エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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第四章

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 昼休みの真尋ちゃんとのセックス。
 余韻に浸る間もなく飛び出して行った彼女。
 僕は追いかける訳にもいかず、ただ茫然と立ち尽くしていた。

――おい雄介! あの雌に精子を着けるの忘れただろう?――
「あっ、そうか! ゴムありでパコパコしたから付かなかったのかぁ……フェラもしなかったし」
――やはり、あれは罠なんじゃないのか?――
「うるさい! 真尋ちゃんはそんな子じゃない!!」

 クソッ! 宇津井め! 僕もヤッタ後すぐに出ていかれて、ちょっと不安になっちゃったけど、彼女の事を悪くいう奴は許せねぇ。

「ともかく、5時限目も授業あるから、もう黙ってろ!」

 その後は職員室で昼飯を急いで掻き込んだ後、何事も無かったかのように5時限目の授業をする。
 滞りなく今日最後の授業を済ませ、教室から出ると一条院が待ち構えていた。

「先生、お昼休み何処に行ってたんですか?」
「え?! そりゃいろいろあって……」

 真尋ちゃんとセックスしてたなんて言えるわけねぇし。

「もう、良いです。それより、放課後付き合ってください例のパーティーの主催者に会えることになったんです」
「ちょ、まってよ! 放課後は文芸部に行かなきゃならないんだよ」
「部活終わってからの時間で大丈夫だから、待ち合わせ出来ますか?」
「ああ、文芸部の前で待っててよ」
「いえ、それは却下です」
「なんで?」
「何ででも! 奥の用具倉庫前にしましょう。そこなら入れ違いとかになんないでしょ?」

 ああ、文芸部だと美波先生が居るからか?
 教室では偉そうにしてたけど、周りに友人がいないで一対一だと怖いんだな!

「なに、ニヤニヤしてるんですか猪狩先生?」
「いえ、何でもありません! それじゃ、僕は急ぐので!!」

 僕は早足でその場を立ち去り、文芸部へと向かった。

 当たり前だが、部屋に入るとまだ誰も来ていなかった。
 まぁいつもは美波先生と一緒に来るからなぁ。
 歌乃ちゃんたちはいつも遅れてやってくるし。
 手持無沙汰な僕はとりあえず、ポットを持って廊下に水を汲みに行く。

「ちょっとの距離だけど、なんか毎回めんどくさいなぁ」

 などとぼやいていると、階段の方から上ってくる足音が聞こえてきた。
 やがて階段も上り終えたみたいで、足音がこちらに近づいてきてピタリと止まった。
 たぶん二人分の足音だから美波先生でも歌乃ちゃんたち三人組でもないし誰だろ? と振り返る。

「ゴホン」

 すぐ後ろにいた、三つ揃いの高級そうなスーツにロマンスグレーなオールバックと口ひげを蓄えた長身男性が咳払い。
 その斜め後ろに縮こまっているフリフリなピンクのワンピースを着た、引き攣った笑顔で顔色が悪い僕より少し年上に見えるハーフアップのご令嬢。

「なにか?」
「君が猪狩雄介君かね?」
「はいそうですが、どちら様でしょか?」

 口ひげのオジサンがニカッと引き攣った満面の笑みを見せたのち、ゆっくりと驚愕の事実を口にした。

「こちらは有栖川雅樂波ありすがわうたは、わたくし目は有栖川真希島夢ありすがわまきしまむと申します」
「あ、あり、ありす……がわって?!」
「歌乃の姉です」

 雅樂波さんがペコリと頭を下げた後、真希島夢さんがガシっと僕の肩に両手を重ねてきた。

「歌乃の父です」

 ヤバい殺されるっ!!
 みんなが歌乃ちゃんを怖がっていたのはこういう事だっだのか!
 娘さんに散々エッチなことをしてきたのがバレてしまったから、こうしてお礼参りにやってきたのか?
 なんかお父さん190センチくらいあるし、メッチャ手もデカイ!
 僕なんか一握りで顔を潰されてしまうんじゃないだろうかっ!

 ああ、死ぬ寸前ってこんなに時間が長く感じるものなのかと諦めの境地に浸っていると。

「ありがとう雄介君っ!!」

 ガバっと息が出来ないくらい強く抱きしめられた僕。
 ああ、このまま肺を潰されるのか……じゃなくて!
 ありがとうってどういうことやっ?!

「ぐぬぬっ……ウタハはあんま嬉しくないけど……」

 あ、お姉さんはあんまり良い感じじゃないのね。
 
「と、ところで何を感謝されているのですかお父さん!」
「ああ、そうだったな」

 やっとお父さんが解放してくれて、僕は地表に舞い戻ることが出来た。
 ふと、水場に目をやると流しっぱなしの水がポットから溢れていた。

「とりあえず、お茶をお出ししますので中へ」

 二人を文芸部へと案内し、ちゃぶ台の前で楽にしてもらう。
 お茶の準備をしてから、二人の向かい側に腰を下ろした。

「これはどうも、かたじけない」
「わたし紅茶の方が良いんだけどなぁ」
「で、どういったご用件でしょうか?」

 お父さんはズズズっとお茶を飲み干してから威厳のある声で話し出す。

「我が有栖川家は日本国における影の支配者序列第三位なのですが、今回の予選会にももちろん参加させて頂いておりまして……」
「ちょちょ! 待ってください!! 序列三位って宇宙人に憑依されてるんですか!」
「確かに、こちらの雅樂波に受け継がれております。しかし、我が娘ながらとんだド変態者でして……」

 その後、お父さんが涙ながらに切々と話された内容をかいつまんでまとめるとこういう事だ。
 有栖川家の長女雅樂波28歳、幼少のころから倒錯した性に関心のあった彼女には、心に秘めた願望があった。
 それは、薄汚い浮浪者みたいな男に無理やり処女を奪われ、その後も、散々凌辱されるという夢。
 長年、その夢を追い求めて来たものの、何故か相手からドン引きされて叶わずに過ごしていた。
 それが、予選会開催に近づいてきた頃、運命に引き寄せられたかのように、ある男と出会ったのだ。

「それが、うぅ……用務員の木本庄三郎だったのですよ!」

 涙ながらにお父さんが話すのも無理はない。
 学園の理事だった雅樂波さんは、理事会の帰りにゴミ捨て場でふんぞり返っていた木本に出会ったのだ。

「ほんと、私はこの時のために生まれて来たんだわと思いましたのよ。ホホホ……」

 甲高い声で笑う雅樂波さん、美人なのに薄気味悪くて、ちょっとどころかかなり怖い。
 なんだろう、真夜中に和室で日本人形が笑ってるみたいな?
 まぁ、そんな訳で雅樂波さんの誘いに乗った木本が宇宙人のパワーを得て、予選会に参加したわけだけど。

「雄介君が抹殺してくれたおかげで、あの木本とかいう薄汚く意地汚い低能野郎と縁を切ることが出来たのだよ!」
「抹殺? ちょっと意味が分からないですけど、寝取ってマイナスポイントにしたのは学園長ですよたぶん……」
「だが、奴の悪事を暴いたのは君だろう?」
「まぁ、そうですけど」
「それに、うちの歌乃にも手を付けているのだろ?」
「ひえっ?!」

 お父さんは僕の手をガシっと力強く握ってきた。
 ああ、やっぱ殺されるのかっ?!

「調べさせてもらったが、雄介君のパートナーは観音崎家のご令嬢咲良さんだね?」
「は、はい!」
「ということは、序列一位の性戦士サーバントという訳だ。ならば、このビッグウェーブに乗らずに誰に乗る?」
「はい?」
「歌乃を妾にしてくれたら、我が有栖川家総力を挙げて君の予選会突破を応援させてもらうのだがどうかな?」

 なるほど、最初から予選突破は諦めて有力者に従うことにしたのか。
 学園長の話を巧妙に避けてるところをみると、僕の方が御しやすいという考えか?

「どう思う。サクラ、宇津井?」
――有栖川は女の子が三人生まれて力が分散しちゃったのよね――
――普通はひとり生まれたら、それで打ち止めにするのに、そのあたりを聞いてからかなぁ?――

――私は協力するのはアリだと思うぞ――
――ボディーガードを配置出来るなら、寝取られる心配も減るしな――

「ということなんですが?」
「え? なんですか?」
「あっ、かくかくしかじか……」

 こんなことは宇宙人どうしで話し合えば良いじゃないとも思ったが、とりあえずサクラの疑問をぶつけてみた。

「お恥ずかしい話でして、どうしても男子が欲しかったもので。昔でしたら養子を迎えていたところなのでしょうが、マイワイフがどうしてもと聞かんのです」

 マイワイフと言った時のお父さんのニヤケ顔から想像するに、まだまだアツアツな夫婦なのかな?
 単身赴任中の僕の父とパートに励む母の冷め切った関係を考えると羨ましい限りだ。

「ところで、歌乃ちゃんたちが一緒じゃないようでしたが?」
「ああ、娘たちは我が家で処女喪失の儀の準備をしているところです」

 ケロリと大それたことをぬかす歌乃のお父さん。
 ああ、僕はこのビッグウェーブだかに乗るしかないのだろうか。
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