出水探偵事務所の受難

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第三章・我校引線

13話 時墺鈴VS圧迫尋問

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「ム…やられてしまいましたか」
 鏡の柱は自分の部屋で一人、ため息をついた。
「やれやれ…私が支持する所に攻撃さえすれば…いや、子を思うあまり冷静さを欠いていたのでしょう。はぁー、だから人間は…面白い‼︎」
 瞬間、鏡の柱の口角が2メートルほど、凄い勢いでずり上がる。
「ふふふふふふ…いやはや…コレで私が干渉する必要も無くなったことでしょう。後は『ダーク』の下僕がどう走るか転ぶか…見ものですねぇ」

「琵琶持も襲われたのか⁉︎」
「はい。二人組の男女に事務所を強襲されました」
「マジかよ…!」
 出水はやっとスマホに出てくれた琵琶持の報告に驚いていた。
「そいつらの素性わかったか⁈」
「はい。外に止まってた車の中から身分証が出てきました故」
 琵琶持は、自分を襲ってきた夫妻の名前と年齢、職業を話した。
「内藤正義、そして京香、どちらも年齢は三十五、夫の方はサラリーマンで妻の方は専業主婦です。私たち裏の人間を襲う鉄砲玉にしては、随分とお粗末な出来でしたよ」
「こっちを襲ってきた浅雨凛太郎とかいう奴もそんな感じだ。襲ってきた理由を問い詰めようにも気絶しちまってるし…あ。スマホとかそいつら持ってない?」
 スマホの奥でゴソゴソと、何かを探る様な音がした後、琵琶持が「持っていました」と電話の奥で言った。
「よし、多分指紋認証か顔認証で開くから、中身を調べて写真で撮ってこっちに送ってくれ。後、植物園の樫の木の横にある草むらの中に、気絶した浅雨が居るから、事務所で尋問頼む。んじゃ」
 そう言うと、返事も聞かずに出水は電話を切った。
「よし。美術の時間も後5分で終了するし、時墺の安否確認に行くか」
 時墺のことを調べてる時に襲撃されたんだ。時墺に何かあってもおかしくは無いからな。出水はそう思った。

「いない⁈なんで⁈」
「いや、校長に呼ばれて行ったけど…」
「マジか…ありがと」
 クラスメイトにそう礼を告げると、出水は校長室に急いだ。
 怪しい校長と時墺の組み合わせ…何にも無いはずが無い!
 そう急ぎつつ、出水は校長室の扉のドアを開けた。
 そこにはソファに座る時墺と、高そうな肘掛椅子に腰掛けている狩野校長が居た。
「部屋に入るときはドアを叩くものだぞ…出水」
 側の折り鶴をいじりながら狩野がそう言う。
「時墺、あんた、なんかされなかった⁈」
「…されてないけど」
 昨日、狩野校長が怪しいと事務所で話し合っていたからか、時墺は狩野を十分に警戒してるな。
 出水はそう安心しつつ狩野を睨んだ。
「浅雨凛太郎は私がぶっ潰してやったわ」
「浅雨凛太郎…?浅雨有太の父親…かな?その人が君に潰された、か。君が何を言っているのか、私にはさっぱりだな」
 出水の鎌掛けにも動じず、狩野は冷静に受け答えをした。
「言っておくが、時墺くんをここに呼んだのは、貸している物が有ったから、それを返してもらえるように催促するためだ」
「貸している物…?」
 時墺が思わず呟く。
「忘れたのかね?私が…貸した『あれ』を」
 この受け答えを間違えたらヤバい。時墺と出水は同時にそう思った。
「『あれ』はね、とても重要な物だ。無くなった、としたら、私…引いてはこの学校でさえ『危うく』なるような…ね」
 狩野は逆光を背負いながら椅子から立つと、ソファに座っている時墺の背面に歩み寄った。そして、ゆっくりと時墺が座っているソファに手をかけた。
「もう一度言おう。忘れたのかね?」
「いや、覚えてはいるんですけど…」
 時墺のしどろもどろとした回答を聞いても、勿論狩野の追撃は止まない。
「覚えているのなら、その『物』の名前を言って欲しい。どうかな?」
「そ、それは…」
 時墺が答えに窮するのは当たり前である。時墺は記憶を鏡の柱に改竄されているので、『物』の名前などわかるわけがない。
「狩野先生…女子にそんなに詰め寄るとかセクハラですよ」
「うるさいぞ出水。私が欲しいのは君のアンサーではなく、時墺くんのアンサーだ。さぁ、『知っている』か『否』か。それを今、はっきりさせようじゃないか」
 どうする…?考えろ…!後10秒もすれば、時墺は何かボロを出すだろう。それを食い止める方法…!考えろ…!

 その時、窓ガラスがバリッと砕ける音が校長室に響いた。
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