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四章

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 〈オウラside〉

 俺は今回手紙で帰省をするとは知らせず途中馬車を拾い夕方に家へ着いた。

「ただいま帰りました」

 両親はオウラの顔を見て驚いた顔をした。

「おかえり、いきなり帰ってくるなんて驚いたわよ」

「見ないうちに立派になったな、オウラ」

「父さん、母さんに話があるんです」

「どうかしたのかい? 話し方も違うし」

「とりあえず夕飯を食べながら話を聞こうじゃないか」

「王国に居るとこうゆう話し方になるんです」

 家での夕飯は野菜スープとパンだった。 俺は単刀直入に話をした。

「父さん、母さん、実は愛する人ができました」

 すると母さんはスプーンを持った手がとまって、父さんは野菜スープを飲んだあとに聞いてきた。

「その方はどこの人なんだ?」

「王国で侍女長をし、サグイス様の教育係をしています。 彼女も今、帰省をしています」

「そうか」

「ですが、家庭を持つには王国で働くのを辞めなければなりません」

「それはどうしてなんだ」

「王国では男女の関係を持つのは禁止事項だからです」

「それで働くのを辞めたらどうすんだい?」

「それは、彼女と話し合いをします」

 父さんはパンを食べながら「彼女さんの名前はなんと言うんだ」

「アネシー・クオーレと言います」

 その瞬間、優しい話し方をしていた母さんは大声を出した。

「クオーレ家のご令嬢じゃないか! そんな方と一緒になるなんて母さんは反対です!」

「ああ、父さんも反対だ」

 オウラはイスから立ち上がった。

「彼女がクオーレ家のご令嬢とは本当なのですか!?」

「そんなことも知らなかったのか」

 父さんは冷静に呟いたがオウラは知呆然とした。

「今まで知りませんでした」

「とにかく、クオーレ家のご令嬢と一緒になるのは反対です」

「どうしたら許してくれますか」

「許すもなにもクオーレ家がどんな方達なのかは知っているでしょう」

 クオーレ家は東の国だが西の国も支配下に置いている名家だ。

「もし、クオーレ家のご令嬢と一緒になると言ったらどうなりますか」

 その言葉に父さんは無言でテーブルの上を叩いた。

「クオーレ家のご令嬢と一緒になるには親子の縁を切る覚悟があるんだよな」

 親子の縁を切る……父さんの言葉にどんな思いで話しているのかはわかる。

「親子の縁を切っても構いません。 それでも俺は愛する人と家庭を持ちたいと思います」

「だったら出て行きなさい」

「わかりました」

「オウラ、今日は休んでいきなさい」

 父さんは一言も話さず黙々と食べて母さんはどこか悲しげな顔で野菜スープを飲んだ。

「いただきます」

 手を合わせてからパンをちぎって口の中へ運んで暖かいスープで流し込む。

(母さんの野菜スープは美味しいな)

 食事が終わってからも父さんと母さんは口を開いてくれなかった。

 お風呂に入り寝る時に人に人声を掛けるも返答は返ってこない。

(父さんと母さんが起きる前に家を出よう)

 城内で働いている俺は起きるのが早い。四時に起きて帰る支度をする。音を立てずに階段を降りると母さんがイスに座っていた。

「母さん」

「おはよう、オウラ。 もう行くのね」

「母さん、今日までお世話になりました。 父さんにも伝えといてください」

「わかったわ。オウラ、幸せになるのよ」

「はい」

 オウラは両親に挨拶をし、荷物を持って家を出た。
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