にゃんこの居場所【完結】

榊咲

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【ミミの章】

新しい家での出来事②

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 ゴンが死んだって聞いたの。わたしもゴンのお見舞に行った時に『もうダメだわ』って思ったけど、あっけなかったわね。死んだって聞いた時は《ああぁ、とうとう死んじゃったか》って思ったけど、それほど悲しくなかったわねぇ。やっぱり嫌ってたせいかしらねぇ。

 わたしは、こんな感じだったけど、さよちゃんは悲しそうにしてたわ。自分が貰ってきたイヌだったからみたい。それに病気になったと知った時に仕事が忙しくて、病院に連れて行ってやれなかったのも関係してるようね。早くゴンの事は忘れて元気になって欲しいわねぇ!

 わたしはこの頃、よくハウスとお隣に行くようになったの!だってねぇ~、家の中に居ても退屈なんですもの!!ハウスにいけば、綺麗な花が咲いてるのよ。目の保養には持ってこいよ。そうそう、お花の名前はカーネーションって言うそうよ。赤色や黄色、ピンク、色々な色のカーネーションが咲き誇っているのよねぇ~。それに、お花がいっぱい咲いている“スプレー”ていうのがキレイなの!わたしはこのスプレーでピンクのカーネーションが好きよ!ただねぇ、ハウスの中だから、初夏になると暑くて居られなくなるのが欠点ね。

 あと夏頃になるとカーネーションを枯らしてしまうの。勿体ないわよね~。でもこれも夏だから仕方ないみたい。カーネーションは暑さに弱いらしいのよ。残念よね~。

 だから夏の間は大きな木の下や家のヒサシでお昼寝をしてるの。涼しくなる夕方になると、お隣に遊びに行くの。そうするとおばさんが「あら、ミミちゃん来たの」って言って出迎えてくれるのよ。だからわたしも「ニャウン、ニャーン(おばさん、こんにちは)」ってあいさつするの。そうするとね、おばさんが背中や頭を撫ぜてくれるの。すっごく気持ちが良くって『ゴロゴロゴロ』って、喉が自然に鳴ってしまうのよねぇ~!

 そんな風にお隣で遊んでいると、さよちゃんが仕事から帰ってくるの。車の音ですぐわかるから、その時はおばさんに「ニャウン、ニャン(おばさん、帰るね)」と言って帰るんだけど、おばさんが「またね」と言って手を振ってくれるから嬉しくて、翌日も行っちゃうの。それに、おばさん所にもイヌが居るけど、ゴンみたいに大きくないから、お友達になっちゃった。でもこの子は箱入り娘で外にはなかなか出て来ないから窓越しで話をするだけなんだけどね。

 あとは,お散歩してるイヌや人を夏は日陰から見てる事が多いわね。秋から暖かくなる春までは窓越しに日向ぼっこをしながら見てるの。外を見てると「あら、ネコちゃん。可愛いわね」って声を掛けていく人がよくいるのよね。大体が子どもと一緒にいる人が声を掛けてくれるの。

 そんな日々を過ごしていたんだけど、ある春先のそしたら、日、何時ものように、夕ご飯の後のお散歩に外に出して貰って、ハウスに行って、腹ごなしをしていたの。そしたら、そこに数匹のイヌが来たわ。わたしは咄嗟とっさに物陰に隠れたわ。そしたら、そのイヌのボスが「ワウン、ワオーン、ワオーン(おい、ネコの匂いがしないか?)」て言うからビクッとしたわ。『早く逃げなくっちゃ』て思うんだけど、イヌが入口にいるから逃げられないのよぉ。でも少しでもイヌから離れようと静かに、イヌにバレないように歩いたんだけど、見つかっちゃたのよ~。

 もう必死にハウスの中を走り回ったわ。その間にさよちゃんが「ミミ、ミミ」って呼んでくれてたみたいなんだけど、「ワオーン、ワオーン(待てー、待てー)」と言うイヌの声で聞こえなかったの。頑張って走り回ったんだけど、疲れてしまって、カーネーションの中に入って、イヌの追撃から逃れようとしたの。それが良かったみたいで、イヌはわたしから離れて行ったのね。助かった~、と思ったわ。それで家に帰ろうと思ったら、身体が動かないの。可笑しいわねぇ。イヌにも襲われなかったのにって思ったの。

 でもよくよく考えてみたら、昼間にハウスの中に何か撒いていたのを思い出したの。だからさよちゃんに迎えに来てもらおうと「ニャウン、ニャウン(助けて!助けて!)」って言ったんだけど、誰も来てくれなかったわ。さよちゃんが「ミミー、ミミー」って呼んでくれてたんだけど、わたしのいる場所はわからないみたい。

 わたしはここで《死ぬのかしら》と思ったら、今まで生きてきた事が頭に浮かんで来たのよねぇ。本当に死ぬ時は呆気ないのね、と思ったわね。出来たらさよちゃんの所に帰りたかったけど無理そうだわ。先に天国に行ったゴンが迎えに来てくれるかしら。犬猿の仲だったけど、一緒に暮らしたよしみで迎えに来て欲しいわ。

 もう考える事も出来なくなって来たわね。考えてみるとわたしの猫生人生は良かったと思うわ。またさよちゃんやお父さんに会えるかしらねぇ。そう思ったら、なんだか眠くなっちゃった。おやすみなさい。


◆◆◆◆◆

 翌日、ハウスのおじさんが、「この子がバラさんトコのネコじゃぁない」と言ってミミの亡骸を持ってさよちゃんの家に来た。ダンボール箱にはミミが入っていて、さよは「ミミ、ウチのミミです」と言って受け取った。「ハウスの中にいたんだけど、傷もないから」と言っておじさんは帰って行った。さよはミミの変わり果てた姿を見て涙が留めもなく出てきて仕方がなかった。悲しくて、悲しくて、そのままミミと居たかったけど、仕事があったので、後ろ髪を引かれる想いで仕事に向かった。

 お父さんも変わり果てたミミを見て、さよに「ミミは任せておけ。仕事に行け」と言ってさよに仕事に向かわせ、自分はミミをお寺に連れていき、供養をしてもらい、それから焼き場に連れて行った。ミミは大勢の仲間と一緒に焼き場で焼かれ、亡骸は大勢の仲間と一緒にお墓に入った。それをお父さんは仕事から帰ってきた、さよに伝えた。さよはお父さんに「ありがとう」と言って、ミミの事を考えて泣いてしまった。
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