44 / 149
幻夢境街戦略バトル
告白されるタイプのJK
しおりを挟む
昨日は結局、闘技場で楽しく遊んでちゃんとクランメンバーも募集したのになぜか誰1人として応募してくれなかった。
かなちい。
「(与一君の用事って、何なんだろ?)」
いつもの様に学校を速攻で出て公園で1人、与一君が来るのを待つ。登校中もダメで、チャットもダメ。科学の発展した現代においてそんな用事があるだろうか。私には想像もつかない。
「(思えば、この公園には色々と縁があるよね)」
与一君と始めて会ったのもこの公園。小学生の頃は、この公園で沢山遊んだ。その頃の記憶は私の中でトロフィーの様にキラキラと飾られている。
彼からIAFに誘われたのもこの公園だった。
こんな事言ったら普通の人は大袈裟って言うだろうけど、IAFの存在を知って私はこの世界で生きていく希望みたいなのを見つけた。
もし高校で彼と再会せず、IAFを始めていなかったら今も私は死んだ魚の様な目をして生活していただろう。
「お待たせ」
ブランコに座ってそんな事を考えていたら、与一君の声が聞こえる。だけど顔を上げて周囲を見渡しても彼の姿がどこにも見えない。
「……あれ?」
私の目の前には、高校の制服を着た高身長モデル体型の女の子しかいない。ベリーショートヘアのスポーティな可愛い女子高生だ。もし与一君が女の子だったらちょうどこんな感じなのかな?
「ここだよ」
思わず周囲を見回すと、目の前の与一君似の女子高生が苦笑いを浮かべた。なんか、声もメチャクチャ与一君に似ている。
「……え?」
「実は俺……」
目の前の女子高生はそこまで言って一度、首を左右に振って言い直す。
「僕、与那覇与一は……女の子なんだ」
「えっっッえええぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「はははっ驚いただろ?」
私の絶叫に、与一君……ちゃん? が悪戯っぽく笑う。かわいい。
ってそうじゃなくって!!
「ほ、本当に!?」
「……触ってみる?」
ちょっと待って。脳の整理が追いつかない。でもとりあえず触る。そりゃ触って良いなら誰だって触るよね?
「……」
さわさわ。
「んっ……」
モミモミ。
「もっだめっ……」
本物だーーーー!!!!
しかも私より大きいぞーー!!!
「えっちょっと待って、ごめん、私にも分かる様に説明して! えっ今までずっと一緒だった与一君は、与一ちゃんだったってこと???」
「まあ、そうだね」
ダメだ奏音混乱! ちょっと落ち着こう。
落ち着く為には……。
「……なんでまだ揉んでるの?」
「なんか落ち着くかなって」
モミモミ。
よし、ちょっと落ち着いてきたよ。
「それで……どうして男の子の振りをしていたの?」
「子供の頃は別に、男の子の振りをしていた訳じゃ無いよ?」
「あーーー」
確かに子供の頃は男女の区別は曖昧だったりする。これは私が勝手に勘違いしていただけ、だよね?
「でも再会した時も、今までもずっと男子用の制服だったよね?」
「僕は……女の子が好きなんだ」
「ああ、なるほ……え?」
「ほら、僕の場合は男の子の格好している方が何かと便利でさ?」
「おまわりさーん!!」
多様性が受け入れられた現代において、どんな性別だってどんな制服を着る権利はある。
もちろん体格とかの物理的な問題で苦労はあるだろうけど。でも悪用はダメだよ! あっでも女の子だったら良いのかな? いやいやダメだよね?
「えっと……それで、与一く……はどうして今になってこんなカミングアウトを?」
「僕は、奏音に伝えたいことがある。とても、大切なことだ。でもそれは、僕が秘密を持ったままじゃどうしてもダメだったんだ。だからその前に……本当の僕を知って欲しかった」
与一が真剣な表情で私の方を見つめる。
「奏音」
「う、うん」
与一は一度、大きく深呼吸をした。
そして決意を固めた様に私の目をじっと見て。
「ーー好きだ」
「それは……」
「I love you」
衝撃のカミングアウトで混乱していた脳に、さらに特大の右ストレートが打ち込まれる。
思考回路はショート寸前だ。
「ごめん……」
私の言葉に、与一が悲しい表情を浮かべる。
「奏音は、ノーマルだもんね」
与一の言葉を慌てて否定する。
「違うの! そう言う意味じゃなくって! 今はちょっと混乱中って言うか、私も……私の気持ちが分からないから」
自分でも顔が真っ赤になっているのを感じる。頭を抱える私を頭を与一がそっと優しく撫でた。
「そっか、そうだよね。ゆっくりで良いから……落ち着いたら返事、ちょうだい?」
私は人の感情を推し量るのがあまり上手じゃ無い。それは他人へ対してだけじゃなくて、自分自身についても。とてもじゃ無いけど、今この場で答えを出すなんてことはできない。
「うん……わかった。絶対、ちゃんと返事するから」
「ありがとう。じゃ、またね!」
与一はそう言って公園から駆け出して行ってしまった。私はそれを半ば呆然と見送った。
「どうしよう……」
ただでさえクランのメンバー探しで頭を抱えていたのに! 超弩級で考えなきゃいけない事がさらに増えちゃったじゃん!
「どうしようーー!!!!!!!」
かなちい。
「(与一君の用事って、何なんだろ?)」
いつもの様に学校を速攻で出て公園で1人、与一君が来るのを待つ。登校中もダメで、チャットもダメ。科学の発展した現代においてそんな用事があるだろうか。私には想像もつかない。
「(思えば、この公園には色々と縁があるよね)」
与一君と始めて会ったのもこの公園。小学生の頃は、この公園で沢山遊んだ。その頃の記憶は私の中でトロフィーの様にキラキラと飾られている。
彼からIAFに誘われたのもこの公園だった。
こんな事言ったら普通の人は大袈裟って言うだろうけど、IAFの存在を知って私はこの世界で生きていく希望みたいなのを見つけた。
もし高校で彼と再会せず、IAFを始めていなかったら今も私は死んだ魚の様な目をして生活していただろう。
「お待たせ」
ブランコに座ってそんな事を考えていたら、与一君の声が聞こえる。だけど顔を上げて周囲を見渡しても彼の姿がどこにも見えない。
「……あれ?」
私の目の前には、高校の制服を着た高身長モデル体型の女の子しかいない。ベリーショートヘアのスポーティな可愛い女子高生だ。もし与一君が女の子だったらちょうどこんな感じなのかな?
「ここだよ」
思わず周囲を見回すと、目の前の与一君似の女子高生が苦笑いを浮かべた。なんか、声もメチャクチャ与一君に似ている。
「……え?」
「実は俺……」
目の前の女子高生はそこまで言って一度、首を左右に振って言い直す。
「僕、与那覇与一は……女の子なんだ」
「えっっッえええぇぇぇぇええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
「はははっ驚いただろ?」
私の絶叫に、与一君……ちゃん? が悪戯っぽく笑う。かわいい。
ってそうじゃなくって!!
「ほ、本当に!?」
「……触ってみる?」
ちょっと待って。脳の整理が追いつかない。でもとりあえず触る。そりゃ触って良いなら誰だって触るよね?
「……」
さわさわ。
「んっ……」
モミモミ。
「もっだめっ……」
本物だーーーー!!!!
しかも私より大きいぞーー!!!
「えっちょっと待って、ごめん、私にも分かる様に説明して! えっ今までずっと一緒だった与一君は、与一ちゃんだったってこと???」
「まあ、そうだね」
ダメだ奏音混乱! ちょっと落ち着こう。
落ち着く為には……。
「……なんでまだ揉んでるの?」
「なんか落ち着くかなって」
モミモミ。
よし、ちょっと落ち着いてきたよ。
「それで……どうして男の子の振りをしていたの?」
「子供の頃は別に、男の子の振りをしていた訳じゃ無いよ?」
「あーーー」
確かに子供の頃は男女の区別は曖昧だったりする。これは私が勝手に勘違いしていただけ、だよね?
「でも再会した時も、今までもずっと男子用の制服だったよね?」
「僕は……女の子が好きなんだ」
「ああ、なるほ……え?」
「ほら、僕の場合は男の子の格好している方が何かと便利でさ?」
「おまわりさーん!!」
多様性が受け入れられた現代において、どんな性別だってどんな制服を着る権利はある。
もちろん体格とかの物理的な問題で苦労はあるだろうけど。でも悪用はダメだよ! あっでも女の子だったら良いのかな? いやいやダメだよね?
「えっと……それで、与一く……はどうして今になってこんなカミングアウトを?」
「僕は、奏音に伝えたいことがある。とても、大切なことだ。でもそれは、僕が秘密を持ったままじゃどうしてもダメだったんだ。だからその前に……本当の僕を知って欲しかった」
与一が真剣な表情で私の方を見つめる。
「奏音」
「う、うん」
与一は一度、大きく深呼吸をした。
そして決意を固めた様に私の目をじっと見て。
「ーー好きだ」
「それは……」
「I love you」
衝撃のカミングアウトで混乱していた脳に、さらに特大の右ストレートが打ち込まれる。
思考回路はショート寸前だ。
「ごめん……」
私の言葉に、与一が悲しい表情を浮かべる。
「奏音は、ノーマルだもんね」
与一の言葉を慌てて否定する。
「違うの! そう言う意味じゃなくって! 今はちょっと混乱中って言うか、私も……私の気持ちが分からないから」
自分でも顔が真っ赤になっているのを感じる。頭を抱える私を頭を与一がそっと優しく撫でた。
「そっか、そうだよね。ゆっくりで良いから……落ち着いたら返事、ちょうだい?」
私は人の感情を推し量るのがあまり上手じゃ無い。それは他人へ対してだけじゃなくて、自分自身についても。とてもじゃ無いけど、今この場で答えを出すなんてことはできない。
「うん……わかった。絶対、ちゃんと返事するから」
「ありがとう。じゃ、またね!」
与一はそう言って公園から駆け出して行ってしまった。私はそれを半ば呆然と見送った。
「どうしよう……」
ただでさえクランのメンバー探しで頭を抱えていたのに! 超弩級で考えなきゃいけない事がさらに増えちゃったじゃん!
「どうしようーー!!!!!!!」
21
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
