出水探偵事務所の受難

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第三章・我校引線

24話 人類はモルモットに謝れるか?

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「それで私に何のようですか?」
「お前が呼んだんだろ。柱…」
 不愉快そうに目を細め、出水は用意された純白の椅子に座った。目の前にいる鏡の柱はそれを見て、にやっと笑う。
「フフフフ…そうでしたね。私は、私がもらった分を貴方にも分けてあげようと、貴方を呼んだのです」
 鏡の柱はそう言うと、すぐ横に鏡を作り、その中に手を突っ込むと、ある物を取り出した。それは、数え切れないほどの金貨だった。そして金貨を握り込んだ手を開き雨あられと出水の前に金貨を積もらせた。
「今回の褒美です。好きに使いなさい」
「待てよ」
 鏡の柱が金貨を落とすのをやめた。
「『もらった分』っつったよなお前?誰から貰ったんだ?」
 出水のその怒気を孕んだ問いかけに、鏡の柱は間を置いて、嬉々として答えた。
「そりゃ『ダーク』からです。賭けをしてたんですよ。貴方側が勝つか、闇の能力者が勝つか!」
「お前、全部仕組んでたろ。鈴の記憶を弄り!私と仲良くさせたのも、全て!」
「勿論勿論。で…?…それが、どうした」
 鏡の柱のわざとらしい敬語が消えた。その瞬間、鏡の間の中に重圧がかかり始める。
「貴方と私の力量の差は文字通り、月とスッポン…それがどうして『対等の関係になっている』と信じ込んだ?あ?」
 鏡の柱はニヤニヤと笑いながら殺気を放ち続ける。
「お前らニンゲンは、平気でモルモットを実験に使うよな?それと同じだよ。私がお前らモルモットを賭けの材料にして何が悪い。それが嫌なら、今すぐにでも首を掻き切って自害しろ。天国には私でさえ手は届かないからなぁ?フフフフ」
 そして柱は不意に真顔になると、奥にあるドアを指で指した。
「そこに置いてある金はあとでお前の家に送る。受け取れよ?私からの厚意だからな。言っておくが、私の機嫌次第でお前を永遠に拷問にかけて殺し続ける事だってできる。それが嫌なら何も言わずに、背を向けて、そこのドアから出て行け。今すぐにな」

 事件後、時墺によって殺された者たちが存在した証拠は、鏡の柱によって抹消された。遺族の殺された者たちを想う記憶は拭い取られ、出水などの関係者を除き全てが平穏な日常へと戻っていったのである。つまり、『誰も殺していない』のに何故か討伐案件に指定された闇能力者一の問題児『切り裂き魔・時墺鈴』を出水露沙という探偵が殺したという認識だけが世界に広まったのだ。
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