いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

文字の大きさ
169 / 304
第7章

第305話 パジャマパーティー①(ちょい※)

しおりを挟む
僕とリリーとテアの3人でお泊まり会、というなんだか心ときめくイベントがはじまった。このメンバーでお泊まりなんて、わくわくし過ぎて胸が張り裂けそう!

「ね~リリー、このかわいい袋なぁに~?」
「え、僕にも? なんだろう? 開けていい?」

部屋に入ってくるなり、リリーが僕とテアそれぞれに、リボンのついた袋を渡した。何やら見覚えのあるローズピンクのリボンを解くと、袋の中からふわふわもこもこのルームウェアが出てきた! これって。

「リリーの好きなえっと、『魔女っ子プリムの甘い夢』のルームウェア?」
「そうだよ。たまたま着ない服が部屋にあったから適当に袋に詰めて……」
「へえ~袋の端っこに今日配達指定の魔法シール貼ってあるよ~? わざわざテア達のために注文してくれたんでしょぉ~? やっさし~リリ~」
「ち、ちが……うくないけど、せっかくお泊まり会するんだから服も可愛いのがいいでしょ?」

照れ隠しでつんつんしているリリーが可愛い。

「ふわぁ。前もらったのは白いうさもこウェアだったけど、今度のは、水色の、やっぱりうさぎ!! 涼しげで可愛い。しかも触り心地が前のよりサラッとしてる」
「テアのは、りすさんだぁ~可愛い~。ふふふ。ショートパンツについてる尻尾大きい~ふっさふさ~」

僕がうさぎでテアがリス。

「ありがとう! えと、リリーのは?」
「僕は前にメガネがくれたのをお直ししてもらったからこれを着るよ」

カバンの中から出てきたのは以前僕がプレゼントしたねこもこルームウェア。全然傷んでなくて、大切に着てくれてることがよくわかる。うれしい。

「またあの店一緒に行きたいね」
「テアも行きたい~!!」
「行こう行こう! きらきら星っていうおいしいスコーン屋さんにも行こうよ」

おしゃべりに花を咲かせながら甘いデザート多めの夕食を食べた後、お風呂に入ってみんなで一緒に体を洗いっこした。部屋のお風呂だけど、十分広いから三人でも余裕で入れる。肌がすべすべもちもちになるというテアおすすめの入浴剤を入れたら、なんと天井まで泡だらけになって大変なことになった。

「もうっ! どこさわってんのビッチ!」
「ふふ、リリーのおしり洗ってあげるぅ~」
「僕はいいからほらメガネこっちきて」
「ええ? ちょ。そこは……自分で洗うってばぁ」
「いいでしょ別に、泡で何も見えないんだから……」
「んはあああ、っもよくない、ちょ…と手…やばいってええ!!」

テアの言った通り全員すべすべもちもちピッカピカになって、ぜいぜい言いながらお風呂から上がった。もらった服を着て、新鮮なポポの実ジュースを手にまたまたおしゃべりタイムがはじまる。

「テアとリリーってすごく仲良しだったんだね。僕知らなかった」
「ん~あのね。よく遊ぶようになったのはキルナサマがいなくなってからなんだぁ。リリーが毎日毎日この部屋の前で泣いてて可哀想だったからテアが声をかけて~」
「な、泣いてないよ。メガネがいるかどうかちょっと見てただけ……」
「そのころからリリーがテアの部屋に遊びに来るようになって~」

テアの部屋ってどんなかんじなのかな、興味ある……。

「そうだったんだ。ごめん。寂しい思いをさせて」
「いいよ、もう。こうして帰ってきてくれたから。その代わり今日はずっと相手してもらうからね!」

何をしていたのか、表向きは留学ってことになってるから二人に説明できないのが辛い。

「ふふ、今日はいっぱいお話ししようね」

三人でベッドの上に寝転ぶ。うっかりすると、ふわふわもこもこのルームウェアが気持ちよくて寝ちゃいそう……。

だけど僕は朝まで寝ることはなかった。なぜならとんでもないお話が始まっちゃったから……。


「で、クライス王子とはどこまでやったの?」
「ふぇえ!? な、なんのこと!?」
とぼけても無駄だよ。二人の雰囲気でわかる。色気がムンムンに増してるし、王子のメガネを見る目が全然違った。留学している間に何かあったんでしょ?」

相変わらずリリー鋭い。

「ついに王子様と結ばれたの~? ねぇ~王子様のはどうだったのか、教えて?」
「そ、それは……」

無邪気さと淫靡いんびさを兼ね備えたテアの質問に冷や汗が止まらない。

(まずい。まさかこんな話になるなんて!!)

3人で川の字に寝転んでいる僕達。右側にリリー、左側にテアがいる。どうにかここから逃げなければ。

「あ…そだ。僕……ハーブティーでも淹れてくるよ」

立ち上がろうとしたら、両腕に彼らがまとわりついてきて動けない。
耳元で官能的な甘い声が響いた。

「聞かせて……」
「くれるよね~……?」


逃げられない!!!?

しおりを挟む
感想 714

あなたにおすすめの小説

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。