49 / 109
第一章
7
しおりを挟む
中央棟一階、玄関を挟んで職員室の反対側に食堂と売店がある。
わざわざ隣の棟まで妹の弁当を取りに行ってから戻ってきたのはまったく無駄な時間だったな。
まったく、妹の疑い深さには困ったもんだ。
しかも、僕の事情を知ってるこいつからクラスメイトには手を出すなと釘を刺される始末。
それなのに、一緒に食堂に来たこいつの友人3人ともみんな可愛い子ばかり。
その中の加代子ちゃんという、ショートボブの子がキラキラした羨望の眼差しを僕に向けている。
なんかすっげぇ簡単に落とせそうだけど、ヤッたら玖瑠美に殺されるかもしれん。
「お兄さんって、毎日玖瑠美ちゃんのお弁当作ってあげてるんですよね?」
「ああ、うちの母さん朝早いから」
「でもでも、栄養バランス考えて学食じゃなくてお弁当持たせてるんですよね? すごく妹思いのいいお兄さんだなぁ~って♡」
「外面《そとづら》だけ良いんだようちのバカ兄貴は」
「くるみんお兄さんの前でも同じなんだねぇ! ホントは大好きなのに、いつも強がってるとばかり思ってた」
「珠美ちゃん、こいつうちではもっと野生の猿みたいだから」
「おいっ!」
「……(笑)」
妹に頭を叩かれた僕を見て、それまで無口だったセンター分けの和風美人が口元に手を添えてお上品に忍び笑い。
この子の名前だけ分からんな。
まぁ手を出せないから関係ないか。
とまぁ、和やかに弁当を喰ってる場合じゃねぇ!
この子たちの情報集めても役に立たないんだから、何か役に立ちそうな情報を引き出せないもんかな?
「あの、ちょっとみんなに聞きたいんだけどさ。二年の美波先生や立花先生の事とか何か聞いたことない?」
「うーん、美波先生は美人だけどどんくさいってことくらいしか……、珠美なんか知ってる?」
「男子にはひそかに人気あるみたいですよぅ~。立花先生は4月当初はイケメンって話題になったけど、今は食堂の桐生様が……」
珠美ちゃんが向けた視線の先では、何やら女学生たちの人だかりが出来ている。
どうもカウンターの奥にある調理場を覗き込んでるようだけど。
「なにあれ?」
「5月の連休明けから来るようになったんですけど、若手俳優の檜川豪憲《ひかわごうけん》・通称ゴウくんに激似過ぎて、初めのうちはテレビのドッキリなんじゃとか……」
4月に着任したばかりの立花、5月になって現れた桐生。
どちらも怪しい。
この学園が会場になるのは前々から分かってたみたいだし、なんせこの時期に開始になったのも僕がサクラの性戦士《サーバント》に選ばれ待ちしていたからという事情もある。
もっと早く僕らが結ばれてたら、僕自身が4月から偽学生として潜入していたかもしれないと宇津井も言ってたくらいだし。
なんせ、日本を陰から支配する宇宙人の代理となる存在なんだから、予選を勝ち抜くためにイケメンに整形くらいしててもおかしくはない。
「ちょっと見てくる」
「え? もしかしてお兄さんってそっち系?!」
「違う違う! 兄貴はゴウくんファンなんよっ?」
妹の頓珍漢な助け船で彼女らによりいっそう誤解を受けてそうだが、攻略対象じゃない女子共はほっといて人だかりしているカウンターへ向かう。
女子の間を分け入っていくわけにもいかないので背伸びして奥を覗き込むと、洗い場の方で一生懸命に寸胴を洗うスラっとした大男の背中が見えた。
「きゃっ?! こっち見た!」「あんたを見たんじゃねぇしっ!」「きゃあきゃあ!!」
拳でワイルドに額を拭う姿がめっさキマってる!
マジで20代人気若手俳優のゴウくんそっくりだな。
逆にクリソツすぎて気持ち悪いくらい。
なんとかもっと詳しい情報を得たいけど、カウンターの奥まで行くのは難しそうだ。
さっきトイレで精液をポケットに仕込んできたんだけど、こんだけ衆人の目があるところで使うのは誤解されかねない。
素手を使わずにスポイトとか買ってきた方が良いのかな?
って、これじゃ変質者の手口じゃないですか……。
これ以上ここにいても無駄だなと判断し、僕は踵を返し席に戻る。
「おや?」
と、ここで視界の隅に男子学生の集団を捉えた。
配膳カウンターから一番遠い奥の方に固まっている、風采の上がらない十数人の男子学生たち。
皆が皆スマホを片手に特にお喋りするでもなく、昼飯を食べている。
うわー陰キャ丸出しじゃん! まるで昔の僕みたいじゃないか!
陰キャも2、3人じゃなく大勢集まってると不のオーラが凄い!
なんだか、居た堪れない気持ちで胸がいっぱいになっちゃうよ。
でもあんなモテなさそうな連中の中に僕のライバルが果たしているのだろうか?
ワザと偽装しているってこともあるかもしれないけど、男子学生の少ないこの学園じゃ返って目立ってしまう気もするけど。
「お兄ちゃん、何ボーっと突っ立ってんの?」
「ああ、玖瑠美。おま、あの連中に知りあいとかいる?」
「え? あの男子たち? クラスメートもいるっちゃいるけど、話したこと無いなぁ~加代子誰かしってる?」
「えっ?! 川崎君と保健委員で一緒だけど、あんまり話題が合わないっていうか」
「私も麻生君と隣の席だったから、何かぁ~共通の話題無いかなぁ~ってちゅーばー好きって言うからカビキン私も見るよ! って、言ったら。アサダチニャンニャンとかいうぶいちゅーばー? の話をメッチャ早口で語りだして、こっちはメッチャ恐怖だったよ~」
珠美ちゃん、それ人気Vチューバーの浅田魔猫《あさだまにゃん》ちゃんだよ。
どうも彼ら男子全員理系特待生だそうで、授業も別になることがけっこうあるそうだ。
どうも連中怪しくはあるが、僕の敵にはなりそうに無い感もあるんだよなぁ。
考えを巡らせながら頬杖をつきつつ連中を眺めていると、何やらキビキビとした十数人ほどの他の生徒よりスカートの丈が長めな女子集団が連中の席を取り囲んだ。
「アレは何?」
「あー、風紀委員倶楽部」
「風紀委員くらぶ?」
風紀委員の声は聞こえないけど、男子からの「すみません」とか、「どうすれば許してもらえますか?」とか、なんか穏やかならぬ声が漏れ聞こえてくる。
その後、3人の男子生徒が風紀委員に引っ立てられるみたいに食堂から連れ出されていった。
「なにあれ?」
「何だかよく分からないんだけど、ごっこ遊び?」
「風紀委員倶楽部は正規の風紀委員ではなくて同好会なんです。そもそもうちの学園に風紀委員なんてないですし」
「なんかぁ~、ネクタイが曲がってるとかワイシャツが出てるとか難癖つけてどこかに引っ張っていくんですよ~! 彼女たち確か全員3年生だったかなぁ?」
「何処かに連れ出した後はどうなるの?」
「3年生の階に連れてっちゃうから、私らじゃ分かんないよ」
「戻ってきた後の男子はどんな感じ?」
「いたって普通だよね?」
妹の問いかけに友達全員がうんうんとうなずいた。
なんだろう? とても怪しいぞ!
あのオタク連中の中に3年生を手懐けた策士がいるのだろうか?
お嬢様学校の生徒が自ら進んで下級生に調教まがいのプレイを強要するなんてありえないしな。
うーんまずいな。
あの調理場のイケメンもすでにファンが付いてるようだし。
ライバルたちが一人で十数人抑えているとなると、現在のところ妹一人分の保険しかない僕に勝ち目はあるのだろうか?
いくつか対策は考えて来たけど、なるべくなら正攻法で女の子たちを攻略したい。
「そのためにもまずはプロフィール集めだ!」
昼食を終えた僕は、ある場所へ向かおうと席を立った。
「どこ行くつもりお兄ちゃん?」
「いや、ちょっとほらっ」
「これから私が学園の中を案内してあげるんじゃない、忘れてた?」
僕の腕をギュッと捕まえて、ニッコリと微笑んでくる我が妹。
やはり逃れるのは無理なのか……。
「じゃ、行ってくるね、みんな!」
「お兄さんもバイバーイ!」
妹の友人たちに手を振り返す暇も与えられず、僕は妹に引っ張られ人気のない場所へと連行されるのであった。
わざわざ隣の棟まで妹の弁当を取りに行ってから戻ってきたのはまったく無駄な時間だったな。
まったく、妹の疑い深さには困ったもんだ。
しかも、僕の事情を知ってるこいつからクラスメイトには手を出すなと釘を刺される始末。
それなのに、一緒に食堂に来たこいつの友人3人ともみんな可愛い子ばかり。
その中の加代子ちゃんという、ショートボブの子がキラキラした羨望の眼差しを僕に向けている。
なんかすっげぇ簡単に落とせそうだけど、ヤッたら玖瑠美に殺されるかもしれん。
「お兄さんって、毎日玖瑠美ちゃんのお弁当作ってあげてるんですよね?」
「ああ、うちの母さん朝早いから」
「でもでも、栄養バランス考えて学食じゃなくてお弁当持たせてるんですよね? すごく妹思いのいいお兄さんだなぁ~って♡」
「外面《そとづら》だけ良いんだようちのバカ兄貴は」
「くるみんお兄さんの前でも同じなんだねぇ! ホントは大好きなのに、いつも強がってるとばかり思ってた」
「珠美ちゃん、こいつうちではもっと野生の猿みたいだから」
「おいっ!」
「……(笑)」
妹に頭を叩かれた僕を見て、それまで無口だったセンター分けの和風美人が口元に手を添えてお上品に忍び笑い。
この子の名前だけ分からんな。
まぁ手を出せないから関係ないか。
とまぁ、和やかに弁当を喰ってる場合じゃねぇ!
この子たちの情報集めても役に立たないんだから、何か役に立ちそうな情報を引き出せないもんかな?
「あの、ちょっとみんなに聞きたいんだけどさ。二年の美波先生や立花先生の事とか何か聞いたことない?」
「うーん、美波先生は美人だけどどんくさいってことくらいしか……、珠美なんか知ってる?」
「男子にはひそかに人気あるみたいですよぅ~。立花先生は4月当初はイケメンって話題になったけど、今は食堂の桐生様が……」
珠美ちゃんが向けた視線の先では、何やら女学生たちの人だかりが出来ている。
どうもカウンターの奥にある調理場を覗き込んでるようだけど。
「なにあれ?」
「5月の連休明けから来るようになったんですけど、若手俳優の檜川豪憲《ひかわごうけん》・通称ゴウくんに激似過ぎて、初めのうちはテレビのドッキリなんじゃとか……」
4月に着任したばかりの立花、5月になって現れた桐生。
どちらも怪しい。
この学園が会場になるのは前々から分かってたみたいだし、なんせこの時期に開始になったのも僕がサクラの性戦士《サーバント》に選ばれ待ちしていたからという事情もある。
もっと早く僕らが結ばれてたら、僕自身が4月から偽学生として潜入していたかもしれないと宇津井も言ってたくらいだし。
なんせ、日本を陰から支配する宇宙人の代理となる存在なんだから、予選を勝ち抜くためにイケメンに整形くらいしててもおかしくはない。
「ちょっと見てくる」
「え? もしかしてお兄さんってそっち系?!」
「違う違う! 兄貴はゴウくんファンなんよっ?」
妹の頓珍漢な助け船で彼女らによりいっそう誤解を受けてそうだが、攻略対象じゃない女子共はほっといて人だかりしているカウンターへ向かう。
女子の間を分け入っていくわけにもいかないので背伸びして奥を覗き込むと、洗い場の方で一生懸命に寸胴を洗うスラっとした大男の背中が見えた。
「きゃっ?! こっち見た!」「あんたを見たんじゃねぇしっ!」「きゃあきゃあ!!」
拳でワイルドに額を拭う姿がめっさキマってる!
マジで20代人気若手俳優のゴウくんそっくりだな。
逆にクリソツすぎて気持ち悪いくらい。
なんとかもっと詳しい情報を得たいけど、カウンターの奥まで行くのは難しそうだ。
さっきトイレで精液をポケットに仕込んできたんだけど、こんだけ衆人の目があるところで使うのは誤解されかねない。
素手を使わずにスポイトとか買ってきた方が良いのかな?
って、これじゃ変質者の手口じゃないですか……。
これ以上ここにいても無駄だなと判断し、僕は踵を返し席に戻る。
「おや?」
と、ここで視界の隅に男子学生の集団を捉えた。
配膳カウンターから一番遠い奥の方に固まっている、風采の上がらない十数人の男子学生たち。
皆が皆スマホを片手に特にお喋りするでもなく、昼飯を食べている。
うわー陰キャ丸出しじゃん! まるで昔の僕みたいじゃないか!
陰キャも2、3人じゃなく大勢集まってると不のオーラが凄い!
なんだか、居た堪れない気持ちで胸がいっぱいになっちゃうよ。
でもあんなモテなさそうな連中の中に僕のライバルが果たしているのだろうか?
ワザと偽装しているってこともあるかもしれないけど、男子学生の少ないこの学園じゃ返って目立ってしまう気もするけど。
「お兄ちゃん、何ボーっと突っ立ってんの?」
「ああ、玖瑠美。おま、あの連中に知りあいとかいる?」
「え? あの男子たち? クラスメートもいるっちゃいるけど、話したこと無いなぁ~加代子誰かしってる?」
「えっ?! 川崎君と保健委員で一緒だけど、あんまり話題が合わないっていうか」
「私も麻生君と隣の席だったから、何かぁ~共通の話題無いかなぁ~ってちゅーばー好きって言うからカビキン私も見るよ! って、言ったら。アサダチニャンニャンとかいうぶいちゅーばー? の話をメッチャ早口で語りだして、こっちはメッチャ恐怖だったよ~」
珠美ちゃん、それ人気Vチューバーの浅田魔猫《あさだまにゃん》ちゃんだよ。
どうも彼ら男子全員理系特待生だそうで、授業も別になることがけっこうあるそうだ。
どうも連中怪しくはあるが、僕の敵にはなりそうに無い感もあるんだよなぁ。
考えを巡らせながら頬杖をつきつつ連中を眺めていると、何やらキビキビとした十数人ほどの他の生徒よりスカートの丈が長めな女子集団が連中の席を取り囲んだ。
「アレは何?」
「あー、風紀委員倶楽部」
「風紀委員くらぶ?」
風紀委員の声は聞こえないけど、男子からの「すみません」とか、「どうすれば許してもらえますか?」とか、なんか穏やかならぬ声が漏れ聞こえてくる。
その後、3人の男子生徒が風紀委員に引っ立てられるみたいに食堂から連れ出されていった。
「なにあれ?」
「何だかよく分からないんだけど、ごっこ遊び?」
「風紀委員倶楽部は正規の風紀委員ではなくて同好会なんです。そもそもうちの学園に風紀委員なんてないですし」
「なんかぁ~、ネクタイが曲がってるとかワイシャツが出てるとか難癖つけてどこかに引っ張っていくんですよ~! 彼女たち確か全員3年生だったかなぁ?」
「何処かに連れ出した後はどうなるの?」
「3年生の階に連れてっちゃうから、私らじゃ分かんないよ」
「戻ってきた後の男子はどんな感じ?」
「いたって普通だよね?」
妹の問いかけに友達全員がうんうんとうなずいた。
なんだろう? とても怪しいぞ!
あのオタク連中の中に3年生を手懐けた策士がいるのだろうか?
お嬢様学校の生徒が自ら進んで下級生に調教まがいのプレイを強要するなんてありえないしな。
うーんまずいな。
あの調理場のイケメンもすでにファンが付いてるようだし。
ライバルたちが一人で十数人抑えているとなると、現在のところ妹一人分の保険しかない僕に勝ち目はあるのだろうか?
いくつか対策は考えて来たけど、なるべくなら正攻法で女の子たちを攻略したい。
「そのためにもまずはプロフィール集めだ!」
昼食を終えた僕は、ある場所へ向かおうと席を立った。
「どこ行くつもりお兄ちゃん?」
「いや、ちょっとほらっ」
「これから私が学園の中を案内してあげるんじゃない、忘れてた?」
僕の腕をギュッと捕まえて、ニッコリと微笑んでくる我が妹。
やはり逃れるのは無理なのか……。
「じゃ、行ってくるね、みんな!」
「お兄さんもバイバーイ!」
妹の友人たちに手を振り返す暇も与えられず、僕は妹に引っ張られ人気のない場所へと連行されるのであった。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
学校一の美人から恋人にならないと迷惑系Vtuberになると脅された。俺を切り捨てた幼馴染を確実に見返せるけど……迷惑系Vtuberて何それ?
宇多田真紀
青春
学校一の美人、姫川菜乃。
栗色でゆるふわな髪に整った目鼻立ち、声質は少し強いのに優し気な雰囲気の女子だ。
その彼女に脅された。
「恋人にならないと、迷惑系Vtuberになるわよ?」
今日は、大好きな幼馴染みから彼氏ができたと知らされて、心底落ち込んでいた。
でもこれで、確実に幼馴染みを見返すことができる!
しかしだ。迷惑系Vtuberってなんだ??
訳が分からない……。それ、俺困るの?
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる