いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

文字の大きさ
193 / 306
第7章

第329話 クライスSIDE サプライズ誕生日パーティー⑦※ 

しおりを挟む
「あの……まだ…準備中なので…少々…お待ちください」
「……ああ、それならここでゆっくり待たせてもらう。準備を続けてくれ」

店員と客のような奇妙な会話をしてから数十分が経過した。浴室には、水音と淫らな鳴き声が入り混じり、反響している。俺は尻尾が少しずつ、確実に彼の中に収まっていくのを一瞬たりとも見逃さないよう注意深く観察していた。

「(ぬちっ)んぅ……(つぷん)んひゃあ……ん。もちょっと、(ぐちっ)あう……はぁ、はぁ」

!?

うさぎが…鳴いている! 

いやいや違う。自分の思考を正すために緩く頭を振った。

(落ち着け、これはうさぎじゃない。ただ)

“ちょっとうさ耳とうさ尻尾がついていてエロ可愛いだけの最愛の婚約者だ。”

「はぁ、なんだそれ。最高か」

事実を確認することで、高ぶる鼓動を落ち着かせようとしたが、余計に興奮してしまい失敗した。そして、正常になったようななってないような頭で考える。彼はなぜこんなことをしているのだろう? 

わからない。そもそも今日は俺の誕生日ではない。なのに、『手作りの懐中時計』というこの世で最も素敵なプレゼントをもらってしまった。その上こんな格好をしてみせてくれるなんて……。いとしい、と思う気持ちががどんどん膨張していき、苦しいくらいだ。

(これ以上俺の愛情を集めてどうするつもりなんだこのうさぎ……)


「あと一個……んはぁ」

最後の玉は他より一回り大きく挿入が難しいようだ。俺は苦戦しているキルナの隣に座った。

「大丈夫か?」
「だいじょぶ、一人でできる……」
「上半身を俺に預けろ。そしたら手で体を支える必要がないから両手でできるだろう?」
「っうん」

誘導してやると彼は素直に頭を俺の膝に乗せ、猫が伸びをするようなポーズになった。そして両手で魔道具の挿入を試みる。

ふぅ……大丈夫じゃないのは俺の方だ。後ろはTバックの細い紐の横からアナルビーズを咥え込んでいるし、前は白いレースに透明の蜜が滲んでいる。こんな姿を見せられて正気でいられるはずがない。

「あうぅんっ」

甘く鳴きながらぐぷんと最後の一個を呑み込んで、キルナは完璧なうさぎになった。尻尾が無事収まり両手が自由になったはずのに、彼はそのままの状態で目を見開いて静止している。

「どうした?」
「……うはぁ、これ、だめなとこに…あたってるぅ」

どうやらアナルビーズがちょうど彼のイイトコロに当たって、刺激しているらしい。自分で入れた道具に感じすぎて戸惑うキルナ。プルプル震える姿は小動物そのもので、盛大に甘やかしたくなる。

「よくできたな」「頑張ったな」と褒めながら一頻ひとしきり撫でたあと縦抱きにして、いそいそとベッドへと連れていった。


仰向けに寝かせた彼の上に覆いかぶさるような体勢で、その貴重な姿を目に焼き付ける。

とろんとした眼で横たわった身体は、どこもかしこも綺麗だった。上気した肌が赤く染まり艶っぽく、それでいて持ち前の気品は少しも失われていない。

「俺のために、こんなに可愛いうさぎになってくれたのか?」

なぜか誕生日を祝ってくれるつもりらしいキルナに、そう問うてみる。こくこくと頷く小さな頭を撫でると、真っ白いうさ耳が本物のようにピクピクと動いた。

「この魔道具よくできているな」
「はぁ、はぁ、リリーと…テアが…くれたの。この下着とセット…なのだって」
「そうか、あいつらが……」

あの小悪魔たちに今は感謝したい。『魔女っ子プリム』?だったか、彼らのお気に入りの店がココットタウンにあると言っていた。そこでキルナと一緒に何か選んで贈ることにしよう。

そんなことをつらつらと考えていると、乱れた息を整えた彼が、真っ赤な顔でもじもじしながら金の瞳をこちらに向けた。

「あのね、クライス……」
「なんだ?」
「あの……」

口をはくはく動かし、何かを言おうとして失敗する彼を見守った。

数秒後、顔が赤いのはそのままに、すうっと息を吸い、覚悟を決めた顔で彼は告げた。

「今日は僕をよ」
「は?」
「誕生日のお祝い。あと看病してくれたお礼。ううん、それだけじゃない。今までいっぱい助けてもらったお礼がしたいの」

(好きに……していい、だと!?)

脳内で繰り返される彼の言葉。そして極めつけの一言。

「いつも、ありがと」
「ぐはっ」

花が綻ぶようなうさぎ妖精の笑顔に、心臓が鷲掴みにされる。

「ふぇ…血? クライスっ、大丈夫!?」

キルナの白いワンピースにポツポツと赤い染みができていくのを見て、自分が彼の執事と同類になったことを知った。
しおりを挟む
感想 719

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。 原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。 「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」 破滅フラグを回避するため、俺は決意した。 主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。 しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。 「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」 いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!? 全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ! 小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。