いらない子の悪役令息はラスボスになる前に消えます

日色

文字の大きさ
229 / 304
第7章

第365話 目玉焼きハンバーグとお仕置きルート※

しおりを挟む
ゴゴゴゴゴと渦を巻くような禍々しいオーラに満ちたこの部屋はさながら魔界のよう……。

でも勇気ある弟ユジンは魔王(クライス)にひるむことなく、ことのあらましを説明してくれた。ユジンのわかりやすい説明のおかげで僕らの誤解は解けたと思うのだけど、残念ながら魔王の眉間のしわは消えていない。

ユジンは部屋に帰され、僕とクライスの二人でちょっと気まずい昼食タイムとなった。

「……話は後だな。とにかく昼ごはんを食べよう。何がいい?」
「えと、目玉焼きハンバーグ」
「なんだそれは?」
「細かくしたお肉に卵とか野菜とか入れて丸めて焼いた、ハンバーグって料理に焼いた卵をのっけたやつ」

なら俺もそれにしよう、と呪文を唱え手を当てる。魔法陣が一瞬光って準備完了。これでベンスが作ったものを送ってくれる。

「コロッケもそうだがベンスは変わった料理を作るな」
「あ、コロッケって実は僕が教えたの。中の具材はベンスが考えて海の幸とかお肉とかをアレンジして入れてくれるから食べてみるまで味はわからないのだけど。他にも知ってるレシピを教えて色々作ってもらってるんだよ」
「キルナが?」
「ん」
「なぜベンスも知らないレシピをキルナが知っているんだ?」
「えと、それは……夢で見たの。お母さんが料理を教えてくれる夢」
「夢?」

焦って適当な言い訳をすると、クライスは痛ましそうな顔で僕をみる。

「キルナがそこまであの母親のことを想っていたとは……」
「んぇ?」

あ、しまった。これ前世のお母さんのことをお母様と勘違いしてるかも。優しいお母様を妄想してる可哀想な子だと思われてしまった? 

「本当に会うつもりか?」
「うん。ユジンには止められたけど」
「俺も会わない方がいいと思うが…お前がそこまで会いたいというなら、公爵に相談してみるといい」
「ん、わかった」
「会わない方がいいと思うが」

もう一度そう言われ、クライスの強い気持ちが伝わってくる。ユジンもクライスも僕をお母様に会わせたくないらしい。

ーーでも会いたいの。


食事も終わると、クライスが午後に予定していた医務室の治療に向かう時間が迫っていた。時間もないし、このまま準備して出かけるのだろうと思っていたら、なぜか僕をお姫様抱っこして寝室へと向かう。

(あれ? なんで寝室?)

過去の経験から考えて、ピンときた。もしや…この流れってお仕置きルート!? 
抱っこしてくれている彼を見上げると「お前の考えている通りだ」と頷かれる。穏やかな昼食タイムを挟み、なんとなく逃れられたような気がしたのは気のせいだったみたい。

「状況は理解したが、俺のいない間に他の男と抱き合っていたのは許せない」
「うぅ…ごめん」

そうだよね。僕だって(どんな事情があるにせよ)クライスが違う人と抱き合ってたら嫌だし。これは間違いなく僕が悪い……。


ベッドに下ろされ、裸になって猫のポーズになるよう指示された。言われたとおり、四つん這いになり、お尻を高く上げて待つ。

(昼間から僕一人だけ服を脱いでこんなポーズ……恥ずかしすぎる)


くちゅうっとお尻の穴に、ローションを纏ったクライスの指が一本挿入された。塗り込められたところが熱く痒くなるタイプのスライムローションだ。

ぬくぬくぬくっ……

「あ…あ…ああ…あ…」

繊細な指遣いで奥の方まで丁寧に塗り終えると、何かがぴたりとおしりの穴にあてがわれた。振り向くと、卵みたいな形の白い物体が見える。

「それ…なに?」
「卵形のローターだ。小さいから2つ、いや3つ入れておこう」

先に入れた卵を次の卵が押す形で、どんどん奥へと入れられる。ピンポン玉より少し大きいくらいのそれを、朝までずっと彼のを入れっぱなしだった僕のソコは、柔らかく受け入れていく。全て入れるとお腹がパンパンになった気がした。

満たされているけど、違う。
ああ、こんなんじゃなくて、もっと欲しいものがあるのに……とそこが疼く。

「はぁ…クライス……これいや。くるしっ…取って」
「嫌じゃないとお仕置きにならないだろう? それに、苦しいのは今だけで、すぐ気持ち良くなる」

彼が魔力を込めると、お尻の中のローターがいっぺんに動き出した。3つの卵がそれぞれ振動してかちゃかちゃぶつかり合うと、相乗効果で一層激しく震える。

その度に気持ちいいところを刺激され、みっともなくおしりを振ってしまった。クライスは揺れる僕のおしりを掴んでさらに何かを挿入する。それに押されてより深くまで卵形ローターが入り込み、目がチカチカした。

「んはぁ…あぁ…や……あぁっ」
「アナルプラグで塞いだからこれでもう中の魔道具は出てこない。外すなよ。俺が帰ってきたら取ってやる」

って、え? 帰ってくるまでこのまま放置ってこと!!? 嘘でしょ!?

「いや、おいていかないで……」
「俺のことだけ考えて待っていろ」
「そん…なぁ…ふぁ…ん……んぅ」

頭をぽふぽふ撫でてそのまま重なった唇が甘くて。この訳のわからない状況のことを一瞬忘れ、それに浸った。

(クライスのキス、好き。大好き。このままずっとキスしていたい……)

でもその願いも虚しく唇は離れていってしまう。


「水と食料はサイドテーブルに置いておく。手枷の鎖はベッドに繋いでいるが、トイレには行ける長さにしてある。ああ、あと、忘れてた。これもつけておかないとな」

淡々と告げる彼の情報量の多さについていけない。両手首をみると、知らないうちに黒い手枷が嵌まっていて、長い鎖の先がベッドの柵に繋がっていた。

そして、ペニスの根元に取り付けられたのはお馴染みの金のリングで、このリングの恐ろしさを知っている僕は必死でクライスの服を掴んで訴えた。

「これはムリ……はずしてぇ」
「精液を出しすぎて魔力が枯渇しては困るからな。帰ってきたらたくさん可愛がってやる。良い子で待っていろ」

僕の叫びを無視し、彼は予定通り医務室に出かけていった。


「ん…ぁああ…また…うごきだしたぁ…くっ…はぁはぁ…はや…く…もどってきて…クライスぅ……」

誰にも届かないと分かっていたけど。
僕は魔道具が与えてくる快感と闘いながら、声が枯れるまで彼の名前を呼び続けていた。
しおりを挟む
感想 714

あなたにおすすめの小説

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?

水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。 断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。 しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。 これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も皆の小話もあがります。 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。