【野生の暴君が現れた!】忍者令嬢はファンタジーVRMMOで無双する【慈悲はない】《殺戮のパイルバンカー》

オモチモチモチモチモチオモチ

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電脳暴君はまだまだ夢の中

大規模障害

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「うーん……」

 イベントページと現実時間を見比べながら、小さく唸る。

「アニーさん、どうされました?」

 すぐ近くでフォートシュロフの城壁増強工事を行っていたシュクレが不思議そうに私を見上げる。

「いや、明日、というかもう今日だけど……学校でさ」

「あー」

 シュクレは私の返事に一瞬だけキョトンとした表情を浮かべ、思い出した様に納得の頷いた。いや、学校は違うけどカレンダー的に考えれば多分、君も同じ状況のはずだけどね?

「やっぱり、その辺りも変ですよね」

 シュクレの言葉に私も頷く。

「普段、こういう大規模イベントは週末に合わせてくれるのに、今回は平日と被って困るよねー」

 私の言葉に、シュクレは考える様に顎に手を当てて遠くを見つめる。このままスーパーシュクレタイムに入るかと思ったけど、幸いにも人類の世界に帰ってきてくれたようで首を小さく傾けた。

「で、どうされます?」

「いや、いやいや、どうされますって」

 シュクレの言葉に、思わず苦笑いを浮かべる。あまりに自然とお出しされる言葉に"なんでサボらないの?"という無言の圧を感じた。

 流石はフォートシュロフの教祖様だ、人生の傾け方が常人のそれを超えていらっしゃる。

「私もイベントには参加したいけどね? 全然、寝るよ? そんで学校行くよ?」

 この間も両親とゲームやるやらないで文字通りの死闘を繰り広げたのに、ここでさらにゲームやるから学校休む! なんて流石に言えない。

 私にも最低限の人の心はあるのだ!

「そうですか、ではまた明日」

「うん、シュクレも終盤でへばらないようにね」

 私はそう言って、片手でウィンドウを操作してログインボタンを押す。もう片方の手でシュクレの方へ手を振った。

「はい、おやすみなさい」

 シュクレもそれに応えて、小さく微笑んで手を振りかえしてくれた。






「ふぁ」

 大きくあくびをして、布団の中で体をモゾモゾと動かす。普段は快適に保たれている室温が、どうにも高い気がする。

「んー、なんで?」

 ぼんやりと考えながら、エアコン画面を見つめた。あり得ない設定温度に眉をひそめてから、頭を振りながら布団から出る決心をした。

「そんな事って、あり得るんだっけ?」

 自動モードはとはつまり、AI管理だ。人が手でやったならまだしも、今時AI制御で誤作動なんてまず考えられない。

「あっれー?」

 室温を検知しているセンサーが故障してるのかな? と思って管理パネルを見てみるけど、特にエラーはでていない。

「ってもうこんな時間か」

 時計を確認すると、もう準備を開始しないと学校へ間に合わない時間だ。おい、スケジュール管理AIはどうなっている。

「いってきまーす」

 パパッと着替えて、チャチャっと食卓に準備されていたご飯を摘んで、ささっと家を出る。

「えー?」

 家から出ても、変な事の連続だった。

 普段は蟻の行進のように整然と列をなして進む自動運転の車たちが、今日に限っては無秩序に道を行き交っている。
 カラフルなボディを持つ一台のセダンが、突如として逆走を始めるんど、まるで子供が乱暴に遊ぶおもちゃのようだった。流石に道路を超えてくる事はないみたいだけど……。

「えっ」

 不思議に思いつつ歩道を歩き始めると、すぐに違和感を感じた。ARの道案内が全然違う道を示している。

 立て続けに起こる異変へ不安を感じながら、とりあえずは役に立たないAR道案内をオフにして学校へと向かう。

「……」

 異変はまだまだ続く。
 校門の前には、生徒が大勢立ち往生して居た。

「よう、奏音かのん

 一段の中から、一際背の高い好青年……風のボーイッシュ少女、与一が声をかけてくる。

「おはよ、これどうなってるの?」

「どうやら、AIの誤作動で登校できないみたいだね」

「マジか、ここもー?」

 私がうんざりした声を出すと、与一も眉をひそめて続ける。

「車や道案内も変だったし……なんなんだろうね?」

 私と与一は2人して体を傾けて考える。

「ねえ、でもこれってさ……」

 ふと、気がついた。
 私はニヤリと笑って、与一の同意を得るように見上げる。

「おい、悪い顔してるぞ」

「今日ってもう、学校は休校って事だよね?」

 だって、そもそも学校入れない訳だし。私の言葉に、与一はしょうがないなという風にため息をつく。

 ここで待ちぼうけしていたって、どうせ後でメールかなんかで休校のお知らせを受け取って帰らされるだけだ。よしんばやるって言われてももう帰ってたで押し通せる。

「まぁ、そうだろうね」

「よおぉし! じゃあ家に帰ってゲームだ!」

 なんだかんだ言って、やっぱりイベントに参加したいし、学校が休みならしょうがないよね!!

「与一、家くる?」

「へ?」

 私の提案に、与一が驚いた様子で聞き返してきた。以前は家族との関係が微妙だったから呼べなかったけど、今なら普通に家に友達を呼ぶぐらいは許されるはずだ。

「ゲーム終わったら一緒にご飯食べたりしようよ」

「私としては嬉しいけど、良いの?」

「もち!」

 ちょっと恥ずかしそうに頬を赤ながら聞いてくる与一に、私はサムズアップで答えた。
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