エッチなデイリークエストをクリアしないと死んでしまうってどういうことですか?

浅葱さらみ

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最終章

53

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 体育館に入ると、そこが体育館だとは思えないくらい絢爛豪華な装飾が施されていた。
 壁にはギリシャ神殿ぽい白亜の支柱が天井高く建ち並び、背後はワインレッドのビロードで覆われている。
 床も土足で上がれるように大理石のタイルが敷き詰められ、入口から舞台に向かってレッドカーペットが横切っていた。
 夜の間だけの短時間で、こんな準備が出来るのはやはり宇宙人の成せる技なのか?
 そんなことを考えながら、前方にいる予選通過者の方へと近づいていった。
 因みに敗退者たちは隅の方でコソコソ縮こまっている。

「ようっ! ギリギリのご到着か雄介!」

 馴れ馴れしく肩を叩いてきた調理場のイケメン檜川豪憲。
 服に着られてるような僕と違って、タキシード姿が様になってるのがムカつくところだ。
 その隣にはフリフリの可愛らしいドレスを着た10歳くらいの少女が恥ずかしそうに檜川の腕に寄り添っていた。
 こんな不思議の国のアリスそのものな美少女と檜川はセックスしてるんだよな?
 あいつそこまで粗珍てわけじゃなかったけど、こんなほっそりとした小さい子にどうやって挿入したんだろうか?

「あまり我が妹に見とれるのも程々にしておけよ雄介? お前の女が嫉妬するぞ?」
「別にそんなんじゃねぇよ!」
「お兄様、彼はどうやって私たちがセックスしているのか不思議に思ってるのですよ」
「なるほど、俺様の陰茎アビリティを知らないならそう思うのも不思議ではない」
「えっ、お二人はパートナーなのですか?!」

 今更ながら咲良がドン引きしているよ。
 僕がクラス全員とセックスしてることを知ったら同じくらいドン引きされちゃうかな?
 ともかく、咲良がイケメンにまったく惹かれず逆に引いてしまったのは不幸中の幸いと言えるだろう。

「その通り、我が妹アズサに見合う相手など俺様以外ありえないからな」
「お兄様♡」

 幼い妹を抱っこして誇らしげに笑う檜川。
 イケメンじゃなかったら通報されそうだけど、実際通報モノの肉体関係でいらっしゃる。
 と思ったら、舌を絡めてキスし始めちゃったよ。
 これは確実に事案でしょ?
 咲良も「うわ~」とか口元を押さえてドン引きしてるし。

「ところでどんな陰茎アビリティなんだ檜川?」
「ああそうだったな! 俺様の陰茎アビリティは勃起せずとも勃起できるというものだ」
「言ってる意味が分かんないんだけど」
「すみません。お兄様は顔だけで生きて来たので、説明が苦手なのです。アズサが代わりにお答えしますね」
「あっ、お願いします」

 なんかマイペースな兄と違って、出来たい妹さんみたいだな。

「一般的に勃起というものは海綿体が充血することによって膨らんで硬くなるのはご存じかと思いますが、お兄様の場合は、充血させることなくアビリティで硬化させることが出来るのです。従って、氷に当てたりなどして小さくしたまま硬くすれば、小学生みたいな可愛いらしいオチンチンだけどカチカチに出来るのです。だからアズサの指一本でキツキツなオマンコにも挿入することが可能なのですよ♡」

 とても卑猥な解説を可愛らしいウインクで終わらせるアズサちゃん。
 いかんいかん! こんな小さな子なのに凄くエッチだと思ってしまった。

「どうかしたの雄介君?」
「いやっ! 何でもないっす?!」

 前かがみになって誤魔化していると、最後の予選通過者が入ってきた。

「やぁ、皆さんお揃いで」

 ニコニコ手を振りながらやってくる登美来羅美斗。
 奴に会うのは月曜以来だ。
 その横に付き添っているというより、登美来が押す車椅子に座っているのはどう見ても真っ白な髪のお婆さん。
 その姿を見て、それまで静かにして脇に控えていた雅樂波さんがひとり頷く。

「なるほど、そう言うことでしたのね」
「え? どういうことですか雅樂波さん?」
「あの方は序列第三位の神室かむろ家先々代ご当主ヨミ様ですわ」
「でも先々代が何で付き添ってるの?」
「三年ほど前に神室家の当代と先代の間にいさかいがございまして」

 しかしそれ以上の話を聞く前に、登美来が寄って来たので雅樂波さんは口をつぐんだ。

「私らの噂話をしていたようだね」
「いえ、そのような……」
「まぁ、予選も済んだことだし隠し立てすることもないだろう」

 登美来が語ったことをかいつまんでまとめると以下のようになる。
 神室家の当代と先代は以前から反目しあってたそうで、三年前に当時25歳の当代が先代――つまり実の母親を刺し殺して自身も自殺する騒ぎが起きたそうだ。
 対外的には病気になって表に出て来れないという話になっていたそうだが、有栖川家や一部の利害関係者には知れ渡っていたらしい。
 で、依り代が無くなった宇宙人は他に候補が居なかったので先々代に乗り移るしかなかった。
 すでに九十歳を超えていた神室ヨミが亡くなれば、どこか遠くの親戚に乗り移るはずなのだけれど、すでに病院暮らしの彼女は予選会間近になっても一向に亡くなる気配はなかった。

「という訳で、彼女の見回りのお世話をしていた私に白羽の矢が立ったということだね」

 相変わらずニコニコしている登美来だけど、このお婆さんとセックスしたということだよな?
 今までの戦いは変態度を争う予選会だったのだろうか?
 なんだかこれ以上詳しく聞きたくもない話だなぁと思っていたところで、十二時の鐘が体育館の中に鳴り響いた。

「おっと、結果発表の時間のようだね」

 舞台上が眩い光に包まれた後、現れたのは一切の光を反射しない漆黒の巨大な一枚板。
 中空に浮かぶその画面に文字が浮かび上がる。

――地球圏日本国予選会最終結果――
――第3位 登美来羅美斗 210ポイント――

「僕に寝取らせてからポイント稼がなかったのか?」
「3位に入れば良いだけだからね」

 相変わらずニヤニヤしている登美来。
 こいつがセックスを楽しむところは想像できない。

――第2位 猪狩雄介 2150ポイント

「あれ? 圧倒的1位だと思ったのに」
「色々とバレてしまってな」
「え?! どゆこと?」

――第1位 檜山豪憲 5210ポイント

「俺様で処女を卒業したいという女に押しかけられてな。普段なら断るんだが……」

 どうやら奴との行為を隠し撮りしていた少女がいたらしく、それが拡散されて檜山とセックスできるという噂が瞬く間に学内に広がったらしい。
 しかも、嘘をつくのは俺様の流儀に反するだとか何とか、あの食堂に集まってた奴のファンの前で内容を認めたという……。

「やはりお兄様みたいな世界一のイケメンとセックスしたいと、女性なら誰でも思いますものね。流石お兄様!」
「アズサ、お前と比するような女もこの世にはいないぞ?」
「お兄様♡」

 ああ、またイチャイチャしだしたよこの変態バカップル。
 女子小学生と激しく唾液の交換をする檜山から視線をそらし、切り替わった画面に目を向ける。

――以上のものは8月より開始される、地球圏王位継承権争奪戦に参加が確定――
――開催場所は追って連絡――
――以上を持って、国内予選会を終了する――

 数秒後、黒い板が音もなく消え去った。

「これだけ?」

 会場の豪華さの割に拍子抜けするくらいあっさりとした結果発表が終わり途方に暮れていると、いきなり賑やかなBGMと照明に包まれた。

「イエーイ! こっからは後夜祭をもりあげっぞ!」
「ヒューヒュー!」「ウェーイ!!」

 突如真上から舞台上に降りてきたDJブースからの声に呼応するかのように、体育館に雪崩れ込んでくる煌びやかな衣装に身を包んだ老若男女。
 よく見ると、有栖川家の父母の姿も見える。
 その光景を見て何故か額に手をあて首を振る咲良。

「ああもう、お父さんったら」
「何か心当たりがあるの咲良?」
「あれ、私のお父さん」

 サクラの指さす先にはDJブースの中で激しくヘドバンしているドデカイサングラスを掛けた……よく見ると中年男性?
 何か髪型も七三分けで如何にもサラリーマンって感じだし。

「ほほう、あれが観音崎家のご当主か。なるほど、宇宙人ではなく観音崎家が会場を飾り立てたということなんだね?」
「はい、うちの父はパーティーとなると張り切り過ぎる所があるので」

 登美来の問いかけに恥じ入る様に答える咲良。
 何となく、彼女が東京に出て来たのもこういうのがイヤだったのかもしれない。

「帰ろうか、咲良?」
「うん、そうだね」

 手をつないでレッドカーペットを歩く僕ら。
 しかし、出口に到達する前にお父さんに呼び止められる。

「そこの二人待ちなさーい!! 特に猪狩雄介……くん! 人の娘とパコパコしといて挨拶も無しに帰るつもりなのかねっ???」

 お父さんの言うことにも一理あるとは思うけど、DJブースにいるお父さんに挨拶しにいくのも変だと思うんだ。
 しかも、パコパコとか言われて、咲良の顔が真っ赤になっちゃってるし。

「すみませんお父さん! 今度改めてご挨拶させていただきますっ!!」
「ちょっ! 待てい!!!」

 僕はDJブースに一礼したあと、咲良の手を取り駆け出した。
 だって、僕にとって一番大事なのは彼女なんだから。
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