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幻夢境街戦略バトル
眷属を増やすタイプのJK
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「よう、奏音!」
朝日の下、いつもの登校路で背の高い与一君に声をかけられた。彼の声は朝の鮮やかな空気に響く。
「おはよう、与一君」
「昨日は楽しかったな」
「うん、ニーズズさんの専用装備が待ち遠しい。あ、その……」
照れくさくてちょっと俯きながら、私は言葉を続けた。
「どうした?」
「あの、ゲームに誘ってくれてありがとう」
私の突然の感謝に、与一君の目は少しだけ驚きを浮かべ、次に優しい笑みに変わった。
「どうしたんだ? いきなりだな」
「実はね、誘ってもらった日、最初はログインだけしてすぐに合わないからって辞めるつもりだったんだ」
「えっ、そうだったの?」
私の言葉に、与一君は意外そうな声をあげた。
「うん、その時は何もかもが嫌になっていて。自分に居場所なんてないって、本気で思ってたから」
「なるほど、だからだ」
「え、何が?」
「最近の奏音の変わりよう。登下校で話しかけてもおどおどしてたのに、今は自然に会話してくれる。それに、明らかに楽しそうだ」
あの頃は自分の気持ちを押し殺して、耐え忍ぶ様に生きていた。IAFはただのゲームだけれど、それで救われる人もいる。
人生に前向きになれた。ありのままの私を認めてくれる世界があるって教えてくれた。
「そう、だね」
互いにちょっと照れくさい時間が流れた。その気まずさを吹き飛ばすように与一君がいつもよりハイな声のトーンで再び口を開いた。
「そういえば、今日、IAFで次の街が解放されるらしいよ」
「ああ、何だっけ、げんなんちゃらって街!」
「幻夢境街な」
「そう、それ! 確か最初の街でエターナルシアを選んだ人達もそこで合流するんだよね?」
「そうだな、エターナルシアは前回のイベントで街がゴブリンに占拠されてしまったらしい」
位置関係的に新規プレイヤーのレベリングダンジョンかな?
新しい狩場の予感に胸が高鳴る。
「あのイベント、かなり厳しかったよね」
フォートシュロフの攻防だって、リアル知性チートのシュクレちゃんがいて、みんながすごく頑張って、最後には奇跡も起きてギリギリで何とかなった様なものだ。
「防衛に成功した街は、俺たちのフォートシュロフとクロノシアの2つだけだったそうだよ」
「最初の街は皆同じ雰囲気だったけど、幻夢境街はどんな感じなの?」
昨日、遠くから見た感じだと、千と千尋の○隠しのような雰囲気だったけど、詳しいことは知らない。
「んー、一言で言うと中華オリエンタル風かな? 昔の中国みたいな感じ」
「昔の中国って、どんな感じなの?」
「え、あれだけ兵法とか知ってるのにそんなこと聞いちゃう?」
「ゲームが上手いからって、勉強ができるわけじゃないでしょ?」
「いやこれはそういう次元の話じゃねぇんだわ! 地理が絶対に覚えられない呪いにでもかかってるのか!」
「興味がない事には、どうしても頭が働かないんだよねー」
与一君、私がなぜ今の高校に通っているのか忘れたのかな? 一貫校なのに成績が悪すぎて進学できなくて転校したんだよ?
「まぁ良いや、横浜の元町中華街のような感じだよ」
「あ、なるほど」
なんとなーく、イメージできた。確か、オリジナルのカップラーメンが作れるところだよね?
フォートシュロフの拠点にログインして、ぐるりと視界を巡らせる。オスルーラーの子供たちは私の存在に気付くと一瞬の動揺を見せた後、作業を止めてこちらを見つめる。
「おうさまっけんぞく、して」
「おうさまっ」
「おうさま……」
カオスルーラーの子たちは一様に私に近づいてくる。半透明のウィンドウが浮かび上がり、眷属にするか否かの選択肢が表示された。
「えっじゃあとりあえず……」
よくわからないけどぽちぃ!
「わお!」
瞬く間に、カオスルーラーの子供が煌めく光に包まれる。魔法少女アニメで見るような華麗な変身シーンが展開され、新たな姿が現れた。
「王様、ありがとう」
「おおー滑舌も良くなってる……」
変身を終えたカオスルーラーの子を観察する。
髪の毛の色や、形は違うけど、全体的な造形はゲームを始めた頃の私と同じ姿へ変貌を遂げていた。これがAIの言っていた種族変えると言うことなのかな? IAFの世界観だと眷属にするって言う捉え方なんだね。
「よーし、じゃあ皆もまとめて眷属だー」
表示されているウィンドウ全てに対して"眷属にする"と返答していく。その最中、公式からの通知が飛び込んでくる。
「ご案内いたします。ただいまより新エリア、幻夢境街が公開となります。ログイン画面からの転移が可能です」
「おー早速! 行ってみよう!」
カオスルーラーの子達をまとめて眷属にしてから、幻夢境街へ転移する。
「へぇー! ここが幻夢境街かぁー!」
雲海に包まれた静寂と、微かな風が吹き抜ける中、微かに漏れる光が街の石畳を照らしている。
細い路地が入り組む先には情緒あふれる飲食店や土産物屋が立ち並んでいて、その木造の建築物は長い年月を経た風格を持って時代の息吹を感じさせる存在となっていた。
「まずは建物を貰いに行かないとね!」
アップデート情報によると、リスポーン地点から一番奥に位置する建造物が行政関係の施設になっているらしい。
歩くたびにカランカランと音のする石畳を進むと、歴史を感じさせるコンクリート建築の上に和風の瓦屋根がポン付けされたような大きな建物へ歩みを進めていく。
朝日の下、いつもの登校路で背の高い与一君に声をかけられた。彼の声は朝の鮮やかな空気に響く。
「おはよう、与一君」
「昨日は楽しかったな」
「うん、ニーズズさんの専用装備が待ち遠しい。あ、その……」
照れくさくてちょっと俯きながら、私は言葉を続けた。
「どうした?」
「あの、ゲームに誘ってくれてありがとう」
私の突然の感謝に、与一君の目は少しだけ驚きを浮かべ、次に優しい笑みに変わった。
「どうしたんだ? いきなりだな」
「実はね、誘ってもらった日、最初はログインだけしてすぐに合わないからって辞めるつもりだったんだ」
「えっ、そうだったの?」
私の言葉に、与一君は意外そうな声をあげた。
「うん、その時は何もかもが嫌になっていて。自分に居場所なんてないって、本気で思ってたから」
「なるほど、だからだ」
「え、何が?」
「最近の奏音の変わりよう。登下校で話しかけてもおどおどしてたのに、今は自然に会話してくれる。それに、明らかに楽しそうだ」
あの頃は自分の気持ちを押し殺して、耐え忍ぶ様に生きていた。IAFはただのゲームだけれど、それで救われる人もいる。
人生に前向きになれた。ありのままの私を認めてくれる世界があるって教えてくれた。
「そう、だね」
互いにちょっと照れくさい時間が流れた。その気まずさを吹き飛ばすように与一君がいつもよりハイな声のトーンで再び口を開いた。
「そういえば、今日、IAFで次の街が解放されるらしいよ」
「ああ、何だっけ、げんなんちゃらって街!」
「幻夢境街な」
「そう、それ! 確か最初の街でエターナルシアを選んだ人達もそこで合流するんだよね?」
「そうだな、エターナルシアは前回のイベントで街がゴブリンに占拠されてしまったらしい」
位置関係的に新規プレイヤーのレベリングダンジョンかな?
新しい狩場の予感に胸が高鳴る。
「あのイベント、かなり厳しかったよね」
フォートシュロフの攻防だって、リアル知性チートのシュクレちゃんがいて、みんながすごく頑張って、最後には奇跡も起きてギリギリで何とかなった様なものだ。
「防衛に成功した街は、俺たちのフォートシュロフとクロノシアの2つだけだったそうだよ」
「最初の街は皆同じ雰囲気だったけど、幻夢境街はどんな感じなの?」
昨日、遠くから見た感じだと、千と千尋の○隠しのような雰囲気だったけど、詳しいことは知らない。
「んー、一言で言うと中華オリエンタル風かな? 昔の中国みたいな感じ」
「昔の中国って、どんな感じなの?」
「え、あれだけ兵法とか知ってるのにそんなこと聞いちゃう?」
「ゲームが上手いからって、勉強ができるわけじゃないでしょ?」
「いやこれはそういう次元の話じゃねぇんだわ! 地理が絶対に覚えられない呪いにでもかかってるのか!」
「興味がない事には、どうしても頭が働かないんだよねー」
与一君、私がなぜ今の高校に通っているのか忘れたのかな? 一貫校なのに成績が悪すぎて進学できなくて転校したんだよ?
「まぁ良いや、横浜の元町中華街のような感じだよ」
「あ、なるほど」
なんとなーく、イメージできた。確か、オリジナルのカップラーメンが作れるところだよね?
フォートシュロフの拠点にログインして、ぐるりと視界を巡らせる。オスルーラーの子供たちは私の存在に気付くと一瞬の動揺を見せた後、作業を止めてこちらを見つめる。
「おうさまっけんぞく、して」
「おうさまっ」
「おうさま……」
カオスルーラーの子たちは一様に私に近づいてくる。半透明のウィンドウが浮かび上がり、眷属にするか否かの選択肢が表示された。
「えっじゃあとりあえず……」
よくわからないけどぽちぃ!
「わお!」
瞬く間に、カオスルーラーの子供が煌めく光に包まれる。魔法少女アニメで見るような華麗な変身シーンが展開され、新たな姿が現れた。
「王様、ありがとう」
「おおー滑舌も良くなってる……」
変身を終えたカオスルーラーの子を観察する。
髪の毛の色や、形は違うけど、全体的な造形はゲームを始めた頃の私と同じ姿へ変貌を遂げていた。これがAIの言っていた種族変えると言うことなのかな? IAFの世界観だと眷属にするって言う捉え方なんだね。
「よーし、じゃあ皆もまとめて眷属だー」
表示されているウィンドウ全てに対して"眷属にする"と返答していく。その最中、公式からの通知が飛び込んでくる。
「ご案内いたします。ただいまより新エリア、幻夢境街が公開となります。ログイン画面からの転移が可能です」
「おー早速! 行ってみよう!」
カオスルーラーの子達をまとめて眷属にしてから、幻夢境街へ転移する。
「へぇー! ここが幻夢境街かぁー!」
雲海に包まれた静寂と、微かな風が吹き抜ける中、微かに漏れる光が街の石畳を照らしている。
細い路地が入り組む先には情緒あふれる飲食店や土産物屋が立ち並んでいて、その木造の建築物は長い年月を経た風格を持って時代の息吹を感じさせる存在となっていた。
「まずは建物を貰いに行かないとね!」
アップデート情報によると、リスポーン地点から一番奥に位置する建造物が行政関係の施設になっているらしい。
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