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第一章・蝶銃擬羽
4話 シンキングタイム
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クラブを鎮圧したその翌日、出水は情報整理課に居た。
「変な男から依頼があってずーっと嫌がらせしてたんだってさ」
出水は、明日辺に、明智から聞き出した情報を喋り始めた。
「ポロシャツを着た壮年の男で、二百万渡されたんだって」
「成る程ねぇ。そいつの写真とかないの?」
「ないわ。防犯カメラもつけてないから、映像も」
「手がかりが容姿の特徴だけとはね」
明日辺は、琵琶持が明智の供述を元にして描いてくれた男の似顔絵を眺めた。
「こいつって、なんだかニコニコしてて気味悪いわ。絶対コイツサイコパスよ」
「まぁ、それは置いといて、パソコンで調べてくれ」
「はぁ、りょーかい」
出水は情報整理課を出て警察署の自動ドアをくぐり、駐車場の黒い車に乗り込んだ。
「出して」
「わかりました」
車は琵琶持と出水を乗せ、ビルの間を塗って行く。
「準備は?」
「できました」
「んじゃ直行だな」
車が走る道はいつしか都会から田舎へと移り始めた。犯人の情報が多少なりとも見つかった。つまり、次に行う現場検証で、犯人の情報に肉付けを行う。
「え⁈出水さん⁈どうしてここに⁈」
「こんにちは伊座実さん。今日は現場調査に訪れました」
出水は鬱陶しげに、偶然鳥居の下で出会した伊座実を見た。
「予約もなしに…無理ですよ。今日は帰ってください」
「無理。どうせ青柳から聞いてるでしょ?出水探偵事務所の捜査手段は違法捜査って」
「け、警察呼びますよ⁈」
自分が疑われることを恐れて尻込みしているのだろう伊座実を見て、出水は心の底からため息を吐いた。
「落ち着きなさいって」
出水が一気に伊座実の懐へと詰め寄る。
「言っとくけど、あんたの『僕が捕まるのだけはマジ勘弁』『社会的信用を失うのはヤダ』見たいな心配はマジで的外れだからね⁈こっちはアンタみたいな人を大量殺人の犯人とは微塵も思ってないの。素直に私たちを信じなさい」
あまりの出水の剣幕に
伊座実は後退り、背後の段差に足を取られ尻餅をついてしまった。
「その尻餅は了承のサインととるわ。行くよ?琵琶持」
「かしこまりました」
伊座実は声を上げることもなく出水達を見送ることだけしかできなかった。
「いやはや…やはりと言うべきか、全く証拠臭いものが見当たらない」
「そうですね。血痕のついた床は全て張り替えたそうですし、それっぽい物は全て警察が持っているでしょう」
「ま、今日は証拠集めじゃなくて検証だけできれば良いし、見つかんなくても後で何とかするさ」
一昨日に伊座実から聞いた通り、森の開けた場所にある修行寺の周囲には、数多くの監視カメラが付いていた。何でも、6、7年前に起きた賽銭泥棒事件を受けての処置らしい。画質もなかなか高いため、これに映らず犯人が犯行を犯すことは不可能そうだ。犯人が『普通の人間なら』の話だが。
この世には、とある超越的存在に『異能』を授けられた、『能力者』という人種が存在する。そして、能力者達が超越的存在に出会った時、最初に言われる注意事項、それは『現実世界で能力を使って犯罪行為はするな』である。その禁を犯した者は、超越的存在からの依頼を受けた別の能力者に捕獲される。その後、捕獲した者の手元には超越的存在からの大金が転がり込むというわけだ。そして、特例だが自力で犯人を見つけ出して超越的存在にそいつを引き渡せば、同等の謝礼を貰える決まりがある。
それに目をつけた出水探偵事務所は、探偵業を営む傍ら、異能を持つ者の情報を鏡の柱より先に手に入れ、それを元に犯罪者を捕まえて金を手に入れているのである。
「変な男から依頼があってずーっと嫌がらせしてたんだってさ」
出水は、明日辺に、明智から聞き出した情報を喋り始めた。
「ポロシャツを着た壮年の男で、二百万渡されたんだって」
「成る程ねぇ。そいつの写真とかないの?」
「ないわ。防犯カメラもつけてないから、映像も」
「手がかりが容姿の特徴だけとはね」
明日辺は、琵琶持が明智の供述を元にして描いてくれた男の似顔絵を眺めた。
「こいつって、なんだかニコニコしてて気味悪いわ。絶対コイツサイコパスよ」
「まぁ、それは置いといて、パソコンで調べてくれ」
「はぁ、りょーかい」
出水は情報整理課を出て警察署の自動ドアをくぐり、駐車場の黒い車に乗り込んだ。
「出して」
「わかりました」
車は琵琶持と出水を乗せ、ビルの間を塗って行く。
「準備は?」
「できました」
「んじゃ直行だな」
車が走る道はいつしか都会から田舎へと移り始めた。犯人の情報が多少なりとも見つかった。つまり、次に行う現場検証で、犯人の情報に肉付けを行う。
「え⁈出水さん⁈どうしてここに⁈」
「こんにちは伊座実さん。今日は現場調査に訪れました」
出水は鬱陶しげに、偶然鳥居の下で出会した伊座実を見た。
「予約もなしに…無理ですよ。今日は帰ってください」
「無理。どうせ青柳から聞いてるでしょ?出水探偵事務所の捜査手段は違法捜査って」
「け、警察呼びますよ⁈」
自分が疑われることを恐れて尻込みしているのだろう伊座実を見て、出水は心の底からため息を吐いた。
「落ち着きなさいって」
出水が一気に伊座実の懐へと詰め寄る。
「言っとくけど、あんたの『僕が捕まるのだけはマジ勘弁』『社会的信用を失うのはヤダ』見たいな心配はマジで的外れだからね⁈こっちはアンタみたいな人を大量殺人の犯人とは微塵も思ってないの。素直に私たちを信じなさい」
あまりの出水の剣幕に
伊座実は後退り、背後の段差に足を取られ尻餅をついてしまった。
「その尻餅は了承のサインととるわ。行くよ?琵琶持」
「かしこまりました」
伊座実は声を上げることもなく出水達を見送ることだけしかできなかった。
「いやはや…やはりと言うべきか、全く証拠臭いものが見当たらない」
「そうですね。血痕のついた床は全て張り替えたそうですし、それっぽい物は全て警察が持っているでしょう」
「ま、今日は証拠集めじゃなくて検証だけできれば良いし、見つかんなくても後で何とかするさ」
一昨日に伊座実から聞いた通り、森の開けた場所にある修行寺の周囲には、数多くの監視カメラが付いていた。何でも、6、7年前に起きた賽銭泥棒事件を受けての処置らしい。画質もなかなか高いため、これに映らず犯人が犯行を犯すことは不可能そうだ。犯人が『普通の人間なら』の話だが。
この世には、とある超越的存在に『異能』を授けられた、『能力者』という人種が存在する。そして、能力者達が超越的存在に出会った時、最初に言われる注意事項、それは『現実世界で能力を使って犯罪行為はするな』である。その禁を犯した者は、超越的存在からの依頼を受けた別の能力者に捕獲される。その後、捕獲した者の手元には超越的存在からの大金が転がり込むというわけだ。そして、特例だが自力で犯人を見つけ出して超越的存在にそいつを引き渡せば、同等の謝礼を貰える決まりがある。
それに目をつけた出水探偵事務所は、探偵業を営む傍ら、異能を持つ者の情報を鏡の柱より先に手に入れ、それを元に犯罪者を捕まえて金を手に入れているのである。
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