【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

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エターナルシア遺跡占領作戦

世界の真理に迫るタイプのJK

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「ギィィイイイアアアァァアアアア!!!」

 アーク・ゾンビアリゲーターが大きく口を変えてヨイニへ襲い掛かる。あのサイズ感だと防御力とか関係なく挟まれてしまう。

「あっちょっとそれはまずい!」

「アトラクト・ボール!」

 ヨイニへスタンと引き寄せ効果のあるスキルを放つ。彼女が私の方へ引き寄せられる様に吹き飛んでくる。

「よっと」

 それをスッと避ける。地面に片手を突きながら、体勢を崩さずにヨイニがその場に立ち止まる。

「アニー、サンキュー!」

「がぁぁぁぁあああ!」

 ゾンビワニが咆哮と共に火の玉を吐き出す。

「ブロック!」

 今度はヨイニが前へ出て大盾を構える。火の玉は彼女の盾へ当たると衝撃波しょうげきはと共に霧散むさんしていく。

「おー、流石の火耐性……」

「ーーせよ!……ウォーターフォール!」

 私と同じ様にヨイニの背中に隠れていたシュクレちゃんが詠唱を完成させる。ゾンビワニの頭上から滝の様な大量の水が叩き落とされた。

「ギィィイイイアアアァァアアアア!!!」

「おぉー効いてる!」

 チャーンス!

「「「「セット・リボルビングパイル」」」」

 両腕と両翼にパイルバンカーを装填。

影踏かげふみ!」

 スキルでゾンビワニの後方に出現する。実は私、スキルの関係で背後から攻撃するとダメージが増えるのだ。

「フル・ファイアー!」

 24本のパイルを一斉に解き放つ。

「ギュイィィイアァァァァァァァァアア!!」

影踏かげふみ!」

 ヨイニの影を目標にもう一度影踏みで帰ってくる。

「おー、まだ動いてる……」

 ゾンビワニが咆哮を上げながら暴れている。その攻撃をヨイニが大盾で受け止め、わずかな隙へ槍を突き刺した。

「もっと大人数で来る事を想定してるボスなのかな?」

「さっきの道を大人数で降りてくるのは無理じゃない?」

「あーじゃあエンドコンテンツに近いのかもねー」

 まあ、普通に考えて、本来はボスが数発で倒せる方が変な話だもんね。コレは地道に戦うしかないかな。

「暴君な方のボス! コレ蜘蛛の方は無限沸きっすね!」

「ムエルケちゃんとクダンちゃんは連携して蜘蛛の処理をお願いー! あっムエルケちゃんはヒールも継続で!」

「了解っす!」

「はっはいぃ!」

「ヨイニはシュクレちゃんを守って!」

「任された!」

「私は前線であのゾンビワニを穴だらけにする!」







「ギィィィィイイイイィアァァァアアアア!!」

 ゾンビワニが最後に大きな咆哮を上げて崩れ落ちる。

「ひー! 大変だったー!」

 余裕で30分以上戦っていた。
 私はその場へ大の字に転がる。

「途中で行動パターン変わった時は全滅を覚悟したよ」

 ヨイニがすぐ側までやってきてホッとした表情を浮かべる。

「流石メメントモリの二強っすね! 実質2人で倒しちゃったっすね!」

 ムケルケちゃんの言葉に私は片腕を左右に振って否定する。

「結局の所、ダメージの7割ぐらいはシュクレちゃんだよ。私はアタッカー兼、回避タンクって感じ」

 シュクレちゃんはその場で最適な詠唱を作り出すことができる。詠唱を考える時間とそもそも詠唱が長いって問題はあるけど今回みたいな体の大きいレイドボスでは恐ろしい程のダメージを叩き出す。
 私の"パイルバンカー"だってプレイヤー相手では過剰火力気味なのに、それの2倍以上のダメージを叩き出している。どう考えても普通のプレイヤーに撃って良い火力じゃない。

「えへへ、他の事じゃ他の人に勝てないけど、魔法攻撃に関しては任せてください!」

 シュクレちゃんが顔をちょっと赤くしながら、恥ずかしそうに、ちょっと誇らしげに笑みを浮かべた。
 ゲームが楽しそうでなによりだ。

「シュクレ師匠は魔法詠唱研究の神っすからね!」

「アニーさん! あれ!」

 どんな瞬間でも決して周囲への警戒を怠らないクダンちゃんが声を上げる。彼女の指差す方向に視線を向けると、ボスワニが居たエリアの奥に、不思議な文字の浮かび上がる巨大な石碑が鎮座していた。

「すごい、何が書かれているのか全く分からないっすね」

「え、ムエルケちゃんって結構詳しいの?」

「シュクレ師匠に比べたら私なんて無知も同然っすけど、多少は分かるっすよ」

「……」

 話題の大魔法神シュクレちゃんが光に吸い寄せられる虫の様に石碑に近づいて指先を触れると、石碑は一度大きく瞬く。そして、光の一部が彼女の中へと流れ込んでいく。

「時の流れにうもれ名状めいじょうがたき……7相よ、我、真実を追い求める者なり。我、真実をつまびらかにする者なり。証しを示す試練を我が手に!」

 シュクレちゃんが両手を上空へ掲げて詠唱を終えると、彼女の眼前には石碑の文字のちっちゃい版が浮かんでいた。私はポカーンと口を開けているムエルケちゃんをつつく。

「ムエルケちゃん、状況説明!」

「たーぶーん、新しい詠唱のパーツを得る為の詠唱っす! メイビー!」

 ダメだ何を言っているかふんわりしか分からない。多分ムエルケちゃんも混乱しているんだろう。

「シュクレちゃん、これが探してたやつ?」

「……」

 シュクレちゃんの方に話しかけると、彼女は石碑の文字を指でグリグリと操作していた。完全に自分の世界に入っている。

「おーい!」

「……これは、解析に数ヶ月はかかりそうですね」

 しばらくしてシュクレちゃんがボソリと言葉を発した。おお、人類の世界に神が帰ってきたか。

バカにもわかる様に説明を求む!!」

「えっと、今回の調査なんですけど……実は何も無い可能性、結構あるかなーって思っていたんですよね」

「まぁ、そうだよね」

 申し訳なさそうに言うシュクレちゃんに、うんうんと頷く。彼女は意外そうな表情を浮かべた。

「えっわかってたんですか?」

「確信があるなら確信の持てる根拠をもうちょっと説明するじゃん?」

「えっと、ごめんなさい」

 シュクレちゃんが恐縮した様子でペコリと頭を下げる。私はそれを両手を振って制した。

「いいのいいの! 私はその事も勘定に入れて判断したから! それより話の続き!」

「今回の場合、何も無かったら、何も無いって言う情報が大切だったんです。だから確実に何も無かったと言えるだけの調査が必要でした」

「結果としてはこの石碑があったと」

 ここまで空気に徹していたヨイニの言葉に、シュクレちゃんがうなずいて答える。

「この石碑にはどんな意味があるっすか?」

 ムエルケちゃんが目を輝かせて質問する。
 シュクレちゃんはそれに頷いて話を続けた。

「ムエルケさんの考察がほぼ正解で、この石碑に書かれている内容はこの世界で一般的に広まっている魔術体系とは切り離された系統の……伝承に近いものですね」

「ふむふむ……あれ?」

 一瞬、納得しかけたけど疑問が浮かんできた。

「今、一般的に広まっている魔術体系って要はシュクレちゃん流詠唱魔術じゃん」

「あっえっと、私のは元々、詠唱が必要になる様な魔法スキルの詠唱の規則性や、ダンジョンの壁とか遺跡とかの所々に書かれているこの世界の文字を解読し伝承を割り出して詠唱の法則と伝承を組み合わせる事で詠唱の自由度を生み出している感じなので……」

「つ、つまり……?」

「え、えっと……」

「この世界の図書館とかに書かれている様な伝承とは関連性の無い伝承ってこと?」

 私とシュクレちゃんが困っていると、ヨイニが良い感じに彼女の言葉を要約してくれた。

「は、はい! そんな感じです!」

「図書館にそんなのあったんだ。私も読んでみようかな?」

「全部この世界の独自言語で書かれてるから読めないよ。ごく一部の例外とその弟子たちを除いて」

「あーなるほどー」

 何となーく、話は分かった! まあでもね、私としてはとりあえずPKさえできれば満足なんだよね。
 このゲームの世界観には、そんなに興味は無い。

「で、ヘイストは!?」

「それは、この暗号を解読してみないと……」

「ちな、可能性は?」

「この石碑に関わる存在は魔術と時間を司る存在らしき記述があります」

「じゃあ、まだ可能性はあるって事だね!!」

「は、はぃ……」

「よっしゃぁぁぁぁぁああああああ!!」
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