、それを装着したら、まるで、何だかアニメに出てくる変身少女ではないかと。
(アニメの変身は可愛いけど、鎧、兜じゃ可愛くない。形を変えてくれたら普段の格好と変わらないけど)
「あの、そのバラバラの武具とかはどうしてバラバラなんですか?」
「ああ、そこからか……」
と、話しているうちにパトカーがやって来た。サイレンは鳴らさずに赤色灯だけを付けている。普通のパトカーではなく覆面車両からは御大が降りてきた。
車は山道に入れないので、次々と降りてきた警察官を第一発見者の村人が発見現場に案内していく。
静かな村は警察が沢山来た事で一気に騒がしくなった。村人たちが何かあったのかと覗きに来たのだ。
リナは村人たちがごく、普通の人に見えるので安心したが、一人の男の子に尻尾が生えているのを見つけてしまった。
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