出水探偵事務所の受難

Authentic Line

文字の大きさ
37 / 65
第三章・我校引線

14話 いつだって、子を思う親はマジ最強 【OVER TIME】

しおりを挟む
「イぃで水ゥ!お前を殺す‼︎」
「マジかよ…お前は‼︎」
 窓ガラスを突き破って部屋に入って来たのは先程自分が倒したはずの浅雨凛太郎だった。
「…生み出したボールを積み上げてここに入って来やがったのか…‼︎」
「殺ォす‼︎」
 出水はすぐさま校長室のドアを蹴破り、廊下に躍り出た。浅雨父もそれを追う。
「…邪魔が入ったか。よし、改めて君のアンサーを…あれ」
 狩野が振り向いた時には、ソファに座っていた筈の時墺は開けられたドアの方に立っていた。
「急用を思い出したので…失礼します‼︎」
 そして時墺は出て行った。
「…まぁいい。今は後回しだ」
 狩野は棚の鍵穴に鍵を差し込んで開けると、そこから麻酔銃を取り出した。
「時墺鈴…もしかして、記憶がないのか?そうとしか考えられないが…」
 
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
 三つの『アイズ』から放たれたレーザーが、螺旋を描いて一本のレーザーに収束されて行き、十メートル先の出水の頭を真正面から撃ち抜いた。
「さっきより強くなってんじゃねぇか…!」
 『One more time』で蘇った出水は冷や汗をかいた。浅雨凛太郎…こいつ、戦闘経験は無いように思えるが、その分私の命への執着がとてつもない。普通なら三日間眠り続ける薬を打ち込んだ筈だのに、それでも先程より動きが洗練されている。
「『アイズ』‼︎『スリーポイントレーザー』‼︎」
「いよいしょお‼︎」
 出水は放たれた極太レーザーを、後ろにのけぞることで回避した。
「凛太郎!お前の息子を人質に取られてるんだろう⁈安心しろ、私の友達に明日辺って奴がいて、そいつなら」
「信用できるか‼︎」
 浅雨父は出水の言葉を無視して更なる攻撃を送った。
「出水を囲め『アイズ』‼︎」
 その言葉とともに『アイズ』が出水の周りで跳ね始めた。
「…またかよ!」
 出水はすぐさま近くの教室に飛び込んだ。その瞬間、廊下から眩い光と轟音と熱風が溢れた。
 その音に驚いた生徒と教師が叫び声を上げる。
「きっ君っ‼︎これは一体…」
 教室で授業をしていた数学教師が出水にそう尋ねる。
「今は説明無理です‼︎」
 教師の問いに対してそう濁しつつ、出水は教室の空いている窓から外へ飛び出した。
「やれやれ…凛太郎め、的確に私に狙いをつけて来やがる!だが、麻酔が効いてないわけでは無さそうだ」
 実際、浅雨父の足取りは千鳥足で、足取りがおぼつかなかった。それでも私を殺すために立ち向かってくるとは、浅雨父の覚悟の強さが伺える。だが、覚悟の強さなら私とて同じだ。今やるべきは、『浅雨父を出来るだけ殺さずに無力化する』これだけだ!

 意識が朦朧とする。まるで視界に霧がかかっているように感じる。だが、俺は…有太のために、有太の為に、耐えなければならない…!
「出水ぅ露ぉ沙‼︎」
 血走った目をぎらつかせながら浅雨父が叫ぶ。冷静さや、周りへの配慮もなく、浅雨父は出水に対する殺意を心からたぎらせた。
「どこだ!殺してやる…!殺さなければ…!出水露沙‼︎」

 その時、学園のあちこちにある放送用スピーカーから音が響いた。
「凛太郎様、凛太郎様、出水さんからの伝言です。『屋内プールにお越しください』、『屋内プールにお越しください』。以上です」
 そう伝え終わると、時墺は放送室から出た。
「私の一声で放送室の鍵を渡してくれるとはね…やっぱり何かおかしいわこの学校…」
 そう独り言を呟くと、時墺はメールで送られて来た出水の指示を見つめた。
「頑張ってね露沙」
 時墺は願いを込めてそう言った。

 温室プールの入り口から、一つのバスケットボールが跳ねながら飛び込んできた。そのバスケットボールは跳ねるごとに増殖し、その上更なるボールたちが跳ねながら飛び込んでくる。
「…来たな。浅雨凛太郎!」
 数多のバスケットボールに身を隠している浅雨父の姿を見て出水はそう言った。
 現在、出水と浅雨父はプールを挟んで立っている。そして浅雨父にとって、この状況は有利としか言いようがない。何故なら出水の飛び道具は、『アイズ』の壁で防ぐことができるので、言ってしまえば、距離をとって次から次へと『アイズ』のレーザーを当ててしまえば良いのだ。
「『スリーポイント・レーザー』‼︎」
 収束されたレーザーが、周囲を薙ぎ払うかのように放たれる。出水はこれを難なく避けた。
「分裂しろ‼︎」
 が、その掛け声とともにレーザーが3つに分かれた。完全に不意を突かれた出水は一本のレーザーによって右肩から左横腹にかけて火傷を負った。
「がぁぁあぁああッ‼︎」
 出水は焼けるような痛みに思わず左手を火傷に添え、『アイズ』で身を覆う浅雨父と距離をとった。
「『距離を取る』イコール『お前の負け』だ!今度こそ死ね出水露沙ァ‼︎」
「来いよオラァ‼︎」
 浅雨父の叫びに、出水は渾身のシャウトで答えた。
 出水の策、それは結局のところ、『能力のゴリ押しで、とにかく相手に近づく』。ただこれだけである。
「『アイズ』‼︎爆ぜろ‼︎」
 浅雨父は10m先の出水のすぐ近くにあるアイズに向かってそう叫んだ。その瞬間、『アイズ』は赤熱を纏って爆裂した。
「こんどこそ…倒した」
 出水の近くで『アイズ』が爆裂したのを見届けると、浅雨凛太郎は前のめりに倒れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

処理中です...