【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

文字の大きさ
68 / 149
エターナルシア遺跡占領作戦

ワニの背中に乗るタイプのJK

しおりを挟む
「アニー、まだ道覚えてる?」

「んーたーぶーん、大丈夫」

 私たちはダンジョンを下へ下へと降っていく。ドラゴンを出すには配管が邪魔でちょっと難しい。

 道が狭い上に、蜘蛛くものモンスターが配管を伝ってどこからでも襲ってくるから陣形もあんまり意味を成していない。

「うう、あまりお役に立てずごめんなさい……」

 シュクレちゃんが申し訳なさそうにしている。

「大丈夫だよ! シュクレちゃんにこの状況で活躍を期待するのはコンビニで店員と間違えて一般のお客さんに商品の在庫を聞いて態度悪いとか言ってキレ散らかすのとおんなじだから!」

 普通に考えてその係じゃ無い人にタスクを振ってするっとできる事を期待する方が間違ってるよね。

「と言うかこのダンジョン、他と比べて明らかに難易度おかしいよね?」

 他のダンジョンのモンスターやプレイヤーの成長力に比べて、このダンジョンはギミックやモンスターの次元が違う。

「もしかしたら、本当はもっと終盤でくる様なエンドコンテンツダンジョンなのかもしれないっすね!」

「そう言うのってもっとマップを進んだ先にある物じゃ無いの?」

「難易度の高い死にゲーとかだとたまにあるっすよ? ちょっと脇道にそれたら異次元の強さなモンスターが現れて終盤でもう一度挑戦するみたいな展開」

「あーあるねー」

 ムエルケちゃんの言葉にゲーマーのヨイニが頷く。

「そう言えばムエルケちゃんはずっと魔法打ちまくってるけどMP大丈夫? 灼熱しゃくねつウィンナーいる?」

「私はモンスターキルとPKでMP回復するっすから大丈夫っすよー!」

 なるほど、あれだけ魔法攻撃してヒーラーとして大丈夫か心配になってたけど完全に杞憂きゆうだったね。
 え、ていうかそれ欲しくない? 私も欲しいけど、何よりシュクレちゃんに必要じゃない?

「えっそれどうやったら手に入るの?」

「信仰系のジョブをめっちゃ上げるのと、特別な宗派に入信する必要があるっすねー」

「あー、スキルツリー的に厳しいかなぁ」

 信仰系と魔術系、両方ともMPを消費して魔法を発動させるし、なんなら両方とも攻撃魔法を覚えられる。だけどなせかジョブのスキルツリーが完全に分断されているんだよね。

「いえ、目指して見ようかな」

「えっシュクレちゃん良いの?」

「はい、魔法スキルは取らないので、魔術師系統で欲しい威力強化系のスキルはもう殆ど無いんですよね」

「あー、なるほどねー」

 魔術師系は魔法スキルを習得したり、それをカスタムする事で魔法を発動する。それを全部、セルフ詠唱で解決する代わりに火力へ全振りしているのがシュクレちゃんのビルドだ。
 確かに他の人に比べればジョブポイントに余裕はありそう。

「みんな、あれ地面じゃないかな?」

 そうこうしていると、さっきからシュクレ専属の護衛と化していたヨイニが全員へ声をかける。
 その声に下を見てみるけど、よく見えない。

「とぉ」

 腰のランタンを地面へ放り投げる。
 数秒後、下から鈍い音が帰って来た。落ちたランタンによって周囲が小さく照らされ、確かに床らしき物が見える。

「すごい自然にランタン捨てるじゃん」

 ヨイニがしたを覗き込みながらツッコミを入れる。

「大丈夫、頑丈なランタンだから」

 ちょっと不思議な魔法がかかっているのか、純粋に作りが良いのか。通常価格よりだいぶ高かった。

「よぉし! この距離ならもう降りちゃえ!」

 狭い足場でゴチャゴチャと蜘蛛と戦うのはもう飽きた! 配管から一気に飛び降りる。

「あっちょっと!」

 クダンちゃんの声がドップラー効果で遠ざかって行く。

「よっと、えい!」

 道中、配管とかそれにへばりつく蜘蛛モンスターを蹴りながら位置調整と落下速度を調整する。

「アニーさん! その床ぁー! 変ですぅー!!」

「へ?」

 クダンちゃんの声をちゃんと認識したのは、拾い上げたランタンを腰に付け直した後だった。
 直後、地面が揺れる。

「わ、わわ!」

 周囲から骨と肉片が浮かび上がり、即座に形を形成する。

「アーク・ゾンビアリゲーター!」

 一発で名前がわかった。なんたって本体の上に赤文字で表示されている。赤文字はボスの印だ。

「バァウァァァアアアア!!」

 骨と腐肉で形成された全長10mのワニが咆哮を上げると同時に、背中から青紫色の炎が噴き出した。

「あっち! あっち! あっち! あぁぁあああ!」

 当然、その巨大なゾンビワニの背中へ無防備に着地していた私は、一瞬で全身をメラメラと焼かれる。
 万年寒鉄まんねんかんてつの鎧は炎と氷、両方に高い耐性があるけど流石にダメージが入った。

「アニー!」

 少し遅れて、ヨイニが地面へ落ちて来た。
 うん、コレはもう着地ではない、落下だ。全身鎧のタンク型ビルドで私と同じ様な動きをするのは不可能だよね。

燃焼ねんしょうダメージがやばいー!」

 私はボスワニの背中から降りて距離を取る。

「あっえっと! い、泉より來て、あっ違った、えっと!」

 シュクレちゃんも降りて来て詠唱を唱えようとするけど、全然間に合わない。文法破壊ブレイク・スペルの詠唱はさっき成功したばかりだし、突発的な状況で上手にできる訳ないよね。

「師匠はワニの方をお願いっす! キュア! ヒール!」

 シュクレちゃんと一緒に来たムエルケちゃんが私へ状態異常じょうたいいじょうとHPの回復スキルを放つ。

「ふぅ、助かった! 流石ヒーラー!」

「ウボォォォアアァァァアアァアア!」

 ボスワニが咆哮ほうこうを上げて尻尾を振るう。

「フォートレス! ブロック!」

 起き上がったヨイニが重厚な大盾を構える。むちを壁へ打ち付けた時の様な音がひびいて、ボスワニが少し後退する。

「ヒール!」

 ムエルケちゃんのHP回復スキルがヨイニへ飛ぶ。
 ヒーラーって大事だったんだなぁ……。

「もおー! アニーさん!! シャドウバインド!」

 クダンちゃんが苦無を周囲へばら撒く。ボスワニの咆哮に反応したのか、純粋に私が荒らしたせいで落下してきたのかわからないけど、周囲には蜘蛛のモンスターが落下してきている。
 彼女が手早くばら撒いたクナイは素早くモンスターの影を捉え、一瞬でその動きを止めた。

「ごめーん!」

 だって急にボスの背中に落下するとは思わないじゃーん!
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...