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幻夢境街戦略バトル
トゥレイター・カドル
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「カドルは上の方で旋回していてねー」
山の中腹付近にトヨキンTVの物と思われる天使像を中心とした拠点を発見した。カドルへ指示を出して飛び降りる。
「ヒャッハー!」
重力に従ってグングンと落下していく。
「トンズラ!」
トンズラの目測を誤り、慣性が殺しきれなくて着地地点に巨大なクレーターを作ってしまう。
「なんだ、何が起きた……!」
「そ、空から何か黒いのが……」
土煙の中、プレイヤーたちがクレーターを覗き込んでくる。そのうちの1人が私と視線が合って腰を抜かした。
「ひぃ!」
「で、出たぞ!」
「アニーキャノンが出たぞぉぉぉぉおお!!!」
「キヒヒヒッ」
クレーターを駆け出して手近なプレイヤーの頭を鷲掴みにする。
「パイルバンカー!」
ぐしゃり。
頭が潰れて崩れ落ちる。
「キヒッキヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ」
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁあああでっでたぁぁぁあああ妖怪頭潰しだぁぁぁあぁああ!」
「誰が妖怪じゃ!」
近くで叫び出したプレイヤーの横っ腹へ回転蹴りを叩き込む。トゲトゲなスパイクが彼の鎧を砕き、肋骨を粉砕し、内臓を突き破る。
「ひぎぃ!」
「縮地ッ四頭竜閃!」
間髪入れずに白武者が突っ込んでくる。スキルは強力だけど発声が必要なのはちょっと難点だよね。
風間流裏秘技其乃八、撃雷八方陣。
「アハッアハハハハハハ!! アヒャヒャヒャヒャ!!!」
「ば、馬鹿な!!」
ほぼ同時に放たれる四閃の斬撃を私は腕の鎧で全て弾き返す。
「キヒヒヒッ。その技はもう一度、見ちゃったから」
攻撃を弾いた際に金属の摩擦で周囲に帯電が発生し、周囲に小さな放電が生まれる。この現象がこの技の由来だ。
「ば、化け物がぁぁぁぁぁぁあああ!!」
完全に同じ動作を再現するスキルでは無意味であることを悟ったシマーズさんが刀を構えて切り掛かってくる。
「セット、リボルビングパイル」
私は発声によって6連式パイルバンカーを装備して、シマーズさんを迎え撃つ。彼はIAF内で屈指の実力者だ。
だけど、私と正面から戦って勝てるほどでは無い。
「キヒヒヒッ」
一の太刀を交わして脇腹へ一発。
「アババババッ」
続いてパイルから流し込まれた電流へ怯んだ瞬間にもう一発。
「ちくしょー! 覚えてろー!!」
シマーズさんがダメージエフェクトを迸らせながら崩れ落ちる。
「うおー! 暴君ー!」
「いけ、いけぇぇぇぇぇぇぇえええ!」
後方から歓声が聞こえる。
地上から上がってきた他のメンバーも追いついた様だ。
「よーし、このままトヨキンTVの天使像を破壊するぞー!」
「おー!」
「キュー! ご主人、教えて」
トヨキンTVの天使像を破壊した帰り道、私を乗せたカドルが神妙な面持ちで話しかけてくる。
「うん? どうしたの?」
「ご主人はどうして、同じ人間を攻撃するの?」
「天使像を破壊すれば相手のポイントを半分も奪えるし、大量キルで経験値もがっぽりだし、相手の戦力が低下すればモンスターのリスポーン地点の占拠もやりやすくなる。そして、何よりその方が楽しい」
「でも、そうしなくても良いんだよね?」
確かに、無理に相手から狩場を奪わなくたってポイントは稼げる。それで1位になれるかっていうと分からないけど。
「たとえ生産的じゃ無くてもやるから遊びは楽しいんだよ?」
「キュー……」
「カドル?」
カドルが悲しそうな声を上げる。
「ご主人は、間違ってる!!」
「えっうわっちょっと!」
突如として、カドルが空中で大暴れを始める。特に鞍とかもなく首元に乗っていた私はそのまま空中へ投げ出された。
「ガァァァァァァァアアアア!!」
「わっうっそ……!」
落下中の私へ向かって、カドルは大きく口を開ける。そこからは、幾つものスパークが迸り、今にも解き放たれようとしていた。
「アンチライトニング!」
カドルの口から放たれた雷が私へ直撃する。直前に雷耐性を上げるスキルを発動した上で、雷を右腕の鎧で受け止める。
「くっ」
投げ返してやろうと思ったけど、思いとどまる。基本的に雷は上から下へ落ちるもので、VRMMO特有の物理法則を都合よく無視するスキルの恩恵が受けられない雷返しはここでは使えない。
「えいやっ!」
しょうがないので適当な地面へ向かって雷を捨てる。種族的な耐性とアンチライトニングのスキルのおかげでかなり軽減されたけど、多少はダメージを受けてしまった。
「空の王が生み……ってうわわっ!」
雷を直撃させてやろうと思ったけど、追加の攻撃が飛んできる。悠長に詠唱をしている時間は与えてもらえない。
「アニーちゃーん! もしかしてだけどー! ペットに裏切られて困ってるぅぅぅぅぅううう!?」
私が空中で四苦八苦している時、唐突に全体チャットが送られてくる。相手は1時間とちょっと前にキルしたシマーズさんだ。ぐぬぬぬ煽られてる気がするけど今はそれ所じゃない。
私も全体チャットで答える。
「たーちーけーてー!!! ρ(;ェ;`○) 」
「どーしよーかなー!」
周囲を見渡すと、すぐ近くを白いドラゴンが飛んでいる。私のカドルがケツァルコアトルス風なら、アレはもっとワイバーンに近いディティールをしていた。
「がぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
ひぇぇええ! そうこうしている間にもカドルの雷撃が私へ襲い掛かる。雷返しでそれを逸らしながら、ウィンドウを高速タイプして返信を返す。
「のーぞーみーをーいーえー!」
「山の麓までの領土を確約しろー!」
麓っていうか、要するにゴ○ーニャのリスポーン地点が欲しいって事だろう。よし分かった、このまま落下死してリスポーンする。
私の残機はあと4つもあるし、あのゴロー◯ャのリスポーン地点がもたらす理点とは比較にならない。
「いーやーだーーーー!」
「じゃあ、アニーちゃんのペットと一緒にこれからメメントモリの拠点を強襲するねー!」
それは話が変わってくる!!
「やーめーてー! 分かったからたちけてー!」
「交渉成立ぅ!」
ワイバーンに跨ったシマーズさんが落下中の私へ通り過ぎざまに手を伸ばす。それをなんとかキャッチ。
山の中腹付近にトヨキンTVの物と思われる天使像を中心とした拠点を発見した。カドルへ指示を出して飛び降りる。
「ヒャッハー!」
重力に従ってグングンと落下していく。
「トンズラ!」
トンズラの目測を誤り、慣性が殺しきれなくて着地地点に巨大なクレーターを作ってしまう。
「なんだ、何が起きた……!」
「そ、空から何か黒いのが……」
土煙の中、プレイヤーたちがクレーターを覗き込んでくる。そのうちの1人が私と視線が合って腰を抜かした。
「ひぃ!」
「で、出たぞ!」
「アニーキャノンが出たぞぉぉぉぉおお!!!」
「キヒヒヒッ」
クレーターを駆け出して手近なプレイヤーの頭を鷲掴みにする。
「パイルバンカー!」
ぐしゃり。
頭が潰れて崩れ落ちる。
「キヒッキヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ」
「うわぁぁぁぁあぁぁぁぁあああでっでたぁぁぁあああ妖怪頭潰しだぁぁぁあぁああ!」
「誰が妖怪じゃ!」
近くで叫び出したプレイヤーの横っ腹へ回転蹴りを叩き込む。トゲトゲなスパイクが彼の鎧を砕き、肋骨を粉砕し、内臓を突き破る。
「ひぎぃ!」
「縮地ッ四頭竜閃!」
間髪入れずに白武者が突っ込んでくる。スキルは強力だけど発声が必要なのはちょっと難点だよね。
風間流裏秘技其乃八、撃雷八方陣。
「アハッアハハハハハハ!! アヒャヒャヒャヒャ!!!」
「ば、馬鹿な!!」
ほぼ同時に放たれる四閃の斬撃を私は腕の鎧で全て弾き返す。
「キヒヒヒッ。その技はもう一度、見ちゃったから」
攻撃を弾いた際に金属の摩擦で周囲に帯電が発生し、周囲に小さな放電が生まれる。この現象がこの技の由来だ。
「ば、化け物がぁぁぁぁぁぁあああ!!」
完全に同じ動作を再現するスキルでは無意味であることを悟ったシマーズさんが刀を構えて切り掛かってくる。
「セット、リボルビングパイル」
私は発声によって6連式パイルバンカーを装備して、シマーズさんを迎え撃つ。彼はIAF内で屈指の実力者だ。
だけど、私と正面から戦って勝てるほどでは無い。
「キヒヒヒッ」
一の太刀を交わして脇腹へ一発。
「アババババッ」
続いてパイルから流し込まれた電流へ怯んだ瞬間にもう一発。
「ちくしょー! 覚えてろー!!」
シマーズさんがダメージエフェクトを迸らせながら崩れ落ちる。
「うおー! 暴君ー!」
「いけ、いけぇぇぇぇぇぇぇえええ!」
後方から歓声が聞こえる。
地上から上がってきた他のメンバーも追いついた様だ。
「よーし、このままトヨキンTVの天使像を破壊するぞー!」
「おー!」
「キュー! ご主人、教えて」
トヨキンTVの天使像を破壊した帰り道、私を乗せたカドルが神妙な面持ちで話しかけてくる。
「うん? どうしたの?」
「ご主人はどうして、同じ人間を攻撃するの?」
「天使像を破壊すれば相手のポイントを半分も奪えるし、大量キルで経験値もがっぽりだし、相手の戦力が低下すればモンスターのリスポーン地点の占拠もやりやすくなる。そして、何よりその方が楽しい」
「でも、そうしなくても良いんだよね?」
確かに、無理に相手から狩場を奪わなくたってポイントは稼げる。それで1位になれるかっていうと分からないけど。
「たとえ生産的じゃ無くてもやるから遊びは楽しいんだよ?」
「キュー……」
「カドル?」
カドルが悲しそうな声を上げる。
「ご主人は、間違ってる!!」
「えっうわっちょっと!」
突如として、カドルが空中で大暴れを始める。特に鞍とかもなく首元に乗っていた私はそのまま空中へ投げ出された。
「ガァァァァァァァアアアア!!」
「わっうっそ……!」
落下中の私へ向かって、カドルは大きく口を開ける。そこからは、幾つものスパークが迸り、今にも解き放たれようとしていた。
「アンチライトニング!」
カドルの口から放たれた雷が私へ直撃する。直前に雷耐性を上げるスキルを発動した上で、雷を右腕の鎧で受け止める。
「くっ」
投げ返してやろうと思ったけど、思いとどまる。基本的に雷は上から下へ落ちるもので、VRMMO特有の物理法則を都合よく無視するスキルの恩恵が受けられない雷返しはここでは使えない。
「えいやっ!」
しょうがないので適当な地面へ向かって雷を捨てる。種族的な耐性とアンチライトニングのスキルのおかげでかなり軽減されたけど、多少はダメージを受けてしまった。
「空の王が生み……ってうわわっ!」
雷を直撃させてやろうと思ったけど、追加の攻撃が飛んできる。悠長に詠唱をしている時間は与えてもらえない。
「アニーちゃーん! もしかしてだけどー! ペットに裏切られて困ってるぅぅぅぅぅううう!?」
私が空中で四苦八苦している時、唐突に全体チャットが送られてくる。相手は1時間とちょっと前にキルしたシマーズさんだ。ぐぬぬぬ煽られてる気がするけど今はそれ所じゃない。
私も全体チャットで答える。
「たーちーけーてー!!! ρ(;ェ;`○) 」
「どーしよーかなー!」
周囲を見渡すと、すぐ近くを白いドラゴンが飛んでいる。私のカドルがケツァルコアトルス風なら、アレはもっとワイバーンに近いディティールをしていた。
「がぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!」
ひぇぇええ! そうこうしている間にもカドルの雷撃が私へ襲い掛かる。雷返しでそれを逸らしながら、ウィンドウを高速タイプして返信を返す。
「のーぞーみーをーいーえー!」
「山の麓までの領土を確約しろー!」
麓っていうか、要するにゴ○ーニャのリスポーン地点が欲しいって事だろう。よし分かった、このまま落下死してリスポーンする。
私の残機はあと4つもあるし、あのゴロー◯ャのリスポーン地点がもたらす理点とは比較にならない。
「いーやーだーーーー!」
「じゃあ、アニーちゃんのペットと一緒にこれからメメントモリの拠点を強襲するねー!」
それは話が変わってくる!!
「やーめーてー! 分かったからたちけてー!」
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