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エターナルシア遺跡占領作戦
新境地に至るタイプのJC
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クダン、ヨイニ、私、シュクレ、ムエルケの順番でダンジョンへ入って行く。
「ううっ……怖いです」
クダンちゃんがビクビクしながら中腰で先頭を歩く。水の音にすらビクッと反応している。なんでスカウトやってるんだろ。
と言うか何でダンジョン攻略やってるんだろ。
「アニーさん」
後を歩くシュクレちゃんからフレンドチャットで話しかけられる。この会話は他の3人には聞こえない。
「どうしたのー?」
「クダンさん、大丈夫でしょうか? 色々と」
「んーメンタルの部分は兎も角、スカウトとしては信用できるね。流石はヨイニって感じ」
「えっそうなんですか? その、何て言うか……」
シュクレちゃんの言いたいことは分かる。スカウトはパーティの先頭を歩いて罠の感知や隠し通路を発見する役目を負っている。
クダンちゃんみたいにすごく不安そうにしていたら、こっちも本当に大丈夫か? と心配になってしまう。
「恐怖って言うのは、生き物が持つ根源的で、最も強い感情なんだよ」
「? はい」
「強い生存本能はそれだけ強い集中力と危機察知能力を発揮するから。例えば私だったら認識すらしない様な天井から落ちる水の音にすらクダンちゃんは意識を向けられているじゃん? 何が危険の前兆か分からない以上、これはゲーム内のスキル以上に優秀なセンサーかもよ?」
今回みたいに難易度不明でゴリゴリのダンジョン攻略をする場合なら、私は自信満々で安心感のあるスカウトより、クダンちゃんみたいにこっちが不安になるぐらい挙動不審なビビりの方が信用できる。
なお、スカウト本人の気持ちは考えないものとする。私がいざとなったらいつでもシュクレちゃんの口に灼熱ウィンナーをぶち込む用意があるのと同じ理屈だ。
「ひぃっ。足音です! 土管から来ます!!」
そうこうしていると、早速クダンちゃんが声を上げる。彼女の声にパーティ全員が意識を周囲へ集中させた。
「……」
周囲が環境音に包まれる。
「……」
自分の心臓音が聞こえ始める。
えっこれ気のせいだったりする?
「私が行きます!」
シュクレちゃんが杖を掲げて宣言。
「まかせたー」
新しい詠唱を試したいって言っていたし、クダンちゃんのファインプレーで結構余裕がある。
「……」
あれ? まだ??
「チュー!」
バリバリ1分ぐらい待たされてから、眼前の天井に付けられた土管から異様に大きいドブネズミがバラバラと4~5体ぐらい落ちて来た。名前は確か、ゾンビラットだったかな。
「シャドウバインド!」
ゾンビラットの着地を待たずに、クダンちゃんが地面の影へ苦無を投げる。ゾンビラットは空中で姿勢が硬直し、バタバタと地面へ転がった。
「火吹き蜥蜴、力を示せ!」
たっぷり1分間、事前に考えていたのかほぼ思考時間0で詠唱が始まり、シュクレの掲げた杖から火炎放射器の様に火が放たれた。火は私、ヨイニ、クダンの頭上を通り過ぎ、ゾンビラットを燃やす。
「ジュー! キュァー!」
炎に包まれ、身動きの取れないゾンビラッド達が悲鳴を上げながら燃やし尽くされる。
「おー! シュクレちゃん、詠唱が短くなってる!!」
驚いて振り返り、キラキラした目で私が言うと、シュクレちゃんは恥ずかしそうにはにかんだ。
「えへへ、このダンジョンで見つけた新しい文献と、アニーさんのアドバイスで詠唱も種類によっては省略できるんじゃ無いかって思って……」
「アドバイス?」
「案外、言葉って曖昧だってお話で……詠唱を必要としない習得スキル系の魔術も、実は会話と同じ様に文法とかを無視して何かに伝えているに過ぎないのかなって」
「お、おーなるほどー」
シュクレちゃんが何を言っているかは理解できないけど、何か役に立ったらしい! えっへん!!
「師匠、また新しい境地に至ったんっすね!!」
ムエルケちゃんが祈る様に手を組んで感動している。そっか、彼女はヒーラーだけどシュクレちゃん教の人だったんだね。
「ただ、この文法無視は普通にスキル習得して発動するよりちょっとMP消費が激しいみたいですね」
「むむ、まぁ確かになんでも詠唱で解決できたらスキル習得の存在価値なくなっちゃうもんねー」
まあそれでも、詠唱前提ビルドでも擬似的に初級魔法が使えるのは大きな発見だよね。でもこれが普及したらスキル習得派の人、息できる?
「ふむふむ、なるほどねー」
ヨイニが納得した様に頷いて腕を組んでいる。
私はハッとして振り返った。
「ヨイニ、今の……!」
「もちろん、ちゃんとメモしたよ!」
キラーン。
輝く歯を見せてサムズアップ。
「ぐあぁぁぁぁああ貴重な情報がぁぁぁぁあああ!!」
「ははは、こっちもそれなりに戦力とリソース割いてるからね」
これでフォートシュロフ神聖騎士団のクランメンバーは誰であっても唐突に火炎放射が使える訳だ。
間違いなく今後のクラン戦に響いてくるだろう。
「ボス! 次は私がやりたいっす!」
最後尾のムエルケちゃんが手を上げる。あれ、この子はヒーラーじゃ無いの? でもこう言ってるって事は何かできるんだろう。
「よろしい! 次は任せた!」
ムエルケちゃんは私がムエルケちゃんを知っている前提で話している。まぁクランマスターだから本来は知っていて当然だよね。
当然、私は全く分かっていないけど言ったらショックだろうし分かっている体で進めよう。
「じゃあ、隊列を入れ替えて再出発だな」
ヨイニの号令で隊列を入れ替える。
「えっと、それじゃあ……進みますね」
クダンちゃんを先頭に、私たちはダンジョンをさらに進んでいく。
「ううっ……怖いです」
クダンちゃんがビクビクしながら中腰で先頭を歩く。水の音にすらビクッと反応している。なんでスカウトやってるんだろ。
と言うか何でダンジョン攻略やってるんだろ。
「アニーさん」
後を歩くシュクレちゃんからフレンドチャットで話しかけられる。この会話は他の3人には聞こえない。
「どうしたのー?」
「クダンさん、大丈夫でしょうか? 色々と」
「んーメンタルの部分は兎も角、スカウトとしては信用できるね。流石はヨイニって感じ」
「えっそうなんですか? その、何て言うか……」
シュクレちゃんの言いたいことは分かる。スカウトはパーティの先頭を歩いて罠の感知や隠し通路を発見する役目を負っている。
クダンちゃんみたいにすごく不安そうにしていたら、こっちも本当に大丈夫か? と心配になってしまう。
「恐怖って言うのは、生き物が持つ根源的で、最も強い感情なんだよ」
「? はい」
「強い生存本能はそれだけ強い集中力と危機察知能力を発揮するから。例えば私だったら認識すらしない様な天井から落ちる水の音にすらクダンちゃんは意識を向けられているじゃん? 何が危険の前兆か分からない以上、これはゲーム内のスキル以上に優秀なセンサーかもよ?」
今回みたいに難易度不明でゴリゴリのダンジョン攻略をする場合なら、私は自信満々で安心感のあるスカウトより、クダンちゃんみたいにこっちが不安になるぐらい挙動不審なビビりの方が信用できる。
なお、スカウト本人の気持ちは考えないものとする。私がいざとなったらいつでもシュクレちゃんの口に灼熱ウィンナーをぶち込む用意があるのと同じ理屈だ。
「ひぃっ。足音です! 土管から来ます!!」
そうこうしていると、早速クダンちゃんが声を上げる。彼女の声にパーティ全員が意識を周囲へ集中させた。
「……」
周囲が環境音に包まれる。
「……」
自分の心臓音が聞こえ始める。
えっこれ気のせいだったりする?
「私が行きます!」
シュクレちゃんが杖を掲げて宣言。
「まかせたー」
新しい詠唱を試したいって言っていたし、クダンちゃんのファインプレーで結構余裕がある。
「……」
あれ? まだ??
「チュー!」
バリバリ1分ぐらい待たされてから、眼前の天井に付けられた土管から異様に大きいドブネズミがバラバラと4~5体ぐらい落ちて来た。名前は確か、ゾンビラットだったかな。
「シャドウバインド!」
ゾンビラットの着地を待たずに、クダンちゃんが地面の影へ苦無を投げる。ゾンビラットは空中で姿勢が硬直し、バタバタと地面へ転がった。
「火吹き蜥蜴、力を示せ!」
たっぷり1分間、事前に考えていたのかほぼ思考時間0で詠唱が始まり、シュクレの掲げた杖から火炎放射器の様に火が放たれた。火は私、ヨイニ、クダンの頭上を通り過ぎ、ゾンビラットを燃やす。
「ジュー! キュァー!」
炎に包まれ、身動きの取れないゾンビラッド達が悲鳴を上げながら燃やし尽くされる。
「おー! シュクレちゃん、詠唱が短くなってる!!」
驚いて振り返り、キラキラした目で私が言うと、シュクレちゃんは恥ずかしそうにはにかんだ。
「えへへ、このダンジョンで見つけた新しい文献と、アニーさんのアドバイスで詠唱も種類によっては省略できるんじゃ無いかって思って……」
「アドバイス?」
「案外、言葉って曖昧だってお話で……詠唱を必要としない習得スキル系の魔術も、実は会話と同じ様に文法とかを無視して何かに伝えているに過ぎないのかなって」
「お、おーなるほどー」
シュクレちゃんが何を言っているかは理解できないけど、何か役に立ったらしい! えっへん!!
「師匠、また新しい境地に至ったんっすね!!」
ムエルケちゃんが祈る様に手を組んで感動している。そっか、彼女はヒーラーだけどシュクレちゃん教の人だったんだね。
「ただ、この文法無視は普通にスキル習得して発動するよりちょっとMP消費が激しいみたいですね」
「むむ、まぁ確かになんでも詠唱で解決できたらスキル習得の存在価値なくなっちゃうもんねー」
まあそれでも、詠唱前提ビルドでも擬似的に初級魔法が使えるのは大きな発見だよね。でもこれが普及したらスキル習得派の人、息できる?
「ふむふむ、なるほどねー」
ヨイニが納得した様に頷いて腕を組んでいる。
私はハッとして振り返った。
「ヨイニ、今の……!」
「もちろん、ちゃんとメモしたよ!」
キラーン。
輝く歯を見せてサムズアップ。
「ぐあぁぁぁぁああ貴重な情報がぁぁぁぁあああ!!」
「ははは、こっちもそれなりに戦力とリソース割いてるからね」
これでフォートシュロフ神聖騎士団のクランメンバーは誰であっても唐突に火炎放射が使える訳だ。
間違いなく今後のクラン戦に響いてくるだろう。
「ボス! 次は私がやりたいっす!」
最後尾のムエルケちゃんが手を上げる。あれ、この子はヒーラーじゃ無いの? でもこう言ってるって事は何かできるんだろう。
「よろしい! 次は任せた!」
ムエルケちゃんは私がムエルケちゃんを知っている前提で話している。まぁクランマスターだから本来は知っていて当然だよね。
当然、私は全く分かっていないけど言ったらショックだろうし分かっている体で進めよう。
「じゃあ、隊列を入れ替えて再出発だな」
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クダンちゃんを先頭に、私たちはダンジョンをさらに進んでいく。
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