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第1章 オームの大災害
第5話 御令嬢は超能力者でした?!
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あれから一週間が経った。町はシュリア王女が来訪するため大忙しで通りの整備や漁港の管理、王女に振舞う料理を拵えたりと大忙しだ。もちろん僕も雑用係として手伝いに参加している。
「バルト、薪を取ってきてくれるか?」
「はーい」
はしゃぎ回るちびっ子たちを横目に薪が保管されている集積場へ向かう。
集積場はちょうど町の入口に設置されていて、町を守る柵としての役目も果たしている。
「薪をもらいに来ました」
「おお、バルトか」
この人は町を守る警備隊の一員でザンジリさんという。強面で体格も良いからなのか門番の任務が多い。
「薪が少なくなって来たから木こりの爺さんの所に行ってくれないか」
「わ、わかりました……」
「すまんな」
雑用係だから仕方がないけど、あの場所は暗くて怖いんだよなあ。
木こりの小屋まではそう遠くないが、町の外の林中にあり、魔物や盗賊なんかも出ることがあるとか。「まだ子どもなのに」なんてのは通用しない。この世界で10歳は事実上の成人であり、いつまでも子ども扱いはしてもらえないのだ。
薄暗い林道を数分進むとコンコンという樹木を切る音が聞こえてきた。ようやく着いたと胸を撫で下ろしたのも束の間、複数人の男たちの罵声と怒号が聞こえてきたのだ。僕は反射的に身を屈め、声のする方向を見た。
「ちょっとこの小屋を使わせてもらうぜ」
「こんなことはやめなさい」
「ああん? うるせえんだよジジイ!」
複数の男が木こりの爺さんを木に縛り付け、小屋を占領しようとしていた。身なりからして盗賊だろうか。
「アニキ、こいつ殺っちゃいましょうか?」
「親父たちが帰ってくるまで待て」
彼らの会話からかなり規模の大きい盗賊団だと考えられるが、一体何が目的なのだろう。
その理由はすぐに判明することになる。
「親父、首尾はどうでした?」
「完璧に決まっている」
盗賊団の頭と思われる男が何かを抱えて小屋に入った。
(麻の袋……まさか)
僕の悪い予感は当たった。
(女の人の声……?)
中で何が起きているのかは分からないが確かに今、小屋から女性の呻き声が聞こえた。
ここから町へ戻って警備隊を呼ぼうにも時間がかかる。下手に動けばバレる可能性もあるしな。
そんなことを考えていると、背後から肩を2度叩かれた。
「ボクちゃん、こんなところで何をしているんだい?」
物音も無く、気配すら感じさせずに現れた何者か。コイツはやばいと直感が告げている。
恐る恐る振り返ると狂気に溢れた満面の笑みでこちらを見下ろす男がいた。
「あ、ああ……」
あまりの恐怖に言葉が出ない。
男の目は更に爛々として、僕の首根っこを掴むようにして小屋方向へと放り投げた。僕の体は宙を舞って地面に強く叩きつけられ、その衝撃から意識を失ってしまった。
僕は夢を見た。
隣に座る美しい女性。彼女は何かに怯えながら、でもその威圧的な眼光は止めることなく何かを睨んでいる。やがてそれが夢ではなく現実なのだと分かった時、彼女が向ける鋭い視線が何なのかを思い出した。
「目が覚めたかいボクちゃん」
ここは盗賊団が占拠する小屋。とすれば隣にいる彼女が麻袋に入れられていた人か。
(それにしても綺麗な人だな。どこかの御令嬢かな?)
「おい、変な気は起こすなよ。お前たちは人質なんだからな」
「この子は関係ないでしょう?! 目的は私だけなのだから解放しなさい」
優しいなあ。
ともかく状況は最悪。ステータス的に戦えるわけがないし、スキルだって――。
「ねえ、君」
「は、はい!!?」
「おい、うるせえぞ!」
「す、すみません……」
誰かの声が頭の中に響いてくる。
「隣にいる私よ」
御令嬢は超能力者でした?!
「バルト、薪を取ってきてくれるか?」
「はーい」
はしゃぎ回るちびっ子たちを横目に薪が保管されている集積場へ向かう。
集積場はちょうど町の入口に設置されていて、町を守る柵としての役目も果たしている。
「薪をもらいに来ました」
「おお、バルトか」
この人は町を守る警備隊の一員でザンジリさんという。強面で体格も良いからなのか門番の任務が多い。
「薪が少なくなって来たから木こりの爺さんの所に行ってくれないか」
「わ、わかりました……」
「すまんな」
雑用係だから仕方がないけど、あの場所は暗くて怖いんだよなあ。
木こりの小屋まではそう遠くないが、町の外の林中にあり、魔物や盗賊なんかも出ることがあるとか。「まだ子どもなのに」なんてのは通用しない。この世界で10歳は事実上の成人であり、いつまでも子ども扱いはしてもらえないのだ。
薄暗い林道を数分進むとコンコンという樹木を切る音が聞こえてきた。ようやく着いたと胸を撫で下ろしたのも束の間、複数人の男たちの罵声と怒号が聞こえてきたのだ。僕は反射的に身を屈め、声のする方向を見た。
「ちょっとこの小屋を使わせてもらうぜ」
「こんなことはやめなさい」
「ああん? うるせえんだよジジイ!」
複数の男が木こりの爺さんを木に縛り付け、小屋を占領しようとしていた。身なりからして盗賊だろうか。
「アニキ、こいつ殺っちゃいましょうか?」
「親父たちが帰ってくるまで待て」
彼らの会話からかなり規模の大きい盗賊団だと考えられるが、一体何が目的なのだろう。
その理由はすぐに判明することになる。
「親父、首尾はどうでした?」
「完璧に決まっている」
盗賊団の頭と思われる男が何かを抱えて小屋に入った。
(麻の袋……まさか)
僕の悪い予感は当たった。
(女の人の声……?)
中で何が起きているのかは分からないが確かに今、小屋から女性の呻き声が聞こえた。
ここから町へ戻って警備隊を呼ぼうにも時間がかかる。下手に動けばバレる可能性もあるしな。
そんなことを考えていると、背後から肩を2度叩かれた。
「ボクちゃん、こんなところで何をしているんだい?」
物音も無く、気配すら感じさせずに現れた何者か。コイツはやばいと直感が告げている。
恐る恐る振り返ると狂気に溢れた満面の笑みでこちらを見下ろす男がいた。
「あ、ああ……」
あまりの恐怖に言葉が出ない。
男の目は更に爛々として、僕の首根っこを掴むようにして小屋方向へと放り投げた。僕の体は宙を舞って地面に強く叩きつけられ、その衝撃から意識を失ってしまった。
僕は夢を見た。
隣に座る美しい女性。彼女は何かに怯えながら、でもその威圧的な眼光は止めることなく何かを睨んでいる。やがてそれが夢ではなく現実なのだと分かった時、彼女が向ける鋭い視線が何なのかを思い出した。
「目が覚めたかいボクちゃん」
ここは盗賊団が占拠する小屋。とすれば隣にいる彼女が麻袋に入れられていた人か。
(それにしても綺麗な人だな。どこかの御令嬢かな?)
「おい、変な気は起こすなよ。お前たちは人質なんだからな」
「この子は関係ないでしょう?! 目的は私だけなのだから解放しなさい」
優しいなあ。
ともかく状況は最悪。ステータス的に戦えるわけがないし、スキルだって――。
「ねえ、君」
「は、はい!!?」
「おい、うるせえぞ!」
「す、すみません……」
誰かの声が頭の中に響いてくる。
「隣にいる私よ」
御令嬢は超能力者でした?!
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