35 / 84
第3章
第35話 飛ぶぜ?
しおりを挟む「しかし強力な拘束魔法でした……もしあの娘が本気であれば命はなかったかもしれません」
歩いて安全圏へと向かう中、星奈さんがプリプリしながら語る。
「我々も今一度気を引き締めなければならない。依頼者を危険にさらしてしまうなど、これでは面目丸つぶれもいいところです」
「うん。油断していた」
「……そだね」
みんな徹夜明けで集中力も欠いてただろうし、これからは動画の内容にも気を配っていけば大丈夫だろう。
「ミコ? どうしたの? 元気ないけど」
「……ん? 別に……ウチも油断しちゃったなぁって落ち込んでただけ……」
「……そう」
今回の問題も大事だが、それよりもミコさんの様子が気になる。
彼女自身が言う、任務を遂行できなかったことを悔いているだけのようには見えない。
「さて、安全圏に着きましたね! 凜音さんと雪たちは迎えの車が来ておりますね! 私はこのまま鍛錬しに向かいますので、ここで!」
「えっ!? 今から!?」
よほど今回のことを反省しているのか、猛烈な勢いで走っていった星奈さん。せめて1度寝てからでも……。
「……ウチも、今日は歩いて帰るね……」
「ミコ? ここから歩いたら2、3日はかかるけど……」
「ん……じゃね~……」
「……」
さて、彼女に何て声をかけようか。
落ち込んでいる理由はなんとなくわかる。自惚れじゃないといいなぁ。
「ミコさん、ちょっといい?」
「りおっち……今日は……その――ふぇっ!?」
少しだけ歩みを進めたミコさんを、後ろから抱きしめる。
「配信では時間がなくて言いそびれちゃったけど……ミコさんのことも大好きだよ」
「えぇっ……いや、だって……どうせウチなんて……」
「ミコさんの笑顔でこっちまで元気を貰えるし」
「そ、それだけが取り柄みたいなもんだしっ」
「空気を読んで周りの関係を円滑に保てるなんて本当にすごいよ」
「ウ、ウチには気を使うくらいしか――」
「おしゃれなところもキラキラしてるところも、一緒にいて誇らしいし」
「そ、それは……」
「えっちのときも俺を労ってくれてるのわかるし」
「――っ!」
「ミコさんが――」
「好きです、一目惚れでした。こんなウチだけど――」
「――よければ、お嫁さんになってください」
「……ぐすっ……ひっぐっ……ぴっ」
「ぴ?」
「ぴえぇぇぇええええ~ん! びえぇぇぇええええ~~~ん!!!」
ぴえんて。こんな時までギャルっぽくしなくても……。
それに、さっき直してたメイクがグチャグチャだ。
「……ごめんね、もう大丈夫っ☆」
数分後、いつものように元気を取り戻したミコさん。
やはり彼女は笑顔が似合っている。
「いこっ☆ 雪や真世さんを待たせちゃってるもんね!」
「そうだね」
彼女たちも見てしまっていただろう。気恥ずかしいな……。
「ごめんなさい、真世さんっ! 私も一緒に帰ります」
「ふふ、私は歓迎しますよ。寝取ら――お嫁さんが増えることはいいことです」
それは性生活のためということでしょうか。よくわかりません。
「……ミコ……」
「雪……」
長らく同じパーティを組んでいた2人。色々と露呈してしまった後の彼女らのファーストコンタクトは――。
「……おめ――」
「まだそんな浅瀬にいるの?」
「……」
「早くこっち来なよ……飛ぶよ?」
「コロス」
最悪だった。
「今日という今日は許さない! “不遇にして不朽”『トム・ザ・キャット!』」
「ちょっ!? それは洒落にならないってぇっ!」
人の頭と同じくらいのサイズの戦闘機が現れ、ミコさんの足元めがけて発砲する。1発1発の威力はそこまでではないが、とにかく弾数が多い。
まさかこんなことで雪さんのスキルを見ることになるとはね。
「こうなったらぁ! “描くは未来”“描くは夢想”『メイクアップ:りおっち!』」
まさかこんなことでミコさんのスキルを見ることになるとは――あれ!?
光に包まれたミコさん、その光がはれるとそこにいたのは……俺!? 変身スキル!?
「――人は、誰かになれるっ☆」
ぎゃる~んってな感じで横ピースとウィンクを決めちゃう俺が目の前にぃぃ!?
「うそ……! ミコは第1聖句までしか使えなかったはずなのに!」
「だから言ったでしょ、飛ぶって☆ さっき『ビビッ』と来たんだよね~☆」
「そんなぁ~……完全に私の負け……」
ガクッとうなだれてしまう雪さん。
「――わっとっとっ……あまり長い時間変身していられないみたいだね……」
時間にして数秒、それだけで変身は解けてしまったようだ。
俺としては安心した。自分の姿をしたモノが勝手に動いてたらと思うと……いくらミコさんでもね。
「ふっふっふ、今こそお見せする時ですね。私の固有スキルを……!」
真世さん何で?
18
あなたにおすすめの小説
現代錬金術のすゝめ 〜ソロキャンプに行ったら賢者の石を拾った〜
涼月 風
ファンタジー
御門賢一郎は過去にトラウマを抱える高校一年生。
ゴールデンウィークにソロキャンプに行き、そこで綺麗な石を拾った。
しかし、その直後雷に打たれて意識を失う。
奇跡的に助かった彼は以前の彼とは違っていた。
そんな彼が成長する為に異世界に行ったり又、現代で錬金術をしながら生活する物語。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転移から始まるハーレム生活〜チートスキルを貰った俺は、妹と共に無双する〜
昼寝部
ファンタジー
2XXX年、X月。
俺、水瀬アキトは戦争の絶えない地球で『戦場の悪魔』と呼ばれ、数多の戦で活躍していた。
そんな日々を過ごしていた俺は、ひょんなことから妹と一緒に異世界へ転移することになった。
その世界にはダンジョンが存在しており、ライトノベルなどで登場する世界観と類似していた。
俺たちはその世界で過ごすため女神様からチートスキルを貰い、冒険者となって異世界での生活を満喫することにした。
これは主人公の水瀬アキトと妹のカナデが異世界へ転移し、美少女たちに囲まれながら異世界で無双するお話し。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
異世界帰りのハーレム王
ぬんまる兄貴
ファンタジー
俺、飯田雷丸。どこにでもいる普通の高校生……だったはずが、気づいたら異世界に召喚されて魔王を倒してた。すごいだろ?いや、自分でもびっくりしてる。異世界で魔王討伐なんて人生のピークじゃねぇか?でも、そのピークのまま現実世界に帰ってきたわけだ。
で、戻ってきたら、日常生活が平和に戻ると思うだろ?甘かったねぇ。何か知らんけど、妖怪とか悪魔とか幽霊とか、そんなのが普通に見えるようになっちまったんだよ!なんだこれ、チート能力の延長線上か?それとも人生ハードモードのお知らせか?
異世界で魔王を倒した俺が、今度は地球で恋と戦いとボールを転がす!最高にアツいハーレムバトル、開幕!
異世界帰りのハーレム王
朝7:00/夜21:00に各サイトで毎日更新中!
男が少ない世界に転生して
美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです!
旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします!
交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる