この異世界は絶対にゆるふわVRMMOなんかじゃない!

もやもや、もやしん

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第一章この章の後半を読んではいけない。

第16話 第一回ツンデレ対戦!?8

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 彼女は僕と目が合うとすぐこちらへ、トテトテと歩いてきた。

「あの、さっき助けようとしてくださった方ですよね?」

 そして僕に喋りかけた。神崎さんに助けられた子だ。
 茶色い髪で服装は白くて大きい布を塗って作ったダボダボの服を着た僕の身長よりも小さいくらいの女の子だった。

「えっと、さっき神崎さんに助けてもらった女の子だよね? どうしたの?」
「自己紹介遅れてすいません。私メイアって言うんですけど」

「メイアちゃんで良いかな? 僕は葛城 桃李って言いますとりあえずトウリって呼んでくれるかな? それでこっちの背中に乗ってるのがナフィって言うんだ宜しく」
「分かりましたトウリさん宜しくお願いします」

 目は髪と同じく茶色い。
 小さい割にかなり顔立ちが整っており可愛いと美人を足して二で割ったみたいだ。

「助けてもらった事には変わりないので是非お礼にお茶に誘いたかったのですがお取り込み中ですよね?」
「いやいや、取り込んではいないけど何も出来なかったし礼なんてそんな」
「取り込んでいないのであればすぐ横が家なのでぜひ来てくださいよ」

 うむ、そこまで言ってもらえるなら行こうかな。

「それじゃあ、家に帰ってもそこまでやる事無いし行こうかな?」

 空いた手で頭を搔きながら答えた。
 ゲームとリアルの世界が混ざっているとけれども女の子の家に上がるなど滅多に無い。
 そもそも、リアルじゃほとんど女の子となんか喋らないしな。
 何を話したらいいか本当に分からなくなる。
 それにしてはナフィなんて自然に喋れるしそこの所は凄くありがたい。

「こちらのドアが入口です」

 すると先程、僕が彼女を発見した位置からすぐ横に家があった。
 見た所は僕の家とそんなに変わらない石作りのしっかりとした強度の高そうな作りだ。

「お邪魔します」

 そう言って家に入ったが家具は少しばかり少なくテーブルと椅子や花などでどうも数人で生活している様子は見て取れない。
 家に玄関などは無くほぼワンルームにまとまっている。
 奥に一部屋あるくらいだろう。
 地面には薄い赤色の絨毯が敷かれている。
 綺麗に整えられている部屋だ。
 一人暮らしなのかな?

「そこにテーブルがあるのでお掛けになってお茶を入れるのでお待ちください」
「ありがとうございます」  

 ナフィはまだ寝たままでおんぶしたまま家に上がってしまっていたので彼女を起こす事にした。

「ナフィ起きて」

 一言声を掛けた後に背中で少しだけ揺すり起こした。

「んん? ふわぁ、マスターおはようございます」
「おはよう、ナフィ良く寝れた?」
「はい、とっても気分がいいです。ですが、ここはどこですか?」

 そういえば説明もしてなかったな。

「さっき神崎さんが助けた女の子の家に来てるんだよ、ちゃんとお礼がしたいって」

 本当にいい子だよな、大したこと出来なかったのに礼なんて。

「あ、ナフィさん起きられましたか? 私メイアって言います」
「マスター私の名前教えたんですか?」
「さっき教えたよ」
「さっき教えてもらいました」

 そう、自分の名前と序に教えたんだよね。
 その時は寝てたから気づくはずもない。

「おんぶなんて仲のいいお二人ですね、付き合ってたりするんですか?」

 僕とナフィはその言葉に同時に答えた。

「いやいや、そんな訳ないじゃん」
「マスターとお付き合いだなんて」
「それでも、満更でもないんじゃないんですか?」
「まあ、付き合ってはいないから」

 パートナーと言う点では間違いないが、その様な関係では一切ない。
 正確にはまだ出会って一日も立っていないのだから。そして、そんな話をしながら僕達は椅子に座った。

「お茶が準備できたので入れますね」
「ありがとうございます」

 僕達は同時にメイアにそう言った。
 すっとコースターが出され更に上にコップが置かれる。
 それを3人分用意し少し大きめの陶器に入れた炊きたてのお茶をコップに注いでくれている。
 近くに来たので良く分かるが見た目の割に本当にしっかりしている。

 彼女が体を傾けると後ろに括っていた髪がお茶を入れる際にサラリと下に垂れる。
 入れ物の重さに慣れていないのか体ごと斜めにしている。その時、メイアが身につけていたある二つの物に僕は目を向けた。
 一つ目は体を斜めにした時、に見えた首飾りとお茶を入れる時に持っていた指に嵌めていた指輪だ。 
 話す話も思いつかないしまずは首飾りの話からしよう。

「メイアちゃん、その首飾り綺麗だけどどこで買ったの?」
「これですか? これはですね港のアクセサリーショップですね」

 お茶を入れ終わると彼女はすっと椅子に座った。
 実は先程注目した二つの装飾品は互いに別の理由で重要だった。

「港のアクセサリーショップかぁ」

 納得した様に周りからは見られるだろうが正直、本音は納得していない。
 この見た目は案外誰でも普通に着けていそうな鉄で作られた十字の首飾りはBOヘレネス内の装飾ではない。
 確かにBOヘレネスはアップデートする事に時代が進んで行くシステムも導入されていたが首飾りの装飾は無く時代の変化でこう言った物が現れる事も無かった。

「気に入ったんですか?」

 と言うよりBOローマもプレイした事があるのだが、僕はその時このアイテムを偶然買った事がある。
 ローマとヘレネス、両方共のアイテムは絶対に交換不可能だ。そもそも、ヘレネスの世界にローマの装飾がある訳が無い。
 逆も同じだ、もしかして何らかの交流でもしているのか? しかし、そうなってくるとヘレネス内に留まっていると思われていた異変はもっと大きな規模で起きていると考えても良くなる。

「今度またその首飾りと違う奴を探しに行こうかなーって」

 もしかしたら、色々な物からこの世界のヒントを得れるかも知れない。
 この世界の異変、もしかしたら僕が思っている以上に大規模かつ不味い事になっていると見れる。
 他にも気になるし次は指輪も聞かなければ。
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