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剛輪禍産業革命-3:シティ・リビルド・チャレンジ
駆けつけるタイプのJK
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*「アニーさん、あとどれぐらいかかりそうですか?」*
クランチャットの方にシュクレからメッセージが飛んできた。私は視線の端に浮かぶメニューから製造の進捗状況を確認する。
98%……これまでの進行速度と合わせると、あと10分ぐらい。この場から西側の端までの移動時間が最速でも10分はかかる。
*「あと、20分ぐらいかな……西側の状況はどうなっているの?」*
クランが大きくなってきたので、西側の攻略チームはパーティーチャットへ分離している。パーティーチャットのログを追えば良いんだけど、私も海経由でやってくるプレイヤーの対処に追われていて余裕はあんまり無い。
*「バルカン? の乗った装甲車が突撃してきました。とりあえず迎撃はできたんですけど……」*
バルカンかー、まぁ実夢境街のプレイヤーはライフルが作れる訳だし、要はアレを束にして自動化すればいいんだからそりゃできるよね。
*「やっぱり、向こうも私たちと同じような兵器を持っているよね?」*
*「そうですよね……」*
シュクレが乗っているティタノスは最高難易度の工場施設を攻略した際にボスからドロップしたアイテムを使って製造されている。
製造に必要な研究レベルや製造期間から考えてあまり多くは持っていないだろうけど、最低でも1体はいるはずだ。
*「アニーさん! 来ました!」*
*「あちゃー、間に合わなかったか……」*
シュクレの言葉に、思わず天を仰ぐ。照明の光が目に入ってきて輪郭がぼやける、眩しい。
*「なるべく、なるべく早く行くから。それまで何とか耐えて!」*
*「やれるだけの事はやってみます!」*
クランチャットを終えて、私は視線を眼前のアイテムへ向ける。そこには、製造中の装備が鎮座していた。
「君も出番なしじゃ嫌でしょ?」
返事をするはずのない巨大な装備へと話しかけた。全長12メートルを誇るそれは最早、強化外骨格と言った方が適切だ。
その表面は、艶消しのされた黒と金属質で金色の光沢の二種類の装甲で覆われていた。細長く逞しい足は、猛禽類を彷彿とさせ、鋭利な爪が大地を掴むようにその巨体を支えていた。
20分後、私は完成した装備"ティラノフライト・ヴェロシティタン"を身に纏って空を飛んでいた。
「シュクレ!」
空から急降下して、私はボロボロのティタノスと敵の巨大な蜘蛛型兵器の間へ割って入った。
「アニーさん……!」
ティタノスの卵形をした操縦席がパカリと開いて、中から金髪エルフの少女、シュクレが顔を出した。
「お待たせー!」
私は正面の敵へと向かい合った。眼前には純白の装甲で覆われた異形の蜘蛛型な巨大兵器が6機。その胴体部分には、ミニガンのような何かが赤熱する砲身から煙を上げていた。
「(ここまでの移動でかなりMPを使っちゃったから、ティラノフライトの残り稼働時間は3分……1体あたり、30秒しかない!)」
「まっ」
「またなーい!」
蜘蛛兵器から何か声が聞こえたけど、聞いている時間は無い。ブースターで急加速、蜘蛛兵器に接近して右腕を振り上げる。
「ひとーつ!」
ティラノフライトの右腕に握られた鋼鉄の大鉈が振り下ろされる。切るというより叩き潰す要領で、内向きに反った刃が蜘蛛兵器の装甲をグチャグチャに切り裂く。
ガシャコン! 大鉈"オートホーンマチェーテ"の上部が攻撃に反応して自動で上下し、刃を研ぐ。
「このぉおお!」
他の蜘蛛兵器がミニガンによる射撃を開始した。ティラノフライトの装甲がガリガリと削れていく。
放置すれば数秒後にはスクラップだ。
「きかーん!」
私はティラノフライトの腰に接続された兵器を起動する。翼のように折り重なった金属の板で構成されたそれは、隙間から青い光を放つ。
「おいおい、どういうことだよ!」
ミニガンから放たれる弾頭が急速に勢いを失い、地面へパラパラと落ちていく。ビスコフィールド・ジェネレータは空気中の粘性を上げる機能を持っている。
これによって巨体を持つティラノフライトの飛行を可能にしつつ、銃撃の無効化が可能だ。
「ふたーつ!」
今度は左腕の大鉈を振り下ろす。
慈悲はない。
「みーっつ!」
次々と巨大蜘蛛を切り伏せていく。
「(ここでお前たちは完膚なきまでに叩き潰す! 世界中が、このゲームでは銃ってそんなに強くないって勘違いするぐらいに!!)」
「このぉおお!」
蜘蛛兵器の1つが私へタックルを仕掛けてきた。飛距離が短ければ、減衰も弱まると考えたのだろう。
その考察は正解だ。
「よーっつ!」
タックルを仕掛けてきた蜘蛛兵器の方向へ向かってブーストを吹かしながら突撃する。そのまま飛び蹴りを放った。
弾き飛ばされたボーリングのピンのように蜘蛛兵器が吹き飛んでいき、後方のもう一匹を巻き込んで倒れる。
「****************!」
後方から、シュクレの聞き取れないほど高速な詠唱が流れる。直後に閃光が空気を焼き、さっきのライダーキックで倒れていた2体の蜘蛛兵器をまとめて消滅させた。
「これで打ち止めです!」
シュクレの声が聞こえる。
これで5体の蜘蛛兵器を倒した、残るは最後の1体だけだ。だけどティラノフライトの稼働時間も後、数秒しかない。
「そこだぁぁああああ!」
素早く視線を走らせると、最後の1体は反対方向へ逃亡を図っていた。逃しはしない。
「これで最後だぁぁぁぁあああああ!!!」
両腕の大鉈を投げつけると同時に、ティラノフライトのエネルギーが完全に無くなった。
ブーメランのように飛翔した大鉈は最後の巨大蜘蛛へと深々と突き刺さり、その動きを完全に停止させる。
「よっしゃぁぁあああ!!」
クランチャットの方にシュクレからメッセージが飛んできた。私は視線の端に浮かぶメニューから製造の進捗状況を確認する。
98%……これまでの進行速度と合わせると、あと10分ぐらい。この場から西側の端までの移動時間が最速でも10分はかかる。
*「あと、20分ぐらいかな……西側の状況はどうなっているの?」*
クランが大きくなってきたので、西側の攻略チームはパーティーチャットへ分離している。パーティーチャットのログを追えば良いんだけど、私も海経由でやってくるプレイヤーの対処に追われていて余裕はあんまり無い。
*「バルカン? の乗った装甲車が突撃してきました。とりあえず迎撃はできたんですけど……」*
バルカンかー、まぁ実夢境街のプレイヤーはライフルが作れる訳だし、要はアレを束にして自動化すればいいんだからそりゃできるよね。
*「やっぱり、向こうも私たちと同じような兵器を持っているよね?」*
*「そうですよね……」*
シュクレが乗っているティタノスは最高難易度の工場施設を攻略した際にボスからドロップしたアイテムを使って製造されている。
製造に必要な研究レベルや製造期間から考えてあまり多くは持っていないだろうけど、最低でも1体はいるはずだ。
*「アニーさん! 来ました!」*
*「あちゃー、間に合わなかったか……」*
シュクレの言葉に、思わず天を仰ぐ。照明の光が目に入ってきて輪郭がぼやける、眩しい。
*「なるべく、なるべく早く行くから。それまで何とか耐えて!」*
*「やれるだけの事はやってみます!」*
クランチャットを終えて、私は視線を眼前のアイテムへ向ける。そこには、製造中の装備が鎮座していた。
「君も出番なしじゃ嫌でしょ?」
返事をするはずのない巨大な装備へと話しかけた。全長12メートルを誇るそれは最早、強化外骨格と言った方が適切だ。
その表面は、艶消しのされた黒と金属質で金色の光沢の二種類の装甲で覆われていた。細長く逞しい足は、猛禽類を彷彿とさせ、鋭利な爪が大地を掴むようにその巨体を支えていた。
20分後、私は完成した装備"ティラノフライト・ヴェロシティタン"を身に纏って空を飛んでいた。
「シュクレ!」
空から急降下して、私はボロボロのティタノスと敵の巨大な蜘蛛型兵器の間へ割って入った。
「アニーさん……!」
ティタノスの卵形をした操縦席がパカリと開いて、中から金髪エルフの少女、シュクレが顔を出した。
「お待たせー!」
私は正面の敵へと向かい合った。眼前には純白の装甲で覆われた異形の蜘蛛型な巨大兵器が6機。その胴体部分には、ミニガンのような何かが赤熱する砲身から煙を上げていた。
「(ここまでの移動でかなりMPを使っちゃったから、ティラノフライトの残り稼働時間は3分……1体あたり、30秒しかない!)」
「まっ」
「またなーい!」
蜘蛛兵器から何か声が聞こえたけど、聞いている時間は無い。ブースターで急加速、蜘蛛兵器に接近して右腕を振り上げる。
「ひとーつ!」
ティラノフライトの右腕に握られた鋼鉄の大鉈が振り下ろされる。切るというより叩き潰す要領で、内向きに反った刃が蜘蛛兵器の装甲をグチャグチャに切り裂く。
ガシャコン! 大鉈"オートホーンマチェーテ"の上部が攻撃に反応して自動で上下し、刃を研ぐ。
「このぉおお!」
他の蜘蛛兵器がミニガンによる射撃を開始した。ティラノフライトの装甲がガリガリと削れていく。
放置すれば数秒後にはスクラップだ。
「きかーん!」
私はティラノフライトの腰に接続された兵器を起動する。翼のように折り重なった金属の板で構成されたそれは、隙間から青い光を放つ。
「おいおい、どういうことだよ!」
ミニガンから放たれる弾頭が急速に勢いを失い、地面へパラパラと落ちていく。ビスコフィールド・ジェネレータは空気中の粘性を上げる機能を持っている。
これによって巨体を持つティラノフライトの飛行を可能にしつつ、銃撃の無効化が可能だ。
「ふたーつ!」
今度は左腕の大鉈を振り下ろす。
慈悲はない。
「みーっつ!」
次々と巨大蜘蛛を切り伏せていく。
「(ここでお前たちは完膚なきまでに叩き潰す! 世界中が、このゲームでは銃ってそんなに強くないって勘違いするぐらいに!!)」
「このぉおお!」
蜘蛛兵器の1つが私へタックルを仕掛けてきた。飛距離が短ければ、減衰も弱まると考えたのだろう。
その考察は正解だ。
「よーっつ!」
タックルを仕掛けてきた蜘蛛兵器の方向へ向かってブーストを吹かしながら突撃する。そのまま飛び蹴りを放った。
弾き飛ばされたボーリングのピンのように蜘蛛兵器が吹き飛んでいき、後方のもう一匹を巻き込んで倒れる。
「****************!」
後方から、シュクレの聞き取れないほど高速な詠唱が流れる。直後に閃光が空気を焼き、さっきのライダーキックで倒れていた2体の蜘蛛兵器をまとめて消滅させた。
「これで打ち止めです!」
シュクレの声が聞こえる。
これで5体の蜘蛛兵器を倒した、残るは最後の1体だけだ。だけどティラノフライトの稼働時間も後、数秒しかない。
「そこだぁぁああああ!」
素早く視線を走らせると、最後の1体は反対方向へ逃亡を図っていた。逃しはしない。
「これで最後だぁぁぁぁあああああ!!!」
両腕の大鉈を投げつけると同時に、ティラノフライトのエネルギーが完全に無くなった。
ブーメランのように飛翔した大鉈は最後の巨大蜘蛛へと深々と突き刺さり、その動きを完全に停止させる。
「よっしゃぁぁあああ!!」
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