エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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第一章

6

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「はっ? なに言ってんの」
「だって! 美波先生って、すぐやらせてくれそうなロリかわな顔に、男の欲望を具現化したみたいなエロい身体してるじゃないですか? 
しかも男好きのヤリマンで、すぐ近くにいる男性を誘惑するのが趣味なんですよ? 四月に着任したばかりの立花先生とも直ぐに体育倉庫でまぐわるくらいだし」
「だから違うっ……」

 饒舌な一条院さんに対して、ボソッと反論する美波先生。
 ああこれ、痴話げんかってやつ?
 たぶん一条院さんが好きな先生を美波先生が横取りしちゃったってかんじなんかな。
 とりあえず場をおさめるために何か言わんと。

「残念ながら僕にはかわいい彼女がいるから、そういうことにはならないよ」
「うっそだー! せんせー童貞くさいし!」
「いま言ったの誰だっ? うそじゃねぇしっ! 童貞じゃねぇしっ!」
「うそついてんじゃねぇ~!」「証拠をみせろー!」「そうだそうだ!」

 くっ……集団の圧が凄くて、このままじゃ言い負かされてしまう。
 だいたい付き合ってる証拠なんてどうすりゃいいんだ?

「写真は? スマホに写真ない?」

 美波先生がボソッと囁いてきた。

「あっ、そうか!」

 僕はズボンのポケットをまさぐりスマホを取り出した。

「控えおろう! この写真が目に入らぬかっ!」
「「おお――!!」」

 スマホを印籠みたいに突き出すと、メスガキ共は身を乗り出して待ち受け画像を凝視した。
 ふっ……ガキどもがっ! 大人に口答えするなど百年早いんだよ!

「なにこれ超かわいい!」「超美人!」「こんなに可愛けりゃきらりんなんて眼中にないか」「モデルか何かしてんのかなぁ?」「いやこれ、カメラの方向いてないし盗撮じゃね?」「他人のSNSからパクったとか?」「ストーカーってやつ?」

 確かに目線がカメラの方を向いてないけど、それは咲良が恥ずかしがって……。
 どうやら超絶美少女過ぎて、信じてもらえないようだ。
 と、ここで一条院さんが呆れ顔で僕にたずねてくる。

「ツーショットとか無いんですか? キスしてるところとか?」
「まだ付き合い始めたばかりで、それに、彼女恥ずかしがり屋さんだから……」
「うわっキモッ!」
「誰だ?! キモいとか言ったやつ!」
「挑発に乗っちゃダメ猪狩くん!」
「くっ……」

 くっそ、このままじゃ僕が一方的に咲良を彼女だと思い込んでる変態ストーカー野郎にさせられてしまう!

「明日! 明日になったらツーショット持ってくる! それなら信じてもらえるかな?」
「ハメ撮りなら許す!」
「おいコラッ!」
「じゃあ、最低でもキスしてる写真を持ってきて猪狩先生? 持ってこれなかったら私たちのお願い事、何でも聞いてよね?」
「な、何でもはちょっと……」
「別に死ねとか百億円持ってこいとか言わないから安心して先生? まぁ、今回は一つだけで許してあげる」
「まぁ、そのくらいなら……って、何で僕だけ罰みたいなんあるんだ?!」
「うーん、そうだなぁ。それじゃぁ……ちょっと、こっち来てくれますか?」
「え? なに?」
「他の人に聞かれたくないんで」

 窓際一番前にある一条院さん……って、もうさん付けしなくてもいいか?
 一条院の机に向かうと、彼女は僕の耳に向かってこっそり、

神楽かぐらの身体、好きに使っていいよ♡」

 と、呟いてきた。

「神楽?」
「2年C組学級委員長の一条院神楽いちじょういんかぐらです。よろしく猪狩先生♡」

 目を細めてクスクス笑う彼女に僕はドキッとさせられる。
 昨夜のサクラといい、なんか小悪魔系に翻弄されてばかりな今日この頃。
 まぁ、キス写真なんて楽勝っしょ?
 と、この時点で僕は安易に考えていた……。

 激動のホームルームが終わり、一限目はそのまま2-Cで僕が国語を担当する。
 授業に入ると、とりあえずは停戦ということなのか? 生徒たちはおおむね静かに僕の話を聞いてくれていた。
 しかし、

「えっと、次は氷室伊ひむろいさん読んでくれますか?」

 それまでスムーズに進行していったのに、氷室伊さんが続けてくれない!
 緊張気味でそれまであまり生徒の方を見ないでいた僕は、恐る恐る座席表から視線を上げた。
 氷室伊さんらしき席には、吊り目気味のモデル系ショートヘア――確かホームルームで一条院さんに続いて声を上げた――が頬杖をついてぼんやりと窓の外を見ていた。
 ちょっと怖い感じのする子だけど、僕は勇気をだしてもう一度声を掛けてみる。


氷室伊紫苑ひむろいしおんさん!」
「あっ……」
「続きを読んでもらえます……でしょうか?」
「ふっ……どこからですか?」
「えと、42ページの後ろから3行目からお願いします」

 くっそ! なんかすっげぇ見下した目で見てきやがって!
 ビビッて、クソ丁寧に話しかけちゃったじゃないか!
 なんか周りの生徒もクスクス笑ってるし、完全に舐められてしまったやないかい!
 そもそも、何処から読むとか聞く前に謝るのが……。
 ってな具合に、些細な事はあったけれど……。

 その後も午前中は他の二年生クラスを回り、何事もなく時が過ぎていった。
 ようやく昼休みになり、僕はトイレの個室に籠ってまずは咲良に電話してみた。
 
「もしもし咲良?」
「あら雄介くん? 昨夜のこと思い出してまたパコりたくなっちゃったの?」
「あっ! おまっ、まだサクラなのかよ?!」
「当たり前でしょ? 雄介くん、あんなにいっぱい愛してくれたんだもん♡ まだまだあなたの愛のパワーが子宮の中でキュンキュンしてるんだよ?」

 ああそうか、初めては午後の3時くらいが最後だったけど、昨日は0時過ぎまでやってたからなぁ……。
 今日の深夜にならないと元に戻らないかもしれない。
 下手にサクラにキスしてくれなんてお願いしたら、そのまま逆レイプされかねない。

「ねぇねぇ雄介くん♡ 私カラダが熱くなってきちゃった♡」
「んじゃまた掛けるは!」
「ちょっと! テレホンセッ……」

 考えを変えた僕はサクラとの通話をガチャ切りし、宇津井にメッセージを送ることにした。

雄介――写真を合成するとか出来る?
珍好ちゃん――もちろんでござるとも!
雄介――返信はや! なんで口調が戻ってんだ?
珍好ちゃん――何処から覗かれているとも限らんでござるからなぁ! 用心のためでござるよ。
珍好ちゃん――拙者と雄介殿の脳内通信でござれば元の口調も可能でござるぞ?
雄介――いや、出来るだけ緊急時以外はアレは使いたくない。

 だって、生理的にキモいんだもん!

雄介――ところで、僕と咲良がキスしている写真を合成してほしいんだ。
珍好ちゃん――了解したでござる。出来たらメッセージに添付して送るでござる。
雄介――りょ。
珍好ちゃん――ところで雄介殿、女子高で便所飯するのは逆に変態度が高まるのでオススメしないでござるよ?
雄介――なんで知ってんだ?! おま視神経には干渉できないって言ってたじゃん!
珍好ちゃん――見えなくても雄介殿の行動は簡単に予想がつくでござるよ。

 くっ……まだ鞄の上に置いた弁当を食べ始めて無いから便所飯じゃねぇしっ!
 それにホームルームのことで女子高生にビビってるんじゃなくて、妹の魔の手から逃れるためにここに籠ってるんだし!

珍好ちゃん――雄介殿、トイレに籠っていたのでは学園の雌ブタ共と性交する機会もやってこないでござるぞ? 敵に勝つためには、休み時間も足をつかって情報を集めるでござるよ。
雄介――うっせぇな! 分かったよ!
珍好ちゃん――雄介殿が勝ち上がらねば、拙者の野望も潰えてしまうでござるので、もっとしっかりしてほしいでござるよ。

「くっそ、どいつもこいつも」

 僕は弁当を鞄に戻し、洗面台で手と顔を洗って気合を入れ直す。

「よしっ! これもみんな咲良のためなんだ!」

 集団ではビビらされたけど、一対一なら怖くない!
 それに僕には魅惑の珍棒をはじめとした各種スキルやアイテムがある!
 素早く女の子たちを誘惑して、僕のチンポの虜にするのだ!

 自信を取り戻し、大股でトイレの外へと歩み出す。

「あ、お兄ちゃん。やっぱりここにいた!」
「え? 玖瑠美」

 さて、食堂に向かうぞと踵を返した僕の前に現れた実の妹。
 シュババッと僕に詰め寄り、ネクタイを絞り上げてきた。

「約束……分かってんでしょね?」
「とりあえず食堂でご飯食べてからにしないか?」
「え? 今、トイレで食べて来たんじゃないの?」
「お兄ちゃんのことを便所飯系男子みたいにいうな!」
「だって、鞄もってトイレから出て来たんだから、そう思うのが普通でしょ?」
「ともかく! 食堂で弁当食べても良いんだろ? 休み時間も情報収集するように宇津井に言われたから」
「まぁ、私もまだ食べてないし。一緒に食堂で食べてあげる」
「おまえ、いま手ぶらじゃん!」
「私の教室寄るに決まってんじゃん、馬鹿ねぇ」

 こうして、妹に捕まってしまった僕はこいつの友達らと一緒に食堂でランチをとるハメになったのだけど。
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