ピンク色の学校性活~どうしても健全に付き合いたいオタクと、どうしてもカラダで稼ぎたいギャルの日常~

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第一話 一日目:結局カラダ目当てっしょ♡

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「あ……アヤネさん!!
 ずっと好きでした……!! 付き合ってください!!」

 暖かな日差しに包まれた、水曜日のお昼休み。
 二人きりの屋上に必死な声がこだまする。
 いま、高校三年生にして健康的な男子生徒の一人である僕は同級生に告白するという青春の真っ只中にあった。
 ぐっと拳を握って彼女の目を見つめると、爽やかな風に金髪のサイドテールが揺れ──

「や、おたっちとはムリかなー」

 無念。
 青春の一ページはたった一言でビリビリと破り捨てられてしまった。
 何一つ親しみの籠もっていないあだ名のおまけ付きで。

 おたっちって言った?
 僕がオタクだからおたっちってこと?

「てか、あーしもうカレシいっからね。二年の高田。知らなかったん?」
「えぇ……初耳です……」
「まじ? ウケるなー、あーしのカレシそーとー言いふらしてるっぽかったんだけど」
「だって下級生の知り合いとかいないし……」
「あ~……部活とかやってない系かぁ。かわいそーにねぇ」

 アヤネさんは哀れみを含んだ目を向けながら、僕の頭をちょいちょいと撫でてきた。
 いきなり告白してきた、ほとんど話したこともない男を自分から慰めてくれるなんて……。
 優しい。
 こういうところこそ、僕みたいな男が勘違いしてしまう秘訣なんじゃないだろうか。

「てかさ、あーしってもろギャルだしどうなん?
 オタクならもっと好みな子が別にいるんじゃね?」

 アヤネさんは不思議そうに言って、髪をかき上げた。
 ふわりと柑橘系の香りが漂ってくる。

 薄く日に焼けた小麦色の肌に、白シャツのボタンを外して胸元を露出させた格好。
 校則違反スレスレまで短くした紺色のスカートは腰に巻いたクリーム色のカーディガンに覆われている。さらに下へと目をやれば真っ白なニーソックスがむっちりとした太ももの段差を強調していた。
 顔まで視線を戻せば、派手な紫色のシュシュでまとめた金色の髪がまぶしく映る。

 まあ確かに、アヤネさんはいわゆる清楚な黒髪ロング美少女とは似ても似つかないかもしれない。

「でも、アヤネさんにはアヤネさんの魅力があるんですよ!!
 肌すべすべだし、校則の中で限界までオシャレしようと頑張ってるし、
 タレ目がちでまつげ長いところとかもすっごくキレイだと思います!
 間違いなく学校一の美少女です!!!」

 早口で言い切ると、アヤネさんは照れくさそうに頬を染めた。
 サイドテールをくりくりと弄りながらそっぽを向く。
 可愛い!

「もー、そーゆーのまじでオタクっぽいからやめなって。
 ガチで褒められるの恥ずかしいし……」
「喜んでもらえて嬉しいです。これだけでも会ってもらった甲斐がありました」
「うっさい。
 てか、カレシが言うのに比べたら大事なトコ足りてないけどね」
「え?」

 そんな……人間観察と推しへの狂いっぷりにだけは自信があったのに。
 やっぱりキチンと付き合ってる彼氏には勝てないのか……!

 僕が悔しがっていると、アヤネさんはイタズラっぽく笑みを浮かべた。
 そして、胸元のボタンをまた一段外しながら……僕に、抱きついてきた……!?


「『めちゃくちゃ抜ける』、ってさ♡」


 ふぅ……っ。
 アヤネさんはわざとらしく艶のある吐息を出し、僕を上目遣いに見上げた。
 ぐにゅりと柔らかいものが潰れていく感触。
 彼女の手がシャツに伸びると、元々大きなおっぱいに苦しめられていた生地がまた少し横へとずれる。
 目に飛び込んでくる小麦色が面積を広げる。
 悩ましく視線を誘う谷間のそばに……ほくろが、ある……。


「……ふーん♡ やっぱ、カラダ目的じゃん♡」


 僕は耳元でそう囁かれた瞬間、大慌てで飛び退く。
 腰に集まってきた熱を何とか誤魔化したくて片膝立ちに座り込む。
 僕はそのまま横を向いて、景色で自分の目を洗い流そうとした。

 そうだ、この方角には美しい自然が広がっている。僕らの高校には裏山があるから緑豊かな森を間近で楽しめるんだよね。昔は古墳があったらしくて、そのせいか今でも美しく景観が整えられているんだ。ほら稜線のラインなんてかなり球体に近いじゃないか。そろそろ秋も深まってくるから、紅葉が来ると山全体が黄色や赤、それに褐色に変わっていって……頂点の辺りからは展望台が真っ赤なランプを光らせるんだ……

「あは。おたっち、目ぇヤバすぎっしょ」
「ひぃっ……!」

 アヤネさんは僕の視界に回り込んできて、意識を外に向けるのを許してくれない。
 同じように目の前でしゃがまれると、視線が合わさる上に……肌が!
 下の方の肌が……柔らかそうなところが、見えて……!

「ふふふ……♡ やっぱおたっちも男の子だねぇ♡」

 僕が必死で目を逸らしていると、彼女はうきうきと声を弾ませながら正座した。
 それと同時に、胸元で外されたボタンも一つ元へ戻っていく。
 よかった。いややっぱり露出は多いけど、これならまだ耐えられる。

「からかわないでください……」
「いーじゃん、面白いし。ソッチも嬉しそうにしてたじゃん♡」
「して……ないです……!」

「ウソつけ~。おたっちもあーしで抜いたことくらいあるくせに」
「無いです……そんなこと……!」
「……ふーん……え~悲しいな~。
 せっかくセクシーに仕上げてきてんのに、あーしってやっぱ魅力ないのかなぁ」

 アヤネさんは突然寂しそうな顔をして明後日の方向を向く。
 深々とため息を吐き、くっくっと押し殺した声を出しながら肩を落としてしまう。
 その後ろ姿からは、かなり暗いオーラが漂っていた。

「す、すみません……ウソつきました。
 ほんとは6回くらい……」

 アヤネさんを悲しませたくない一心で正直なことを口にする。
 かなり恥ずかしいけど、これで喜んでくれるなら……?


「くっくっ……くくっ、あはははっ!! 引っかかった~!!」
「えぇっ!?」


 振り返った彼女はすっかり満面の笑みで、ばしんばしんと僕の背中を叩いてくる。
 今のって演技!?

「おたっち、マジであーし以外にそういうこと言うのやめときな!?
 ちょーキモいから! あはははっ!!」
「痛い! ちょっと痛いです!」
「ほんと面白いねおたっち!! あははははっ!!
 はー……っ、ふーっ。お腹痛いんですけど~……ふふっ」

 アヤネさんがようやく落ち着いたと思ったら、笑いすぎたせいか軽く涙まで浮かんでいる。
 6回ってそんなに面白いかな。案外くだらない下ネタがハマるタイプ?
 黙っているのも恥ずかしいので、僕はいそいそとハンカチを差し出した。

「はぁ~……あ、ありがと……なんだ、そういうのはちゃんとしてんじゃん」
「一応いつも持ち歩いてるんで……」
「ふぅ。あー……ちなみにさ。それいつ頃からなん?」
「それ……って、わざわざそんなこと聞きます……?」
「えー教えなよ~。ネタにされてる側の権利だよ? 著作権だよ?」

 アヤネさんはノリノリで僕の肩に腕を回してくる。
 顔が近い。
 僕はいい香りがするのを意識しないように口呼吸しながら、なんとか声を出す。

「著作権ではない気がしますけど、えー……一ヶ月前くらいから……」
「……ん?」

 終始おかしそうにニヤついていたアヤネさんの表情が、ちょっと変わった。
 少し眉間にしわを寄せて、首を傾げる。

「これカレシ情報だけど、一ヶ月で6回って逆に少なくね?
 なんなん? あーし以外にも被害者がいるわけ?
 それか二次元のカノジョってやつ?」

 ふぅ、とため息。
 さっきまでの言葉には、バカにされてはいたけどまだ温かみが感じられた。
 今度の詰問は逆に、口調は軽いけれど確かな冷たさを湛えている。
 怖い。もしかしてこれ、怒られてるのか。
 いや、でもまだだ。もし今、やっぱりつまらない男だと思われているのだとしても……。

 僕はまだちゃんと本当のことを伝えてない。


「いえ、その……一ヶ月くらい前から、毎日……6回、です……」
「……は??」


 アヤネさんは僕の顔と下半身を交互に見る。
 ひいふうみい、右手の指を折り曲げて数え上げる。
 6回。親指から小指まで使ってもまだ足りない。
 彼女は左手の親指も追加で折り曲げて、「え、これ?」と言いたげに僕の眼前へ掲げた。

 僕はゆっくりと頷く。
 
「…………」
「…………」

 しばしお互いに何も言えなくなる。
 なんなんだ、この空気。
 告白したと思ったらそのまま下ネタでからかわれて、
 正直に自分の習慣を告げたら黙りこくられて。
 僕はどうすればいいんだ。

「あのねー……」

 耳元へ近づいた声の続きを、僕はじっと待つ。
 何度か声にならない空気の流れを感じたあと、彼女は言った。


「おたっち……そんなに溜まってるなら『援助交際』しよーよ♡」

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