出水探偵事務所の受難

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第四章・失律聖剣

1話 その依頼者、リブラ

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 扉を開ける音が探偵事務所内に響く。それを聞いた出水は外に向けていた視線を前に戻し、来客を待った。
 そして入ってきた来客の姿を見て、出水は思わず息を飲んだ。
 何故なら、来客の姿形は極彩色の雨を被ったように派手だったからだ。パーマがかかった髪の色はショッキングピンク、コートは黄色をベースに何本もの深い青の斜線が引かれたデザインをしており、ズボンはというと青の下地に薄緑色の星形の模様が所狭しと張り付いている。
 そんな絵の具箱の中から出てきたような男が来客として、出水探偵事務所の中で立っている。
「出水探偵事務所ハココニイル、イヤ、アル、トイウコトデアッテイルカ?」
「合っていますよ。それで、何の御用で?」
「…探し物ダ」
「成る程、探し物…では、貴方のお名前は?」
「『リブラ』、ダ。スマナイナ、カタコトデ…」
 そう言ったリブラは、どかっと出水の向かいのソファに座ると、おもむろにコートの内ポケットから写真を取り出した。
「フゥー…探シテモライタイノハ、コレダ」
 それは、一冊の古びた分厚い本を写した写真だった。
「コノ写真ニ写ッテイル本ヲ探シテ欲シイ」
「成る程…手がかりは他になんかありますか?」
「俺ノ家ニアル」
「え?」
「俺ノ家ニアル本ヲ見失ッテシマッタ、トイウコトダ」
「…えーと」
 出水は言葉に窮した。家にあるとわかっているなら自分で探してくれ。という文句が口から飛び出しそうになったが、出水は我慢した。そして、ほんの少し探偵が必要な理由を考え、こう結論を出した。
「広い、ということであってるか?アンタの家が」
「アア。マア、ソノ、ナンダ、話スノガ遅クナッテシマッタガ、俺ノ能力デ実質広クナッタトイウカ…」
 出水はようやくここで合点がいった。
「…成る程。それじゃ私の案件、というわけだ。なら、アンタの能力の詳細を聞いて、受けるかどうか決定しよう」
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