エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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第五章

31

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 古めかしい日本家屋からモダンな新居へ移動した僕ら。

「やぁ、待ちくたびれたぞ雄介君!」

 だだっ広いダイニングルームに通されると、有栖川家のお父さんが満面の笑みで手を握りしめてきた。

「さぁさぁ、今日の主賓は君だ!」

 お父さんはそう言って、遠慮する僕などお構いなしにお誕生日席じゃないや――主賓席に無理やり引っ張っていく。
 何だか良く分からない現代美術の絵画を背にして座る僕を囲むように、向かって左側にお父さん、お母さん、お姉さん、右側には歌乃ちゃん、鯨波、牡丹ちゃんと着席する。
 各自のグラスにメイドさんがシャンパン(未成年とお姉さんにはジュース)を注ぎ終えると、お父さんがグラスをチンチンと鳴らして立ち上がった。

「さて、今宵は次世代の日本を背負って立つ猪狩雄介君と我が有栖川家の三女歌乃の契りを祝し、両家が益々反映するとともに……」
「話が長いぉ、じじい! 早く飯食わせろぉ~!」
「え~! 良いじゃん歌乃ちゃん! 今日のパパはとっても嬉しいんだよ? それにさぁ! こんなかしこまった感じでぇ~スピーチすんの久々だしぃ~」

 対面の歌乃ちゃんに必死に語り掛けるお父さん。
 何なんだこのオヤジは……。
 あんな強面なのに、有栖川家の中では残念な人なのだろうか?
 けれど、隣のお母さんは見た目通りのしっかり者みたいだな。

「まぁまぁ、お父さん。みんな待ちくたびれているようですわ。さっさと乾杯しちゃいなさい」
「わかったよぅママさん。でも、乾杯終わったら初エッチのこと詳しく聞かせるんだぞ歌乃ちゃん!」
「わーったからぁ、はよせい」
「そんじゃ、処女喪失の儀に乾杯!」
「「かんぱーい!」」

 乾杯が終わると、待ち構えていたメイドさんたちから食事がサーブされていく。
 僕の目の前では父と娘の一見ほほえましいようで、

「それでそれで初体験はどうだったんだね歌乃ちゃん?」
「うーん、ゆうすけのチンチンはディルドより気持ち良かったぉ。やっぱ生は違うぜぃ! って感じかぇ?」

 大変いかがわしい会話のやり取りが繰り広げられている。
 しかも、なんかお父さん僕にも会話に加わって欲しいようで。

「へぇ、やっぱり生が良いんだね歌乃ちゃん。ところで雄介君、娘のオマンコの具合はどうだったかね?」
「ハハッ……」

 左手でバンバンと僕の肩を叩きながら快活な表情で娘のオマンコ具合を聞いてくるド変態オヤジ。
 僕は顔面が引き攣るのを感じながら、言葉に詰まるしかない。
 そんな僕を察してか、お母さんが助け船を出してくる。

「ほらほら、雄介さんが困ってるじゃないのお父さん? 彼は最近までごく普通の男の子だったんですよ?」
「いやいやお母さん! 私の若い頃など、「あの娘の具合はどうだった」や「あの店は裏メニューで本番アリだぞ!」はたまた「あの女は有名なヤリマンで誰でもすぐにやらせてくれるぜ!」なんて、友人同士で盛り上がったものだぞ?」
「あらあら、お父さんも若い頃のように色んな女性をまた相手にしたいのかしら?」
「何を言ってるんだお母さん! 我が人生を通して出会った中、お母さんの右に出るものなどいない! ということで、うちの娘と観音崎の娘さんではどっちがキツマンかね?」

 ああ駄目だこのオヤジ、何とかしてくれ!
 まぁ、そんな具合で晩餐会の間は生きた心地がしなかった所為か、食事の味も良く分からなかった。
 しかも、娘たちの方も、

「歌乃さまぁ! 牡丹は中出しされたとき、お膣の中にオシッコがいっぱい出されたみたいに温かかったです!」
「歌乃わぁ~子宮の中にタップンタップン、スペルマが注ぎ込まれてくりゅって感じだったぉ」
「スペルマってなんですかぁ? 牡丹、英語はわかりません!」

 と、別の意味で変態的な猥談に花を咲かせていた。

 デザートが運ばれてきて、食後のコーヒーを飲みつつ、やっと娘を肴にした変態オヤジの猥談から解放されると胸をなでおろしたところで、そういや何か大事なことを忘れている様な気がしてきた。

「あ! 一条院との約束すっぽかしちゃった!」

 僕は慌ててスマホをチェックすると、彼女からの着信履歴で埋め尽くされていた。

「なんだね雄介君、攻略対象とフラグを立てるのに失敗でもしたのかい?」
「いえ、そういう関係じゃないんですけど、ライバルを追ってる子がいて、ちょっとすいません」

 その場で一条院に折り返しの電話を何回か入れてみるものの、留守電にしか繋がらない。

「ハハハッ! そうとうお熱な相手なんだね! 歌乃もヤキモチやいちゃうかもしれないぞ?」
「歌乃は二号だからゆうすけのチンポがあれば、別に三号四号がいても気にしないぉ」

 なんか、歌乃ちゃんのドライな言い分がちょっと気になるが、うーん、まぁ何にもないとは思うけど、一応調べておくかな?
 僕はステータス画面を表示し、性的対象レーダーで一条院の居場所をチェックしてみることにした。

「あれ? めっちゃ近所にいる……って、これ学園の中じゃん!」
「あらあら、もう8時を過ぎているのに」
「夜の8時くらいじゃ、居残りしててもそんなに不思議じゃないと思うが?」

 確かに中央棟に居るみたいだし、職員室で先生の手伝いでもしているなら居てもおかしくはない。
 だけど……。

「すみません! 僕ちょっと見てきます!」
「わかった雄介君。念のため護衛を連れて行きなさい」
「ありがとうございます有栖川さん」
「おい、牡丹! 彼を任せたぞ!」
「はい! 任されました!!」

 え? 牡丹ちゃんだけ? なんか言いにくいけど、それって逆に足手まとい……。
 と、ここでメイドのひとりがススッと近づいてきた。

「失礼します親方様」
「なんだ蜂須賀?」
「牡丹山はまだ学内に不慣れでございます。ここは我らも御供した方がよろしいかと存じます。聖アフ学内についても我らの方は通じておりますし」
「確かに、お前たちは聖アフ出身だしな! よし! 行ってきたまえ!」
「御意」

 という訳で、眼光鋭い蜂須賀さんを筆頭に四人のメイドさんが僕と牡丹ちゃんを先導して学園へ。

「あれ? こっちは正門じゃなくない?」
「この時間では正門は閉鎖されているかもしれません、なのでこちらの秘密通路から侵入します」

 蜂須賀さんが塀に絡まる蔦を搔きわけると高さ50センチほどの小さな穴が現れた。
 最初に二人のメイドさんが壁の穴を通り抜け、安全を確認してから僕らが続く。
 そこから外の非常階段で屋上に上ってから、鍵を開けて校舎中央棟に侵入した。

「あの、別に職員玄関か守衛さんに言って開けて貰えば良かったんじゃ?」
「内通者を考慮してこのような対応を致しました」

 こちらを向かずに答える蜂須賀さん。
 なんか、それくらい察しろよという無言の圧力を感じる。
 階段を降りると、ちょうど文芸部のあるフロアにたどり着いた。

「たぶん50メートルくらい先に居ると思う……って聞いてます?」

 僕の言葉を無視して何故か文芸部の部室に入っていくメイド隊。
 後に続こうとする牡丹ちゃんにメイド隊のひとりが振り返る。

「牡丹山、お前は雄介様の前で守っていろ!」
「ひゃ! ひゃい先輩!」
「声が大きい」
「しゅみましぇん」

 あっ、なんか牡丹ちゃん緊張してるよ。
 焦って変なことにならなきゃ良いんだけど。
 ちょっと、声を掛けて落ち着かせた方が良いかな?
 そう思って、彼女の肩に後ろから手を掛ける。

「なぁ、牡丹ちゃん」
「ぎゃぴっ?! くせもの!!」
「グェッ……」

 いきなり飛んできた彼女の裏拳が僕の側頭部を痛打。
 ノックダウン仕掛けたけど、膝をついて何とか持ちこたえることが出来た。

「ああ、雄介殿でしたか! もう、ちゃんと声を掛けてくださいね」
「いや……声かけたんですけど……」

 しかし、やはり目が悪いのか僕の惨状を把握していない様子。

「では、参りましょう」

 部室から戻ってきたメイドさんは、特殊部隊が付けてるようなベルトを上半身に巻き付け、一人は拳銃、もう一人はサブマシンガンを装備していた。

「あれ? あとの二人は」
「外からサポートさせています」

 外からって、忍者みたいに壁伝いでって事なのか?
 つうか、こんな武器を文芸部に隠し持っていたのかよ。
 恐るべし有栖川家……。

 その後、目標の部屋にたどり着くも、物音もなく人のいる気配は感じられない。

「下の階なのかなぁ?」
「雄介様これを」

 筒状の道具を壁に耳を押し当てていた蜂須賀さんが、僕にも聞いてみろと進めてきた。

「これは……?!」
「やっ! いやっ! あっあんっ! はあぁぁんっ!! やめてっ!!」

 壁伝いに聞こえてきたのは、喘ぎとも悲鳴とも言えるような高い鳴き声。
 僕は耳を離して蜂須賀さんに頷いた。

「たぶん、彼女だ」

 蜂須賀さんは頭に付けたヘッドセットのマイクを持ち上げて指示を出す。

「目標を確認、3つ数えたら突入する。3・2・1・ゴー!!」

 もう一人のメイドさんが扉を蹴破り、僕らは部屋の中へ突入した。
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