「復讐の相手」

著恋凛

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5話

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決勝戦後、表彰式のようなものが行われ、それでアタッシュケースに入った現金1000万円を貰った。
そして、今は夕貴と一緒に帰路を辿ろうとしている。
「あ、夕貴。記念すべき俺らの仲間1号を誘いたい人がいるんだけどいいか?」
「ん?歩希が認めるぐらいならいいけど。」
「それじゃ、これちょっと持っててくんね?」
そしてアタッシュケースを夕貴に預け、俺は人気のない道の道路と歩道の間にある段差に腰掛けてるそいつに話しかける。
「名前は確か・・・ハロン・ゼアーだっけ?」
「お前は、俺を1回戦で負かした男。」
俺は1回戦で戦った相手のハロンを仲間に引き入れようとしている。こいつの戦闘スキルは戦ってわかったが結構高い。別に殺しも喧嘩もして無さそうにも関わらず、ナイフの使い方や人の操り方を知っている。それに俺と似ていて戦闘中の頭の回転が早い。
「短調直入に言うよ。俺達の仲間になってくれ。」
そして俺達がやろうとしていることを伝えた。
「・・・嫌だね。どうして俺の人生を壊した人の仲間になんなきゃいけない?」
「俺がお前の人生を?」
俺はまだ何も知らなかった。ハロンの過去を。
「俺の親は多額の借金を背負ったまま死んだ。その借金の返済をするのは親の一人息子の俺だ。別に自分で作った借金でも無いのに返済するなんて嫌だと思ったし、するための金もない。だから、俺は逃げてたんだ、借金取りから。だけど、捕まった。そこで俺は提案したんだ。絶対にストロンガー対決で優勝するから待ってくれって。だけど、お前に負けて俺は優勝することが出来なかった。」
俺はそれを聞いて一言だけ言う。
「それ俺悪くなくね?」
だってそうだろ?自分が相手より劣っていたから負けたなのに俺のせいにされても困る。
「そうだよ。だけど、誰かのせいにしなきゃ、やっていけないんだよ。」
ハロンは悲しそうに小さく呟いた。
「ならさ、交渉をしよう。俺達の仲間になってくれたら、お前を借金からまもr・・・・」
俺の言葉が言い終わる前にハロンはその場から消えた。でも、それは自分の意思ではない。そう、ハロンは誘拐されたのだ。ハロンが座っていた所の近くを通った車が走りながらハロンを車に無理矢理乗せたのだ。
俺はすぐさま夕貴の方に視線を飛ばす。夕貴もその現場を見ていたらしく、俺の方に走ってきてた。
「歩希、追いかけるわよ。」
「あいあいさー。」
ここは人気がないので車を無理矢理止めても事故は起きないだろう。と、考えても先に車に追いつかなきゃ行けないけどな。
悪魔の能力を使い、車を追いかける。車との距離は着々と近づいていき、最終的には追いついたので、無理矢理車を止める。
扉をこじ開け、中を確認するがハロンはいなかった。とりあえず、運転手を気絶させ、後部座席に座っていた男を死なない程度に首を絞める。
「今からする問いに正しい答えを言わなきゃ、殺すからな。」
そう言ってから俺は質問をする。
「誘拐した少年はどうした?」
「俺の能力、テレポートを使って仲間の所に送った。」
計画犯か、こいつらは。
「仲間はどこにいる?」
「ここから一番近い海の船だ。」
そう言うと首を絞めた男は意識を失ってしまった。
「クッソ」
と、呟き千里眼で場所を特定する。車から出ると夕貴が待っていた。夕貴を担ぎ、俺は走る。
「絶対にアタッシュケース落とすなよ。」
「もう歩希に担がれるのも慣れたわ。これって意外と楽しいし。」





俺は海まで来て、船に乗り込む。
ふぅ、これでなんとかなるな。
「夕貴はとりあえずここにいて、アタッシュケースを守っててくれ。俺はハロンを連れ戻すから。」 
アタッシュケースを持ちながら戦うことは無理だろう。けど、アタッシュケースを守りながら戦うことはできる。だから、この策が一番いいと思った。
「わかったわ。それじゃ、行ってらっしゃい。」
「あぁ、夕貴は絶対にここを動くなよ。」
そして誰もいなくなった俺は歩き出す。
外見からしてこの船は相当でかい。豪華客船とまでは行かないが、個人で買えるような物ではないぐらいには。これは探すの大変そうだな。
そう思い、30分くらい探したのだが、人1人いない。でも、独房みたいなのはあった。まずこの船はなんなんだ?なんのためにある?それが分からない。
俺一人では答えが出ない問題をただひたすらに考えていると、急に船が動き出した。体勢が崩れ、これは意図的にでは無いが、隣りの部屋に入った。その瞬間、俺の身体に電流が流れてくる。その電流の威力は普通の人では簡単に意識が飛んでしまうぐらいだった。なので、俺の意識もいつの間にか飛んでいた。
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