【完結】魔導士会には入らない

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第6章 初恋

23 癒し ※

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そんな慌ただしい数日を経て、家に戻って来た日の夜。
俺たちは食事を終えてソファでくつろぎながら、ようやくゆっくりできると笑い合った。

「管理部長さん、アークが結婚したこと相当驚いていましたね」
「ああ、あいつは俺の義理の兄みたいなものだからな…婚約の時も信じてなかったんだろう」
「そういえば結婚しないって言ってたのに、どうしてする気になったんですか?」

俺がそう尋ねると、アークは呆れたように俺を見下ろし、俺の頬を軽く引っぱった。

「それは今聞くことか?何度も愛していると言ったつもりだが、伝わっていないのか?」
「いひゃいへふ…だ、だって…嫁はとらんって…言ってたし…」
「ああ…それはな…」

アークはそうしてぼつぼつとアークの両親のことについて話してくれた。

アークは祖父も父親も魔導士だった。
しかし父親が遠征の時に出会った母親は、隣国の貴族だったのだ。
アークは隣国の母親の領地で、貴族の息子として育てられることになったのだが…。

「母も、父を愛したとはいえ、根っからの貴族気質でな」

セオの父もそうだったが、アークの母親も魔導士会とは距離を置きたがった。
それはアークの父親が任務中の事故で亡くなると、一層顕著になった。

「しかし、俺が十五の時…魔力発露が起こった」
「じゃあ、アークはその時魔導士会に…?」

そう問いかけると、アークは首を振った。

「母は俺の魔力を隠した。流行りの病だと偽ってな…。母は俺を屋敷の奥に閉じ込めると、自ら魔導書を読み解き、俺の魔臓を暴こうとした。だが俺が抵抗すると…今度は、俺を殺そうとした」
「え…?」

アークの母親は、隣国ゆえに複雑な歴史と感情がある魔導士会と、親戚貴族たちとの矜持の板挟みに合っていたそうだ。
ゆえに何とか魔力があるのを秘匿した状態で、アークに家を継がせようと考えていた。

「父を失くして変貌した母は、全てが間違いだったと言い放った。一時の熱に浮かされはしたが、ローゼンハイドの家には…薄汚い魔導士の血など、不要だったのだと」

そうして母親から宝剣を振りかぶられたアークは、愛する母に不要と罵られた絶望のまま、荒れ狂う魔力に身を任せた。

「そ、そんな…」

涙を拭う俺の頬を、アークは苦笑いして撫でた。

「だから話しにくかったんだ…お前はきっと気に病むだろうと思ってな…」

そう言われて、俺はブンブンと首を振り、涙を拭った。

「ご、ごめんなさい…辛い思いをしたのは…アークなのに…」
「もういいんだ。全て終わったことだ。わかるだろう?」
「でも…」

「その後はお前と同じ、気づけば衛生管理棟の中だ。そこで初めて会ったロシオ翁から、母親は死んだと教えられた。それ以来俺は…結婚も恋愛も、死んでもするものかと思ったんだ。一時の泡沫に翻弄されるのは本人たちばかりではない。あの後は爺も上層部も大混乱でな、母は高位の貴族だったから、向こうからの反発もすごかったらしいぞ」

あっけらかんと告げるアークだったが、それでも長年親しい人を作ろうとしてこなかった彼は、やはり深く傷ついていたのだ。

「俺に…あなたの心を癒す力があればいいのに…」

祈るつもりで呟けば、アークは慌てて俺の指を組んだ両手を引き離した。

「おいよせ。妙な願いを唱えるな、心臓に悪い」
「うっ、でも…」

「それにもう、すっかり癒えてるだろう?こうして結婚までしてしまったんだから」
「そ…っ、う…でした…」

優しい笑顔で見つめられて、大事な話をしてもらっているのに俺はつい顔を赤らめながら頷いた。
アークは今度こそ本当に外れなくなった俺の婚約指輪を指先で撫でる。

「だから初めはな…お前も、俺と同じだと思ったんだ。あの時は俺も死ぬつもりだったから…お前を助けてやれるのは俺だと…そう思っていた。だがお前があまりにも死にたがるし、死にかけるものだから、とても放っておけなくてだな…そのくせ俺にはやたらと懐いて寂しそうに見上げてくるし…だからあの夜から、俺は…いや、違うんだ。初めは本当に純粋にだな、守ってやりたいと思っていたんだが…裸だったし…魔力も乱れてただろう?それで子犬みたいに見上げられてだな…その上魅了まで使ってくるからもういいかと…くそ、何を言っているんだ俺は…情けない。お前に出会ってから、俺は狼狽えてばっかりだ…」

だんだん気まずそうにモゴモゴしだして結局頭を抱えてしまったアークに、俺は目を瞬いた。
それはもしかして、初めから俺のことをかなり意識してくれていたということだろうか。

「あの夜って?エストバール城で助けてくれた時ですか?」
「ぬ…、まあ…そう、だな…」
「アークはその…若い子が好きなんですか?この身体は普通に年を取ると思うんですけど…」
「違う!それは違う…と、思う…が。いや、正直比べようがない…愛したのはお前一人だ。…他は知らん」
「え…っ!」

まさかの初恋宣言に、ズキュンと胸を撃ち抜かれた気がして、俺は思わず呻き声を上げて胸を押さえた。
アークは酷い渋面で俺を睨みつけた。

「…何だ。文句があるのか」
「文句!?文句なんて…っあるわけがないです!こ、光栄過ぎて…嬉しいです…。俺も…こんなに好きになったのは、六百年以上生きてもアークが初めてだったから…だから、トールシアにもヘルネシウスにも声が届いたんだと思うんです。俺…神に助けてもらって、本当に良かった…。生まれてきて、死ななくて良かったです。今は天にも登る心地です…大好き…」
「ふっ、登るな。俺も愛している。セオ」
「アーク…」

俺は感動で涙があふれそうになり、アークは少し照れたように唇を尖らせると、鼻で笑った。
そして指輪を撫でていた手を掴み、俺の指に口づける。

「過去に何があってどう思おうと、もう遅い。お前の全てが俺のものだ。俺の全ても、お前にくれてやる。それでいいな…?」
「は…、はい…」
「…いい子だ」

そうニヤリと笑ったアークは、長い拘束生活の疲れも取れてきたせいか、記憶の中より一際輪をかけて艶めいて見えた。




寝室のベッドに下ろされ、何度も口づけを交わしながらアークの首に腕を絡めると、大きな手で身体をまさぐられる。
小さな身体に戻ってしまった分色気がないかと心配したが、アークは熱い吐息で身体を密着させてくれた。

俺は口づけに夢中になりながら、のしかかってくるアークのシャツを捲り上げて、その心臓を探す。
自分の服も邪魔で、浄化はしているものの着たままだった白い制服のボタンをもたもたと外した。

「はあっ、あーく、もっと…近くに…」
「ああ…全部、俺のものだ」
「ん…、うれしぃ…」

愛しい人に受け入れてもらえるこれ以上ない幸福に、涙が滲み、心臓がビクビク震えた。
お互い着ていた物を脱ぎ散らかして性急に抱きしめ合えば、心臓と心臓が共鳴したように高鳴った。

「あ…っ、はあ…しあわせ…」
「ああ…」

気持ちいい。

お互いの身体を合わせただけで、こんなにも気持ちがいいなんて。
トクントクンと寄り添った鼓動が、これからも永遠に続けばいい。

お日様の香りに包まれてうっとりと見上げれば、アークは少し辛そうに眉をひそめた。
そして密着した身体を離すと、興奮し過ぎて腫れ上がった俺の性器を大きく固いモノで押し潰して、腰を振り始めた。

「あっ、あんっ…あーく、すき…っ、すき…」

大きな陰茎に押し潰される快感に夢中になっていると、しばらくして大量の精液が俺の腹の上に撒き散らされた。

俺の身体に出してくれたのが嬉しくて、腹の上の白い水溜りを指で伸ばす。

「はあ…、ふふっ、あーくの…たくさん…」

思わずまた笑みがこぼれた。
これがアークが俺を好きでいてくれる証拠のような気がして、喜びがあふれてくる。

「ぐ…っ、お前、は…っ!」
「えっ?うわっ!」

グイッと持ち上げられて、俺の脚はアークの肩に乗り上げてしまう。
肛門に指を当てられると、かなり久しぶりに魔力絞りの時の濡れた感覚がして、ビクンと身体が跳ねた。

「ん…っ!あ…魔力液…ですか?」
「似たようなものだ」

そう返事をしたアークだったが、なぜか俺の肛門に顔を近づけた。
そしてべちょりと濡れた生温いものに撫でられる。
もしかしてこれは。

「ひえっ!?えっ!?ちょ…っ!!ちょ、やんっ!や…きたないです!やめ…ひやあっ!?」
「浄化した」

いやそういう問題ではない。
しかしアークは混乱して暴れ始める俺の腰をガッシリ掴んで、べロベロピチャピチャと俺の肛門を舐め回した。
そしてヌプリと穴の中にまで舌を挿し込まれる。

「ひぎゃ…っ!?ひぇっ!?や…っ、いひゃあんっ!」
「はあ…っ」

わけがわからない。
しばらく舐め回されてようやく舌の感覚から解放されたと思ったら、今度は何の魔法なのか、かなりヌルヌルしたものを纏った指が、ヌポリと穴に埋め込まれた。

「ん…っ、え?あれ?あ…っ!まっ…まって、なんで…っ?あのっ!んん…っ!んふぅ…ッ!」

いつもよりもグニグニと穴を拡げるように指を回されて、首を振って違和感を訴える。
なんでこんなに拡げるんだろうと驚いている内に二本目の指が入ってきた気がした。

「あッ!い…っ、な…っ、あの…っ、これは…あぅ…っ!」
「大丈夫だ。ゆっくり…慣らすから」
「は、はあ…、あっ…」

何度も掻き回されるたびに、俺の肛門はグチュッ、ヌチッと音を立てた。
その音が恥ずかしいと思うのに、何度もグネグネグリグリと時間をかけて捏ね回される。

その内に肛門が拡げられる違和感から逃れるためか、身体が勝手に脱力していく。
違和感は徐々に奇妙な安心感に変わっていった。

「はぁっ、あ…ッ!はあっ、あ…っ、あぅ…っ!」

そんなに苦しいわけじゃないのに、なぜか呼吸が乱れて声が漏れた。
あまりに肛門を拡げられるので、これはもしやとあのドキュメンタリーを思い出す。
女性器はどうやら穴状のモノらしい。そしてアークが今ほじっているのも、穴といえば穴である。
以前女性のように暴かれたいと思ったのは、もしかしてこれと関係があるのではないだろうか。

「あ、あの…っ!これ、もしかし…あぁんッ!…えっ?あ、あれ…!?」
「ここか…?」

ベッドに仰向けに寝転がってでろんと脱力している間に、指は肛門から少し奥に埋め込まれいて、魔臓よりも上の辺りを中からゆるゆると優しく揉み解されていた。
俺の尻をいじりながら膝の間に居座ったアークは、俺を難しい顔で見下ろしている。

「ん…、んん…っ、はあ…、あ…っ、はぅ…」

好き。
そう思って見つめていると、腰からジュワジュワした熱のような痺れのような感覚がせり上がってきて、なぜか満たされたような気分になる。

これ、気持ちいいのかも。
一旦そう気づいてしまうと、それが快感以外の何でもない気がして、全身がフワフワとした熱に浮かされているようだった。

「あ…っ、はあ…ッ!え…?あ、あの…!ま…っやああん…っ!はあ…っ!うぇ…っ?」

変だ。
意味不明な気持ち良さに、頭が真っ白になりそう。
初めての感覚に翻弄されている内に、今度は睾丸が熱い口の中に吸い込まれた。

「ひやぁあッ!?んんんッ、ひや…っ!しょんな…っ!あーく、ひゃめ…っぃひぃん…っ」

熱い口内で睾丸が潰されて、クチュクチュと舌の上で玉を転がされる。
腹の中にズッポリと埋まった指が更に中の壁を強く抉って、唇と連動する。

身悶えして逃れようとしても、離してもらえない。

更に魔臓がある睾丸の裏まで親指で押し潰されて、堪らず魔力液が漏れ出た。

「きゃあん…っ!!はあ…ッ!あ、ああ…、はあ…っ、あああんッ!」

プッと睾丸を吐き出され、薄い虹色の光りが飛び散った。
なのにまだ中はグリグリと抉られていて、わけのわからないジンジンとした快感が脳を襲い続ける。

「綺麗だな…」
「ああああッ!ちょ、まっ、はなし…っ、ああ…ッ!」

アークは目を細めて俺の腹に飛び散った魔力液をねっとりと舐め上げた。

「はあ…美味い…」
「うぇ…っ?はあっ!あ…、おひりもう、やあぁん…ッ!!」

腹の上を舐め回されながら、尻の中のおかしなところを責め立てられ続けて翻弄される。
肛門は引き伸ばされすぎて、もう元に戻らない気がした。

「ああっ、ん…っ、はあん…っ!…ひぅ、あ…っ!」
「はあ…可愛い…セオ…」

アークは呼気荒く俺の乳首にも食いついては、小さな突起を舌でいじめてくる。アークの舌で押し潰されるとそこにも甘い痺れが走った。

尻の中を掻き回される感覚は甘美としか言いようがなくて、俺の中の人間という生物の概念がガラガラと崩れていく。

「はあ…ッ!ああ…、なんれ?へん、へんら、ああッ!お、おれ…おかひ…ひぃんっ!」

フルフルと首を振って激しい快感に耐えていると、ようやく指がヌポリと引き抜かれた。

「あ…っ、はあ…っ、あ…、はぁ…、はふ…」
「ふぅ…」

尻の穴がポッカリと開かれた感覚を、俺は呆然とやり過ごすしかできなかった。
しかも中で何度も水魔法を使ったのか、まだドロドロした何かが残って、外にもあふれてグチョグチョになっている。

肛門はクパクパと拡がって、すっかり締まりを忘れてしまったようだった。

「挿れるぞ…?」
「あ…」

アークは俺の足を再び持ち上げると、今度はもっと太い、ガチガチに充血した大きな陰茎を俺の肛門に押し当てた。

「んん…っ!…はあ…っ、あ、あの…っ、これが…ッ?これがこども、の…っ?んんんッ!!」
「く…っ!そうだ…!」

何ということだ。
疑問が氷解した瞬間、大きいはずのソレが、ヌチヌチと音を立てて侵入してきた。

「んうぅ…ッ!あはあ…ッ!あっ…!ん、んぐ…」
「ふぅ…っ、は…っ」

苦しい。こわい。気持ちいい。

グチグチとゆっくり侵入してくる太過ぎるほどの肉の棒に、内臓が無理矢理押し退けられて苦しい。

「ひはあっ、はあっ、んっ、ぐぅ…っ」
「…苦しいか?」
「はあ…っ、は、はいっ、はあ…、ぐ…」
「はあ…、キツいな…少し…待つ。ゆっくり…息をしろ」

そう言ってアークはふーっと大きく息を吐くと、額の汗を腕で拭った。

「は…っ、ふ…っ、はぁ…っ、う…」

短く息をする度にジワジワとこなれてくるように、腹の中に埋まった陰茎の肉の感覚が鮮明になってくる。

腹の中にこれがあることが言いようもなく幸せな気がして、胸がドクンドクンと騒いだ。

「う、うれしぃ…すき…」
「く…っ、ああ…」

これでアークと夫婦になったのか。
そう思うと、無性に胸がときめいた。

もっと…さっきのところを、これで擦ってほしい。

しばらく固い肉の感覚を味わっていると、窮屈さが薄まりそんな欲求がせり上がってくる。

俺はアークの腰に脚を絡めてユラユラと腰を振った。

「セオ…?」
「あ、すき…きもちぃ…」
「は…?」

俺がアークのモノに興奮して腰をふらふら動かしていると、アークは俺の腰を掴んだまま難しい顔で俺を睨んでいた。
かっこいい。好き。

「これが…いい、のか…?苦しくないか?」
「ん、だいすき…、はあ、あーくのおちんちん、おしりに…、はいって、はあ…っ、きもちぃ…です…、はあっ、おれ、へん…すごい、すき…。あ…っ、すき…」

しあわせ。

ドクドク高鳴る胸を両手で押さえて戸惑うままに見上げると、中のモノがグチュンと動いた。

「ああんッ!?っあ!!…うああッ!へん、ああっ!きもちぃ…っ、ああっ、はあっ、しょこ…ッ、しゅきぃ…っ」
「くそ…っ!本当に…お前は…!なんで、いつもいつも、そうなんだ…!」

グチャグチャゴリュゴリュと中が擦れて、快感と熱で頭が溶け落ちそうな気がした。

「はあっ、ああッ!あぃ…?あい、れすか…?こりぇ…っ、ん、はあっ…!」
「はあ…っ、ああ、愛してる…」
「う、うれひ…っ、はあっ、あ、あぃ、ひてりゅ…っひぐ…っ!あああっ!」

頭が快楽に侵食される。
ネチャネチャと肉が滑るたびに、頭がジュワジュワ溶けていく。
勝手に腰が揺れてしまう。

「はあっ、あー…く、しゅき、はあっ、ああ…ッ!はあっ!ああ…ッ」
「はあ…っ、ぐ…っ」
「あぁ…ッ、はあん…っ、はあ…っ!うぅんっ!?」

抱きしめて口づけようと身動ぎすると、更に中のモノが沈んでゴツンと奥に突き当たり、足が勝手に震えた。

「んん~ッ、あ、あぁ…!」
「く…大丈夫か?」
「らぃ、らぃじょぶ…っ、はあーっ、はあー…はああッ!?」
「う…っ!」


グプッ。


「…~っ!!ぁ…っ!は…、はああ…ッ!」
「っふー…!」

腹から異様な衝撃が響いて、太い陰茎の先が、俺の突き当たりの中にめり込んだ気がした。

全身の力が勝手に抜けて、腹の中から変な苦しさが溶けた脳を駆け巡る。

「大丈夫か…?」
「あ…ッ、はひぃ…っ、あぁん…!ぅぐ…ッ」
「まさか…ここも、いいのか?だが初めてなんだろう?」
「~~ッ!!?は…ッ!ん…ぁ…!」

震えが止まらないのに、ソレは奥に割り入ったまま留まった。

何が起きているのかわからない。
言いようのない不安に襲われて、調子に乗っていた数秒前の自分を呪いたくなった。

「ぁ…ッ、ひぁ…っ、ぁ…ッ!」
「…膨らんでる…こんなに小さいのに…」
「ん…ッ!はあ…ッ!ひゃぇ…っ、ぅ…っ!」
「俺のだ」
「ぁ…、はあぁ…っ、はああ…!」

アークは薄っぺらい腹から飛び出た膨らみをすりすりと撫でた。
青い瞳が獣のように俺を睨み下ろし、うっすらと微笑む。

心臓がドクンと音を立てて、睾丸が縮み上がった。

アークが欲情してくれている。

脳がジンジンする。腰の痺れが甘い。

そこでようやく、腹にめり込んだ凶器がズルリと抜けていった。

「あ…っ、はあ…っ、あぁ…」
「ふ…っ!」
「ふぃ…っい…ッ!!?」

だが抜けたと思った凶器は、今度はグプン!と容赦なくその突き当たりを貫いた。

「ひあ…ッ!!?ま…っ!っあ!あぁっーーッ!!」
「ふぅ…っ、く…ッ!ふぅ…っ」

激しい侵入はそれだけでは終わらずに、何度も、何度も、グプングプンと俺を挿し貫いた。

「ぁあ…っ!ひはあっ!はひぃん…!う、あ…あは…っ」

ブワリと多幸感が押し寄せる。
全身が快感で満たされてしまう。

まさか。なんで。気持ちいい。

ぐんにゃりと溶けたように脱力しているのに、震えが止められない。

「あ…っ、あ~…、あひぃ…っ!」

中を激しく暴かれるのが、腹ごとボコボコ突き上げられるのが、奥をグプングプンといたぶられるのが、涙が出るほど気持ちいい。

「あ~…、はひぃ…、ひあ…っ!あ…、はぁー…、ぁあ~…」

魔臓が、睾丸が、陰茎が、勝手に震えて何かを撒き散らした気がした。

目の前をちらちらと星が散っているのに、頭が真っ白で、もう自分がどうなっているのかもわからない。

「あー…っ、あはぁ…、ぁあ~…、ひ…、あ、はぁ~…、あ…」
「はあっ、く…っ」

脳みそまでかき混ぜられているような気がして、開いた口から涎があふれ出た。
ただただアークが腹の中を貫く気持ち良さしかなかった。

アークはずっと気持ちいいところを擦ってくれる。

きもちぃ。しあわせ…

「あー…、ぁあ~…、ひぃ…っ、は、はぁ~…」

脳が痺れて溶けてしまったようで、何も考えられない。

手足が人形みたいになって、力なんて入らないのに、全身がビリビリと快感で震えた。

とけそう。

なんで。

「あ~…、あーきゅ…、はぁ…っ、は…」
「ぐ…っ、セオ…っ!」

荒い息で名前を呼ばれて、心臓まで溶け落ちてしまいそうだった。

とめどなく涎が唇から垂れていく。

「あ、ーきゅ…、はあっ、あーきゅうぅ…」
「く…っ、はあっ…」
「んぐ…っ、ちゅ、はあ~…んんっ」

身体を無理矢理折りたたまれて口づけられる。

苦しい。きもちぃ。

ずっと激しく擦りつけられる快感と充足感で、俺の存在、記憶の全てが、グチャグチャに塗り替えられていく。

熱と快楽で涙が溶け落ちる。

これが、生き物の愛の営みというものなのだろうか。

だとしたら俺は今、アークと愛し合っているのだ。

なんて幸せだろう。

「あーきゅ…、はぁ、しゅきぃ…、あぁー…、あぃ…あぃ、ひ、て…」
「ああ…セオ。愛してる。はあ…っ、俺のためだけに…、生きろ」
「は…、はひ…」

そう返事すると、グプグプと体内を侵攻する動きは一層激しくなった。
そして唐突に最奥に留まって、重量のあるそれがビクンビクンと痙攣したように震える。

「はあ、あ…ッ!」
「ぅ…ッ!」

アークは俺の腹の最奥で、精液を注ぎ込んだようだった。

魔力を帯びているせいか、注がれたドロドロがとても熱い。
魔臓が震えて、俺のモノからもまた何かがこぼれ出た。
それは初めての魔力あたりのように、更なる酩酊感を齎した。

「ぁ…、るぁ…」

この世界の人の身体はよくわからないことばかりだが、俺は今アークの子種が植え付けられたのだ。

「はあ…っ、…大丈夫か?」
「…ぁ、い…」

ズルリと太いモノが抜かれて、今度こそ終わったのかと、脳の痺れを呆然とやり過ごす。

ぼんやりした頭に、尻の間から何かが漏れてあふれていく感覚がした。

「ぁ…、こぇ…れ、ころも…、はぁ…れ、できぅ…?」
「あ、ああ…一応な。一度では早々できることはないが…」
「へぁ…?」

アークの言葉に、のっそりと視線を上げた。

こんな激しい行為を何度もしないと子どもは生まれないのだろうか。
だとしたら命というのは何と得難いものだろう。

アークは困った顔で俺の頬をそっと撫でた。

「安心しろ。さすがにもう今日はしない。一応大丈夫だろうが…そういえばそれも前に聞いていたな。魔導士は魔力覚醒で一気に性感が高まり、生殖機能が完成する。それに伴い知性も高くなり情緒も安定するし、判断力も備わる…と、言われてはいるんだが…まあお前は…特殊な体質だしな」

そう言ってポンポンと俺の頭を叩く。
頭に不安があると言われた気がするが、ちょっと今はよくわからなかった。

しかし生殖機能が完成するというところだけ入ってきたので、ゆるりと首を傾げた。

「ぁえ…?でも、おれ…しろぃの、まだでないです…」
「虹色のが出るだろう。それにこれは…濁っている、が…?」

そう言ってアークは俺の腹の上についたものを指で掬い取る。
俺は目を丸くして自分の腹を見下ろした。

確かに虹色が白く濁って、更にメルヘンな色になっている。不気味だ。

「え…?いつ…?おれ、いま…?」
「まさか…初めてか…?そ、れは…そうか…、そうだな…。その…おめでとう?」
「あ、ありがとう…?」

「い、一応魔力液も精液の代わりにはなるから、それで成長したとも言えるんだが…はあ…罪悪感がすごい。いや、すまない。こんな時にため息なんて…だがしかし…初めて?初めてが…あれか。俺は…何ということを…」
「は、はあ…」

アークはどうやら俺が思っているよりもかなり年の差を気にしているようで、結局頭を抱えてしまった。
俺の方が何世紀もお爺ちゃんなのだが、それは忘れてしまっているようだ。

魔導士は魔力液が精液も兼ねるということらしい。
こちらの人間は、地球人とはまるで違う生命なのだと今更ながらに思い知る。
その上でも更に特殊な魔導士という生命。
だからこそ独自のコロニーを築き、政治権力を獲得して、自分たちの身を守ってきたのだろう。

そんなことをぼんやりと考えていると、いつの間に魔法をかけたのか身体は綺麗にされていて、パジャマを放り投げられる。

「…さあ、寝るか」
「わ…一緒に、ですか?」
「嫌なのか?」

片眉を上げたアークに、俺は力なくもパジャマを掻き抱くとフルフルと首を振った。

「嬉しい、です…。アークが、好きだから…」
「お前は…大人しく寝とけ!」
「はい…おやすみなさい…」

その夜、俺はアークと初めて一緒に眠った。

正に天にも登る心地だった。
こんなに幸せなことがあっていいのだろうか、いやもうこれ以上の幸せなどありはしないだろうと思いながら。
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五歳の頃の授業中、頭に衝撃を受けたことから、自分が、前世の妹が遊んでいた乙女ゲームの世界にいることに気づいてしまったニエル・ガルフィオン。 ニエルの外見はどこからどう見ても金髪碧眼の美少年。しかもヒロインとはくっつかないモブキャラだったので、伯爵家次男として悠々自適に暮らそうとしていた。 これなら異性にもモテると信じて疑わなかった。 ところが、正ヒロインであるイリーナと結ばれるはずのチート級メインキャラであるユージン・アイアンズが熱心に構うのは、モブで攻略対象外のニエルで……!? ユージン・アイアンズ(19)×ニエル・ガルフィオン(19) 公爵家嫡男と伯爵家次男の同い年BLです。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

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