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第三章
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「猪狩君……なんで濡れてんの?」
「あはは……ちょっと、外出てたもんで、でも下着は濡れてないので大丈夫です!」
「そうなんだ」
なんか職員室に戻ってから、美波先生にすげぇ怪しまれてるよ。
服はそれほどでもないけど、透明だったとはいえ全裸で外を走ってきたから頭はずぶ濡れだし。
「ところで、授業計画はどうなってんの猪狩君?」
「あっ、これでどうでしょうか?」
「へー! しっかり作って来てんだね」
パラパラとファイルをめくりながら美波先生は感心したように何度も頷いていた。
実際は僕が作ったんじゃなくて、宇津井に頼んで作ってもらったやつだけど。
真面目に教育実習なんかやってたら、時間が足りないからね。
そもそも偽の実習生だから単位にならないし、ってか、本当に大学の方は2週間も休んで大丈夫なのだろうか?
宇津井は何とかなるって言ってたけど……。
「ちょっと猪狩君?」
「あっすみません!」
「小テストの採点するから手伝ってくれる?」
「はい! 承知しました」
職員室から出られそうもないので、採点を適当にやっつけながら、僕はシャワールームで集めたデータをチェックすることにした。
やはり運動場に居た4クラス分すべての生徒に僕の精子を着けることは出来なかったけれど、少なくとも70人以上の女子生徒に関する性の個人情報を入手することができた。
「うーん、これだけ多いと何かと大変だなぁ」
「そうなのよねぇ~、国語なのにテスト多くてもねぇ」
「あはは……」
ついつい声にだしちゃったけど、そっちじゃねぇんです美波先生。
その後も何かと授業や雑用で忙しかったけれど、合間を見つけて生徒たちのデータを整理するためにノートに書きつけていった。
「1年はBとD組、2年はAとC組か」
2-Cの生徒をシャワールームで見かけなかった気がしたけど、僕の後から入ってきたんかな?
たぶん水に濡れて固まった精子が床にこびりついていたんだろう。
ざっと見たところでは、8割くらいは処女だった。
これが一般より多いのか少ないのか良く分からないけど、何か女の子の容姿とあまり処女非処女が関係ないのはなんかあるのだろうか?
まだ詳しく喪失相手までチェックしてないけど……ってか、裸体にみとれちゃってそれどころじゃ……。
「茨田鯨波は中身まで子どもだな、おっ! 一条院ってウエスト細ぇ~しかも、こんなエッチな乳輪してるくせに処女かよ。おや、氷室伊紫苑はモデル系かと思ったら意外とお尻おっきい! それで初体験の相手は……?!」
2-Cの生徒を確認している途中で、ようやくお宝を見つけ出すことに成功した。
「ちょっと猪狩君! どこ行くの?」
「すみません! クラスに忘れ物してきました!」
居ても立っても居られなくなった僕は、職員室を飛び出して2-Cへ向かった。
4限目が終わった直後の教室にたどり着き、中を見回す。
「あれ? 氷室伊さんは?」
「チャイムが鳴ってすぐに出ていきましたけど」
一条院が睨むような目で応えてきた。
「何処に行ったか知らないか一条院さん?」
「さぁ? 紫苑、最近あまりお昼も一緒に食べてくれなくて」
「何処か心当たりないかな?」
「うーん……」
「あっ! ごめん分かったからいいわ」
「あっ、ちょっと待ってください! 紫苑のこと何か知ってるんですか?」
氷室伊紫苑のデータを見て問題に気付いたもんだから、彼女の方から探すことしか思い浮かばなかった。
けれども、冷静になって考え直してみれば、彼女をヤッた相手の方から探せば良かったんだ。
僕は踵を返して、中央棟最上階へと向かうことにした。
「はぁはぁ、まだ来てないのか?」
「ちょっと、先生が廊下を走って良いんですか?」
「先生じゃないし実習生だし! って、なんでついて来てんだ一条院?!」
用具倉庫の中を覗き込んでいたら、一条院に声を掛けられた。
こっちは息も絶え絶えなのに、彼女はまったく呼吸が乱れていない。
そんなことより!
「あっちいけ一条院!」
「嫌です! それに呼び捨てにしないでください。馴れ馴れしい」
「あっ、すみません」
不味いぞ、ここは廊下の突き当りで隠れる場所もないし、いつまでもこんなところでグズグズしていているうちに連中がやってきたら。
「紫苑のことで何かご存じなんですか猪狩先生?」
「お前には関係ないだろ」
「関係あります! 紫苑は親友なんです。それなのに最近、なんかよそよそしくて、悩んでるみたいなのに何も話してくれないし」
くっそ! 一条院を追い返せないなら、一緒に中に隠れるしかないのか?
でも、親友が凌辱されてる現場を見せるわけには。
――それで、私が寝取られても良いってことなんだ雄介くん?――
「サクラっ!」
「さくら? なんですか先生?」
「いや、こっちの話!」
もし、ここで逆に連中に見つかったら、僕のことがバレてしまうかもしれない。
一条院が氷室伊に話したら、確実に疑いの目で見られるだろう。
「一条院、どんなにショックなことを見てしまうとしても、本当に親友を助けたいんだな?」
「何ですかいきなり?」
「僕はこれからこの用具倉庫に隠れて、氷室伊とアイツがくるのを待つ」
「アイツって誰の事ですか? その人が紫苑になにか酷いことをしているんですか? なんで学校や警察に通報しないんですか?」
「だからその現場を押さえる。決定的な証拠がなけりゃ氷室伊を救うことは出来ないからね。君に残された選択肢は3つだ一条院さん。直ぐにこの場を立ち去るか、このまま騒いで台無しにするか、僕と一緒に隠れて決定的な現場を押さえるかだ」
しばらく僕を睨み続けた後、一条院は口を開いた。
「わかりました。一緒に現場を押さえます」
「良いんだな? 見られたことを知られたら、たぶん彼女と友達では居られなくなるぞ」
「紫苑、脅されていかがわしい事でもされてるんでしょ? もちろん今回はそうなる前に相手をぶっ殺してやりますから」
「絶対に、僕が行動するまで先走ったりすんなよ? 決定的な証拠をつかむ前に邪魔をされて、相手に誤魔化されたら承知しないからな!」
「先生。今朝、私の身体好きにしていいってことになったでしょ? だから、言うとおりにするよ」
こうして、僕と一条院は用具倉庫の隅に設置されたロッカーの中で一緒に息をひそめることになったのだ。
「あはは……ちょっと、外出てたもんで、でも下着は濡れてないので大丈夫です!」
「そうなんだ」
なんか職員室に戻ってから、美波先生にすげぇ怪しまれてるよ。
服はそれほどでもないけど、透明だったとはいえ全裸で外を走ってきたから頭はずぶ濡れだし。
「ところで、授業計画はどうなってんの猪狩君?」
「あっ、これでどうでしょうか?」
「へー! しっかり作って来てんだね」
パラパラとファイルをめくりながら美波先生は感心したように何度も頷いていた。
実際は僕が作ったんじゃなくて、宇津井に頼んで作ってもらったやつだけど。
真面目に教育実習なんかやってたら、時間が足りないからね。
そもそも偽の実習生だから単位にならないし、ってか、本当に大学の方は2週間も休んで大丈夫なのだろうか?
宇津井は何とかなるって言ってたけど……。
「ちょっと猪狩君?」
「あっすみません!」
「小テストの採点するから手伝ってくれる?」
「はい! 承知しました」
職員室から出られそうもないので、採点を適当にやっつけながら、僕はシャワールームで集めたデータをチェックすることにした。
やはり運動場に居た4クラス分すべての生徒に僕の精子を着けることは出来なかったけれど、少なくとも70人以上の女子生徒に関する性の個人情報を入手することができた。
「うーん、これだけ多いと何かと大変だなぁ」
「そうなのよねぇ~、国語なのにテスト多くてもねぇ」
「あはは……」
ついつい声にだしちゃったけど、そっちじゃねぇんです美波先生。
その後も何かと授業や雑用で忙しかったけれど、合間を見つけて生徒たちのデータを整理するためにノートに書きつけていった。
「1年はBとD組、2年はAとC組か」
2-Cの生徒をシャワールームで見かけなかった気がしたけど、僕の後から入ってきたんかな?
たぶん水に濡れて固まった精子が床にこびりついていたんだろう。
ざっと見たところでは、8割くらいは処女だった。
これが一般より多いのか少ないのか良く分からないけど、何か女の子の容姿とあまり処女非処女が関係ないのはなんかあるのだろうか?
まだ詳しく喪失相手までチェックしてないけど……ってか、裸体にみとれちゃってそれどころじゃ……。
「茨田鯨波は中身まで子どもだな、おっ! 一条院ってウエスト細ぇ~しかも、こんなエッチな乳輪してるくせに処女かよ。おや、氷室伊紫苑はモデル系かと思ったら意外とお尻おっきい! それで初体験の相手は……?!」
2-Cの生徒を確認している途中で、ようやくお宝を見つけ出すことに成功した。
「ちょっと猪狩君! どこ行くの?」
「すみません! クラスに忘れ物してきました!」
居ても立っても居られなくなった僕は、職員室を飛び出して2-Cへ向かった。
4限目が終わった直後の教室にたどり着き、中を見回す。
「あれ? 氷室伊さんは?」
「チャイムが鳴ってすぐに出ていきましたけど」
一条院が睨むような目で応えてきた。
「何処に行ったか知らないか一条院さん?」
「さぁ? 紫苑、最近あまりお昼も一緒に食べてくれなくて」
「何処か心当たりないかな?」
「うーん……」
「あっ! ごめん分かったからいいわ」
「あっ、ちょっと待ってください! 紫苑のこと何か知ってるんですか?」
氷室伊紫苑のデータを見て問題に気付いたもんだから、彼女の方から探すことしか思い浮かばなかった。
けれども、冷静になって考え直してみれば、彼女をヤッた相手の方から探せば良かったんだ。
僕は踵を返して、中央棟最上階へと向かうことにした。
「はぁはぁ、まだ来てないのか?」
「ちょっと、先生が廊下を走って良いんですか?」
「先生じゃないし実習生だし! って、なんでついて来てんだ一条院?!」
用具倉庫の中を覗き込んでいたら、一条院に声を掛けられた。
こっちは息も絶え絶えなのに、彼女はまったく呼吸が乱れていない。
そんなことより!
「あっちいけ一条院!」
「嫌です! それに呼び捨てにしないでください。馴れ馴れしい」
「あっ、すみません」
不味いぞ、ここは廊下の突き当りで隠れる場所もないし、いつまでもこんなところでグズグズしていているうちに連中がやってきたら。
「紫苑のことで何かご存じなんですか猪狩先生?」
「お前には関係ないだろ」
「関係あります! 紫苑は親友なんです。それなのに最近、なんかよそよそしくて、悩んでるみたいなのに何も話してくれないし」
くっそ! 一条院を追い返せないなら、一緒に中に隠れるしかないのか?
でも、親友が凌辱されてる現場を見せるわけには。
――それで、私が寝取られても良いってことなんだ雄介くん?――
「サクラっ!」
「さくら? なんですか先生?」
「いや、こっちの話!」
もし、ここで逆に連中に見つかったら、僕のことがバレてしまうかもしれない。
一条院が氷室伊に話したら、確実に疑いの目で見られるだろう。
「一条院、どんなにショックなことを見てしまうとしても、本当に親友を助けたいんだな?」
「何ですかいきなり?」
「僕はこれからこの用具倉庫に隠れて、氷室伊とアイツがくるのを待つ」
「アイツって誰の事ですか? その人が紫苑になにか酷いことをしているんですか? なんで学校や警察に通報しないんですか?」
「だからその現場を押さえる。決定的な証拠がなけりゃ氷室伊を救うことは出来ないからね。君に残された選択肢は3つだ一条院さん。直ぐにこの場を立ち去るか、このまま騒いで台無しにするか、僕と一緒に隠れて決定的な現場を押さえるかだ」
しばらく僕を睨み続けた後、一条院は口を開いた。
「わかりました。一緒に現場を押さえます」
「良いんだな? 見られたことを知られたら、たぶん彼女と友達では居られなくなるぞ」
「紫苑、脅されていかがわしい事でもされてるんでしょ? もちろん今回はそうなる前に相手をぶっ殺してやりますから」
「絶対に、僕が行動するまで先走ったりすんなよ? 決定的な証拠をつかむ前に邪魔をされて、相手に誤魔化されたら承知しないからな!」
「先生。今朝、私の身体好きにしていいってことになったでしょ? だから、言うとおりにするよ」
こうして、僕と一条院は用具倉庫の隅に設置されたロッカーの中で一緒に息をひそめることになったのだ。
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