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剛輪禍産業革命-3:シティ・リビルド・チャレンジ
バルカン砲と戦うタイプの教祖
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*「おい、何か出てきたぞ!」*
レッドバロンの皆さんが動き出して数分後、またパーティーチャットが騒がしくなりました。レシプロエンジン? でしたか。博物館で実際に動いている時の音を聞いた事があります。
*「逃げろぉぉおお!!」*
*「なんだあの四角い箱は!」*
遠くから、エンジンの駆動音と共に乾いた爆発音が連続で響きます。我慢できなくなったようですね。
*「簡単で良いので状況を教えてください」*
*「バルカン付きの装甲車が突っ込んできやがった!」*
私の質問に、レッドバロンのプレイヤーさんが答えてくれました。しかし、私には何を言っているのか理解できません。
*「えっと……バルカンって何ですか?」*
私は申し訳なく思いつつも、質問を返します。今度はシュクレ教のプレイヤーさんが答えてくれました。
*「エンジンがついたガトリング砲だよ!」*
*「まぁ今時、ミリオタでも無いとバルカンは通じないよな」*
*「シュクレちゃん、ガトリング砲はわかる?」*
優しいプレイヤーの1人が、私に気を遣って聞いてくれます。私はそれに応えるべく、パーティーチャットへ指を走らせました。
*「えっと、はい。時代劇のアニメで見ました。何かクルクルして連続で発砲する兵器ですよね」*
*「ま、まぁ大体あってる」*
ガトリング砲にエンジンが付いているという事は、クルクルが全自動という事でしょうか。おそらく、今回のイベントで獲得した工場を使って生産された先方の秘密兵器という事でしょう。
急に可能な事が増えた今回のイベント、お互いが何を準備しているかは未知数でした。相手の手札が見えた以上、いよいよ私の出番です。
「――メインシステム、戦闘モード起動」
私の発声をキーに、システムが起動します。今まで何も映していなかった装甲壁が外部カメラと接続され、外の世界が映し出されました。
私の乗り物は海中に設置された射出機構へ乗せられています。冷たい海水が乗り物の外側を包み、微細な泡が周りを舞っていました。
*「ティタノス・S、出ます!」*
射出機構の中には光を反射する金属板が設置されていて、その反射によって私の乗り物が映し出されました。
一言でいうなら、鋼鉄のサソリ。その背中には卵のような金属のボールが設置されていて、私はその中にいます。
*「はいよ!」*
私の掛け声にメメントモリの技術担当リーダー、ニーズズさんが答えました。彼女の返事と共に、機体が海中から激戦区である橋の上へ射出されます。
「スペル・アクセラレート!」
着地する前に、スキルを発動します。以前に、アニーさん達に協力していただいて取得したスキルです。
発動中は膨大なMPを消費する事を代償に、詠唱時に限定して魔法攻撃力だけAGIのステータスが上昇しました。
「な」
このゲームにおいて、AGIの上昇は戦闘中の思考加速効果を伴います。周囲のプレイヤーが急速にスローモーションとなりました。
「死の葉を喰らいし罪獣よ、我、死を捧ぐ者なり。我が言の葉に答え、穿て!」
「に」
本来は後方から放つ様な長い詠唱も、敵対しているプレイヤーさんの"何が起こったんだ!"という言葉が終わる前に終わってしまいます。
四車線ほどの橋の上に降りると同時に、ティタノスの周囲に魔法陣が展開されます。そこから鋭い岩の破片が放たれました。
「うぉー! 詠唱大教授!」
「待ってたぜシュクレちゃん!」
バルカンによる射撃を遮蔽に隠れて避けていたレッドバロンの皆さんが歓声を上げます。
「リピート!」
詠唱の効果が終わるタイミングに合わせて、魔法の効果を延長します。プレイヤーを一掃したので、次はバルカン付き装甲車です。
「フルオート散弾砲はもうオーバーテクノロジーなんよ……!」
「やられてなるものかー!」
バルカンを搭載した装甲車が横向きに停止して、ティタノスへ攻撃を仕掛けます"バァァァアアガガァァァアアア!"と連続した発砲音と共にティタノスの装甲が次々と削られていきました。
「ティタノス旋回、回避行動!」
私の言葉に答えて、ティタノスが旋回するように回避行動を開始しました。本来であれば言葉で指示をしていてはとても戦闘には間に合いません。
しかしスペル・アクセラレートを使う私にとっては、常に詠唱している判定をゲームから貰える音声指示は便利です。
「なーんーでーもーあーりーかーこーんーちーくーしょー!」
敵対プレイヤーさんのスローに引き伸ばされた叫びが聞こえてきます。その気持ち、私もよく分かりました。
ティタノスは先週の工場占領イベントで手に入った水晶を元にメカニカルラボで研究、製造が行われた最新兵器です。
「黄昏來て闇が全て飲み込もうと瞬き続ける星屑よ、今、我が元に集いて暁の如く闇を切り裂く閃光とならん」
岩攻撃の効果時間中に、次の詠唱を仕込みます。
ティタノスの正面に巨大な魔法陣が展開し、光が束ねられ、一筋の光となって打ち出されました。
「こ、これがフォートシュロフ13騎士の1人……!」
空気の焼ける独特な効果音が響き、周囲に僅かな静寂が訪れました。
正面に展開していたバルカン車が消滅しています。
レッドバロンの皆さんが動き出して数分後、またパーティーチャットが騒がしくなりました。レシプロエンジン? でしたか。博物館で実際に動いている時の音を聞いた事があります。
*「逃げろぉぉおお!!」*
*「なんだあの四角い箱は!」*
遠くから、エンジンの駆動音と共に乾いた爆発音が連続で響きます。我慢できなくなったようですね。
*「簡単で良いので状況を教えてください」*
*「バルカン付きの装甲車が突っ込んできやがった!」*
私の質問に、レッドバロンのプレイヤーさんが答えてくれました。しかし、私には何を言っているのか理解できません。
*「えっと……バルカンって何ですか?」*
私は申し訳なく思いつつも、質問を返します。今度はシュクレ教のプレイヤーさんが答えてくれました。
*「エンジンがついたガトリング砲だよ!」*
*「まぁ今時、ミリオタでも無いとバルカンは通じないよな」*
*「シュクレちゃん、ガトリング砲はわかる?」*
優しいプレイヤーの1人が、私に気を遣って聞いてくれます。私はそれに応えるべく、パーティーチャットへ指を走らせました。
*「えっと、はい。時代劇のアニメで見ました。何かクルクルして連続で発砲する兵器ですよね」*
*「ま、まぁ大体あってる」*
ガトリング砲にエンジンが付いているという事は、クルクルが全自動という事でしょうか。おそらく、今回のイベントで獲得した工場を使って生産された先方の秘密兵器という事でしょう。
急に可能な事が増えた今回のイベント、お互いが何を準備しているかは未知数でした。相手の手札が見えた以上、いよいよ私の出番です。
「――メインシステム、戦闘モード起動」
私の発声をキーに、システムが起動します。今まで何も映していなかった装甲壁が外部カメラと接続され、外の世界が映し出されました。
私の乗り物は海中に設置された射出機構へ乗せられています。冷たい海水が乗り物の外側を包み、微細な泡が周りを舞っていました。
*「ティタノス・S、出ます!」*
射出機構の中には光を反射する金属板が設置されていて、その反射によって私の乗り物が映し出されました。
一言でいうなら、鋼鉄のサソリ。その背中には卵のような金属のボールが設置されていて、私はその中にいます。
*「はいよ!」*
私の掛け声にメメントモリの技術担当リーダー、ニーズズさんが答えました。彼女の返事と共に、機体が海中から激戦区である橋の上へ射出されます。
「スペル・アクセラレート!」
着地する前に、スキルを発動します。以前に、アニーさん達に協力していただいて取得したスキルです。
発動中は膨大なMPを消費する事を代償に、詠唱時に限定して魔法攻撃力だけAGIのステータスが上昇しました。
「な」
このゲームにおいて、AGIの上昇は戦闘中の思考加速効果を伴います。周囲のプレイヤーが急速にスローモーションとなりました。
「死の葉を喰らいし罪獣よ、我、死を捧ぐ者なり。我が言の葉に答え、穿て!」
「に」
本来は後方から放つ様な長い詠唱も、敵対しているプレイヤーさんの"何が起こったんだ!"という言葉が終わる前に終わってしまいます。
四車線ほどの橋の上に降りると同時に、ティタノスの周囲に魔法陣が展開されます。そこから鋭い岩の破片が放たれました。
「うぉー! 詠唱大教授!」
「待ってたぜシュクレちゃん!」
バルカンによる射撃を遮蔽に隠れて避けていたレッドバロンの皆さんが歓声を上げます。
「リピート!」
詠唱の効果が終わるタイミングに合わせて、魔法の効果を延長します。プレイヤーを一掃したので、次はバルカン付き装甲車です。
「フルオート散弾砲はもうオーバーテクノロジーなんよ……!」
「やられてなるものかー!」
バルカンを搭載した装甲車が横向きに停止して、ティタノスへ攻撃を仕掛けます"バァァァアアガガァァァアアア!"と連続した発砲音と共にティタノスの装甲が次々と削られていきました。
「ティタノス旋回、回避行動!」
私の言葉に答えて、ティタノスが旋回するように回避行動を開始しました。本来であれば言葉で指示をしていてはとても戦闘には間に合いません。
しかしスペル・アクセラレートを使う私にとっては、常に詠唱している判定をゲームから貰える音声指示は便利です。
「なーんーでーもーあーりーかーこーんーちーくーしょー!」
敵対プレイヤーさんのスローに引き伸ばされた叫びが聞こえてきます。その気持ち、私もよく分かりました。
ティタノスは先週の工場占領イベントで手に入った水晶を元にメカニカルラボで研究、製造が行われた最新兵器です。
「黄昏來て闇が全て飲み込もうと瞬き続ける星屑よ、今、我が元に集いて暁の如く闇を切り裂く閃光とならん」
岩攻撃の効果時間中に、次の詠唱を仕込みます。
ティタノスの正面に巨大な魔法陣が展開し、光が束ねられ、一筋の光となって打ち出されました。
「こ、これがフォートシュロフ13騎士の1人……!」
空気の焼ける独特な効果音が響き、周囲に僅かな静寂が訪れました。
正面に展開していたバルカン車が消滅しています。
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