この異世界は絶対にゆるふわVRMMOなんかじゃない!

もやもや、もやしん

文字の大きさ
4 / 19
第一章この章の後半を読んではいけない。

第3話 彼と彼女のオープニング3

しおりを挟む
 僕がアイテムボックスを開いた時、既に僕の中で大惨事になっていた。

「・・・・・・嘘だろ?」

 アイテムが無いどれも空だ。

「ナフィ? サポート用のボックスはどうだった?」
「マスターに買って頂いたお洋服や戦闘用の鎧、サポート用のお札など全部ありますよ?」
「おっかしいなぁ、アイテムどころか素材や装備も全部ない」

 おそらくナフィが居なかったら発狂していただろう。
 もしかしたら、発狂を一周して冷静になっていたのかもしれない。
 およそ時間にして約1000時間以上金はいくら使ったか分からないくらいだ。
 その結晶が消滅している。
 三つ程に分けて保管していた全ての自分の所有物が無くなっていた。

「お金はどうなんですか?」
「お金は、違うボックスに入ってる・・・・・・あった!」
 
 辛うじてお金だけはあるのが助かった。
 ただ、前回のイベントで鎧を新調したため殆ど残ってない。
 枝豆が出てきそうだし頭痛すらしてきた。

「うっ、」

 我慢出来なくなって嗚咽を漏らしそうだ。
 ナフィはどうやら見ていない。が、我慢しろ絶対に心配する。

「お金があるなら装備が買い直せるんじゃないですか?」

 そんな訳が無い。

「ナフィ? その様子だとここの世界の事まさかあんまり知らない?」
「ええ、全く分かりません」

 なら軽めに説明しとかないと。

「なら一応説明しとくと、このゲームはモンスターの素材が無いとあんまり強い装備が手に入らないんだよ」
「つまり、お金があってもそこまで強くなれないって事ですか?」
「一応、アイテム交換所があるからそこに行けば低レベル素材なら手に入るんだけどねぇ」

 この世界のアイテム事情には問題が一つあって。

 「レベルの高い素材は買えないんですか?」
 「買えないわけじゃないんだけど高いはずなんだよな」

 しかも金があったとは言え、基本的な冒険が出来る最低限の装備を買ってギリギリちょっと残る程度しかない。まあ、終盤まで進めれる事も見越しての話だが。
 
「それは困りましたねぇ」

 本当に困ったこれじゃ序盤のモンスターは普通に戦えても敵のレベルが上がれば確実に苦戦を強いられる。

「今の所はやる事が色々あるけどまずは市場に行って装備を整える事、それからかな」
「分かりました準備でき次第出発しましょう」

 こうしてナフィと僕は市場へ向かうことになった。
 とりあえず市場に行けば最低限の装備は手に入るだろう。
 市場に行くために階段を下りて玄関まで進む。そして、外に出る。

「マスターお昼ご飯どうしましょうか?」
 
 もうその話をするのか? さっき朝飯食べた所なのに。
 しかも、僕用に盛り付けられた豆打を半分とって増やして食べていた。
 凄まじいスピードで。

「ナフィはどうしたい?」
「折角なのでお外で食べたいです」

 外か、しかしどこが良いのだろう考えてみればゲーム内の飲食店なんて余り出入りすることは無かった。
 あったとしても沢山ご飯を食べる練習くらいか。

「とりあえず外に出てから探さない?」
「そうですねマスターの言う通りです」

 玄関まで進んだのでドアを開ける。仕切り直しした気分だな。
 このドアの先は確かに不安だ、だけど楽しみでもある。
 一体どんな景色が広がっているのかと言うことに。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

ペット(老猫)と異世界転生

童貞騎士
ファンタジー
老いた飼猫と暮らす独りの会社員が神の手違いで…なんて事はなく災害に巻き込まれてこの世を去る。そして天界で神様と会い、世知辛い神様事情を聞かされて、なんとなく飼猫と共に異世界転生。使命もなく、ノルマの無い異世界転生に平凡を望む彼はほのぼののんびりと異世界を飼猫と共に楽しんでいく。なお、ペットの猫が龍とタメ張れる程のバケモノになっていることは知らない模様。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...