出水探偵事務所の受難

Authentic Line

文字の大きさ
49 / 65
第四章・失律聖剣

2話 リブラの能力

しおりを挟む
「はぁ、はぁ…本当にあるのか、お前の家は?」
「あるに決まってる」
「あるなら…ちゃんと道を作りなさいよ!」
 明日辺がそう毒づきながら、足元にある大きめの石を蹴り飛ばした。
 リブラ、出水、明日辺の3人は今、とある山の中腹あたりにいた。そこは樹海でもあるため、昼だというのにあたりは薄ぼんやりとした闇に覆われている。
 そんな暗さから、出水はイルデーニャ島のうっそうとしたジャングルを思い出していた。
「さっきも言ったように、俺の家は『秘密基地』でもある。秘密基地は隠れているから秘密基地なのだ。子供心を忘れるな」
「なかなか素敵な性格をお持ちのようで…『大人心』という思慮分別もあったら最高なのに」
「五月蝿いぞ」
「あ?あんたのほうがうるさいわよ!」
 明日辺とリブラがまた喧嘩をし始めた。出水はやれやれと頭に手を当てながらため息をついた。琵琶持は今別の案件の調査に走っているため、代役として今回は明日辺を指名したのだが、それは間違いだったかもしれない。
「明日辺…少し落ち着け」
「口を挟まないでもらえるか?この女と決着をつけたいのだ」
「ジョートーよ‼︎口喧嘩であんたを完全にぶっ潰してやるわ!」
「やめろやめろ‼︎そんな喧嘩をしてどーする!リブラ!目的地はもうすぐそこなんだろ?早く案内してくれ!」
「…わかった。明日辺よ、出水の介入に感謝するんだな」
「こっちのセリフよ‼︎」
「はぁ…」
 と、そうこう話しているうちに樹海がひらけた。
「おぉ…」
 そこには、大きな屋敷が建っていた。
「写真通り…まさか本当にあるとはな」
「お前も疑っていたのか出水?あると言ったろ」
 そう言いながら、リブラはポケットから鍵を取り出し、それを玄関の扉に差し込んで開け放った。
「ようこそ、我が愛しの住まいへ」
 その中は、本に埋め尽くされた図書館のような内装になっており、出水達はその壮観さに感嘆せずにはいられなかった。
「さて、俺が話した『扉本』は、アレだ」
 リブラが指差した先には、大人の背丈程大きい本が置いてあった。
「さて、準備をしてもらうぞ」
「本当に着なきゃダメなの?その…面倒臭いんだけど」
「着なかったら入れないぞ」
「…そうか」
 出水達二人はため息をつきながらカバンの中にある服を取り出すと、隣の部屋へ引っ込んでいった。

 数分後、出水と明日辺は中世風の街娘のような格好になって部屋から出てきた。
 それを確認したリブラは『扉本』に向かって一言、こう言った。
「『開け』」
 すると、その本がバラララと音を立てながら捲れていく。
「『止まれ』」
 そうリブラがまた命令すると、本はピタッと動きを止めて、あるページを開いた。リブラはその本の挿絵の前に進むと、そこにスルリと『入り込んだ』。それに出水達も続く。
 
 リブラの能力の名前は『夢想の描き手』という。それは、描かれてから100年以上が経過した絵本から、色々な物を取り出せたり、本の中に入り込めたりする能力である。

 リブラが住まいとしている絵本の中の部屋は、古風な作りで、色々な場所の彩度がとにかく高く、そんな部屋を見回すためには、出水達二人は瞬きを多めに取らねばならなかった。そして、窓の外には森林が広がっている。
「それじゃ手筈通り、俺の行動範囲内だけをお前らは探せよ?」
「というか…ツッコミ忘れてたんだけど、随分流暢に日本語話せるようになったわねアンタ…」
「あの日から1週間経ってるからな。仕上げてくるのは当然だろう」
「そこまで求めてない」
「俺の頭は特別性なんだ…ほら行った行った」
 出水と明日辺はそれに従った
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...