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第四章・失律聖剣
15話 また囚われた探偵
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…出水が…死んだかもしれない。
明日辺はそんな嫌な可能性にカチカチと歯を鳴らしながら、ただ猫についていった。
嫌な考えがさっきからずっと頭の中に漂い続けている…そもそも、出水無しじゃ私は依頼を達成できない!
そんなことを考えていると、猫が一回だけ鳴いて立ち止まった。猫に向けていた視線を前に向けると、そこにはリブラが立っていた。
「…出水がいないようだが…何かあったのか?」
「…それが…」
明日辺はこれまでの経緯をリブラに全て話した。
「ふむ…出水が…」
「…とりあえず、仕事を引き受けた身として、貴方の依頼は完遂できるようベストは尽くすわ」
明日辺は俯きながらそう言った。
「…?何を言っている?明日辺」
「何って、トラブルにあったけど、貴方のことを優先的にやるって」
「いやいや、人が死にかけてるかもしれないんだ。助けに行くしかないだろう。俺の事情など後に回せ」
「リブラ…あんた」
その時、二人の頭上から一匹の鳥が舞い降りた。そして、リブラの耳元で鳴き始めた。
「ふむふむ…出水は殺されてはいないらしい」
「そ、そうなのね…」
「だが安心するには早い。出水はどこかに連れ去られた。あの仮面の男と『ルイン』がどのような態度で出水に接するか…不安しかない」
「…う」
出水は暗闇が広がる洞窟の中、目を覚ました。なんとなしに頭を掻こうと右腕を動かそうとしてみるが、動かなかった。顔を右腕に向けてみると、その手は鎖に繋がれている。
…感触からして、四肢全部が鎖に繋がれているようだ。
「出水露沙…」
声がした方に振り向くと、そこには、自分と同じように鎖に繋がれている男がいた。
「お前…誰だ?」
「俺はサーヴァロだ…前にも会っただろう」
「…!あの悪魔能力者の!…捕まったのか」
「見ての通りだ…元の世界じゃ指折りの能力者だったんだが、ここではそうもいかないらしい…」
そう言いながらサーヴァロはゆらゆらと繋がれた自分の右腕を振った。すると、奥から足音と共に仮面の男がやってきた。
「…おやおや中々話が弾んでいるようだが」
「…いつまで俺をここに繋ぐつもりだ。あろうことか女まで誘拐してくるとはな」
仮面の男はサーヴァロの嫌みを無視した。
「君達にはね、俺の儀式を守るボディガードとして活躍してもらいたい」
「誰がお前に手を貸すと言うんだ?…笑わせるなゴミ野郎が…‼︎」
「…そうか。まぁ、お前がどう答えようが、俺は自分の能力を発動させるがね」
瞬間、仮面の男の右腕からどろりと、ドス黒い液体が湧き出した。
「…何をする気だ‼︎」
「俺の能力『希望の英雄』は、周りから発せられる感情に応じて、この『黒水』を発生させる能力だ…」
仮面の男の右腕から地面に垂れた黒い水は、スルスルとひとりでにサーヴァロの元まで伸びていき、その体に張り付いた。
「…気色悪い…クソが…」
黒い水はサーヴァロの身体に怪しい紋様を描きながら体を包んでいき、ついにその全てを覆った。
「『黒水』には絶望の感情が蓄積されている…」
サーヴァロは黒い水の中でゴボゴボと口から空気を吐き出しながらもがいている。
「そんなものに包まれたら当然、人間はそれを弾こうと、絶望に対する苦しみの捌け口を苦しみながら探す…そして結果、俺が示した結果が訪れるまでその絶望が晴れないことを知り…俺に従順になる」
仮面の男の言葉通り、サーヴァロは段々ともがくことをやめていき、静止した。
「フン…まぁこれは『希望の英雄』の応用編…基礎として、できることはまだ他にあるがな。さて、次はお前だ」
「…クソが」
そして、また仮面の男の右腕から『黒水』が湧き出始めた。
明日辺はそんな嫌な可能性にカチカチと歯を鳴らしながら、ただ猫についていった。
嫌な考えがさっきからずっと頭の中に漂い続けている…そもそも、出水無しじゃ私は依頼を達成できない!
そんなことを考えていると、猫が一回だけ鳴いて立ち止まった。猫に向けていた視線を前に向けると、そこにはリブラが立っていた。
「…出水がいないようだが…何かあったのか?」
「…それが…」
明日辺はこれまでの経緯をリブラに全て話した。
「ふむ…出水が…」
「…とりあえず、仕事を引き受けた身として、貴方の依頼は完遂できるようベストは尽くすわ」
明日辺は俯きながらそう言った。
「…?何を言っている?明日辺」
「何って、トラブルにあったけど、貴方のことを優先的にやるって」
「いやいや、人が死にかけてるかもしれないんだ。助けに行くしかないだろう。俺の事情など後に回せ」
「リブラ…あんた」
その時、二人の頭上から一匹の鳥が舞い降りた。そして、リブラの耳元で鳴き始めた。
「ふむふむ…出水は殺されてはいないらしい」
「そ、そうなのね…」
「だが安心するには早い。出水はどこかに連れ去られた。あの仮面の男と『ルイン』がどのような態度で出水に接するか…不安しかない」
「…う」
出水は暗闇が広がる洞窟の中、目を覚ました。なんとなしに頭を掻こうと右腕を動かそうとしてみるが、動かなかった。顔を右腕に向けてみると、その手は鎖に繋がれている。
…感触からして、四肢全部が鎖に繋がれているようだ。
「出水露沙…」
声がした方に振り向くと、そこには、自分と同じように鎖に繋がれている男がいた。
「お前…誰だ?」
「俺はサーヴァロだ…前にも会っただろう」
「…!あの悪魔能力者の!…捕まったのか」
「見ての通りだ…元の世界じゃ指折りの能力者だったんだが、ここではそうもいかないらしい…」
そう言いながらサーヴァロはゆらゆらと繋がれた自分の右腕を振った。すると、奥から足音と共に仮面の男がやってきた。
「…おやおや中々話が弾んでいるようだが」
「…いつまで俺をここに繋ぐつもりだ。あろうことか女まで誘拐してくるとはな」
仮面の男はサーヴァロの嫌みを無視した。
「君達にはね、俺の儀式を守るボディガードとして活躍してもらいたい」
「誰がお前に手を貸すと言うんだ?…笑わせるなゴミ野郎が…‼︎」
「…そうか。まぁ、お前がどう答えようが、俺は自分の能力を発動させるがね」
瞬間、仮面の男の右腕からどろりと、ドス黒い液体が湧き出した。
「…何をする気だ‼︎」
「俺の能力『希望の英雄』は、周りから発せられる感情に応じて、この『黒水』を発生させる能力だ…」
仮面の男の右腕から地面に垂れた黒い水は、スルスルとひとりでにサーヴァロの元まで伸びていき、その体に張り付いた。
「…気色悪い…クソが…」
黒い水はサーヴァロの身体に怪しい紋様を描きながら体を包んでいき、ついにその全てを覆った。
「『黒水』には絶望の感情が蓄積されている…」
サーヴァロは黒い水の中でゴボゴボと口から空気を吐き出しながらもがいている。
「そんなものに包まれたら当然、人間はそれを弾こうと、絶望に対する苦しみの捌け口を苦しみながら探す…そして結果、俺が示した結果が訪れるまでその絶望が晴れないことを知り…俺に従順になる」
仮面の男の言葉通り、サーヴァロは段々ともがくことをやめていき、静止した。
「フン…まぁこれは『希望の英雄』の応用編…基礎として、できることはまだ他にあるがな。さて、次はお前だ」
「…クソが」
そして、また仮面の男の右腕から『黒水』が湧き出始めた。
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