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リネール
転生を繰り返すたびに
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王が倒れた宮殿内に一人の拍手が鳴り響いた。リネールたちはその方を向く。見たこともない男だった。
ちょっと長めの黒髪にワイシャツ姿の男は笑みを湛え、賛辞を贈る。
「いやぁ、良かった。良いものを見させてもらった」
王の手下か?
三人は混乱していた。この男をどう扱えばいいものか。
「やはり人間はいい。力を合わせギリギリの可能性を見極め遂行する。実に素晴らしい」
「な、何を言っているんだ?」
硬直を解きながらリネールは問う。
「君の今までの戦いは見させてもらっていたよ、ライカ―ル」
「何故その名前を……」
「そうか、こっちの姿の方が分かりやすいかな」
その男の姿が縮み、老人の姿へと変わっていく。
「その姿は!」
ライカ―ルの時代、彼が目にした長老サルバリムの姿だった。フラムの話を教えてくれた人物だ。
「私の目に狂いは無かった。君なら良質な物語を見せてくれると信じていたよ」
「どういう事だ?」
「三回もの転生は無駄ではなかったのだ」
「転生の事も知っているのか?」
リネールの話は突然のこと過ぎて理解が及ばない。
「ああ、転生を繰り返すたび、人は『神』に近くなると私は思っている。現に高次の能力者がいない事を私は疑問に思っていた」サルバリムの姿が元の壮年の男性に戻っていく。「神になれば人間に干渉する事が出来なくなると私は予測しているんだ」
「人々の戦いを見るために、フラムをバラまいたのか?」
「御明察。君は感が良い。普通の話では面白くない。私は人間の欲望を叶えるフラムをバラまくことで新しいドラマが生まれやしないかと思ったのだ」ゆっくりと歩きながら話を続ける。「私はかれこれ五回転生している。だがまだ神になりたくないのだ。人間に干渉してもっと壮大な物語が見たい」
「フラムを……、フラムをバラまいて、どれだけの人間が犠牲になってきたのか分からないのか!」
その時、エルドビスが動きを見せた。それを察知してサルバリムは動く。
「おっと、フラムは回収させてもらう。普通の人間も退場だ」
サルバリムが指を鳴らすと、オルスタとエルドビス、ランドナの姿が消えた。
「犠牲か……、人は生きるにあたって、誰かが犠牲にならないといけない存在なのだ」
「それを恣意的にやっているのが間違っているというんだ!」
「人は死んで転生するかもしれない。それに、いずれ死ぬなら自分の意志が叶うという希望を持たせる事は間違っているのか?」
「平和に生きたいものだっているのだ! 安寧でどれだけの人の心が安らぐのか分からないのか!?」
その時、倒れていた王の手が動く。その手はリネールの足首を掴んだ。
はっきりとした精神世界にリネールはいた。
そこには王とアンデベルグ・ベルド、見知らない二人の男性がいた。
王は口を開く。
「お前も転生者だったのか……。お前の正義は聞いていた」
「王……。お前も」
「私は私の正義の為に生きてきた。力を手にして仲間の平和の為に動いていたのだ」
「ムリスは……、ムリスはどうした!」
「申し訳ないが同じ病気を治すため、実験台になってもらった。彼は回復しつつある」
「そう……、だったのか……」
ムリスの無事を知り、リネールは安堵する。
「私は闘いの日々に疲れたのだ。守らなくてはいけない物があると力を行使しないといけない。すると誰かが傷つく。そんな日々に悩まされてきた」
「お前の正義か」
「私も長く生きてきて争いに倦んでしまったのだ。だが疲れ切っていた日々にお前のような存在が現れた。俺の正義を持って遂行して欲しい。私には融合・分離の能力も持っている。剣と盾の能力も私の睡眠の為、分離させたものだ。その他の私の能力を融合してあの男を倒し、平和な時代を作って欲しいのだ」
王たち四人は光満ち、小さく輝くものへとなっていく。それがリネールの胸部に吸い込まれていった。
「? どうした?」
「違うんだ」
「は?」
「私が求めていた物語は、こうではない!」
「私と戦うというのか?」
リネールは右手に剣を作り出した。
「ああ、私の最後の戦いだ」
リネールは脚力を生かしてサルバリムに肉薄し剣を振う。その剣はサルバリムを両断した。
「あっけない……」
だがサルバリムは笑みを浮かべている。
「私の能力も分からずに飛び込んできたのか」
違う場所にサルバリムは無傷のままで立っていた。
驚いたリネールは火球を放つ。火に包まれたサルバリムは、のたうち転げまわる。
「熱そうだな」
また別の場所にサルバリムが立っていた。
「幻覚か?」
「そう見えるだろう。私に攻撃する事は無駄だ。私と一緒に人々の物語を見ないか。感想を言い合える仲間が欲しい」
「生憎、それは私の物語ではない!」
リネールは何度も攻撃を続けた。悉くサルバリムは復活していく。
何か算段は無いのか!
ひたすら攻撃は続いた。段々、王の能力が自分の物になっていく。
リネールは掌を上に広げ結界を張った。
「貴様をここから逃がさない」
リネールの猛攻撃は続いた。徐々にだがサルバリムが回避の方向に進んでいる事に気づく。
効いているのか?
体内のエネルギーが切れ始めている事にリネールは気づいていた。
とうとうサルバリムが倒れていたアメルダを盾に取った。
「愛する女に攻撃は出来まい」
焦っている。サルバリムの幻覚のような力は有限ではない。
そう確信したリネールはゆっくりと近づく。
「こうなったら、この女の能力を奪って……!」
サルバリムとアメルダが融合する。そして一つになりサルバリムは立ち上がって吠える。
すぐにサルバリムの身体が硬直した。
「な……んだ……」
「ラーサニアの二つ目の能力を書かせてもらった。転生者の固定だ」それはリネールの三つ目の能力だった。「私の三つ目の能力は物語改変だ!」
「そんな神の如き力を……」
「その力、返してもらおう」
「私から能力を奪うのか!?」
リネールはサルバリムの傍に来た。
「逆だよ」
「えっ……」
「『神』になれ」
リネールはサルバリムに触れ、アメルダの能力を抜き、自分が持つ殆どの能力を渡した。
「止めてくれ! 私はまだ『神』になりたくない!!」
「傍観者は傍観者を貫け」
サルバリムの身体は光に包まれ消えていった。
ちょっと長めの黒髪にワイシャツ姿の男は笑みを湛え、賛辞を贈る。
「いやぁ、良かった。良いものを見させてもらった」
王の手下か?
三人は混乱していた。この男をどう扱えばいいものか。
「やはり人間はいい。力を合わせギリギリの可能性を見極め遂行する。実に素晴らしい」
「な、何を言っているんだ?」
硬直を解きながらリネールは問う。
「君の今までの戦いは見させてもらっていたよ、ライカ―ル」
「何故その名前を……」
「そうか、こっちの姿の方が分かりやすいかな」
その男の姿が縮み、老人の姿へと変わっていく。
「その姿は!」
ライカ―ルの時代、彼が目にした長老サルバリムの姿だった。フラムの話を教えてくれた人物だ。
「私の目に狂いは無かった。君なら良質な物語を見せてくれると信じていたよ」
「どういう事だ?」
「三回もの転生は無駄ではなかったのだ」
「転生の事も知っているのか?」
リネールの話は突然のこと過ぎて理解が及ばない。
「ああ、転生を繰り返すたび、人は『神』に近くなると私は思っている。現に高次の能力者がいない事を私は疑問に思っていた」サルバリムの姿が元の壮年の男性に戻っていく。「神になれば人間に干渉する事が出来なくなると私は予測しているんだ」
「人々の戦いを見るために、フラムをバラまいたのか?」
「御明察。君は感が良い。普通の話では面白くない。私は人間の欲望を叶えるフラムをバラまくことで新しいドラマが生まれやしないかと思ったのだ」ゆっくりと歩きながら話を続ける。「私はかれこれ五回転生している。だがまだ神になりたくないのだ。人間に干渉してもっと壮大な物語が見たい」
「フラムを……、フラムをバラまいて、どれだけの人間が犠牲になってきたのか分からないのか!」
その時、エルドビスが動きを見せた。それを察知してサルバリムは動く。
「おっと、フラムは回収させてもらう。普通の人間も退場だ」
サルバリムが指を鳴らすと、オルスタとエルドビス、ランドナの姿が消えた。
「犠牲か……、人は生きるにあたって、誰かが犠牲にならないといけない存在なのだ」
「それを恣意的にやっているのが間違っているというんだ!」
「人は死んで転生するかもしれない。それに、いずれ死ぬなら自分の意志が叶うという希望を持たせる事は間違っているのか?」
「平和に生きたいものだっているのだ! 安寧でどれだけの人の心が安らぐのか分からないのか!?」
その時、倒れていた王の手が動く。その手はリネールの足首を掴んだ。
はっきりとした精神世界にリネールはいた。
そこには王とアンデベルグ・ベルド、見知らない二人の男性がいた。
王は口を開く。
「お前も転生者だったのか……。お前の正義は聞いていた」
「王……。お前も」
「私は私の正義の為に生きてきた。力を手にして仲間の平和の為に動いていたのだ」
「ムリスは……、ムリスはどうした!」
「申し訳ないが同じ病気を治すため、実験台になってもらった。彼は回復しつつある」
「そう……、だったのか……」
ムリスの無事を知り、リネールは安堵する。
「私は闘いの日々に疲れたのだ。守らなくてはいけない物があると力を行使しないといけない。すると誰かが傷つく。そんな日々に悩まされてきた」
「お前の正義か」
「私も長く生きてきて争いに倦んでしまったのだ。だが疲れ切っていた日々にお前のような存在が現れた。俺の正義を持って遂行して欲しい。私には融合・分離の能力も持っている。剣と盾の能力も私の睡眠の為、分離させたものだ。その他の私の能力を融合してあの男を倒し、平和な時代を作って欲しいのだ」
王たち四人は光満ち、小さく輝くものへとなっていく。それがリネールの胸部に吸い込まれていった。
「? どうした?」
「違うんだ」
「は?」
「私が求めていた物語は、こうではない!」
「私と戦うというのか?」
リネールは右手に剣を作り出した。
「ああ、私の最後の戦いだ」
リネールは脚力を生かしてサルバリムに肉薄し剣を振う。その剣はサルバリムを両断した。
「あっけない……」
だがサルバリムは笑みを浮かべている。
「私の能力も分からずに飛び込んできたのか」
違う場所にサルバリムは無傷のままで立っていた。
驚いたリネールは火球を放つ。火に包まれたサルバリムは、のたうち転げまわる。
「熱そうだな」
また別の場所にサルバリムが立っていた。
「幻覚か?」
「そう見えるだろう。私に攻撃する事は無駄だ。私と一緒に人々の物語を見ないか。感想を言い合える仲間が欲しい」
「生憎、それは私の物語ではない!」
リネールは何度も攻撃を続けた。悉くサルバリムは復活していく。
何か算段は無いのか!
ひたすら攻撃は続いた。段々、王の能力が自分の物になっていく。
リネールは掌を上に広げ結界を張った。
「貴様をここから逃がさない」
リネールの猛攻撃は続いた。徐々にだがサルバリムが回避の方向に進んでいる事に気づく。
効いているのか?
体内のエネルギーが切れ始めている事にリネールは気づいていた。
とうとうサルバリムが倒れていたアメルダを盾に取った。
「愛する女に攻撃は出来まい」
焦っている。サルバリムの幻覚のような力は有限ではない。
そう確信したリネールはゆっくりと近づく。
「こうなったら、この女の能力を奪って……!」
サルバリムとアメルダが融合する。そして一つになりサルバリムは立ち上がって吠える。
すぐにサルバリムの身体が硬直した。
「な……んだ……」
「ラーサニアの二つ目の能力を書かせてもらった。転生者の固定だ」それはリネールの三つ目の能力だった。「私の三つ目の能力は物語改変だ!」
「そんな神の如き力を……」
「その力、返してもらおう」
「私から能力を奪うのか!?」
リネールはサルバリムの傍に来た。
「逆だよ」
「えっ……」
「『神』になれ」
リネールはサルバリムに触れ、アメルダの能力を抜き、自分が持つ殆どの能力を渡した。
「止めてくれ! 私はまだ『神』になりたくない!!」
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