エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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二日目

第7話

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 午前の講義が終わり、僕は昼飯をスルーしてある男を探しにサークル棟にやってきていた。
 目当ての場所は三階の奥地、ゴミの溢れかえった廊下の先にある【現代遊戯研究会】。
 クリーム色の扉を開けて中に入ると、奥の窓も含めて壁面びっしりの二次元美少女のポスター。
 壁際の床とテーブルには雑多に積み上げられた雑誌やエロ同人誌……。
 我が城東大学の誇る(誰が?)ザ・おたくの秘密基地に潜入したのは訳は他でもない。

「お、やっぱここに居たか宇津井」

 奥の方でパンの耳をカリカリしながらスマホに集中している、ガリガリに痩せた長身に角刈り頭にメガネのオタ男。
 奴こそがエロクエ全国ランクにその名を轟かせる雁首珍好こと宇津井仁、2年生ながらこのサークルの部長も任されている生粋のキモオタ。
 奴は数秒後、僕を一瞥してただけで又スマホに集中しだした。

「おい……無視かよ」

 まぁ、こういう男だというのは理解してるので驚きはしない……てか、僕の方からこいつに話しかけるのって、もしや初?!
 そもそもからして、こいつとの初遭遇も入学式後に突然「さてはお主……無類のエロクエ大好きっ子でごサルな!」と、話掛けてき……まぁこの話は長くなるのでよしておこう。

 しばらく、そのへんに落ちてる古いアニメ誌なんかを読みながら待っていると……。

「おやおや! 無類のデカチチ好きの雄介殿がサクラたんでハァハァなさるとは! 実はロリもイケるくちだったのですな!」
「うわっ! 音もなく近づくなよ宇宙人! しかも咲良……って、このキャラが桜って名前なのか」

 気づかぬうちに突然うしろから覗き込んできた宇津井、ちなみに宇宙人とはこいつのあだ名。

「吾輩を宇宙人とは心外な! ママンからは『フォーリング・ダウンのときのマイケル・ダグラスに似てるわ!』と巷で評判のナイスガイに向かって何たる侮辱!」
「そうやって例えに訳わかんねぇことばっかほざいてるから宇宙人言われるんだろ!」
「っと! 無駄口はそのくらいにして、本題を話したらどうかね雄介殿」

 宇津井は急に無表情になり、メガネをクイッと引き上げた。
 まったく、こいつは人を小馬鹿にするのを生き甲斐としているんじゃないだろうか?

「実は、目の前に突然スマホゲーみたいな画面といったらいいのか? が現れるように成ったんだが、こんな話を聞いたことあるか?」
「ああそれなら、奏とかいうキザなあん畜生が同じようなことを申しておったな。流石の吾輩でも、何を言っているのだ此奴はと汚物を見る目で其奴を蔑んで……」
「えっ?! お前の方が先に話聞いてたのかよ!」

 まさか、奏が宇津井に聞いていたなんて! どう転んでも、住む世界が違い過ぎる二人なのに!
 予想を斜め上行く展開に、僕は言葉を失った。

「おやおや~嫉妬かね雄介くん♡ しかし、心配なさるでない雄介殿のようや心の友ではござらぬぞ? 一時、我がエロクエのギルドメンバーに入っていたが、毎日ログインすらマトモにこなせないお荷物だったので一週間も経たずに追放処分にしたのである」
「それって何時の話だよ?」
「あれは先年の新緑薫る時期……」
「そっちじゃなくて、ゲーム画面の話の方!」
「最初は先々週の金曜日辺りだったか? いきなり部屋に飛び込んできて……」
「おいおい最初って?! 何度も話しあったのか?」
「吾輩の助言が役に立ったとかで、週明け、つまり翌週の月曜から毎日相談しに通ってきおった。それも、先週の土曜日に今までありがとうとかなんとかくだらない通知が来たのが最後でここ2日は……」
「なんてこった……。親友だと思ってた奏が、僕には全くといって良いほど頼りにせず、こんな変態オタクに相談していたなんて……」
「その変態紳士に相談しに来たお主はどうなのかね? あぁっん?」

 宇津井は煽るように、僕に顔面を近づけて何度も首をシャクってみせた。
 ぐぬぬ……。
 めっちゃムカつくが、奴の言うとおりなので返す言葉もない。
 しかし、奏のやつも少しくらい相談……いや、アイツが話してくれたときに丁度、咲良が近づいて来たから僕は真剣に向き合わず、逃げるようにしてその場を離れたんだ。
 あの時、真剣にやつの話を聞いてやれば……いや、だからといって奏が助かったとは限らない。
 でも、奏が宇津井に相談したことが上手く行っているようで逆効果だったとしたら?
 僕は未だに顔を超接近させている宇津井の目を見据えた。

「それで、どんな助言をしたんだ?」
「それは……」
「それは?」
「それはだね……」
「勿体つけずに早く言えよ宇津井!」
「すまんすまん、冷静にもう一度言うのはちょっと照れくさいでござるゆえ~」

 そう言いながら宇津井は気持ち悪く体をクネクネさせていたが、ようやく気を取り直したか、堂々と胸を張って僕に右手の人差し指をビシッと突き出し、

「漢ならソープに逝けっ!」

 と声を裏返しながら叫んだのであった。
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