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最終章、全面戦争・・・編
最終話後編(169話)「日常・・・非日常」
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「トントン」
「・・・・・・」
ノックをするが返事が無い。よくよく考えてみると歩希はまだ寝ているので返事は出来ない。でも、勝手に入るのは気が引ける。
ま、入らなきゃここに来た意味も無いんだけどね。
「歩希ぃー、入るわよぉー。」
そう一言置いてから入った。
病室には歩希一人。その歩希も寝ている。この病室にはなんの言葉を響かない。ただただ無の空間だった。
私はとりあえず、歩希のベッドの近くにあった椅子に座る。
「うーん、来たはいいものの何をしたらいいのか。」
そんな事を思いながら、歩希の顔を見ていると、何故か顔が熱くなり、今まで感じたことのないような感情が一気に湧き出てくる。
私は直感的にここにこれ以上いたら私が私じゃなくなると思い、椅子から立ち上がる。椅子を元あった位置に戻し、歩希に、
「また明日も来るから。」
とだけ伝え私は隣の病室へと向かう。
「トントン」
さっき同様ノックをする。すると、今回をちゃんと返事が帰ってくる。
「どうぞ。」
なので私は病室に入る。
さっきとは違い、病室には2人いた。天王寺と岩元だ。天王寺は寝ているけど。
2人ともそこら中に包帯が巻いているが元気そうだ。
「怪我とか平気?」
そう聴きながら私は岩元のベッドの近くの椅子に座る。
「なんか、一回心肺停止状態になってけど今は平気です。一応能力者の医者が来たので。」
心肺停止状態って、さすが幹部ね。怖いわ。
「今平気なら何よりだわ。それとー、何を書いてるの?」
岩元はさっきからずっと紙にひたすらペンを走らせていた。
「実はですね。さっき妻に妊娠したって言われたもんで、名前を考えてました。」
そう話す岩元はすごく幸せそうだった。
「それはおめでとう。男の子なの?女の子なの?」
「まだ分かりません。」
「はへ?」
私はそんな素っ頓狂な声を漏らしてしまう。だって普通男の子か女の子、どっちか決まってから考えるもんでしょ?あ、中性的な名前なのかもしれないわね。私だって夕貴って名前は男の子にも結構いるし。
「どんな名前にするの?」
「候補が3つあって、1つ目がさおる、2つ目たけお、3つ目はまさき。感じはまだ決めてないけど。」
オール男の子の名前!?
「あのー、もしも子供が女の子だったら?」
「あーーーーー、考えてなかった。」
やっぱり。
「そんなことよりさ、夕貴。もう2時だよ。」
「・・・・・」
スマホで時間を確認する。2時4分と表記されてる。
「仕事ぉー。それじゃ、私戻るから天王寺によろしく。」
そして大急ぎで部屋に帰る。
部屋に戻り、黙々と仕事をしていると、突然部屋にノック音が響く。
なので私は入室を許可する。
そして入って来たのは対能力者撲滅局の報告係の田中中田だった。
「APO本部にあった死体数などが判明したので報告します。
捕獲人数138人その中に幹部のジェームズ・ボブ、ボスの羽場雅人もいます。死者数59人その中に幹部の真田光来もいます。谷口翼の死体は無かったので矢崎さんに聞いたところ、焼き殺して骨すら残ってないそうです。」
「わかった。」
そう言うと田中は帰って行った。
その後、歩希をお見舞いには毎日行き続けた。岩元たちは3日後程で退院できたけど、歩希は違う。
9日後、私がいつも通りお見舞いに行くと歩希の家族がいた。
そして歩希の顔の上には白い布が置かれている。それで私は理解した。でも、大丈夫。数時間すれば目が覚めるから。
私はその日を境にお見舞いに行かなくなった。
そしてまた数日後。
私は歩希のお通夜に来ている。なんで?そんな不安な気持ちが身体中を駆け巡る。
本当に死んだの?
おかしい。禁忌の能力者なら一度死にそして生き返る。なのに、どうして歩希は生き返らないの?
聞いた情報は確実に悪魔の力を借りる能力だった。
何か違ったのか?いや、そんなはずない。
「バン」
その音と同時に棺の上部分が宙を舞う。そして中から歩希の姿が見え、私の中にあった不安はいつしか無くなっていた。
場はなんとも言えない空気になる。何か喋ったらその人の方に視線が集まるだろう。
「うわぁー、死体が動いた!」
快知が言う。いや、薄々喋るなら快知だとは思っていたけどね。
「誰が死体だ。」
そして歩希が快知の頭を叩く。
その後歩希はキョロキョロと周りを見渡してから、
「お通夜?」
と呟く。
快知と何かこしょこしょばなしをしている。
「うわぁー、心臓が・・・バタン。」
ご丁寧に効果音まで自分の口で言って倒れる歩希に私は近づいて歩希の肩をちょんちょんと突く。
「歩希、やっぱり貴方禁忌の能力者に・・・」
「禁忌の能力者?知らんぞ。俺は悪魔、支配者(ルーラー)と契約しただけだ。」
私は「はぁ」とため息をつく。そう言えば10ヶ月前までは能力の存在を知らなかった人だしね。
「まぁ、いいわ。明日の11時に私の部屋に来て。」
そして私は歩希から離れる。そして数秒後、歩希は急にこの場から逃げるように走り出す。
私たちはポツンとここに突っ立っていることしか出来ない。
「悪霊説。」
誰かがそんな事を言い、みんなが便乗する。そしてみんな歩希を追いかけるため走り出す。
いや、正しく言うと能力者の人達が。でも、快知だけはその場にいた。
「快知は行かないの?大事な親友でしょ?」
「親友だからわかったよ。あれは普通の歩希だって。」
「私はまだひと仕事あるから行くけどね。」
そして私も走り出す。私は運動は得意だか、普段から殺し合いをしている人達と比べると赤子同然だ。だから、みんなのところに着いた時には歩希はいなかった。
ま、ちょこっとだけ見えたけど。
「みんな今の見たでしょ?歩希は禁忌の能力、悪魔の力を借りる能力を得た禁忌の能力者なの。みんなは知らないと思うけど、禁忌の能力を得た時は一度死ぬ。そして生き返るから悪霊なんかじゃないわ。」
そう言うと、みんな納得してくれたのだった。
そして時は戻り現在
「待って、夕貴は有を無にする能力者・・・・?」
あの絶対的な自身。それはそう言うことだったのだろう。
「そうよ。私は歩希より強いから。歩希の周りの空気を消したらイチコロだから。」
何この子物騒。怖いよ怖いよ夕貴ちゃん。
「ならさ、その能力でAPOを本部ごと壊せば良かったじゃん。」
俺の考えは至極当然だと思う。そうすれば闘わずして勝つ事ができるのだから。
「1回やったわよ。そして練馬区ごと消えたわ。」
「はへ?俺の記憶では練馬区は一度も消えてないんだか。」
どんなに記憶を遡っても練馬区消えてない断然できる。
「そりゃ、この時間軸ではね。さっき言った時を遡る能力者に頼んだのよ。」
「ほうほう、納得した。」
「話が脱線しすぎたわね。それで歩希は本当に悪魔の力を借りる能力者なのね?」
そう質問してくる夕貴は真剣な表情だ。
「うん。」
そう答えると、夕貴いつも通りのニコニコした顔に戻り、扉を指差す。
「帰っていいわよ。」
そんな一言を言う夕貴。
「夕貴さん、それは違いますよ。貴女は最初に僕に仕事をくれると言いました。なので、僕は仕事をくれるまでこの部屋から出ません。」
必殺、急に敬語!これをする事に寄って相手に真面目さを伝る。
すると、夕貴は少し悩んだ素振りを見せる。その数秒後に「はぁ!」と、何かを思い付いたような表情を浮かべる。
なんかどんどん夕貴の顔が赤くなって行く。そして恥ずかしそうな声音で言った。
「私の秘書とか・・・」
「秘書?もういるだろ。あの1話から出てきてた人。凛としてて、まさしく華って言葉が似合いそうな。」
「うん。でも、その人、妊娠したみたいで辞めちゃったの。」
うーん。秘書か。やった事無いな。でも、形は違えどこれまでの日常が戻って来るのなら、やらない意味は無いな。
「も、もちろん、アットホームで給料も弾むわ。」
「もちろん、引き受けよう。でも、初心者だからな。最初からなんでも出来ると思うなよ。」
そう言うと夕貴は、にパッと笑顔を浮かべる。
ペットにしたいな。
「なら、THSの誘いをことわっていいわよね!」
THSいつぞやに親父が言ってた、世界テロ破壊組織か・・・
「うむ。」
夕貴は自分の机をガサゴソと漁っている。そして何かを取り出し、俺に隠すように持つ。
「私って何気に海外とか飛び回るのだから、その時は着いてきて貰うわ。」
そして夕貴は満面の笑みで隠していたそれを見せてくる。
「まず、英語のお勉強をしましょうか。」
その時の笑顔は本物の悪魔よりも怖かった。
2ヶ月後。
7月8日、この日から新たな事件が発生した。
「このファイルは・・・・ここ。このファイルは・・・・ここ。」
この2ヶ月でだいぶ勉強も仕事も覚えてきたな。
「歩希、そのファイルをしまったら少し休憩しましょう。」
「うい。」
俺は最後のファイルをしまい、ソファーに座る。
夕貴も俺と対面する形で座る。
「最近はだいぶ出来てきてるわね。」
「まぁーな。」
俺がそう言い終えたと同時ぐらいだろうか?まぁーそのぐらいだ。
夕貴の机にある電話が鳴る。
「ちょっとごめんね。」
そう言い、夕貴は子機を手に取る。
耳に当てて数秒後、夕貴は見る見る焦った表情になる。そして一度子機を耳から離し、俺に指示を出す。
「歩希、テレビつけて。」
「どこの?」
「なんでもいい。」
俺は普通じゃない様子の夕貴を見てすぐにテレビをつける。
すると、テレビには1人の男が立っていた。そしてその後ろには大きく能力者抹殺教と書いた大弾幕が垂らされていた。
「私の名前は真倉真宗。能力者抹殺教の教祖です。能力者の皆さんに言います。今から私たち、無能力者の集まりの能力者抹殺教が九州から能力者を一人残さず殺して行きます。なので、能力者の皆さんは死なないように頑張ってください。って言っても殺すんですけどね。あはははは。」
そして普通のテレビに戻った。
「夕貴、俺は?」
「分からない。ただの冷やかしだと思う。」
「そうならいいけど・・・」
能力者抹殺教・・・俺はそいつらを知っているから一概に冷やかしとは思えない。
その直後、一度置いた子機がまたもや鳴る。
そしてさっき同様夕貴が電話に出る。見る見る青ざめて行く夕貴の顔。
数秒後、電話は終わり、俺の方を向いて夕貴は一言告げる。
「熊本、長崎、大分にある能力者専用の会社のビルが6つ爆破されたわ。」
そして歩希への第二の試練は終わり、第三の試練が始まった。
「因縁の相手」 ~完~
「・・・・・・」
ノックをするが返事が無い。よくよく考えてみると歩希はまだ寝ているので返事は出来ない。でも、勝手に入るのは気が引ける。
ま、入らなきゃここに来た意味も無いんだけどね。
「歩希ぃー、入るわよぉー。」
そう一言置いてから入った。
病室には歩希一人。その歩希も寝ている。この病室にはなんの言葉を響かない。ただただ無の空間だった。
私はとりあえず、歩希のベッドの近くにあった椅子に座る。
「うーん、来たはいいものの何をしたらいいのか。」
そんな事を思いながら、歩希の顔を見ていると、何故か顔が熱くなり、今まで感じたことのないような感情が一気に湧き出てくる。
私は直感的にここにこれ以上いたら私が私じゃなくなると思い、椅子から立ち上がる。椅子を元あった位置に戻し、歩希に、
「また明日も来るから。」
とだけ伝え私は隣の病室へと向かう。
「トントン」
さっき同様ノックをする。すると、今回をちゃんと返事が帰ってくる。
「どうぞ。」
なので私は病室に入る。
さっきとは違い、病室には2人いた。天王寺と岩元だ。天王寺は寝ているけど。
2人ともそこら中に包帯が巻いているが元気そうだ。
「怪我とか平気?」
そう聴きながら私は岩元のベッドの近くの椅子に座る。
「なんか、一回心肺停止状態になってけど今は平気です。一応能力者の医者が来たので。」
心肺停止状態って、さすが幹部ね。怖いわ。
「今平気なら何よりだわ。それとー、何を書いてるの?」
岩元はさっきからずっと紙にひたすらペンを走らせていた。
「実はですね。さっき妻に妊娠したって言われたもんで、名前を考えてました。」
そう話す岩元はすごく幸せそうだった。
「それはおめでとう。男の子なの?女の子なの?」
「まだ分かりません。」
「はへ?」
私はそんな素っ頓狂な声を漏らしてしまう。だって普通男の子か女の子、どっちか決まってから考えるもんでしょ?あ、中性的な名前なのかもしれないわね。私だって夕貴って名前は男の子にも結構いるし。
「どんな名前にするの?」
「候補が3つあって、1つ目がさおる、2つ目たけお、3つ目はまさき。感じはまだ決めてないけど。」
オール男の子の名前!?
「あのー、もしも子供が女の子だったら?」
「あーーーーー、考えてなかった。」
やっぱり。
「そんなことよりさ、夕貴。もう2時だよ。」
「・・・・・」
スマホで時間を確認する。2時4分と表記されてる。
「仕事ぉー。それじゃ、私戻るから天王寺によろしく。」
そして大急ぎで部屋に帰る。
部屋に戻り、黙々と仕事をしていると、突然部屋にノック音が響く。
なので私は入室を許可する。
そして入って来たのは対能力者撲滅局の報告係の田中中田だった。
「APO本部にあった死体数などが判明したので報告します。
捕獲人数138人その中に幹部のジェームズ・ボブ、ボスの羽場雅人もいます。死者数59人その中に幹部の真田光来もいます。谷口翼の死体は無かったので矢崎さんに聞いたところ、焼き殺して骨すら残ってないそうです。」
「わかった。」
そう言うと田中は帰って行った。
その後、歩希をお見舞いには毎日行き続けた。岩元たちは3日後程で退院できたけど、歩希は違う。
9日後、私がいつも通りお見舞いに行くと歩希の家族がいた。
そして歩希の顔の上には白い布が置かれている。それで私は理解した。でも、大丈夫。数時間すれば目が覚めるから。
私はその日を境にお見舞いに行かなくなった。
そしてまた数日後。
私は歩希のお通夜に来ている。なんで?そんな不安な気持ちが身体中を駆け巡る。
本当に死んだの?
おかしい。禁忌の能力者なら一度死にそして生き返る。なのに、どうして歩希は生き返らないの?
聞いた情報は確実に悪魔の力を借りる能力だった。
何か違ったのか?いや、そんなはずない。
「バン」
その音と同時に棺の上部分が宙を舞う。そして中から歩希の姿が見え、私の中にあった不安はいつしか無くなっていた。
場はなんとも言えない空気になる。何か喋ったらその人の方に視線が集まるだろう。
「うわぁー、死体が動いた!」
快知が言う。いや、薄々喋るなら快知だとは思っていたけどね。
「誰が死体だ。」
そして歩希が快知の頭を叩く。
その後歩希はキョロキョロと周りを見渡してから、
「お通夜?」
と呟く。
快知と何かこしょこしょばなしをしている。
「うわぁー、心臓が・・・バタン。」
ご丁寧に効果音まで自分の口で言って倒れる歩希に私は近づいて歩希の肩をちょんちょんと突く。
「歩希、やっぱり貴方禁忌の能力者に・・・」
「禁忌の能力者?知らんぞ。俺は悪魔、支配者(ルーラー)と契約しただけだ。」
私は「はぁ」とため息をつく。そう言えば10ヶ月前までは能力の存在を知らなかった人だしね。
「まぁ、いいわ。明日の11時に私の部屋に来て。」
そして私は歩希から離れる。そして数秒後、歩希は急にこの場から逃げるように走り出す。
私たちはポツンとここに突っ立っていることしか出来ない。
「悪霊説。」
誰かがそんな事を言い、みんなが便乗する。そしてみんな歩希を追いかけるため走り出す。
いや、正しく言うと能力者の人達が。でも、快知だけはその場にいた。
「快知は行かないの?大事な親友でしょ?」
「親友だからわかったよ。あれは普通の歩希だって。」
「私はまだひと仕事あるから行くけどね。」
そして私も走り出す。私は運動は得意だか、普段から殺し合いをしている人達と比べると赤子同然だ。だから、みんなのところに着いた時には歩希はいなかった。
ま、ちょこっとだけ見えたけど。
「みんな今の見たでしょ?歩希は禁忌の能力、悪魔の力を借りる能力を得た禁忌の能力者なの。みんなは知らないと思うけど、禁忌の能力を得た時は一度死ぬ。そして生き返るから悪霊なんかじゃないわ。」
そう言うと、みんな納得してくれたのだった。
そして時は戻り現在
「待って、夕貴は有を無にする能力者・・・・?」
あの絶対的な自身。それはそう言うことだったのだろう。
「そうよ。私は歩希より強いから。歩希の周りの空気を消したらイチコロだから。」
何この子物騒。怖いよ怖いよ夕貴ちゃん。
「ならさ、その能力でAPOを本部ごと壊せば良かったじゃん。」
俺の考えは至極当然だと思う。そうすれば闘わずして勝つ事ができるのだから。
「1回やったわよ。そして練馬区ごと消えたわ。」
「はへ?俺の記憶では練馬区は一度も消えてないんだか。」
どんなに記憶を遡っても練馬区消えてない断然できる。
「そりゃ、この時間軸ではね。さっき言った時を遡る能力者に頼んだのよ。」
「ほうほう、納得した。」
「話が脱線しすぎたわね。それで歩希は本当に悪魔の力を借りる能力者なのね?」
そう質問してくる夕貴は真剣な表情だ。
「うん。」
そう答えると、夕貴いつも通りのニコニコした顔に戻り、扉を指差す。
「帰っていいわよ。」
そんな一言を言う夕貴。
「夕貴さん、それは違いますよ。貴女は最初に僕に仕事をくれると言いました。なので、僕は仕事をくれるまでこの部屋から出ません。」
必殺、急に敬語!これをする事に寄って相手に真面目さを伝る。
すると、夕貴は少し悩んだ素振りを見せる。その数秒後に「はぁ!」と、何かを思い付いたような表情を浮かべる。
なんかどんどん夕貴の顔が赤くなって行く。そして恥ずかしそうな声音で言った。
「私の秘書とか・・・」
「秘書?もういるだろ。あの1話から出てきてた人。凛としてて、まさしく華って言葉が似合いそうな。」
「うん。でも、その人、妊娠したみたいで辞めちゃったの。」
うーん。秘書か。やった事無いな。でも、形は違えどこれまでの日常が戻って来るのなら、やらない意味は無いな。
「も、もちろん、アットホームで給料も弾むわ。」
「もちろん、引き受けよう。でも、初心者だからな。最初からなんでも出来ると思うなよ。」
そう言うと夕貴は、にパッと笑顔を浮かべる。
ペットにしたいな。
「なら、THSの誘いをことわっていいわよね!」
THSいつぞやに親父が言ってた、世界テロ破壊組織か・・・
「うむ。」
夕貴は自分の机をガサゴソと漁っている。そして何かを取り出し、俺に隠すように持つ。
「私って何気に海外とか飛び回るのだから、その時は着いてきて貰うわ。」
そして夕貴は満面の笑みで隠していたそれを見せてくる。
「まず、英語のお勉強をしましょうか。」
その時の笑顔は本物の悪魔よりも怖かった。
2ヶ月後。
7月8日、この日から新たな事件が発生した。
「このファイルは・・・・ここ。このファイルは・・・・ここ。」
この2ヶ月でだいぶ勉強も仕事も覚えてきたな。
「歩希、そのファイルをしまったら少し休憩しましょう。」
「うい。」
俺は最後のファイルをしまい、ソファーに座る。
夕貴も俺と対面する形で座る。
「最近はだいぶ出来てきてるわね。」
「まぁーな。」
俺がそう言い終えたと同時ぐらいだろうか?まぁーそのぐらいだ。
夕貴の机にある電話が鳴る。
「ちょっとごめんね。」
そう言い、夕貴は子機を手に取る。
耳に当てて数秒後、夕貴は見る見る焦った表情になる。そして一度子機を耳から離し、俺に指示を出す。
「歩希、テレビつけて。」
「どこの?」
「なんでもいい。」
俺は普通じゃない様子の夕貴を見てすぐにテレビをつける。
すると、テレビには1人の男が立っていた。そしてその後ろには大きく能力者抹殺教と書いた大弾幕が垂らされていた。
「私の名前は真倉真宗。能力者抹殺教の教祖です。能力者の皆さんに言います。今から私たち、無能力者の集まりの能力者抹殺教が九州から能力者を一人残さず殺して行きます。なので、能力者の皆さんは死なないように頑張ってください。って言っても殺すんですけどね。あはははは。」
そして普通のテレビに戻った。
「夕貴、俺は?」
「分からない。ただの冷やかしだと思う。」
「そうならいいけど・・・」
能力者抹殺教・・・俺はそいつらを知っているから一概に冷やかしとは思えない。
その直後、一度置いた子機がまたもや鳴る。
そしてさっき同様夕貴が電話に出る。見る見る青ざめて行く夕貴の顔。
数秒後、電話は終わり、俺の方を向いて夕貴は一言告げる。
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