【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

文字の大きさ
106 / 149
オーディアス攻略作戦

ダンジョン攻略を始めるタイプのJK

しおりを挟む
「うーん、やっぱりVFGViscoField Generatorの軽量化と量産は最優先だよね……」

 IAFInequality And Fairの街の1つ、剛輪禍。

 前回の大規模イベントで建造した海上都市の中心、メメントモリのクランハウス。私は眼前に表示された半透明のUIを指で操作しながら、VFGの研究、量産にリソースを注ぎ込む。

 VFGは今、魔銃に対するほぼ唯一の対抗策だ。IAFを銃撃戦ゲームにしない為にも、軽量化と量産は急務と言えた。

 たとえ赤字になっても、多くの人に提供したい。

「アニーさん、お願いがあるんですけど……」

 そんな事を考えていると、メメントモリの幹部、金髪エルフのシュクレが声をかけてきた。彼女の瞳は、期待と不安が交錯して揺れている。このパターン、覚えがある。

「むむ、もしかしてまたダンジョン攻略?」

「は、はい……今回はオーディアス城に行きたくて」

 私の質問にシュクレが恐縮して、少しだけ頷く。オーディアスは第1回イベント以前にプレイヤーが最初に降り立つ街の1つだった。だけど、今はゴブリンに占領されてダンジョン化している。

 今までは反対の地方を選んだプレイヤーは入る事ができなかったけど、前回のイベントで全ての道が繋がった今、私たちでも入ることができた。

「うーん、どうしようかな」

 未知のダンジョンを攻略するのはワクワクするし楽しいけど、レベル上げや費用対効果の点ではあまり良いとは言えない。

 それに、前回は"ヘイスト"の詠唱が得られると言われて複数のクランを巻き込んだ大規模作戦に発展して、最後は裏切りとかあって大変だった。

「次は詠唱強化スペル・ブーストとか?」

「い、いえ……それはわからないです」

 シュクレは首を振って否定した。前回のダンジョン攻略では結局、詠唱加速スペル・アクセラレートしか得られなかった。

 このスキルはダンジョンの地形が変わって取得難易度が爆上がりした上、彼女以外にはあまり恩恵のないスキルだ。

 実質、彼女の一人勝ちである。

「えっ、えっと……もしかしたら今回は……」

 私が渋っていると、シュクレが辿々しい口ぶりで何か交渉の材料を探し始める。今回の私は、そう簡単に乗せられないからね!

「もしかしたら、スリープクラウドが……多分極小ボイス

「よし分かった私に任せて今直ぐ準備しよう!」

 費用対効果とかレベリングとか関係ねぇ! どれだけコストがかかろうとそのスキルが手に入れば費用対効果は最高だ!

*「もしもし、ヨイニ?」*

 視線選択UIからチャット欄を開いて、個人チャットから与一のキャラクター、ヨイニへメッセージを送る。

*「やぁアニー! どうしたの?」*

*「オーディアスの攻略へ一緒に行かない?」*

 まるで待ち構えていたかのように返事が直ぐに帰ってくる。

 ヨイニはダンジョン攻略をメインにしたクラン、フォートシュロフ神聖騎士団のクランマスターだ。

 彼女とフォートシュロフ神聖騎士団のメンバーは前回の攻略でも大活躍だったし、誘わない理由がない。

*「いいよ! オーディアスって今、どんな状態なんだっけ?」*

*「エターナルシア遺跡の時と同じようにゴブリンが占拠しているって話だけど、詳しくはわからない」*

*「了解! それならシマーズさんも誘って良い?」*

 シマーズさん、私たちと同じ、フォートシュロフ出身のプレイヤーで、有名配信者でもある。

*「う……い、良いけどなんで?」*

 私も気になってシマーズさんの配信を何度か見たけど、彼の人間性というべきか、優しい人格がすごく伝わってきた。包容力があって、一緒にいて苦にならない人物だ。

*「ほら、シマーズさんは視聴者が多いからギミックの攻略とか、色々と頼れそうじゃないかな?」*

*「たーしーかーにー」*

 つまり、今回はバリバリに配信されて何万人もの視聴者に私たちのプレイが見られる事になる。

 すっっっっごい恥ずかしい。まぁでも、先日プロモーションムービーでも大体的に写っちゃったし、今されでもある。

*「カタンさんも呼ぶ?lol」*

*「ぜっっっっっっっったいやだ!!」*

 ヨイニがふざけて出した名前を、私は即座に却下する。

 カタンは"PK反対連合"改め、今は"アンチ・メメントモリ"のクランマスターを務めるプレイヤーだ。前回のダンジョン攻略で最後の最後に私達を裏切って窮地に陥れた大戦犯である。

*「アハハハ、今回は占領とか必要ないよね?」*

*「うん、聞いた話では治安は安定しているらしいよ? それに、多分ダンジョンの入り口はエターナルシアと同じだろうから」*

 エターナルシア遺跡は、PKや自治、そして一般プレイヤーが血で血を洗う地獄。そのカオスの中での探索は至難の技で、結果として全てのプレイヤーを排除する為に膨大な戦力が必要だった。

 今回はそんな事をする必要はない。

*「了解! それじゃあ、こっちからは僕と、クダンちゃんの2人で行くよ!」*

*「はーい! じゃあこっちは、私とシュクレ……」*

 ゲームの音声認識の機能を使ってチャットを入力しながら、私はクランメンバーのログイン状態を確認する。

*「と、ムエルケさんと、それとゴングマンさんで行くよ!」*

*「了解! 1時間後に現地集合でいい?」*

*「おっけー!」*
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

癒し目的で始めたVRMMO、なぜか最強になっていた。

branche_noir
SF
<カクヨムSFジャンル週間1位> <カクヨム週間総合ランキング最高3位> <小説家になろうVRゲーム日間・週間1位> 現実に疲れたサラリーマン・ユウが始めたのは、超自由度の高いVRMMO《Everdawn Online》。 目的は“癒し”ただそれだけ。焚き火をし、魚を焼き、草の上で昼寝する。 モンスター討伐? レベル上げ? 知らん。俺はキャンプがしたいんだ。 ところが偶然懐いた“仔竜ルゥ”との出会いが、運命を変える。 テイムスキルなし、戦闘ログ0。それでもルゥは俺から離れない。 そして気づけば、森で焚き火してただけの俺が―― 「魔物の軍勢を率いた魔王」と呼ばれていた……!? 癒し系VRMMO生活、誤認されながら進行中! 本人その気なし、でも周囲は大騒ぎ! ▶モフモフと焚き火と、ちょっとの冒険。 ▶のんびり系異色VRMMOファンタジー、ここに開幕! カクヨムで先行配信してます!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

処理中です...