【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

文字の大きさ
61 / 149
エターナルシア遺跡占領作戦

昨日の敵は明日の宿敵なタイプのJK

しおりを挟む
 シュクレちゃんの要望を満たすのに、いくらなんで私1人じゃ無理だ。とりあえずはクラン内でメンバーを募集しよう。

*「これからエターナルシア遺跡の攻略に行くんだけど行くひとー!」*

*「暇だから行くぞー!」*

*「対人はあるかー!」*

*「PKはできるかー!」*

*「師匠の為ならどこまでもー!」*

 酔狂すいきょう暇人ひまじんが30人ぐらい。シュクレちゃん教の人々が20人ぐらい。

*「多分探索がメインだぞー!」*

*「なら行かないー」*

*「自由にせよー」*

 全ての呼びかけが対人戦かPKの呼びかけに聞こえる末期患者が20人。うーん、総勢70名か。組織的に動かせる数としてみれば結構多いけど、街を占拠する数としては心許ない。

「シュクレちゃん、他のクランの人も誘って良い?」

「え、はい、もちろん……」

 一応、発起人のシュクレちゃんに確認をとって、フレンドチャットの一番上に表示されたプレイヤーへチャットを送る。

*「もしもし、ヨイニー」*

*「アニー! どうした?」*

*「今からエターナルシア遺跡を占拠しない?」*

 ヨイニがクランマスターを務めるフォートシュロフ神聖騎士団はダンジョン攻略がメインのクランだ。戦力的な意味以上に、そのノウハウは今回の作戦において必須と言っても良い。

*「面白そうだね! あそこは治安が悪すぎて僕達も攻略が進んでなかったんだよね。クラン同士の協力って事で良い?」*

*「そんな感じ!」*

*「分かった。とりあえず行けるメンバー集めて向かうよ! 30分後にダンジョン前集合で良い?」*

*「ありがとぅー!」*

 ヨイニとのフレンドチャットを終えてクランチャットに切り替える。

*「皆のものー! 今作戦はフォートシュロフ神聖騎士団との共同作戦となった! 20分後にエターナルシア遺跡前へ集合せよー!」*

「アニーさん、ありがとうございます……!」

「良いって事よー! じゃ、私たちも準備はじめちゃおうー!」






 エターナルシア遺跡前の街道に両クランメンバーが揃う。総数は良く分からないけど多分100人ちょっとぐらいかな?

「ヨイニ、お待たせー!」

「アニー、随分大所帯だな」

 手を出したヨイニへ背を伸ばしてハイタッチ。

「ちなみに、攻略の目的は?」

「特に無いよ? 強いて言えば壁画とかを隈なく見てスクショ撮ったり?」

「で、本当のところは?」

「シュクレちゃんがここに新しい詠唱の秘密があるかもって」

「より具体的には?」

「なんのことかなー?」

「アニーがPKよりダンジョン攻略を優先するって事はそれなりの物があるんでしょ?」

「ぐぬぬ」

 この彼女、彼女への解像度が高すぎる。

「……ヘイストだってさ」

「あー、程度にもよるだろうけど、実現すれば必須スキルの仲間入りだね」

 ヨイニが笑って私の頭へ手を乗せてくる。
 ぐぬぬ身長差。

「あっあの! よろしくお願いします!」

 私の後ろからシュクレが挨拶する。

「シュクレちゃん、具体的にどのあたりとかある?」

「街が健全な状態だと確認できないような場所が怪しいです」

 シュクレちゃんの言葉に、ヨイニが頷いて答える。

「フォートシュロフでもNPCに守られている様な教会や王城の一部エリアがあるよね」

「システム的に制限されている訳じゃないから、フォートシュロフも確認できるけどね」

「アニー、ダメだからね?」

 頭にヨイニの軽いチョップが落ちてくる。私はチョップされた部分を両手で抑えながら頬を膨らませて反論した。

「流石の私も後々が面倒そうだってことぐらいはわかる」

「で、具体的にどうするかだけど……」

 ヨイニが私の頭を片手で撫でながらテーブルと地図を取り出してその場へ広げる。地図にはエターナルシア周辺の地形が描かれていた。

「PT機能の最大数は8人だから、僕たちの数で各個撃破すれば内部のプレイヤーを殲滅せんめつするのは可能だね」

 ヨイニが地図へ視線を落としながら状況を分析する。私も彼女の広げた地図を眺めながら思考を巡らせた。

「でもプレイヤーは次々にダンジョンへ入ってきちゃうもんねー」

「そうだね。ダンジョンの入り口封鎖は必要かな」

「ダンジョンの入り口封鎖って心象悪そうだし、やるならメメントモリだけど……」

 エターナルシア遺跡への入り口は西門、南門、それと東門の合計三ヶ所だ。均等に配置すると各門25人ぐらいになる。これは3~4PTぐらいが一斉に侵入しようとしたら決壊する数だ。

 クランチャットで呼びかけてみる。

「ちな、門の封鎖やっても良いって人はどれぐらいいるー?」

「いーやーだー!」

「やっても良いぞー!」

「後で教授の授業が受けられるなら!!」

 心優しい人が5~6人、シュクレちゃん狂信者が20人。あとは全部、エターナルシアで自由にやりたい人々だ。
 まるでお話にならない。

「大体25人ぐらいはやってくれるって」

 アンケート結果をヨイニへ伝えると彼女は腕を組んで考える。

「まあ、そうなるよね」

「何でゲームの中で門の警備しなきゃならないんだって話だからねー」

 メメントモリと違って統率の取れているフォートシュロフ神聖騎士団なら皆お願いを聞いてくれるだろうけど、そもそもの母数に大きな隔たりがある。

「完全占拠は諦めて、それらしい施設に絞って攻略するのが現実的かもね」

「何処かに嫌われ役を喜んでやってくれてかつ報酬を要求しない100人以上のプレイヤーを動員できるクランは無いかなー」

「あはは、そんな都合の良いクランあるわけ……」

「あっ」

 ヨイニの言葉を聞いている間に名案が頭を過って思わず声が漏れた。その様子に彼女が驚いた様子でこっちに振り返る。

「え嘘、思い当たる節があるの?」

「あるっちゃある。しかも多分すぐ近くに居る」

 半透明のウィンドウを操作してSNSから見覚えのあるアカウントを見つける。プロフィールからユーザIDを確認して試しにチャットを送ってみた。

*「もしもーし! 今ってエターナルシアに居たりしない? いやいつもこの時間帯はいるし居るよね?」*

*「おい、どう言う神経してやがる!!!」*

「エターナルシアの現状を一撃で解決する上に分かりやすい実績を残せる話しがあるんだけどちょっと南門近くの街道まで出てきてくれない?」

*「とか言って誘き出してPKする気じゃ無いだろうな!」*

*「心配なら何人連れてきても良いよ」*

*「……ちょっと待ってろ」*

 よーし、話しは付いた。

「すぐ来てくれるってさ」

「誰に連絡取ってたの?」

「PK反対連合改め、PK撲滅連合のクランマスター」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...