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第四章・失律聖剣
14話 屋敷襲撃 その3
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「貴方達はもう逃げられないわ…ここに貴方達がいるともう言ってあるもの」
「…ッ‼︎だからどうした!」
「どうしたもこうしたもないわよ…サッサと降参して捕まって欲しいのだけれど?」
「冗談はお前の体だけにしろ不死鳥…‼︎」
「私の名前は『ルイン』よ…じゃ、冗談じゃない体にしましょうか」
すると、ルインの体は更なる炎に包まれた。そして、その中から美女が姿を現した。
「さぁ、行きましょうか」
人間態となったルインの周りに、数十もの火球が浮かび上がる。
「明日辺!先行ってろ‼︎」
「…‼︎…良いのね⁈」
「というかいない方が良い…!早くしろ‼︎」
「…わかったわ‼︎」
明日辺がそろりと動き出す。
「行かせるか‼︎」
そう叫びつつルインは素早く火球を明日辺に放った。
「こちらの台詞だ!」
怒鳴りながら出水は持っていた鉄の棒を火球に向かって投げて当て、それを消し去った。その隙に明日辺と猫は壁の向こうへ行ってしまった。出水は懐からもう一本の鉄の棒を取り出すとルインとキュバリエに手招きをした。
「さぁやろうか…!私はお前らに負けるほど弱くはないぞ‼︎」
「…チッ…面倒臭い…‼︎」
キュバリエ一人をここに残し、奴らを通せんぼしたいところだが、そうするとキュバリエが瞬殺される…‼︎私一人だとコイツを間違えて殺してしまう可能性がある…‼︎1%でもある確率に私はつまずきたくない。ルインはそう思いながら自分の周囲にエネルギーを溜め始めた。
「行くぞ…!」
出水が走り出す。それに合わせキュバリエも槍を突き出す。
「くどいぞキュバリエ!」
「黙れ‼︎」
高速で自分を突いてくる槍をこともなげに掴み取った出水はその槍を地面に向かって押しつけ、それに引っ張られたキュバリエの顔をしたたかに殴った。
「ぐ…ぅあぁあああ‼︎」
が、キュバリエは倒れることものけぞることもせず、尚のこと出水に向かって来た。
しょうがないので後ろに後退し、出水はまた相手の出方を伺う姿勢に入った。
それを見たルインはまた自分の周りに火球を生み出すと、それを素早くこちらに向けて投げてきた。
「クソ…!」
あいつが私に向けている火球は全て私に当てる気のないものだ。その目的は私の行動の制限…!そして制限によってできた隙をキュバリエの槍が突く。大変効果的な動きだが…それだけにわかった事が二つある。一つ目はルインの目的が『私を生け取りにすること』。これは確定だ。何故ならいくら私がキュバリエの攻撃を避けても、その際に出る隙を絶対にルインは狙ってこなかったし当てもしなかった。
そして出水はルインの火球が着弾した石の床を見た。石の床は、高熱にさらされドロドロに溶けている。
…こんな高威力の球を私にぶつけない理由など、生け取りくらいしか考えられない。
…だが、この説には致命的な弱点が存在する。それは…キュバリエの目的は生け取りではなく完全なる『殺害』ということだ。それは、今私の喉元に向かって伸びてくる槍が証明している。つまり、キュバリエとルインの目的が一致していない。これは…どういう事だ?二人の思考が全く読めない…‼︎
二つ目は、ルインの攻撃は加減が効かない事だ。まぁ一つ目の事実と丸被りの事実ではあるが、私は分けて考える。(好みの問題で)
「ハァ、ハァ…」
ルインの通行止め火球と、キュバリエの槍の連携をこれ以上避け続けるとジリ貧になるのは確定…‼︎クソっ!こんな状態じゃ、何か策を思いつく前にこちらの頭が疲れるぞ…‼︎
「流石に少し疲れてきたようですわね」
キュバリエがそう呟く。
「貴方を殺し、その血肉すべてをギレム様に捧げなければ私の気が収まらないので…貴方の身体にはできるだけ無惨な遺体になってもらい、その上見せ物にもなってもらいます」
「…面白い冗談だ。ギレムって男は冗談も教えてくれるのか?」
「さぁどうでしょう。会ってみたらスグわかりますよ」
「おー…こわ」
そして、出水とキュバリエは再びぶつかり合った。キュバリエが大きく口を開けて叫ぶ。
「殺す‼︎」
「やってみろよクソアマ‼︎」
「『プロミネンス・ボール』‼︎」
…!また私の逃げ道が火球によって塞がれる…‼︎…待て、これだ。これで行くしか無い‼︎
出水はキュバリエをあしらいつつ、キュバリエが着けている長いマントをむしり取った。そして、そのマントを大きくはためかせ、ルインと自分の前に放った。
これでルインと私とキュバリエを遮る膜が『一瞬』できた…!勝負は、ここで決める‼︎
出水は一瞬のうちにキュバリエの横っ面を殴り飛ばすと、更に鳩尾に左膝を突き込み、その上今度は顔面に向けて頭突きを喰らわせた。
どういうわけか、ルインはキュバリエに私を殺させたいらしいが…こうやって遮蔽物があればルインはどこに弾を撃つかわからない筈だ。そして『仕込み』も終わったことだし、これで執念の化け物のキュバリエは沈んだ。後は『One more time』のゴリ押しと私を殺せないというルイン側の思惑に付け込んで行く‼︎
マントが完全に地面に落ちるお、出水はルインの方に向き直った。そこには、見知らぬ仮面をつけた男が立っていた。
「ダーリン…⁈」
「いつまでかかっているんだルイン…まぁお前の練度だとそれが限界か…!」
仮面の男はカツカツと着けている髑髏のような仮面を爪で叩くと、ため息をついた。
「というかその仮面どうしたのよダーリン」
「貰った。着け心地が抜群にいい…いや、そんなことはどうでもいい。お前は下がってろ。コイツは俺が捕まえる」
そう言うと、仮面の男は出水の前に立った。
「何故、キュバリエがお前を殺そうとするのを、俺たちが黙って見ていたかわかるか?何故、俺たちがお前を生け捕りにしようとしているかわかるか?」
「知らないな」
「ふむ…まぁ、疑問に思っているだけ『合格』としようか」
瞬間、仮面の男が一気に距離を詰めてくる。出水は咄嗟にキュバリエが持っていた槍を手に取るとそれで仮面の男の斬撃を受け切った。
「うむ。…よし。答えは、『力試し』だ。そこに転がっている司祭の攻撃すら避けれないようじゃ、俺の計画には不要なんでな」
そして、仮面の男が一瞬力を抜いた。それに釣られ出水が体を前に出してしまうと、仮面の男は一瞬にして空いた出水の腹部を切りつけた。
「ぐ…‼︎」
吹き出す血が辺りを赤く染めていき、出水はなす術なく地面に仰向けに倒れてしまった。
「よし…このまま俺が治療をしない限りはお前の生存はあり得ない…だから大人しく俺たちに捕まえられろ…」
「…断る!…お前に従う道理は無い…‼︎」
「そうか。じゃあ無理矢理にでも連れて行くぞ」
仮面の男が剣を持っていない左腕で出水を掴もうと屈む。
出水は遂にここで負けを悟った。この怪我だと、死亡より気絶が先に来る。つまり、『One more time』の権能は使えない。クソ…!大勢は決した…私の勝ち筋はもう無い…‼︎ならば、少しでも情報を掴むしか…‼︎
出水は最後の力を振り絞って男の不意を突くと、その仮面に飛びつき、それを一気に引き剥がした。
「貴様…‼︎」
「…お前…」
仮面の男は思わず後ずさり、そして、そこから出水の腹に蹴りを入れ込んだ。
「ガハッ…」
「お前如きが見ていい顔じゃない…まぁ、能力に嵌めればそんなことも忘れるだろうし、意味はないか」
腹部から血を流しつつ気絶した出水を見下ろしながら、男は静かに剣についた血を拭った。
「ダーリンが出張ってくるなんて珍しいわね」
「…この女に嫉妬しているのか?」
「八割違うわね」
「二割入ってんのかよ…まぁ、この女はお前の火力では難しいと思ってな。元からこうやって行くつもりだった」
「へぇー貴方って昔から女付き合いが荒い方だけど、そんな顔で言われたらそうなのかもねぇ」
「うるさい。早く運べ。逃した明日辺は引き続き探せ」
「…ッ‼︎だからどうした!」
「どうしたもこうしたもないわよ…サッサと降参して捕まって欲しいのだけれど?」
「冗談はお前の体だけにしろ不死鳥…‼︎」
「私の名前は『ルイン』よ…じゃ、冗談じゃない体にしましょうか」
すると、ルインの体は更なる炎に包まれた。そして、その中から美女が姿を現した。
「さぁ、行きましょうか」
人間態となったルインの周りに、数十もの火球が浮かび上がる。
「明日辺!先行ってろ‼︎」
「…‼︎…良いのね⁈」
「というかいない方が良い…!早くしろ‼︎」
「…わかったわ‼︎」
明日辺がそろりと動き出す。
「行かせるか‼︎」
そう叫びつつルインは素早く火球を明日辺に放った。
「こちらの台詞だ!」
怒鳴りながら出水は持っていた鉄の棒を火球に向かって投げて当て、それを消し去った。その隙に明日辺と猫は壁の向こうへ行ってしまった。出水は懐からもう一本の鉄の棒を取り出すとルインとキュバリエに手招きをした。
「さぁやろうか…!私はお前らに負けるほど弱くはないぞ‼︎」
「…チッ…面倒臭い…‼︎」
キュバリエ一人をここに残し、奴らを通せんぼしたいところだが、そうするとキュバリエが瞬殺される…‼︎私一人だとコイツを間違えて殺してしまう可能性がある…‼︎1%でもある確率に私はつまずきたくない。ルインはそう思いながら自分の周囲にエネルギーを溜め始めた。
「行くぞ…!」
出水が走り出す。それに合わせキュバリエも槍を突き出す。
「くどいぞキュバリエ!」
「黙れ‼︎」
高速で自分を突いてくる槍をこともなげに掴み取った出水はその槍を地面に向かって押しつけ、それに引っ張られたキュバリエの顔をしたたかに殴った。
「ぐ…ぅあぁあああ‼︎」
が、キュバリエは倒れることものけぞることもせず、尚のこと出水に向かって来た。
しょうがないので後ろに後退し、出水はまた相手の出方を伺う姿勢に入った。
それを見たルインはまた自分の周りに火球を生み出すと、それを素早くこちらに向けて投げてきた。
「クソ…!」
あいつが私に向けている火球は全て私に当てる気のないものだ。その目的は私の行動の制限…!そして制限によってできた隙をキュバリエの槍が突く。大変効果的な動きだが…それだけにわかった事が二つある。一つ目はルインの目的が『私を生け取りにすること』。これは確定だ。何故ならいくら私がキュバリエの攻撃を避けても、その際に出る隙を絶対にルインは狙ってこなかったし当てもしなかった。
そして出水はルインの火球が着弾した石の床を見た。石の床は、高熱にさらされドロドロに溶けている。
…こんな高威力の球を私にぶつけない理由など、生け取りくらいしか考えられない。
…だが、この説には致命的な弱点が存在する。それは…キュバリエの目的は生け取りではなく完全なる『殺害』ということだ。それは、今私の喉元に向かって伸びてくる槍が証明している。つまり、キュバリエとルインの目的が一致していない。これは…どういう事だ?二人の思考が全く読めない…‼︎
二つ目は、ルインの攻撃は加減が効かない事だ。まぁ一つ目の事実と丸被りの事実ではあるが、私は分けて考える。(好みの問題で)
「ハァ、ハァ…」
ルインの通行止め火球と、キュバリエの槍の連携をこれ以上避け続けるとジリ貧になるのは確定…‼︎クソっ!こんな状態じゃ、何か策を思いつく前にこちらの頭が疲れるぞ…‼︎
「流石に少し疲れてきたようですわね」
キュバリエがそう呟く。
「貴方を殺し、その血肉すべてをギレム様に捧げなければ私の気が収まらないので…貴方の身体にはできるだけ無惨な遺体になってもらい、その上見せ物にもなってもらいます」
「…面白い冗談だ。ギレムって男は冗談も教えてくれるのか?」
「さぁどうでしょう。会ってみたらスグわかりますよ」
「おー…こわ」
そして、出水とキュバリエは再びぶつかり合った。キュバリエが大きく口を開けて叫ぶ。
「殺す‼︎」
「やってみろよクソアマ‼︎」
「『プロミネンス・ボール』‼︎」
…!また私の逃げ道が火球によって塞がれる…‼︎…待て、これだ。これで行くしか無い‼︎
出水はキュバリエをあしらいつつ、キュバリエが着けている長いマントをむしり取った。そして、そのマントを大きくはためかせ、ルインと自分の前に放った。
これでルインと私とキュバリエを遮る膜が『一瞬』できた…!勝負は、ここで決める‼︎
出水は一瞬のうちにキュバリエの横っ面を殴り飛ばすと、更に鳩尾に左膝を突き込み、その上今度は顔面に向けて頭突きを喰らわせた。
どういうわけか、ルインはキュバリエに私を殺させたいらしいが…こうやって遮蔽物があればルインはどこに弾を撃つかわからない筈だ。そして『仕込み』も終わったことだし、これで執念の化け物のキュバリエは沈んだ。後は『One more time』のゴリ押しと私を殺せないというルイン側の思惑に付け込んで行く‼︎
マントが完全に地面に落ちるお、出水はルインの方に向き直った。そこには、見知らぬ仮面をつけた男が立っていた。
「ダーリン…⁈」
「いつまでかかっているんだルイン…まぁお前の練度だとそれが限界か…!」
仮面の男はカツカツと着けている髑髏のような仮面を爪で叩くと、ため息をついた。
「というかその仮面どうしたのよダーリン」
「貰った。着け心地が抜群にいい…いや、そんなことはどうでもいい。お前は下がってろ。コイツは俺が捕まえる」
そう言うと、仮面の男は出水の前に立った。
「何故、キュバリエがお前を殺そうとするのを、俺たちが黙って見ていたかわかるか?何故、俺たちがお前を生け捕りにしようとしているかわかるか?」
「知らないな」
「ふむ…まぁ、疑問に思っているだけ『合格』としようか」
瞬間、仮面の男が一気に距離を詰めてくる。出水は咄嗟にキュバリエが持っていた槍を手に取るとそれで仮面の男の斬撃を受け切った。
「うむ。…よし。答えは、『力試し』だ。そこに転がっている司祭の攻撃すら避けれないようじゃ、俺の計画には不要なんでな」
そして、仮面の男が一瞬力を抜いた。それに釣られ出水が体を前に出してしまうと、仮面の男は一瞬にして空いた出水の腹部を切りつけた。
「ぐ…‼︎」
吹き出す血が辺りを赤く染めていき、出水はなす術なく地面に仰向けに倒れてしまった。
「よし…このまま俺が治療をしない限りはお前の生存はあり得ない…だから大人しく俺たちに捕まえられろ…」
「…断る!…お前に従う道理は無い…‼︎」
「そうか。じゃあ無理矢理にでも連れて行くぞ」
仮面の男が剣を持っていない左腕で出水を掴もうと屈む。
出水は遂にここで負けを悟った。この怪我だと、死亡より気絶が先に来る。つまり、『One more time』の権能は使えない。クソ…!大勢は決した…私の勝ち筋はもう無い…‼︎ならば、少しでも情報を掴むしか…‼︎
出水は最後の力を振り絞って男の不意を突くと、その仮面に飛びつき、それを一気に引き剥がした。
「貴様…‼︎」
「…お前…」
仮面の男は思わず後ずさり、そして、そこから出水の腹に蹴りを入れ込んだ。
「ガハッ…」
「お前如きが見ていい顔じゃない…まぁ、能力に嵌めればそんなことも忘れるだろうし、意味はないか」
腹部から血を流しつつ気絶した出水を見下ろしながら、男は静かに剣についた血を拭った。
「ダーリンが出張ってくるなんて珍しいわね」
「…この女に嫉妬しているのか?」
「八割違うわね」
「二割入ってんのかよ…まぁ、この女はお前の火力では難しいと思ってな。元からこうやって行くつもりだった」
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