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エターナルシア遺跡占領作戦
覚醒するタイプのJC
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何が起きたか理解できない。前回のイベントでべへモスが出てこなかったと言うことは、カドルと比べて成長率は大きく劣るはず。それがこうも一方的にやられるなんて常識では考えられない。
呆然としている私をみてカタンが笑う。
「驚いている様だな」
「卵にレアリティがあるってこと?」
「随分な勘違いだな。お前達の様な上位クランが所有しているドラゴンの最大の理点はなんだ?」
「空が飛べること」
「そうだな、言い換えれば、お前達のドラゴンは飛行能力を得ることにリソースのほぼ全てを費やしている。ソレ以外の能力に関しては、余ったリソースを割り振っているにすぎない」
カドルは自慢げな笑みを浮かべると、べへモスの金属の様にツルリとした翼を優しく撫でた。
「俺のべへモスは飛ぶことができない。その代わりに、お前達のドラゴンに比べて遥かに高い直接戦闘能力を有しているってわけだ」
「まー可愛い癒し系ペットのカドルと、そっちの筋肉モリモリ戦闘デブじゃ戦闘力に差があってもしょうがないよねー」
「ヒョロガリの空飛ぶナナフシが可愛いペットとは特殊な趣味をしているな」
誰が空飛ぶナナフシだ、ガルルル。
それはそれとしていよいよ後が無い。流石にあの爆発で無傷って事は無いだろうけど、べへモスの残り体力は未知数だ。
しかも、私はMPとHPを使い切った瀕死状態。PK撲滅連合のプレイヤーはまだ10人以上残っている。
「仲間を巻き添えにしてでも足掻いた様だが、無駄だったな!」
小脇に抱えていたシュクレを下ろす。
「あはは」
私は乾いた笑を浮かべて構えを取る。
「……何がおかしい、どうして諦めない?」
「いや別にもうさ、勝てそうとか負けそうとか関係ないんだよね」
チラリとシュクレの方へ視線を向ける。彼女の手と視線は、今までもずっと光の文字を向いていた。
「私はシュクレがこのパズルを解く時間を最後まで稼ぎ続けるだけだから」
私の答えをカタンは鼻で笑う。
「こんなゲーム終盤に来る様な高難易度ダンジョンの最深部にあるパズルが、現時点で解ける訳ねぇだろ。もっとイベントが進んでヒントが出るか、総当たりでやったって数年はかかる代物……」
「……できた」
カタンが言い終わるかどうかと言うタイミングで、小さな、小さなシュクレの呟きがこぼれ落ちる。だけどその言葉はこの場の全員、おそらくカタンの配信をみているプレイヤー達にも雷鳴の様に鳴り響いたに違いない。
全員の視線が集まる中、シュクレの眼前に浮かび上がっていた半透明に光る文字が形を失い彼女へ流れ込んでいく。
「う、嘘だ! AIにやらせたってそんな短時間でできるわけ……」
カタンが混乱し、うろたえて声を上げる。その一方で、シュクレは冷静さを保ち、穏やかな口調で彼に応じた。
「AIは人間の上位互換じゃありません。得意なこと、苦手なことがあります」
「暗号分析やパズルなんかはそのAIが得意とすることじゃないか!」
「人間側がAIと同じ様に、論理的に1つずつ全てのパターンを試していくのであれば、その通りですね」
「おい、どう言うことだ……」
「"理論"は人類が発明した概念の中でも特に優れた物ですが、無敵の発明というわけでもありません。だって、人間はすごく曖昧で、理論的とは程遠い存在ですだから」
「じゃあ、お前はどうやってパズルを解いたって言うんだ!」
「なんとなくの雰囲気と感です」
「ふ、ふざけるな! 何通りあると思っているんだ! ここまでの時間で試せるパターンだけで合致するのは天文学的な確率だぞ!」
「私は、ちょっとでも違う物を同じ物として丸め込んで認識できないんです。だから、日常会話ですらいつも違和感を抱えていました」
「それがどうしたって言うんだ!」
「この文字列の並びが何を意味しているかは分かりません、パズルがどう言う物だったかすら理解していません。私はただ、単語を私が違和感の感じない並びに直しただけ」
「ば、馬鹿な……」
「ムエルケさんは私の言葉を真剣に聞いて、理解してくれようとしてくれます。アニーさんは私の言っていることを理解できなくても信じてくれます。他にも、メメントモリの皆は現実世界で私が大っ嫌いだった私のこの変な所を認めてくれました。だから、私は私を認められた。だから、私はこの力を得られた!」
シュクレが両手を広げる。
彼女の両手を中心に魔法陣が浮かび上がった。
「スペル・アクセラレーション!」
本来シュクレが持っていないはずの発声起動スキルだ。彼女足元に魔法陣が展開される。
「ベヘ」
「********************!」
早い!
カタンが何かを言い終わるより遥かに早く、AGI特化の私でも聞き取れない速度でシュクレの詠唱が完了する。
「BUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
シュクレの全身を覆う様に、半透明の巨大ながしゃどくろが現れる。その両腕には無骨で巨大な肉切り包丁が握られていた。
「モス!」
シュクレがゆっくりと腕を突き出し部へモスを指し示す。がしゃどくろが即座に答え、べへモスへ襲いかかる。
「や……れ……」
がしゃどくろが上半身を持ち上げ、両手で乱雑に肉切り包丁を振り下ろす。ただただ力任せの狂気的な連打だ。
カタンが"べへモスやれ!"を言い終わる前に、彼のドラゴンは文字通り解体されてしまった。
「******************!」
シュクレが空へ手のひらを掲げながら更に詠唱を完成させる。強烈な衝撃波と共に彼女の上空に禍々しい浮遊する眼球が召喚された。
「GEEEEEEEEEEIIIIIIIIIIIIII!!!!」
浮遊する眼球から悲鳴の様な方向と共に無数の青色閃光が迸る。それらがカタンを含むPK撲滅連合のプレイヤーに襲いかかった。
「ば、化け物がぁぁぁぁぁあああああ!」
PK撲滅連合のプレイヤー達はソレらを必死に避けようとするけど、それは叶わない。どれだけキャラクターの身体能力を上げたって、雨を避けることなんてできるわけないんだから。
「……」
一帯に再び静寂が訪れる。
「うぉー! 詠唱教授すげー!」
「暴君もやべー!」
カタンの映像を見ていたであろう、一部のプレイヤーからエリアチャットが飛び交う。
「やったね、シュクレ」
「えへへ、頑張っちゃいました」
私の突き出した拳に、シュクレも拳を合わせた。
呆然としている私をみてカタンが笑う。
「驚いている様だな」
「卵にレアリティがあるってこと?」
「随分な勘違いだな。お前達の様な上位クランが所有しているドラゴンの最大の理点はなんだ?」
「空が飛べること」
「そうだな、言い換えれば、お前達のドラゴンは飛行能力を得ることにリソースのほぼ全てを費やしている。ソレ以外の能力に関しては、余ったリソースを割り振っているにすぎない」
カドルは自慢げな笑みを浮かべると、べへモスの金属の様にツルリとした翼を優しく撫でた。
「俺のべへモスは飛ぶことができない。その代わりに、お前達のドラゴンに比べて遥かに高い直接戦闘能力を有しているってわけだ」
「まー可愛い癒し系ペットのカドルと、そっちの筋肉モリモリ戦闘デブじゃ戦闘力に差があってもしょうがないよねー」
「ヒョロガリの空飛ぶナナフシが可愛いペットとは特殊な趣味をしているな」
誰が空飛ぶナナフシだ、ガルルル。
それはそれとしていよいよ後が無い。流石にあの爆発で無傷って事は無いだろうけど、べへモスの残り体力は未知数だ。
しかも、私はMPとHPを使い切った瀕死状態。PK撲滅連合のプレイヤーはまだ10人以上残っている。
「仲間を巻き添えにしてでも足掻いた様だが、無駄だったな!」
小脇に抱えていたシュクレを下ろす。
「あはは」
私は乾いた笑を浮かべて構えを取る。
「……何がおかしい、どうして諦めない?」
「いや別にもうさ、勝てそうとか負けそうとか関係ないんだよね」
チラリとシュクレの方へ視線を向ける。彼女の手と視線は、今までもずっと光の文字を向いていた。
「私はシュクレがこのパズルを解く時間を最後まで稼ぎ続けるだけだから」
私の答えをカタンは鼻で笑う。
「こんなゲーム終盤に来る様な高難易度ダンジョンの最深部にあるパズルが、現時点で解ける訳ねぇだろ。もっとイベントが進んでヒントが出るか、総当たりでやったって数年はかかる代物……」
「……できた」
カタンが言い終わるかどうかと言うタイミングで、小さな、小さなシュクレの呟きがこぼれ落ちる。だけどその言葉はこの場の全員、おそらくカタンの配信をみているプレイヤー達にも雷鳴の様に鳴り響いたに違いない。
全員の視線が集まる中、シュクレの眼前に浮かび上がっていた半透明に光る文字が形を失い彼女へ流れ込んでいく。
「う、嘘だ! AIにやらせたってそんな短時間でできるわけ……」
カタンが混乱し、うろたえて声を上げる。その一方で、シュクレは冷静さを保ち、穏やかな口調で彼に応じた。
「AIは人間の上位互換じゃありません。得意なこと、苦手なことがあります」
「暗号分析やパズルなんかはそのAIが得意とすることじゃないか!」
「人間側がAIと同じ様に、論理的に1つずつ全てのパターンを試していくのであれば、その通りですね」
「おい、どう言うことだ……」
「"理論"は人類が発明した概念の中でも特に優れた物ですが、無敵の発明というわけでもありません。だって、人間はすごく曖昧で、理論的とは程遠い存在ですだから」
「じゃあ、お前はどうやってパズルを解いたって言うんだ!」
「なんとなくの雰囲気と感です」
「ふ、ふざけるな! 何通りあると思っているんだ! ここまでの時間で試せるパターンだけで合致するのは天文学的な確率だぞ!」
「私は、ちょっとでも違う物を同じ物として丸め込んで認識できないんです。だから、日常会話ですらいつも違和感を抱えていました」
「それがどうしたって言うんだ!」
「この文字列の並びが何を意味しているかは分かりません、パズルがどう言う物だったかすら理解していません。私はただ、単語を私が違和感の感じない並びに直しただけ」
「ば、馬鹿な……」
「ムエルケさんは私の言葉を真剣に聞いて、理解してくれようとしてくれます。アニーさんは私の言っていることを理解できなくても信じてくれます。他にも、メメントモリの皆は現実世界で私が大っ嫌いだった私のこの変な所を認めてくれました。だから、私は私を認められた。だから、私はこの力を得られた!」
シュクレが両手を広げる。
彼女の両手を中心に魔法陣が浮かび上がった。
「スペル・アクセラレーション!」
本来シュクレが持っていないはずの発声起動スキルだ。彼女足元に魔法陣が展開される。
「ベヘ」
「********************!」
早い!
カタンが何かを言い終わるより遥かに早く、AGI特化の私でも聞き取れない速度でシュクレの詠唱が完了する。
「BUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
シュクレの全身を覆う様に、半透明の巨大ながしゃどくろが現れる。その両腕には無骨で巨大な肉切り包丁が握られていた。
「モス!」
シュクレがゆっくりと腕を突き出し部へモスを指し示す。がしゃどくろが即座に答え、べへモスへ襲いかかる。
「や……れ……」
がしゃどくろが上半身を持ち上げ、両手で乱雑に肉切り包丁を振り下ろす。ただただ力任せの狂気的な連打だ。
カタンが"べへモスやれ!"を言い終わる前に、彼のドラゴンは文字通り解体されてしまった。
「******************!」
シュクレが空へ手のひらを掲げながら更に詠唱を完成させる。強烈な衝撃波と共に彼女の上空に禍々しい浮遊する眼球が召喚された。
「GEEEEEEEEEEIIIIIIIIIIIIII!!!!」
浮遊する眼球から悲鳴の様な方向と共に無数の青色閃光が迸る。それらがカタンを含むPK撲滅連合のプレイヤーに襲いかかった。
「ば、化け物がぁぁぁぁぁあああああ!」
PK撲滅連合のプレイヤー達はソレらを必死に避けようとするけど、それは叶わない。どれだけキャラクターの身体能力を上げたって、雨を避けることなんてできるわけないんだから。
「……」
一帯に再び静寂が訪れる。
「うぉー! 詠唱教授すげー!」
「暴君もやべー!」
カタンの映像を見ていたであろう、一部のプレイヤーからエリアチャットが飛び交う。
「やったね、シュクレ」
「えへへ、頑張っちゃいました」
私の突き出した拳に、シュクレも拳を合わせた。
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