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10. 尻尾
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「あの、シッポのある男の子がいたのですが」
「ああ、シッポか! 多分あの子だな。オオカミの子で、まだ小さいので直ぐシッポが出てしまうんじゃ」
「遊んでいると直ぐシッポが出るから、お尻に穴を開けているのよ。シッポだけで耳は出ないから人に見られてもシッポ付きのズボンを履いていると思われるから、最近はいいわよねぇ」
「それでも、よそ者が来た時には外に出さんようにしとかんと」
「そうよねぇ。しばらく隠れ里のほうに避難させとく? ちょっと、親に話してくるわ」
そう言うと、村長の娘は急いで出ていった。
「この村にはシッポのある人たちは結構、いらっしゃるんですか?」
「狐とか猫とか狼とかはシッポがあるなぁ。でも大人のシッポは殆ど出る事はないし、むしろ人化が長いと中々本体に戻れなくなるのもいるから」
「そもそも、人にはシッポが生えていたが進化の過程でシッポが退化して尾骨だけが残った、と言われている。しかし、シッポが退化せずにそのまま残ったとしたら、シッポのある人間がいてもおかしくない」
「俺っちは妖狐だからシッポもお耳もあるよ~」
「店員Aの本体は妖狐だし見た目は狐、そのものじゃないか。仮の姿が人間と混ざっている奴で耳とシッポ付きだろ」
「えっ、Aさんってシッポがあるんですか?」
リナとマスター翼、ナキンに店員Aは村長の家でお茶を飲んでいた。玄米茶と煎餅が美味しい。リナがいつも行っている喫茶『AYASHI』のメンバーは常に人化しているので妖狐、とか鬼とかヌラリヒョンと言われてもピンとこないのだ。
「見たい?」
「ええ、いいんですか? 差し支えなければ?」
「よし、では」
そう言うと店員Aはクルリとその場で宙返りをした。すると、そこにはとても可愛い子狐が現れた。ただし、シッポはフサフサしているが先が3本に分かれている。毛並みは金色で艶々、フンワリしてとても触り心地が良さそうだ。
「わーっ、可愛い」
思わず、リナはその子狐に近寄り撫でようとして、すんでのところで手を止めた。
「撫でてもいいですか」
「いいよ。好きなだけ撫でて。でも、リーちゃん、割と動じなくなったね」
「だって、凄く可愛いんですもの」
「いや、それはまだ擬態だろう? 可愛い子ぶっているが本体は尾が3本じゃなくて7本のはずだ」
「えっ? 7本? 5本かと思っていました。履歴書には確か5本と書いてありましたよね」
「お前、誤魔化したな。こいつ、7本の妖狐だからかなり強いはずだ」
「いえいえ、その当時は6本になりかけの5本だったんです。と、ある出来事が切っ掛けで爆発的に妖力がふえまして……、でもさして、特別に強くもない普通の妖狐ですよ」
「ウソつけ!」
「まあまぁ、そういう事にしておきましょう。A君は『喫茶AYASHI』に欠かせない人物ですから」
リナは妖狐の隣に座るとそっとそのフカフカの毛を撫でた。柔らかくてフワフワしていて、それでいて滑らかでとても肌触りが良かった。
「おーい。皆、居るか?」
御大の声がした。村長が出ていこう、とするのを押さえてマスター翼が玄関に行って御大を連れてきた。
「おう、皆揃っているな。何でAは狐になっているんだ? しかも、可愛い子ぶって尾が3本! 何の冗談だ?」
「俺は可愛いんです」
「嘘こけ!」
「それより、御大さん。何かわかりましたか?」
「親父と同じ殺され方だ。あの一族、何かヤバいもんに手を出して報復でもされているんじゃないか? でも、それになんでお嬢さんが関わっているのかが分からないんだが」
御大が腕を組んでうーんと悩んでいるのでリナはそっと新しい玄米茶を入れて差し出した。
「ああ、有り難う。お嬢さん、田塗大善と面識はなかったな」
「ええ、はい。あった事も見たこともありません」
「息子の田塗広善は知っているか? ほれ、この写真なんだが」
「いえ、初めて見ました」
「そうか。ところで、これお嬢さんのカードじゃないか?」
そう言って御大が見せてきた写真にはリナの名前が入ったポイントカードが写っていた。ファッションビルに入っているレディースショップのポイントカードだった。
「えっ、なにこれ?! 前に無くなったカード? 再発行してもらったお店のだわ。どうして?」
「いつ頃、無くなったのか、覚えているか?」
「えーと、お店でカードを出そうとして見つからなくて、ですから3か月ほど前だと思います」
「そうか、そんなに前からか、単に手癖が悪いだけとも考えられるが」
「リーちゃん、靴を押し付けてきた女の子と一緒にカラオケとか行った?」
「バイトの終わりに割と何度も行っています。好きなアーティストが同じなので」
「カバン、置いたままトイレに行っているだろ」
「ええ、まさか! そんな!?」
「そのまさかだよ。手癖の悪い子は席を外した時にお札を何枚か抜き取ったり、クレカやキャッシュカードの番号を写真で取ったりしているから。友達と言えど、あまり信用しないほうがいい」
「でも、ポイントカードカードなんて取っても名前も記入しているし、何の役にも立たないと思うんですけど」
「捜査を混乱させられる。このカード、何処にあったと思う?」
「えーと、殺された方のお財布の中とか?」
「ハズレ!死体の下」
「ええっー、どうしてですか?」
「さぁ、何のつもりだかわからないが、この殺人事件は連続殺人でお嬢さんが又しても重要参考人になったのは間違いない」
「えっ?! 私、逮捕されたりするんですか?」
「まさか! お嬢さんが何もしてないのはわかっているし、警視庁第9課というのは特例の課だから普通とは違うんだ。殺されたのは、またしても人外だからこちらも俺の担当。わからないのはお嬢さんを巻き込んで何がしたいんだ、という事だ」
どうやら、リナは赤い靴と赤い兜を手に入れたが、同時に訳の分からない何かに巻き込まれているらしい。
「ああ、シッポか! 多分あの子だな。オオカミの子で、まだ小さいので直ぐシッポが出てしまうんじゃ」
「遊んでいると直ぐシッポが出るから、お尻に穴を開けているのよ。シッポだけで耳は出ないから人に見られてもシッポ付きのズボンを履いていると思われるから、最近はいいわよねぇ」
「それでも、よそ者が来た時には外に出さんようにしとかんと」
「そうよねぇ。しばらく隠れ里のほうに避難させとく? ちょっと、親に話してくるわ」
そう言うと、村長の娘は急いで出ていった。
「この村にはシッポのある人たちは結構、いらっしゃるんですか?」
「狐とか猫とか狼とかはシッポがあるなぁ。でも大人のシッポは殆ど出る事はないし、むしろ人化が長いと中々本体に戻れなくなるのもいるから」
「そもそも、人にはシッポが生えていたが進化の過程でシッポが退化して尾骨だけが残った、と言われている。しかし、シッポが退化せずにそのまま残ったとしたら、シッポのある人間がいてもおかしくない」
「俺っちは妖狐だからシッポもお耳もあるよ~」
「店員Aの本体は妖狐だし見た目は狐、そのものじゃないか。仮の姿が人間と混ざっている奴で耳とシッポ付きだろ」
「えっ、Aさんってシッポがあるんですか?」
リナとマスター翼、ナキンに店員Aは村長の家でお茶を飲んでいた。玄米茶と煎餅が美味しい。リナがいつも行っている喫茶『AYASHI』のメンバーは常に人化しているので妖狐、とか鬼とかヌラリヒョンと言われてもピンとこないのだ。
「見たい?」
「ええ、いいんですか? 差し支えなければ?」
「よし、では」
そう言うと店員Aはクルリとその場で宙返りをした。すると、そこにはとても可愛い子狐が現れた。ただし、シッポはフサフサしているが先が3本に分かれている。毛並みは金色で艶々、フンワリしてとても触り心地が良さそうだ。
「わーっ、可愛い」
思わず、リナはその子狐に近寄り撫でようとして、すんでのところで手を止めた。
「撫でてもいいですか」
「いいよ。好きなだけ撫でて。でも、リーちゃん、割と動じなくなったね」
「だって、凄く可愛いんですもの」
「いや、それはまだ擬態だろう? 可愛い子ぶっているが本体は尾が3本じゃなくて7本のはずだ」
「えっ? 7本? 5本かと思っていました。履歴書には確か5本と書いてありましたよね」
「お前、誤魔化したな。こいつ、7本の妖狐だからかなり強いはずだ」
「いえいえ、その当時は6本になりかけの5本だったんです。と、ある出来事が切っ掛けで爆発的に妖力がふえまして……、でもさして、特別に強くもない普通の妖狐ですよ」
「ウソつけ!」
「まあまぁ、そういう事にしておきましょう。A君は『喫茶AYASHI』に欠かせない人物ですから」
リナは妖狐の隣に座るとそっとそのフカフカの毛を撫でた。柔らかくてフワフワしていて、それでいて滑らかでとても肌触りが良かった。
「おーい。皆、居るか?」
御大の声がした。村長が出ていこう、とするのを押さえてマスター翼が玄関に行って御大を連れてきた。
「おう、皆揃っているな。何でAは狐になっているんだ? しかも、可愛い子ぶって尾が3本! 何の冗談だ?」
「俺は可愛いんです」
「嘘こけ!」
「それより、御大さん。何かわかりましたか?」
「親父と同じ殺され方だ。あの一族、何かヤバいもんに手を出して報復でもされているんじゃないか? でも、それになんでお嬢さんが関わっているのかが分からないんだが」
御大が腕を組んでうーんと悩んでいるのでリナはそっと新しい玄米茶を入れて差し出した。
「ああ、有り難う。お嬢さん、田塗大善と面識はなかったな」
「ええ、はい。あった事も見たこともありません」
「息子の田塗広善は知っているか? ほれ、この写真なんだが」
「いえ、初めて見ました」
「そうか。ところで、これお嬢さんのカードじゃないか?」
そう言って御大が見せてきた写真にはリナの名前が入ったポイントカードが写っていた。ファッションビルに入っているレディースショップのポイントカードだった。
「えっ、なにこれ?! 前に無くなったカード? 再発行してもらったお店のだわ。どうして?」
「いつ頃、無くなったのか、覚えているか?」
「えーと、お店でカードを出そうとして見つからなくて、ですから3か月ほど前だと思います」
「そうか、そんなに前からか、単に手癖が悪いだけとも考えられるが」
「リーちゃん、靴を押し付けてきた女の子と一緒にカラオケとか行った?」
「バイトの終わりに割と何度も行っています。好きなアーティストが同じなので」
「カバン、置いたままトイレに行っているだろ」
「ええ、まさか! そんな!?」
「そのまさかだよ。手癖の悪い子は席を外した時にお札を何枚か抜き取ったり、クレカやキャッシュカードの番号を写真で取ったりしているから。友達と言えど、あまり信用しないほうがいい」
「でも、ポイントカードカードなんて取っても名前も記入しているし、何の役にも立たないと思うんですけど」
「捜査を混乱させられる。このカード、何処にあったと思う?」
「えーと、殺された方のお財布の中とか?」
「ハズレ!死体の下」
「ええっー、どうしてですか?」
「さぁ、何のつもりだかわからないが、この殺人事件は連続殺人でお嬢さんが又しても重要参考人になったのは間違いない」
「えっ?! 私、逮捕されたりするんですか?」
「まさか! お嬢さんが何もしてないのはわかっているし、警視庁第9課というのは特例の課だから普通とは違うんだ。殺されたのは、またしても人外だからこちらも俺の担当。わからないのはお嬢さんを巻き込んで何がしたいんだ、という事だ」
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