27 / 52
泥棒退治
しおりを挟むモーレットたちが毛皮取りをしている間、俺たちも何かしなければならなくなった。次の日にはアイリが呼び出されて、色々とものを運んだようで、山小屋の中で鍛冶や裁縫も出来るようにした様だった。
クレアとアイリも一緒に釣りをして、錬金でお金を稼ぐつもりのようだった。朝の早いうちに湖が近くにある街へと馬車で行ってしまった。
俺のスキルでは金稼ぎなんて無理だよなと思っていたら、タクマから連絡が入った。
「冗談じゃねえよ。あんな洞窟に何日も閉じ込められて、俺は気が狂いそうだ」
「でも魔法は揃ったんだろ。良かったじゃないか」
「クラスⅣは買取だったぜ。おかげで魔法は揃ったけどよ、金の方は全然稼げてねえよ」
大手ギルドは意外にも世知辛いようだ。出た魔法書くらいタダで覚えさせてやればいいのに、ギルド員にも買い取らせるとはかなり厳しい。まあ前衛は装備の消費もあるから仕方ないのかもしれない。
クラスⅣなんて十万近くするのだから、十日くらいじゃ金なんか稼げなかっただろう。
「しかも全員で洞窟なんかに行ってたから、ギルドハウスに泥棒が入りやがってよ。俺の貯めてた金まですべて持って行かれちまったよ」
「そりゃご愁傷さまだな」
そう言いながらも俺はギクリとさせられた。俺たちも金こそ入れてないが、装備などはかなりギルドハウスのチェストに放り込んだままにしている。
「ふざけやがって。俺はもう生きてく気力をなくしたよ」
「ランクはいくつになったんだ」
「28だよ。そっちは」
「38だ」
「相変わらずお前はふざけてるな。先行組のトップだって30からは上がりにくいって言って、誰もまだそこまではいってないだろ。今はお前がトップなんじゃないのか」
「そうかもな。だけど秘密にしといてくれよ。これ以上騒がれるのは嫌だ」
「別にいいじゃないかよ。どっちにしろお前は有名人だ」
「色々話しかけられて大変なんだよ。今朝だって市場に行ったら、何を買いに来たんですか、今どこでやってるんですかって質問攻めにされたよ。アイリなんか街を歩けば人の流れが割れるぜ」
「ははは、そりゃサラシナさんは個人戦で優勝したからな。それより俺はもう真面目にやるのはヤメたぜ」
「奴隷商館に盗みにでも入ることにしたのか」
「それだ! それしかねーだろ!」
「いや、奴隷との契約は特殊なことをやるから俺たちじゃ無理だぜ」
「チッ、なるほどな。それよりも最近になって悪い噂の立つギルドが増えてきたんだ。盗みだとか詐欺だとかな。どうやってるのか、身元をうまく隠しながらやってる奴らがいるんだよ」
「仮面アイテムじゃないか。名前とか詳細なんかが表示されなくなるんだ。セルッカのスラム街で俺も仮面をつけたプレイヤーキラーに襲われたことがある」
「いっそのこと俺たちもPKをやってみるか」
「犯罪者になる奴が必要になるぞ。犯罪者になるとNPCとの取引もできなくなるから、コンパニオンを買うこともできなくなるんだ。引き受けてくれる奴はいないと思うぜ」
「じゃあ、やっぱり盗みだな。黒い噂の絶えないギルドを狙うんだ。いわば義賊だぜ。悪いことして私腹を肥やしてる奴らを成敗するんだ。大義はこっちにある。俺はこのまま黙って泣き寝入りなんてできねえよ」
盗みをやってるギルドを狙うというのは悪くないかもしれない。それならこちらの良心も傷まないし、そういった行為は高くつくという牽制にもなる。だけど窃盗や犯罪システムのルールを知らない奴を狙うよりは、知ってる奴を相手にする方が難易度は格段に上がる。
対策だって立てているに違いないのだから、俺たちのような素人にやれるかは疑問だ。
しかし口うるさいのがいない今しか俺にはチャンスがない。
「お前のところに忍者のフクハラさんがいるだろ。彼女なら盗みぐらいわけないんじゃないのか」
「忍者は一方的に戦いを拒否できるけど、行動阻害を食らったら一発でおしまいだぜ。戦うこともできないからな。狭い室内ならなおさらだ。俺とお前で行った方が戦えるし便利だと思うぜ」
「そんなこと言ったって、俺のリザレクションなんて、ほとんど成功しないんだぞ」
「戦闘不能になるような事態なら、もうロストするしかねえよ。そのくらいのリスクはあるんだ」
「ふん、そのくらいわかってるよ。ロストがなんだ。俺は何としてもメエちゃんをものにするって決めたんだ。そのためなら悪魔にだって魂を売るぜ」
「復讐の話はどこ行ったんだ。目的が邪なものにすり変わってるじゃないか。アリスとクリスティーナに話はつけてあるのか」
「そんなのは後だ。まずは盗みに入ろうぜ。もう俺たちのギルドに入った奴らの場所は割れてるんだ」
すぐにタクマがやってきたので、俺は必要のない荷物をギルドハウスに置いてタクマの案内に従った。剣をどれにしようか迷ったが、そもそも窓から侵入するのにレッサードラゴンブラッドソードは大きすぎて入らない。デストラクションを使って戦うわけにもいかないからオシリスの宝剣も意味がない。
俺はアイスソードと詠唱阻害付きのクリティカルナイフだけを持ってきた。
窃盗に入る場合、盗んでいるところさえ見られなければ大したペナルティタイムは発生しない。盗んだものをスラム以外で売ったりすれば、それもペナルティタイムを発生させる。またPKも、とどめまで刺さなければ短いペナルティタイムで済む。とどめまで刺してしまえば、相手のランクにも寄るが数週間のペナルティタイムが課され、そこでロストが発生すると牢獄でペナルティタイムの10倍の時間だけ過ごさなければならなくなる。
仮面には名前とペナルティーを受けているかどうかを隠す効果があった。これは仮面でなくともマスクのようなものでもいい。しかし戦闘中に耐久がなくなって壊れたりするようなものでは正体を隠す役には立たない。
まあ一度使うくらいならどんなものでもいいだろう。
「とりあえず目出し帽のようなものだけでも買うか」
「そ、そうだな」
「おい、ビビってるのかよ」
タクマはすでに顔も青ざめて非常に頼りない。今からこんな状態で大丈夫なのだろうか。
「もし倒されたら牢獄行きだろ。どうやってペナルティタイムをやり過ごすんだ」
「盗んでるところを見られなきゃ、一つにつき数分のペナルティタイムだぞ。そんなものどうにでもなる。お前はマステレポートが使えるか」
「使えるぜ。テレポートスクロールもある。だけど窃盗のレベルが1なんだよな。あげてからの方がよくないか」
「俺の窃盗はレベル2だ。俺に任せておけばいい。見られてるのに盗むような真似だけはするなよ。盗んでる場面を見られると窃盗じゃなくて、強盗のペナルティーを受けるんだ。そうならないように気をつけろ。仕事が終わったら、何も考えずに、とにかく俺のギルドハウスに飛べよ。それと俺が魔剣の力を開放してブリザードを使ったら、その時も何も考えずにギルドハウスを目指せ」
「わ、わかった」
タクマはビビりあがっていて、非常によろしくない。手筈さえ間違えなければなにも恐れる必要などないはずなのだ。飛び道具での攻撃を受けて戦闘状態にされれば、テレポートの類は使えなくなる。それだけが唯一の脅威と言ってもいいだろう。
だけど昼間のギルドハウスに人員を残しておく余裕などあるわけがないのだから、こんなのは楽勝のはずだ。
「こんなちょろいヤマを前にビビりすぎだろ。そんな調子だと手順を間違うぜ」
「そんなこと言ったってな。お、俺はお前ほどランクも高くないしよ」
「ランクなんて関係ないだろ。基本的にペナルティータイム中は逃げることに専念するんだ。間違っても相手を倒そうとしたりするんじゃないぞ。盗賊と忍者に追われたら、背中だけは何がなんでも守れよ」
俺たちは市場で目出し帽を二つ買った。冬を前にして二つしか在庫がないほどの不人気商品だ。こんなものを被っていれば賞金稼ぎに命を狙われることもあるんだから当然だ。
盗みなんかするからこんなことになったんだと教訓を与えるために、天誅と紙に大きく書いたものも持った。
俺たちは盗みを働いているという奴らの隠れ家――ギルドハウスの前までやってきた。まだ明るいから天眼のスキルは反応を示さない。アラートオーブも当然のことながら反応がない、かと思ったら、タクマに反応して真っ赤になっている。
「いいかげん腹を決めろ。取られたものを取り返すんだろ。これは戦争なんだ。何が起きたって最悪牢屋に入るだけだぜ。盗みだけなら数週間で出てこられる」
「だ、だけど盗みをやってる奴らの罪をかぶってさ、悪評が広まるかもしれないぜ。最近盗みを働いてたのは俺たちなんだってことになったらどうするんだ」
「今更、引き返すための口実ばかり考えるな。やると決めて腹を据えるんだよ。失敗を恐れても何も変わらないぞ。失敗する可能性を受け入れて最善を尽くすことだけ考えろ」
「かっこいいけど、コソ泥が標語にするには大げさだな」
タクマが笑って言った。俺たちは目出し帽をかぶって準備を済ませる。多くののギルドハウスに囲まれた場所で、この時間帯の人通りは全くない。
俺は消音ポーションを鍵穴の周りに振りかけて、ピッキングセットを差し込んだ。しかし手応えがまったくない。これはグレード4かそれ以上の鍵であるように思えた。
「まずいな。これはピッキングじゃ開かないぜ」
「どうするんだよ。出直すか」
「いや、窓をぶち破って入ろう」
俺は窓に消音ポーションを掛けた。そして剣でガラス窓を叩き割った。消音ポーションのおかげでカラスが地面に落ちる音しかしない。俺たちは反対側の窓に回って、そちらの窓も消音ポーションをかけてから叩き割った。これは逃げ道を確保するためである。
そのまま息をひそめて、人の足音がしないか確かめる。心臓の音がうるさくて周りの音が上手く聞き取れない。ならば足音なんか気にせずやるしかない。
タクマに向かって頷くと、俺たちは割れた窓から中に入った。入った先はリビングだった。
そこら辺のギルドハウスから盗み出したであろうチェストが乱雑に積み上げられている。よくこれだけ集めたものだと感心してしまうほどの量だった。
他の部屋も確認してみたが、誰もいなかった。トラップも設置されていたが、俺の天眼によってすべて無効にする。
「お前の情報は正確だな」
「まあな。急に金遣いが荒くなって、周りを見下すような発言が増えたそうだぜ」
常に周りを見下してるところがある俺には耳の痛い発言だった。
チェストのグレードはどれも高くない。俺が開けると、タクマは金になりそうなものだけインベントリに移していた。チェストを開けていくと、一つだけ開かないチェストがある。このギルドハウスに付いていたものだろう。たぶんグレード4まで上げられている。
各部屋にも開かないチェストが一つずつあった。俺はその四つのチェストをインベントリの中に収める。非常に重たくて動くのにも支障が出るようになった。
そこで騒がしい声が割れた窓から聞こえてくる。
「おい、やばいぜ」
俺はこっちだと、あらかじめ割っておいた反対側の窓から外に転がり出る。タクマは漁れていなかったチェストを欲張ってインベントリの中に入れたから、俺以上に動きが悪くなった。
血だらけになって、血だらけのタクマを割れた窓から引っ張り出すのと、怒声が聞こえてきたのは同時だった。
どうやらギルドハウスの持ち主が荒らされたリビングに気付いたらしい。
通りの方に走ろうとするタクマを引き留めて、俺は天誅と書かれた紙を割れた窓から放り込んだ。そして通りの側とは反対にギルドハウスの裏に向かって移動する。
裏の茂みに隠れてタクマにマステレポートの魔法を使わせた。やってきた奴らは表通りに通じる方へと探しに行っている。
見つかることもなく、俺たちはその場から脱出した。
「やってやったぜ!」
「お前な、どうして最後に欲をかいたんだ。あれのせいでかなりぎりぎりだったぜ」
「上手く行ったんだしいいじゃねえかよ。それよりもお前の持ってきたチェストも開けてみようぜ」
「ゆうくん?」
ギルドハウス前でニャコに声を掛けられた。俺たちはなんでもない風を装ってギルドハウスに入り、俺の部屋に入った。目出し帽をかぶっていたが、なんということはなくギルドハウスには入れた。
よく確認すると真っ赤なデバフアイコンが視界の中に現れており、ペナルティータイム5時間と表示されていた。タクマの方は3時間だ。アイコンには泥棒と説明が表示されている。
「ゆうくん、泥棒ニャんてよくニャいと思うよ」
「ななな、なんのことかな」
ニャコは何も言わずに睨んでくる。そう言えば犯罪者がいると警告表示が現れるのだ。これは目出し帽で顔を隠していても意味がない。
俺はとっさに言い訳を考えた。
「ちょっと俺の友達がドジ踏んで犯罪者にさせられちゃったんだよ。そいつを匿っているんだ。別に悪いことしたわけじゃないよ」
「そうニャの」
「そうだよ。俺がそんなことするわけないだろ」
ニャコはそれで引き下がった。これはギルドハウスの近くに来られただけでも犯罪者がいることがばれてしまう。このギルドハウスの周りはあまり建物がないのだ。
だけど、だからこそあまり探されないだろうというのはある。俺たちが盗みをやったと知る者はいないのだから、今は大丈夫だろう。
「これが切れるまではギルドハウスの中にいるしかないな。お前も外には出られないぜ」
「まあいいさ。それより早く開けてみろよ」
開けられなかったチェストボックスは結局のところ窃盗のレベルが上がるまで開けることは出来なかった。俺はひたすら6時間以上も鍵穴をいじることになった。
窃盗のレベルが上がったのはMPにものを言わせて、暇があれば天眼のスキルを使っていたおかげだろう。窃盗のレベルが上がるとともにチェストの方も開いた。
窃盗のレベル欄はMAXと表示されているので、これ以上上がることはないようだ。
中から出てきたのは装備品やアクセサリー、スクロール、それに魔法書などだった。どれも金になりそうなものばかりだ。ゴールドもあるがロンダリングせずには使えないだろう。
「普通のアイテムと混ぜるなよ。これはスラムで売らないと足が付くんだ」
「へへへ、これだけあればかなりの金になりそうだな。さっそく売りに行こうぜ」
真っ暗闇の深夜に、俺たちはスラム街に来ていた。ペナルティータイムは明けたので、視界の端に犯罪者のいる旨が表示されている。犯罪者になっていたからこそ分かるが、ペナルティータイム中は命を狙われているんじゃないかと疑心暗鬼になりやすい。かなり不安定な心理状態に陥る。
クレアでも近くにいたら、俺は誰にも負けない自信があるが、相棒がタクマでは心細いことこの上なかった。誰にでも斬りかかる通り魔になるまでそんなに時間はいらないだろうと思われるほどだ。そんな心理状態になってる奴が近くにいるというだけでも、かなり嫌なものである。
召喚組の中で最もランクが先行してる俺ですらそんな心理状態になるのだ。
「モーレットから聞いた話だとこの建物みたいだぜ」
「さっさと中に入るぞ」
なにを焦っているのかタクマは犯罪者ギルドの建物にノックもしないで入って行った。仕方ないので俺もそれに続いた。
中ではチンピラたちが酒を飲んで騒いでいる。それを見守るようにして座っているアリスとクリスティーナがいた。
アリスだけは一応酒を飲んではいるが、酔っぱらうほどではない。
「こんなところに勝手に入ってくるとは、肝が据わってるね」
「今のボスはアンタらだよな」
「そうだ。それでアタシらに何の用があって来たんだい」
二人を前にしたらタクマは急におどおどし始めたので、俺がアリスと話をするしかない。
「引き取ってもらいたいものがあるんだ」
「裏のある商品なんだろうね」
「まあな」
「アタシらと取引したいならスジを通してもらおうか。いくらボスの男であってもだ」
急にクリスティーナが話に入ってきて言った。アリスと違ってクリスティーナは泥酔している。この酔っぱらいを相手にするのは嫌だなと思った。
面倒なことを言われる予感しかしない。こんなところで時間を取らされるのは面倒だ。
もし難題を吹っ掛けられたら、暗黒街は俺が治めてやろうかという気になってくる。こんな奴らを倒すくらいはわけないのだ。クレアたちが嫌というなら新しい仲間を集めたっていい。俺にはそれくらいのことが出来る。
「スジを通すってのは」
「アンタ、いい顔をするじゃないか」
アリスが俺の顔を見て言った。しかしクリスティーナはそんなことお構いなしだ。
「誰か男をアタシらに差し出しな。それなしで取引は出来ないよ」
「それがルールなんだよ。今日は盗品を売りに来た奴はいないかと探しに来た奴らがいたんだ。そいつらもアタシらと取引している。アンタらと取引すれば、そいつらに嘘をつかなきゃいけなくなるんだ。いくらボスの男でもフェアな取引相手になってもらわなきゃ、かばえないんだよ」
すまないねとアリスは付け加えた。
この距離で見て初めて気が付いたが、二人はゴリラかなんかの獣人であるようだった。つまり人間の男を寄こせということだろう。男好きな奴らだ。
コウタじゃダメなのかと尋ねたら、一度食った男はダメだと言われてしまった。それにコウタはすでに取引をしているという。そんな商売にまで手を広げているらしい。サブ職も錬金と鍛冶と裁縫をあげているとリカから聞いたことがある。コウタも頑張っているようだ。
「ど、どうするんだよ」
「連れてくるしかないな。ミサトさんでいいだろ」
コウタのような雰囲気の顔だし、知り合いの中ではそれしか心当たりがなかった。
「あ、あの人は妻子持ちだぞ」
「だけどそれ以外に誰がいるんだ。お前が相手するか」
「チッ、こうなりゃ悪魔にだって魂を売るよ。だけど、どうやって呼び出すんだ」
「風俗をおごるとか、適当に理由をつければいい」
俺たちは空き部屋を貸してもらって、そこにミサトをおびき寄せることにした。風俗で外れを引いたと思ってミサトには涙を呑んでもらうしかない。
あえて風俗だとは言わずに、日ごろのお礼がしたいと言って呼び出すようにタクマに言った。そしたら来てくれるという手筈になった。
「ここまで悪に手を染めちまったら、もう真人間には戻れないかな」
「つまらないことを言うなよ。しょうがないだろ」
「自分のところのギルドマスターを売る日が来るとはな」
しばらくしてミサトはやって来た。何があるのかなとか言ってるが、スラム街に呼ばれたのだから、そういうことを期待しているのは間違いない。
「どうして、ベッドに縛り付ける必要があるのかな」
「そういうプレイなんですよ」
「えっ、そういうプレイって、風俗とかそういうのは困るよ」
困るよとか言いながら少し笑顔なのが、俺たちの良心を締め付ける。しかしコウタはそこまで悪い感じじゃなかったし、この人もコウタに似たところがあるから何とかなるだろう。確かに顔も似ているが、ここでいう似たところというのはSとMで言うところの、Mであるとかそういったことだ。
俺たちは部屋の外に出て、アリスたちに捧げる生贄の用意が出来たことを告げる。
「いつ頃終わるんだ」
「朝まで終わりゃしないさね。盗品を売りたいなら、ヒゲ爺に言いな。小便通りの角の店にいるはずだ。どうせそんな用事なんだろ」
アリスは小さく笑うと部屋に入って行った。それに続いてクリスティーナや他の連中まで入って行く。そのなかにはスラリとした綺麗どころの女もいるので、タクマは少しうらやましそうな顔をしていた。
「あんまり気にするな。世の中にはああいうのを好きな男もいるんだよ。日頃のお礼だと思っておけばいいんだ」
「あ、ああ。だけど朝までとなると地獄だな」
「それより早く売りに行こうぜ。盗品をいつまでも持ってるのはやばい」
俺たちは言われた通り、細い路地の角の店で盗品を売り払った。俺たちが盗みに入った奴らはかなり荒稼ぎしていたらしく、すべて売り払うと500万近い額になった。これなら向こうも死に物狂いで探しているだろう。
俺たちで200万ずつ分けて、残り100万はミサトへの口止め料プラス見舞金にすることにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる