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オーディアス攻略作戦
ダンジョン攻略を始めるタイプのJK
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「うーん、やっぱりVFGの軽量化と量産は最優先だよね……」
IAFの街の1つ、剛輪禍。
前回の大規模イベントで建造した海上都市の中心、メメントモリのクランハウス。私は眼前に表示された半透明のUIを指で操作しながら、VFGの研究、量産にリソースを注ぎ込む。
VFGは今、魔銃に対するほぼ唯一の対抗策だ。IAFを銃撃戦ゲームにしない為にも、軽量化と量産は急務と言えた。
たとえ赤字になっても、多くの人に提供したい。
「アニーさん、お願いがあるんですけど……」
そんな事を考えていると、メメントモリの幹部、金髪エルフのシュクレが声をかけてきた。彼女の瞳は、期待と不安が交錯して揺れている。このパターン、覚えがある。
「むむ、もしかしてまたダンジョン攻略?」
「は、はい……今回はオーディアス城に行きたくて」
私の質問にシュクレが恐縮して、少しだけ頷く。オーディアスは第1回イベント以前にプレイヤーが最初に降り立つ街の1つだった。だけど、今はゴブリンに占領されてダンジョン化している。
今までは反対の地方を選んだプレイヤーは入る事ができなかったけど、前回のイベントで全ての道が繋がった今、私たちでも入ることができた。
「うーん、どうしようかな」
未知のダンジョンを攻略するのはワクワクするし楽しいけど、レベル上げや費用対効果の点ではあまり良いとは言えない。
それに、前回は"ヘイスト"の詠唱が得られると言われて複数のクランを巻き込んだ大規模作戦に発展して、最後は裏切りとかあって大変だった。
「次は詠唱強化とか?」
「い、いえ……それはわからないです」
シュクレは首を振って否定した。前回のダンジョン攻略では結局、詠唱加速しか得られなかった。
このスキルはダンジョンの地形が変わって取得難易度が爆上がりした上、彼女以外にはあまり恩恵のないスキルだ。
実質、彼女の一人勝ちである。
「えっ、えっと……もしかしたら今回は……」
私が渋っていると、シュクレが辿々しい口ぶりで何か交渉の材料を探し始める。今回の私は、そう簡単に乗せられないからね!
「もしかしたら、スリープクラウドが……多分」
「よし分かった私に任せて今直ぐ準備しよう!」
費用対効果とかレベリングとか関係ねぇ! どれだけコストがかかろうとそのスキルが手に入れば費用対効果は最高だ!
*「もしもし、ヨイニ?」*
視線選択UIからチャット欄を開いて、個人チャットから与一のキャラクター、ヨイニへメッセージを送る。
*「やぁアニー! どうしたの?」*
*「オーディアスの攻略へ一緒に行かない?」*
まるで待ち構えていたかのように返事が直ぐに帰ってくる。
ヨイニはダンジョン攻略をメインにしたクラン、フォートシュロフ神聖騎士団のクランマスターだ。
彼女とフォートシュロフ神聖騎士団のメンバーは前回の攻略でも大活躍だったし、誘わない理由がない。
*「いいよ! オーディアスって今、どんな状態なんだっけ?」*
*「エターナルシア遺跡の時と同じようにゴブリンが占拠しているって話だけど、詳しくはわからない」*
*「了解! それならシマーズさんも誘って良い?」*
シマーズさん、私たちと同じ、フォートシュロフ出身のプレイヤーで、有名配信者でもある。
*「う……い、良いけどなんで?」*
私も気になってシマーズさんの配信を何度か見たけど、彼の人間性というべきか、優しい人格がすごく伝わってきた。包容力があって、一緒にいて苦にならない人物だ。
*「ほら、シマーズさんは視聴者が多いからギミックの攻略とか、色々と頼れそうじゃないかな?」*
*「たーしーかーにー」*
つまり、今回はバリバリに配信されて何万人もの視聴者に私たちのプレイが見られる事になる。
すっっっっごい恥ずかしい。まぁでも、先日プロモーションムービーでも大体的に写っちゃったし、今されでもある。
*「カタンさんも呼ぶ?lol」*
*「ぜっっっっっっっったいやだ!!」*
ヨイニがふざけて出した名前を、私は即座に却下する。
カタンは"PK反対連合"改め、今は"アンチ・メメントモリ"のクランマスターを務めるプレイヤーだ。前回のダンジョン攻略で最後の最後に私達を裏切って窮地に陥れた大戦犯である。
*「アハハハ、今回は占領とか必要ないよね?」*
*「うん、聞いた話では治安は安定しているらしいよ? それに、多分ダンジョンの入り口はエターナルシアと同じだろうから」*
エターナルシア遺跡は、PKや自治、そして一般プレイヤーが血で血を洗う地獄。そのカオスの中での探索は至難の技で、結果として全てのプレイヤーを排除する為に膨大な戦力が必要だった。
今回はそんな事をする必要はない。
*「了解! それじゃあ、こっちからは僕と、クダンちゃんの2人で行くよ!」*
*「はーい! じゃあこっちは、私とシュクレ……」*
ゲームの音声認識の機能を使ってチャットを入力しながら、私はクランメンバーのログイン状態を確認する。
*「と、ムエルケさんと、それとゴングマンさんで行くよ!」*
*「了解! 1時間後に現地集合でいい?」*
*「おっけー!」*
IAFの街の1つ、剛輪禍。
前回の大規模イベントで建造した海上都市の中心、メメントモリのクランハウス。私は眼前に表示された半透明のUIを指で操作しながら、VFGの研究、量産にリソースを注ぎ込む。
VFGは今、魔銃に対するほぼ唯一の対抗策だ。IAFを銃撃戦ゲームにしない為にも、軽量化と量産は急務と言えた。
たとえ赤字になっても、多くの人に提供したい。
「アニーさん、お願いがあるんですけど……」
そんな事を考えていると、メメントモリの幹部、金髪エルフのシュクレが声をかけてきた。彼女の瞳は、期待と不安が交錯して揺れている。このパターン、覚えがある。
「むむ、もしかしてまたダンジョン攻略?」
「は、はい……今回はオーディアス城に行きたくて」
私の質問にシュクレが恐縮して、少しだけ頷く。オーディアスは第1回イベント以前にプレイヤーが最初に降り立つ街の1つだった。だけど、今はゴブリンに占領されてダンジョン化している。
今までは反対の地方を選んだプレイヤーは入る事ができなかったけど、前回のイベントで全ての道が繋がった今、私たちでも入ることができた。
「うーん、どうしようかな」
未知のダンジョンを攻略するのはワクワクするし楽しいけど、レベル上げや費用対効果の点ではあまり良いとは言えない。
それに、前回は"ヘイスト"の詠唱が得られると言われて複数のクランを巻き込んだ大規模作戦に発展して、最後は裏切りとかあって大変だった。
「次は詠唱強化とか?」
「い、いえ……それはわからないです」
シュクレは首を振って否定した。前回のダンジョン攻略では結局、詠唱加速しか得られなかった。
このスキルはダンジョンの地形が変わって取得難易度が爆上がりした上、彼女以外にはあまり恩恵のないスキルだ。
実質、彼女の一人勝ちである。
「えっ、えっと……もしかしたら今回は……」
私が渋っていると、シュクレが辿々しい口ぶりで何か交渉の材料を探し始める。今回の私は、そう簡単に乗せられないからね!
「もしかしたら、スリープクラウドが……多分」
「よし分かった私に任せて今直ぐ準備しよう!」
費用対効果とかレベリングとか関係ねぇ! どれだけコストがかかろうとそのスキルが手に入れば費用対効果は最高だ!
*「もしもし、ヨイニ?」*
視線選択UIからチャット欄を開いて、個人チャットから与一のキャラクター、ヨイニへメッセージを送る。
*「やぁアニー! どうしたの?」*
*「オーディアスの攻略へ一緒に行かない?」*
まるで待ち構えていたかのように返事が直ぐに帰ってくる。
ヨイニはダンジョン攻略をメインにしたクラン、フォートシュロフ神聖騎士団のクランマスターだ。
彼女とフォートシュロフ神聖騎士団のメンバーは前回の攻略でも大活躍だったし、誘わない理由がない。
*「いいよ! オーディアスって今、どんな状態なんだっけ?」*
*「エターナルシア遺跡の時と同じようにゴブリンが占拠しているって話だけど、詳しくはわからない」*
*「了解! それならシマーズさんも誘って良い?」*
シマーズさん、私たちと同じ、フォートシュロフ出身のプレイヤーで、有名配信者でもある。
*「う……い、良いけどなんで?」*
私も気になってシマーズさんの配信を何度か見たけど、彼の人間性というべきか、優しい人格がすごく伝わってきた。包容力があって、一緒にいて苦にならない人物だ。
*「ほら、シマーズさんは視聴者が多いからギミックの攻略とか、色々と頼れそうじゃないかな?」*
*「たーしーかーにー」*
つまり、今回はバリバリに配信されて何万人もの視聴者に私たちのプレイが見られる事になる。
すっっっっごい恥ずかしい。まぁでも、先日プロモーションムービーでも大体的に写っちゃったし、今されでもある。
*「カタンさんも呼ぶ?lol」*
*「ぜっっっっっっっったいやだ!!」*
ヨイニがふざけて出した名前を、私は即座に却下する。
カタンは"PK反対連合"改め、今は"アンチ・メメントモリ"のクランマスターを務めるプレイヤーだ。前回のダンジョン攻略で最後の最後に私達を裏切って窮地に陥れた大戦犯である。
*「アハハハ、今回は占領とか必要ないよね?」*
*「うん、聞いた話では治安は安定しているらしいよ? それに、多分ダンジョンの入り口はエターナルシアと同じだろうから」*
エターナルシア遺跡は、PKや自治、そして一般プレイヤーが血で血を洗う地獄。そのカオスの中での探索は至難の技で、結果として全てのプレイヤーを排除する為に膨大な戦力が必要だった。
今回はそんな事をする必要はない。
*「了解! それじゃあ、こっちからは僕と、クダンちゃんの2人で行くよ!」*
*「はーい! じゃあこっちは、私とシュクレ……」*
ゲームの音声認識の機能を使ってチャットを入力しながら、私はクランメンバーのログイン状態を確認する。
*「と、ムエルケさんと、それとゴングマンさんで行くよ!」*
*「了解! 1時間後に現地集合でいい?」*
*「おっけー!」*
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