「復讐の相手」

著恋凛

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6話

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目を覚ますと、見慣れない天井があった。とりあえず、上体を起こす。頭を振り、脳を起こし、今の状況を考える。と、言ってもここは独房だろう。気絶していた合間に連れてこられたのだろう。
「はぁ、」
大きなため息をしながら床に寝っ転がる。無音・・・・では無かった。隣りの独房から啜り泣くような声がきこえたのだ。
「どうしたの?」
話しかけてみることにした。何かいい情報が聞けるかもだからな。
「どうしたの?って、この状況がどれだけ酷いか知らないの?」
声的に俺と同い歳ぐらいの人だろうか?実際に見てないから分からんが。
「分からない。この船がなんなのかも。」
「この船はオーストラリアならペルーに行く船。でも、ただの船じゃない。誘拐をしてペルーに人身売買してるの。これでわかったでしょ?どれだけ酷いか。」
彼女の声は遠くから聞こえるから俺のいる独房と面してない壁に寄りかかっているのだろう。そう予想した俺は彼女がいるであろう独房に面してる壁をパンチでぶっ壊す。そして、彼女の姿を視認しながら言う。
「分からないね。だって、そんなの逃げればいいだろ?」
彼女は目を真ん丸にしてこちらを見てくる。それは本当に驚いた表情で。
「どうゆうこと?」
「だーかーらー、」
鉄の棒を曲げ、人1人通れる大きさにして、
「逃げればいい。」
そう言い、独房から俺は出る。それに続いて彼女も外に出る。
「ほら、簡単だろ?」
その言葉に彼女は首を縦に振る。
金髪ショートで眼は青と赤のオッドアイ、手首にシュシュをつけてる。そんな彼女に俺は1つのお願いをする。
「人を探してるんだ、手伝ってくれない?」
「いいですよ。」
そして、彼女と歩きながら話す。
「俺の名前は前村歩希。君はなんて言うの?」
「私の名前はエマ、エマ・ジョンソンです。」
さっきまでとは打って変わって、明るい子になった。
「どうしてエマさんはここに捕まったの?」
「私は秘密警察、FOAとしてこの誘拐事件を解決しに上司と二人でここに来ていました。その日に限って、私が愛用していた銃剣を修理に出しておりまして、仕方なくハンドガンだけを手にしてここに来ました。ある程度の人は逃がせたんですけど、1人の男と遭遇したんです。その人は誘拐犯で私と上司の2人がかりでも歯が立ちませんでした。そして、上司は私を男の方に突き飛ばし、1人だけ離脱しました。私1人では為す術なく負け、独房にぶち込まれたってわけです。それで、歩希さんはどうしてですか?」
俺は普通にここまで来た経緯を話した。別に減るような話でもないしな。
「・・・そうなんですね。2人で日本の陸上自衛隊能力部隊と・・・凄いですね。日本の自衛隊と言えば世界の中でもTOP10には入る強い組織ですよ。」 
そうだったのか、道理で強いわけだ。連携も取れて、ちゃんと急所を狙ってくる狙撃技術。普通に尊敬もんだな。
「それでなんですけど・・・・」
エマさんは恥ずかしそうにしながら、俺に向かって言葉を紡ぐ。
「私で良ければ、仲間になりましょうか?素手では戦えませんが、治療法などは熟知しているので、怪我とかしたらお役に立てると思うのですが…」
秘密警察に入っていたということは弱いことはまず無いだろう。なら、答えはもう出ているだろう。
「これからよろしくお願いします。エマさん。」
「はい!こちらこそ。」
そして、記念すべき1人目の仲間が出来た。




数分歩くが、ハロンは見つからない。いやぁ、そろそろ飽きてきたから見つかって欲しいんだけどな。
あっ!人がいた!と言っても、相手はゴリゴリの犯罪者なんだけどな。俺とエマさんの前には銃にナイフと色々な武器を持った男が立っていた。
「歩希さん、あの人です。戦って勝てなかった人です。」
エマさんは恐怖に染まった表情で男に指さした。
「そうか。ま、エマさんは下がっててください。俺が何とかしますんで。」
「でも、そんなの無理です。」
そう言うエマさんに俺は笑顔で、安心させるために言う。
「大丈夫。無傷で勝ってやりますよ。なんてったって、俺らは日本を壊すための組織なんですから。」
すると、後ろに下がるエマさん。俺は日本刀を生み出し、手に取る。
「あらら、脱走はダメですよ。」
その言葉はオーストラリア英語では無く、スペイン語だった。夕貴に無理矢理何ヶ国語も覚えさせられて良かったぜ。
「うるせぇな。そんなとこよりハロンをどこにした?」
「ハロン?あー、あの瞳の青い子か、それならこの先にいるよ。でも、ボクがここにいる以上この先には行かせないんだけどね。」
そして高笑いするペルー人。俺はそいつに向かって鼻で笑う。
「お前なんかボコボコにしてやるよ。」
そう言った刹那、ペルー人は持っていた銃を俺に向けて発砲してきた。その銃弾を真っ二つに切り裂く。
「ハハッ、意外と楽しめそうだな。」
そう言い、ペルー人は笑うのだった。
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