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第8章
第415話 ユジンSIDE 囮作戦① 作戦開始
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生徒会室に呼び出されてからここ数週間、僕達は青フードを捕えるための計画を実行していた。
『嫌がらせをしてくる偽兄様(青フード)に、あたかも騙されたフリをして自分に近づけさせ、油断している隙を狙って捕える』という作戦だ。
作戦は割とうまくいっている。後一歩、捕まえることはできていないものの、うまい具合に犯人を誘き寄せることができていて、接触の回数はどんどん増えている。
今日も朝一番、誰もいないうちに学園に行き、ガラスの入った上靴に思い切り足を突っ込んで怪我をし、血まみれになった足を見ながら「どうしてこんなことを!! キル兄様……」とわざと大きな声で嘆いてみせた。
と、僕のそばに控えていたリオン様とノエル様が一瞬そこまでやるかとギョッとしたような顔をした後、痛ましい顔つきで声をかけてくる。
「だ、大丈夫ですか、ユジン様!? これは……ひどいですね」
「ええ、中に入っていたガラス片でザックリ切ってしまいました。自分で治せますから、これくらい平気ですが」
「どうせまたキルナ様の仕業でしょう。もしかしたら、テストで一位だったユジン様を妬んでいるのではないでしょうか? 兄なのに弟に負けるなんて、プライドの高いキルナ様には許せなかったのかもしれません。それにしても、よくご自分の弟にこんな卑劣な真似を……」
「ありえるね~。キルナちゃんはあ~んなに頑張ったのに結局10位止まりだったもんねぇ。やっぱりユジンくんとは頭の出来が違うんだろうなぁ。負けて悔しいからってこんな嫌がらせして、ほんと最低だね」
「は? お二人とも、今何と?」
足の治療をしていた手からメラリと炎が迸る。
「(っ……ユジン様!?)」
「(ちょっアツッ、ゆ、ユジンくん、これ演技だってば。頼むから火をしまってよ~)」
ああ、そうだった。嫌がらせをキル兄様のせいだと思い込んでいる演技をしよう、という話だったのに、兄様を蔑ろにする発言についつい反応してしまった。青い顔をした二人に小声で謝りながらうっかり周囲を焼き尽くしかけた炎を体のうちに収める。
仕切り直しておいおいと悲しみの演技を続け、上靴内のガラスを捨て、机のらくがきを消し、汚された体操服にクリーンの魔法をかけていく。
すると、廊下に人影が見えた。ソレは、わざと物音を立てケラケラと笑い声を上げ、こちらに姿を見せてから走り去っていく。黒髪に金の瞳。見た目は見事に兄様そっくりだけど、あまりの違いに思わず乾いた笑みが溢れた。
「ハハッ。全然違う。兄様はあんな下品な笑い方しないんだよね」
本物の兄様は全てを慈しむかのような優しいオーラを纏っているし、もっと儚げで美しいし、可愛らしいし……とにかく何もかもが素晴らしくて、アレとは比べ物にならない。
やつの逃げた先はリオン様とノエル様に追ってもらう。ただ相当逃げ足が早いらしく、彼らの力をもってしてもなかなか捕まえられない。魔力の痕跡も兄様のものに似せてわざと残した魔力以外は一つ残らず消しているところからして、魔力操作の腕前も並大抵のレベルではない。
(油断ならない相手だ。でも絶対に捕まえてやる)
テスト結果の発表後、兄様は何度か僕を探しに来てくれた。状況的に会うことはできなかったが、クライス王子に聞いたところによると、どうやらテストのお祝いを言おうとしてくれているらしい。
兄様に祝っていただけるなんて、こんなうれしいことがあろうか。『ユジン、一位おめでと!』と微笑む兄様の姿を想像するだけで、悶え死にそうになった。もともと成績にそこまでこだわりはないが、次のテストも絶対に一位を取ろうと決意する。
つい最近までいじめやテスト勉強で憔悴していてそれどころじゃなかっただろうに。そんな時でも僕のことを考えてくださるなんて、やはり天使!!
(でも、ごめん。キル兄様、今はまだ会えない)
絶対に巻き添えにしたくないから、犯人を捕まえるまで会うわけにはいかない。
「はぁ、早く捕まえて本物の兄様とゆっくりお話ししたいなぁ。お前もだろ? ポポ」
「きゅううぅ」
兄様にそっくりなキュートな彼を胸に抱いて、会えない寂しさを紛らわした。
『嫌がらせをしてくる偽兄様(青フード)に、あたかも騙されたフリをして自分に近づけさせ、油断している隙を狙って捕える』という作戦だ。
作戦は割とうまくいっている。後一歩、捕まえることはできていないものの、うまい具合に犯人を誘き寄せることができていて、接触の回数はどんどん増えている。
今日も朝一番、誰もいないうちに学園に行き、ガラスの入った上靴に思い切り足を突っ込んで怪我をし、血まみれになった足を見ながら「どうしてこんなことを!! キル兄様……」とわざと大きな声で嘆いてみせた。
と、僕のそばに控えていたリオン様とノエル様が一瞬そこまでやるかとギョッとしたような顔をした後、痛ましい顔つきで声をかけてくる。
「だ、大丈夫ですか、ユジン様!? これは……ひどいですね」
「ええ、中に入っていたガラス片でザックリ切ってしまいました。自分で治せますから、これくらい平気ですが」
「どうせまたキルナ様の仕業でしょう。もしかしたら、テストで一位だったユジン様を妬んでいるのではないでしょうか? 兄なのに弟に負けるなんて、プライドの高いキルナ様には許せなかったのかもしれません。それにしても、よくご自分の弟にこんな卑劣な真似を……」
「ありえるね~。キルナちゃんはあ~んなに頑張ったのに結局10位止まりだったもんねぇ。やっぱりユジンくんとは頭の出来が違うんだろうなぁ。負けて悔しいからってこんな嫌がらせして、ほんと最低だね」
「は? お二人とも、今何と?」
足の治療をしていた手からメラリと炎が迸る。
「(っ……ユジン様!?)」
「(ちょっアツッ、ゆ、ユジンくん、これ演技だってば。頼むから火をしまってよ~)」
ああ、そうだった。嫌がらせをキル兄様のせいだと思い込んでいる演技をしよう、という話だったのに、兄様を蔑ろにする発言についつい反応してしまった。青い顔をした二人に小声で謝りながらうっかり周囲を焼き尽くしかけた炎を体のうちに収める。
仕切り直しておいおいと悲しみの演技を続け、上靴内のガラスを捨て、机のらくがきを消し、汚された体操服にクリーンの魔法をかけていく。
すると、廊下に人影が見えた。ソレは、わざと物音を立てケラケラと笑い声を上げ、こちらに姿を見せてから走り去っていく。黒髪に金の瞳。見た目は見事に兄様そっくりだけど、あまりの違いに思わず乾いた笑みが溢れた。
「ハハッ。全然違う。兄様はあんな下品な笑い方しないんだよね」
本物の兄様は全てを慈しむかのような優しいオーラを纏っているし、もっと儚げで美しいし、可愛らしいし……とにかく何もかもが素晴らしくて、アレとは比べ物にならない。
やつの逃げた先はリオン様とノエル様に追ってもらう。ただ相当逃げ足が早いらしく、彼らの力をもってしてもなかなか捕まえられない。魔力の痕跡も兄様のものに似せてわざと残した魔力以外は一つ残らず消しているところからして、魔力操作の腕前も並大抵のレベルではない。
(油断ならない相手だ。でも絶対に捕まえてやる)
テスト結果の発表後、兄様は何度か僕を探しに来てくれた。状況的に会うことはできなかったが、クライス王子に聞いたところによると、どうやらテストのお祝いを言おうとしてくれているらしい。
兄様に祝っていただけるなんて、こんなうれしいことがあろうか。『ユジン、一位おめでと!』と微笑む兄様の姿を想像するだけで、悶え死にそうになった。もともと成績にそこまでこだわりはないが、次のテストも絶対に一位を取ろうと決意する。
つい最近までいじめやテスト勉強で憔悴していてそれどころじゃなかっただろうに。そんな時でも僕のことを考えてくださるなんて、やはり天使!!
(でも、ごめん。キル兄様、今はまだ会えない)
絶対に巻き添えにしたくないから、犯人を捕まえるまで会うわけにはいかない。
「はぁ、早く捕まえて本物の兄様とゆっくりお話ししたいなぁ。お前もだろ? ポポ」
「きゅううぅ」
兄様にそっくりなキュートな彼を胸に抱いて、会えない寂しさを紛らわした。
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