「因縁の相手」

著恋凛

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最終章、全面戦争・・・編

5話(122話)「カリィー」

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「いただきます。」
そう呟きスプーンでカレーライスをすくう。
そして一口ほうばる。
うん。今まで通りの味だ。
夕貴も食べた。
「歩希のくせに美味い。」
「俺は天才だからね。」
「英語0点が何を言ってるのかしら?」
痛いとこ突かれた。反論が出来ない。
パクパクと俺の作ったカレーを平らげた。
「そんじゃ、次は夕貴のな。」
「美味しすぎてほっぺた落ちゃうから気をつけてね。」
スプーンを持った瞬間に俺の脳裏に一つの説が浮かんだ。
夕貴実は料理下手説。
だってさ、漫画とか読んでてたまに居るじゃん。料理めっちゃ下手な人。例えばニセ○イの小野○小咲なのが。
いや、見た目は美味そうだけど。・・・やっぱり小野○小咲タイプじゃん。
脳内会議をしていたら。夕貴がスプーンを持つ。
「じれったいわね。早く食べなさい。」
夕貴は自分のスプーンでカレーライスをすくい、無理矢理俺の口に突っ込んでくる。
あ、死んだわ。と思いながら食べると普通に美味しかった。
夕貴の方ははちみつか何かを入れたらしく少し甘い。
てか、さっきまで脳内会議をしていたのが馬鹿らしく思えてきた。
「上手いじゃん。」
夕貴を胸を張って言う。
「当たり前でしょ。それよりさっきなんでスプーンを持ったままフリーズしてたの?」
「あれはなんと言うか、夕貴を見や謝ってたと言うかなんと言うか。」
「どうゆう事?」
「そんな事より夕貴のカレー美味いな。」
「でしょ!」
よし、何とか話反らせたぞ!
その後は雑談しながらカレーを食べ進めた。


お皿が空になったので手を合わせてごちそうさまでした。と言う。
「洗い物は俺がやるから。」
「いやいや、私がやるから。いいわよ。」
「いやいやいや、年下に全部任せる事は出来ない。」
「いやいやいやいや、部下にやらせるなんて出来ない。」
そんな幼稚な争いの果てに出た答えは二人で洗うだった。



ジャージャーと水道から水が流れる中俺達はテキパキと手を動かす。
そんな中俺は夕貴に一つの質問をしていた。
「みんなには全面戦争の事いつ話すんだ?」
「2日後に地下4階でね。多分歩希はその日、驚くと思うよ。」
「なんで?」
「ひ   み   つ」
洗い物を終え、俺は帰ることにした。



「そんじゃ、またな。」
「今日は仕事手伝わせて悪かったわね。すごく助かったわ。またね。」
手を振りながら笑顔で言ってくる夕貴に背を向ける。
「お邪魔しました。」
そう言い残してから俺は外に出る。
対決とか言いつつ勝敗決めてなかったな。と思いつつ帰るのだった。

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