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第二章・異国騒音
11話 カストロと雷獣、そして出水露沙
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「…賞賛に値するわ。カストロ、貴方が私に膝をつかせるとは」
床に転がるカストロを見ながら雷獣はそう言った。
「ぐ、ぐ…」
「立ち上がれないでしょう?さっき壁に叩きつけてやったからね」
尚も諦めずに落とした銃を拾おうとするカストロを見て、雷獣が抱いた感情は、愉快というより憐れみだった。羽をもがれた羽虫が懸命に生きようとしている。なんとも痛ましいな。と。
「ハァ、なんだか熱が冷めたわ。最後に言い残すことはある?」
カストロは、雷獣の言葉を無視して尚も銃を拾おうともがいている。
「全く、じゃ、また今度会いましょ」
雷獣はカストロに雷の速さで一気に近づき、頭を掴んで、ゴム膜をビリビリに引き裂いた。それと共に、ゴム膜と皮膚の間に溜まっていた血が地面に飛び散った。するとカストロは不可解なことを始めた。
「10…9…8…」
「何のカウントだ?お前‼︎」
「7…6…5…」
「何のカウントだと言っている‼︎」
静寂の中、カストロのカウントが迫っていく。
「4…3…2…1」
カウントはゼロになった。しかし、BBの地下は何も起こらない。
「最後に私を驚かせるとは…つくづく腹が立つ奴だ…!死ね!」
そのとき、雷獣は、下水道の空間内に響く、ゴリゴリと何かを削っているような音に気がついた。
「はぁ。予想が大外れた…!」
カストロのその声とともに、天井を突き破って現れた弾丸は雷の速さを超えていた。
「かっ…な、何が…弾丸…⁈」
弾丸に気づいた時にはもう遅く、雷獣の腹には大きな風穴が空いていた。雷獣は振り向き、背後の地面に空いた穴を呆然と見つめている。
「俺は元々格上のお前に勝てるとは思ってなかった。でも万に一つを追い求めてここに居た。でもやはり…お前を撃ち抜けるのはお前と同じ『化け物』だった、というわけだ」
私は負けた。これを悟った雷獣は遂に、絶望と怨嗟が入り混じった断末魔を上げ始めた。
「カストロォォオォオアァア‼︎」
「ありがとよ…出水」
カストロがそう独り言を呟いた瞬間、雷獣の身体は爆散して消えた。サンダーフォームであったためか、死体は全く残らなかった。
「対象死亡。スーパースナイプモードを解除します」
そう機械音声を出すと『アルテミス』は、出水の目に付けてあった装置を銃身に格納し、元のライフルの形に戻った。
「『アルテミス』元に戻れ」
「了解しました」
ライフルの銃身が折れ、どんどん四角い形に『アルテミス』は戻っていく。30秒後には元の完全な直方体に戻った。
「つくづく頭のおかしい武器だ…分厚いコンクリートをいとも容易く貫くなんて。奴と私の距離は10キロは離れていたぞ…」
雷獣は、雷の速さで動くことができ、その反射神経も迅雷の速度を誇る。そのため分厚いコンクリートという、ギリギリまでアルテミスの弾を隠すことができる遮蔽物と、カストロという『おとり』が必要だったのだ。残念なのは、カストロの大音波は、複雑な機構を持つ機械を壊してしまうため、囮であるカストロがそのままアルテミスを撃つのは不可能ということだった。
出水は銃の威力に若干引きながらも、下の夜景を眺めた。綺麗な夜景だ。だが、これからそれを楽しめる時間はないな。右腕がこれじゃ、海にさえ入れない。
出水は、火傷を負った右手を庇いながら、やっと歩き出した。
床に転がるカストロを見ながら雷獣はそう言った。
「ぐ、ぐ…」
「立ち上がれないでしょう?さっき壁に叩きつけてやったからね」
尚も諦めずに落とした銃を拾おうとするカストロを見て、雷獣が抱いた感情は、愉快というより憐れみだった。羽をもがれた羽虫が懸命に生きようとしている。なんとも痛ましいな。と。
「ハァ、なんだか熱が冷めたわ。最後に言い残すことはある?」
カストロは、雷獣の言葉を無視して尚も銃を拾おうともがいている。
「全く、じゃ、また今度会いましょ」
雷獣はカストロに雷の速さで一気に近づき、頭を掴んで、ゴム膜をビリビリに引き裂いた。それと共に、ゴム膜と皮膚の間に溜まっていた血が地面に飛び散った。するとカストロは不可解なことを始めた。
「10…9…8…」
「何のカウントだ?お前‼︎」
「7…6…5…」
「何のカウントだと言っている‼︎」
静寂の中、カストロのカウントが迫っていく。
「4…3…2…1」
カウントはゼロになった。しかし、BBの地下は何も起こらない。
「最後に私を驚かせるとは…つくづく腹が立つ奴だ…!死ね!」
そのとき、雷獣は、下水道の空間内に響く、ゴリゴリと何かを削っているような音に気がついた。
「はぁ。予想が大外れた…!」
カストロのその声とともに、天井を突き破って現れた弾丸は雷の速さを超えていた。
「かっ…な、何が…弾丸…⁈」
弾丸に気づいた時にはもう遅く、雷獣の腹には大きな風穴が空いていた。雷獣は振り向き、背後の地面に空いた穴を呆然と見つめている。
「俺は元々格上のお前に勝てるとは思ってなかった。でも万に一つを追い求めてここに居た。でもやはり…お前を撃ち抜けるのはお前と同じ『化け物』だった、というわけだ」
私は負けた。これを悟った雷獣は遂に、絶望と怨嗟が入り混じった断末魔を上げ始めた。
「カストロォォオォオアァア‼︎」
「ありがとよ…出水」
カストロがそう独り言を呟いた瞬間、雷獣の身体は爆散して消えた。サンダーフォームであったためか、死体は全く残らなかった。
「対象死亡。スーパースナイプモードを解除します」
そう機械音声を出すと『アルテミス』は、出水の目に付けてあった装置を銃身に格納し、元のライフルの形に戻った。
「『アルテミス』元に戻れ」
「了解しました」
ライフルの銃身が折れ、どんどん四角い形に『アルテミス』は戻っていく。30秒後には元の完全な直方体に戻った。
「つくづく頭のおかしい武器だ…分厚いコンクリートをいとも容易く貫くなんて。奴と私の距離は10キロは離れていたぞ…」
雷獣は、雷の速さで動くことができ、その反射神経も迅雷の速度を誇る。そのため分厚いコンクリートという、ギリギリまでアルテミスの弾を隠すことができる遮蔽物と、カストロという『おとり』が必要だったのだ。残念なのは、カストロの大音波は、複雑な機構を持つ機械を壊してしまうため、囮であるカストロがそのままアルテミスを撃つのは不可能ということだった。
出水は銃の威力に若干引きながらも、下の夜景を眺めた。綺麗な夜景だ。だが、これからそれを楽しめる時間はないな。右腕がこれじゃ、海にさえ入れない。
出水は、火傷を負った右手を庇いながら、やっと歩き出した。
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