75 / 149
エターナルシア遺跡占領作戦
喫茶店で打ち上げをするタイプのJK
しおりを挟む
オリエンタルな雰囲気の喫茶店。喫茶店dreamerでヨイニがオレンジジュースの入ったコップを掲げる。
「エターナルシアの攻略を祝して!」
「か、かんぱーい!」
「いえーい!」
ヨイニの音頭に合わせてシュクレとムエルケちゃんがコップを重ねる。私も一応それに続く。
「いえーい……」
「ボス、テンション低いっすね?」
「そりゃーねー」
ムエルケちゃんの言葉に答えながら、テーブルにぐでーっと伸びる。
「結局、今回はシュクレの一人勝ちじゃんー」
今回シュクレが手に入れたスキル、詠唱加速は使用者の魔法攻撃力に比例して詠唱速度が上昇すると言う物だった。一応、私も魔法攻撃力はそれなりにあるけど、スキル発動時のMP消費を勘案すると全然割に合わない。
だって、初めから私のAGIは高い。私の言葉に、ムエルケちゃんもちょとがっかりした様子で声を上げた。
「私も欲しいっすけど、当分は取得困難っすよねー」
「フォートシュロフ神聖騎士団は再攻略に挑戦したんだよね?」
私の質問にヨイニは残念そうに方をすくめた。
「一応、様子見には行ったけど……あれは当分無理だろうね」
「どんな感じだったの?」
「配管は全部落ちちゃって、壁に張り付いて降りる必要があるんだけど、その状況であの蜘蛛のモンスターが襲いかかってくる」
「ひゃー、両手足が塞がって身動きできない状況であの蜘蛛の相手は無理ゲーっすね」
「奇跡的に一番下まで辿り着けても、配管の下から蜘蛛のモンスターが大量に襲いかかってくるし、不安定な足場の中であの巨大ワニとも戦わないといけない」
「うーん、あの時と同じだけの戦力を集めても攻略困難だろうねー」
「えっとあの、ごめんなさい……」
シュクレが申し訳なさそうに頭を下げる。
「次はもっと良いスキル、期待してるからねー」
「頑張ります!!」
シュクレが元気いっぱいに応える。研究者に出資するパトロンはいつもこんな気持ちなんだろうか。
「そういえばシュクレ、ゲームに違和感があるって言ってたよね?」
私の言葉にシュクレが小さく頷く。
「はい……石碑とは関係ないんですけど」
「おお、何が変だったの?」
「このIAFっていうゲームその物に対する違和感? ですね」
「あー」
シュクレちゃんが戸惑った様子の発言に、ヨイニがなんとも言えない声で頷いた。
「え、なに? なんで2人で通じ合ってるの?」
「アニーは久々にフルダイブゲームやってみて、どう感じた?」
「えっ超面白いって思ったけど?」
だって人を殺せるの最高すぎる。
以上、証明終了。
「昔にやったフルダイブゲームよりクオリティが高いって感じた事ない?」
「そりゃ昔の物より今の物の方がクオリティ高いのは当然じゃない?」
「IAFは最新のVRゲームだけど、近年の他のVRゲームと比べても、すごく良いんだよね」
「それが何か問題なの?」
「いや、問題は無いよ。ただまぁ、一部にはオカルト的な話もあるってだけ」
IAF超すげー! だけど凄すぎて逆に何か怪しい!
って事だね。
「あの石碑に何かその秘密に迫る要素があったの?」
私の疑問にシュクレが答える。
「えっと、その説明をする為にはまず現代のAIと人類の関係について説明しないといけないんですけど……」
「もしかして数ヶ月かかるコース?」
「いえ! そこまでの事では無いです!」
「シュクレ先生の講義をこの場で聞いてみたい人!」
「もちろんっす!」
ムエルケちゃんが真っ先に手を上げる。うん、君はそうだろうね。周りのみんなも各々が頷いていた。
「えっと、昔は今ほどAIが発達していなくて、人間が色々な事を自力で対応していたのはご存じですよね?」
「一応、日本史は履修してるからね」
あれでもこれ中学で習う内容だった様な? シュクレちゃん小学生じゃなかったっけ? ま、いっか。
「当時でいうAI革命、現代から見た場合の第四次シンギュラリティによって人間は細々とした作業はほとんど担当しなくなりましたよね」
「そうらしいね」
「でも、人間の仕事は無くならなかった、どうしてですか?」
「はにゃん? そんなの、当然じゃん。他人が他人の気持ちを理解できないのと同じで、AIも人間がお願いをしないと人間が何を望んでいるかは分からないんだから、AIに人間がやって欲しい事をお願いする仕事は残るでしょ?」
「そうですね、このVRゲームもそう言った形で作成されている……はずです。AIに対して参考となる時代背景の資料をアップロードしたり、より細かくて正確な指示をする為の言語を使ってAIと対話をしながらゲーム世界を構築します」
過去の人たちはキャラクターやモンスターの配置とかグラフィックとかを全部人力で一個一個作っていたらしいね。狂気かな? 現代に生きる私たちには到底考えられない。
「AIの利点は莫大です。その代わり、全ての部分に人間の意思が介在している訳では無いので、AIにとって当然の事でも、人間にとっては間違いの様な実装がされる部分もあります」
「はーい、そろそろ着いて行けなくなってきましたー!」
私を誰だと思っている。
一貫校なのに進学できなくなるおバカだぞ。
「あっえっと。その、私も詳しい訳じゃ無いんですけど……おそらくAIに食わせている資料の中で、プライオリティが高い資料に意図的な偏りがありそうだなって事です。特別な指定がなければあまり作らない設定がかなり散見されるので」
「ふーん?」
「例えばダンジョン内でお話しした、攻略の深度が外側から内側に向かっていく構造などは、特別にそう言う指定をしなければまず作られません。あとはヨイニさんがおっしゃっていた様に、全体的なディティールの完成度に現行のAI技術との隔たりを感じるって事ですね」
やばい、聞いてみたは良いものの思った以上に複雑な話がでてきて半分ぐらい理解できない。
「つまり、意図的に優先度を高められた資料が何かが分かれば、今後の隠しスキルゲットに役立つかもしれない! って事で良い!?」
「あっ確かにそう言う事もできるかも……」
って考えて無かったんかーい!
どう言う効果があるかは分からずにとりあえず原理や謎を探究するその姿勢、将来は立派なマッドサイエンティストだね。
「エターナルシアの攻略を祝して!」
「か、かんぱーい!」
「いえーい!」
ヨイニの音頭に合わせてシュクレとムエルケちゃんがコップを重ねる。私も一応それに続く。
「いえーい……」
「ボス、テンション低いっすね?」
「そりゃーねー」
ムエルケちゃんの言葉に答えながら、テーブルにぐでーっと伸びる。
「結局、今回はシュクレの一人勝ちじゃんー」
今回シュクレが手に入れたスキル、詠唱加速は使用者の魔法攻撃力に比例して詠唱速度が上昇すると言う物だった。一応、私も魔法攻撃力はそれなりにあるけど、スキル発動時のMP消費を勘案すると全然割に合わない。
だって、初めから私のAGIは高い。私の言葉に、ムエルケちゃんもちょとがっかりした様子で声を上げた。
「私も欲しいっすけど、当分は取得困難っすよねー」
「フォートシュロフ神聖騎士団は再攻略に挑戦したんだよね?」
私の質問にヨイニは残念そうに方をすくめた。
「一応、様子見には行ったけど……あれは当分無理だろうね」
「どんな感じだったの?」
「配管は全部落ちちゃって、壁に張り付いて降りる必要があるんだけど、その状況であの蜘蛛のモンスターが襲いかかってくる」
「ひゃー、両手足が塞がって身動きできない状況であの蜘蛛の相手は無理ゲーっすね」
「奇跡的に一番下まで辿り着けても、配管の下から蜘蛛のモンスターが大量に襲いかかってくるし、不安定な足場の中であの巨大ワニとも戦わないといけない」
「うーん、あの時と同じだけの戦力を集めても攻略困難だろうねー」
「えっとあの、ごめんなさい……」
シュクレが申し訳なさそうに頭を下げる。
「次はもっと良いスキル、期待してるからねー」
「頑張ります!!」
シュクレが元気いっぱいに応える。研究者に出資するパトロンはいつもこんな気持ちなんだろうか。
「そういえばシュクレ、ゲームに違和感があるって言ってたよね?」
私の言葉にシュクレが小さく頷く。
「はい……石碑とは関係ないんですけど」
「おお、何が変だったの?」
「このIAFっていうゲームその物に対する違和感? ですね」
「あー」
シュクレちゃんが戸惑った様子の発言に、ヨイニがなんとも言えない声で頷いた。
「え、なに? なんで2人で通じ合ってるの?」
「アニーは久々にフルダイブゲームやってみて、どう感じた?」
「えっ超面白いって思ったけど?」
だって人を殺せるの最高すぎる。
以上、証明終了。
「昔にやったフルダイブゲームよりクオリティが高いって感じた事ない?」
「そりゃ昔の物より今の物の方がクオリティ高いのは当然じゃない?」
「IAFは最新のVRゲームだけど、近年の他のVRゲームと比べても、すごく良いんだよね」
「それが何か問題なの?」
「いや、問題は無いよ。ただまぁ、一部にはオカルト的な話もあるってだけ」
IAF超すげー! だけど凄すぎて逆に何か怪しい!
って事だね。
「あの石碑に何かその秘密に迫る要素があったの?」
私の疑問にシュクレが答える。
「えっと、その説明をする為にはまず現代のAIと人類の関係について説明しないといけないんですけど……」
「もしかして数ヶ月かかるコース?」
「いえ! そこまでの事では無いです!」
「シュクレ先生の講義をこの場で聞いてみたい人!」
「もちろんっす!」
ムエルケちゃんが真っ先に手を上げる。うん、君はそうだろうね。周りのみんなも各々が頷いていた。
「えっと、昔は今ほどAIが発達していなくて、人間が色々な事を自力で対応していたのはご存じですよね?」
「一応、日本史は履修してるからね」
あれでもこれ中学で習う内容だった様な? シュクレちゃん小学生じゃなかったっけ? ま、いっか。
「当時でいうAI革命、現代から見た場合の第四次シンギュラリティによって人間は細々とした作業はほとんど担当しなくなりましたよね」
「そうらしいね」
「でも、人間の仕事は無くならなかった、どうしてですか?」
「はにゃん? そんなの、当然じゃん。他人が他人の気持ちを理解できないのと同じで、AIも人間がお願いをしないと人間が何を望んでいるかは分からないんだから、AIに人間がやって欲しい事をお願いする仕事は残るでしょ?」
「そうですね、このVRゲームもそう言った形で作成されている……はずです。AIに対して参考となる時代背景の資料をアップロードしたり、より細かくて正確な指示をする為の言語を使ってAIと対話をしながらゲーム世界を構築します」
過去の人たちはキャラクターやモンスターの配置とかグラフィックとかを全部人力で一個一個作っていたらしいね。狂気かな? 現代に生きる私たちには到底考えられない。
「AIの利点は莫大です。その代わり、全ての部分に人間の意思が介在している訳では無いので、AIにとって当然の事でも、人間にとっては間違いの様な実装がされる部分もあります」
「はーい、そろそろ着いて行けなくなってきましたー!」
私を誰だと思っている。
一貫校なのに進学できなくなるおバカだぞ。
「あっえっと。その、私も詳しい訳じゃ無いんですけど……おそらくAIに食わせている資料の中で、プライオリティが高い資料に意図的な偏りがありそうだなって事です。特別な指定がなければあまり作らない設定がかなり散見されるので」
「ふーん?」
「例えばダンジョン内でお話しした、攻略の深度が外側から内側に向かっていく構造などは、特別にそう言う指定をしなければまず作られません。あとはヨイニさんがおっしゃっていた様に、全体的なディティールの完成度に現行のAI技術との隔たりを感じるって事ですね」
やばい、聞いてみたは良いものの思った以上に複雑な話がでてきて半分ぐらい理解できない。
「つまり、意図的に優先度を高められた資料が何かが分かれば、今後の隠しスキルゲットに役立つかもしれない! って事で良い!?」
「あっ確かにそう言う事もできるかも……」
って考えて無かったんかーい!
どう言う効果があるかは分からずにとりあえず原理や謎を探究するその姿勢、将来は立派なマッドサイエンティストだね。
11
あなたにおすすめの小説
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。
branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位>
<カクヨム週間総合ランキング最高3位>
<小説家になろうVRゲーム日間・週間1位>
現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。
目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。
モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。
ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。
テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。
そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が――
「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!?
癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中!
本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ!
▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。
▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕!
カクヨムで先行配信してます!
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件
さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ!
食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。
侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。
「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」
気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。
いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。
料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる